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AMD,第2世代Polarisベースの「Radeon RX 500」シリーズを発表。RX 400シリーズを置き換えるミドルクラスおよびエントリー市場向け
ラインナップは以下のとおりである。
- Radeon RX 580(以下,RX 580)
Radeon RX 480の置き換え。演算ユニット数36基,シェーダプロセッサ数2304基,グラフィックスメモリ容量8/4GB,公称典型消費電力185W,北米市場におけるメーカー想定売価229ドル(税別,グラフィックスメモリ容量8GBモデル)/199ドル(税別,グラフィックスメモリ容量4GBモデル),4月18日発売予定 - Radeon RX 570(以下,RX 570)
Radeon RX 470の置き換え。演算ユニット数32基,シェーダプロセッサ数2048基,グラフィックスメモリ容量4GB,公称典型消費電力150W,北米市場におけるメーカー想定売価169ドル(税別),4月18日発売予定 - Radeon RX 560(以下,RX 560)
Radeon RX 460の置き換え。演算ユニット数16基,シェーダプロセッサ数1024基,グラフィックスメモリ容量4GB,公称典型消費電力未公開,北米市場におけるメーカー想定売価99ドル(税別),5月上旬発売予定 - Radeon RX 550(以下,RX 550)
完全新作GPUで,ダイサイズ101mm2,トランジスタ数25億という基本仕様。演算ユニット数8基,シェーダプロセッサ数512基,グラフィックスメモリ容量2GB,公称典型消費電力50W,北米市場におけるメーカー想定売価79ドル(税別),4月20日発売予定
エントリー市場向けが加わって計4モデル展開に。上位モデルは高クロックに振った改良版という理解で正解か
新登場となった4製品のスペックを,置き換え対象となるRadeon RX 400シリーズともどもまとめたものが表だ。
報道関係者向け説明会でAMDは開発コードネームを明らかにしなかったが,4Gamerの独自取材によると,RX 580およびRX 570は「Polaris 20」コアを採用している。「14nm FinFETプロセス技術を製造し,ダイサイズは232mm2」というスペックは置き換え対象となるGPUから変わっていないが,動作クロックはベース,ブースト最大とも大幅に向上しており,公称典型消費電力も増大しているので,Polaris 20でAMDは,動作クロックを引き上げる形で性能面に振った最適化を行ったという理解でいいのではなかろうか。
RX 580として展開されるGPUコアに「Polaris 20 XTR」と「Polaris 20 XTX」の2種類が存在することに気付いた読者もいるだろう。RX 580には,通常版としてのPolaris 20 XTXと,「AMDによる選別版」としてのPolaris 20 XTRが存在する。Polaris 20 XTXでもクロックアップ版は登場する――というか,多くはクロックアップ版になるだろう――が,Polaris 20 XTR搭載版では,より高い動作クロックを実現できるそうだ。
AMD関係者によれば,「Polaris 20 XTR搭載製品は,価格で通常版と見分けられる」とのことなので,少なくとも当面は,トップエンドの限定版的な扱いになるのかもしれない。
ちなみに想定されるRX 580の競合GPUは「GeForce GTX 1060 6GB」とのことである。
Polaris 20 XLベースとなるRX 570は,RX 470の純然たる置き換えという理解でいい。グラフィックスメモリ容量はRX 470と同じく4GBなので,1920
RX 560はRX 460と比べて演算ユニットが2基増えているのがトピックだ。GPUコアの再設計……というよりは,Polaris 11コアで無効になっていた演算ユニットが第2世代Polaris世代で有効になった雰囲気もあるが,そのあたり,AMDは公式には何も語っていない。
最後に新開発となるRX 550だが,これは,ダイサイズが101mm2,トランジスタ数約25億と,GPUにしては小規模な製品で,50Wという公称典型消費電力を武器としたエントリー市場向けという扱いになっている。描画負荷の低いオンラインゲームタイトルや,写真&ビデオ加工,および4K&HDRビデオ再生機向けとのことだ。
グラフィックス機能統合型CPUの性能向上に伴って,単体GPUのエントリー市場は縮小の一途を辿っている。実際,競合のNVIDIAはコンシューマ向けの本市場から事実上撤退しているほどだが,出力周りやビデオ再生周りの最新スペック,そしてCPU側のグラフィックス機能と比べて4倍以上とされる3D性能を武器に,RX 550は,競合のいない市場を狙うことになるのだろう。
RX 550と「Radeon R7 250」や,Skylake世代のCPUでよく統合されている「Intel HD Graphics 530」とで性能を比較したグラフ。4倍以上の3D性能を期待できるとされる |
RX 550は低消費電力かつLow Profile対応,そして4K解像度やHDR(High Dynamic Range)出力に対応する |
全モデルでRadeon ChillとRadeon ReLiveに対応するRadeon RX 500シリーズ
以上,判明した限りの情報をお伝えしてきたが,AMDは同時に,Radeon RX 500シリーズであれば,「Radeon Chill」と「Radeon ReLive」の機能を活用できる点も強調していた。
また,Radeon ReLiveであれば「フレームレートをほとんど落とすことなくゲームのプレイ動画をSNSで共有できる」とAMD。Radeon ReLiveは2〜3世代前のGPUだと対応したりしなかったり――「Tonga」コア以降がサポート対象――なのだが,今回のRadeon RX 500シリーズであれば確実に利用できるので,確かにここも買い換え動機になる要素と言えるだろう。
なお,4Gamerでは発表に合わせ,Polaris 20 XTXコア採用のRX 580カードを入手し,テストしている。性能が気になる人は,そちらをぜひチェックしてほしい。
「Radeon RX 580」レビュー。第2世代Polaris最上位モデルはGTX 1060 6GBと真っ向勝負するGPUだ
Radeon公式Webサイト(英語)
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