インタビュー
EVO2018で躍進を果たしたアメリカを代表する3選手に聞く北米の格ゲー事情。――世界との差はオンライン環境のおかげで急速に縮まっている
4Gamerでは,「BLAZBLUE」シリーズにおいて,日本人選手以外で初となるグランドファイナル進出を果たし,準優勝という結果を残したFame96選手。「GUILTY GEAR Xrd Rev 2」部門で日本人選手と互角とも言える戦いぶりを披露し,3位入賞を果たしたLostSoul選手。今年も含め,過去3年行われた「鉄拳7」部門において,最高順位となる3位の成績を残したLil Majin選手の3名に大会後,それぞれインタビューを行っている。喜びの声に加えて,現在の北米の格闘ゲーム事情について話を聞けたので,ぜひ目を通してほしい。
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BLAZBLUE CROSS TAG BATTLE部門 準優勝
Fame96選手インタビュー
4Gamer:
「BLAZBLUE」シリーズにおいて,初の快挙となるアメリカ勢のグランドファイナル進出を果たしました。惜しくも準優勝という結果となりましたが,今の気持ちをお伝えください。
Fame96選手:
今大会のような大規模大会に出場したのは初めてだったから,正直に言うと大会前は少し緊張していたんだ。それでも大会中に緊張したり,舞い上がったりしないように,常に気持ちを自制することで,落ち着いてプレイできていたと思う。準優勝は少し残念だけど,それでも良い結果を残すことができてとても嬉しいよ。
4Gamer:
大規模大会でいきなりの好成績を残したわけですが,実際にTOP8を戦い抜いての感想はいかがですか。
Fame96選手:
ドラ選手やフェンリっち選手といった日本の有力選手は動画などで確認していたし,大会でも動きを見ていたから,対戦して緊張することはあまりなかったかな。ただ,グランドファイナルでへいほぉ選手に負けてしまった試合は,負けた原因を整理することがすぐにできなくて,そこで少し弱気になってしまった気がする。ただ,そこまでの試合では冷静にいつも通りの動きで対戦に臨むことができていたね。
4Gamer:
昨年の同シリーズの種目「BLAZBLUE CENTRALFICTION」部門はTOP8全員が日本人選手でした。そして今年はFame96選手が唯一TOP8に残った日本人以外の選手となりました。
Fame96選手:
その時はふたつの感情が入り混じっていたね。ひとつは少し残念な気持ち。「BLAZBLUE CROSS TAG BATTLE」は日本のゲームだし,研究なども他地域より進んでいるし,この結果は仕方ないのかな……といった感情だね。そしてふたつめは,自分の存在をアピールできる状況としてめったにない機会になったなというポジティブな感情かな。なんとしてでも爪痕を残してやるという気持ちがとても強かったことを覚えているよ(笑)。
4Gamer:
「BLAZBLUE」シリーズや「GUILTY GEAR」シリーズは日本と比べるとアメリカのコミュニティではやや盛り上がりに欠ける印象があります。今後さらに盛り上がるためにはどういった要因が必要だと感じますか。
Fame96選手:
アークシステムワークスの格闘ゲームは,少しとっつきにくい部分もあって,プレイをするハードルが高いかもしれないね。ただ,同じアークシステムワークスの格闘ゲーム「ドラゴンボールファイターズ」が世界中で流行しているように,今ではそういった悪い印象は払拭されつつあると思っているんだ。
BLAZBLUE CROSS TAG BATTLEについても,最初の印象でプレイしなかった人が少しずつプレイするようになっていて,確実に人口は増えているから,これからも継続的にアークシステムワークスがプロモーションに力を入れてくれれば,より一層盛り上がってくれるんじゃないかな。
4Gamer:
最後に今後の意気込みなどありましたらよろしくお願いします。
Fame96選手:
次の目標は9月に開催される「CEOtaku 2018」だね。BLAZBLUE CROSS TAG BATTLE部門では優勝できるようにがんばるよ。あと他ゲーの話になるんだけど,これまで3Dゲームをやったことがなかったから「SOULCALIBUR VI」に挑戦したいと思っている。競技種目としてやっていくかは分からないけど,発売を楽しみにしているよ。
4Gamer:
今後の活躍に期待しています。本日はありがとうございました。
GUILTY GEAR Xrd REV 2部門 3位入賞
LostSoul選手インタビュー
4Gamer:
昨年の同部門ではTOP8を日本人選手が占める結果となりました。今年はTOP8の8人中7人が日本人という状況で,3位というすばらしい成績を残しましたが,今の気持ちを聞かせてください。
LostSoul選手:
今回の厳しいトーナメントの中で,3位という好成績を残せたことについて誇らしく思っているよ。「GUILTY GEAR」シリーズにおいて,日本人選手以外が上位に食い込むことは非常に困難だけど,それを打ち破れたこと,そして,それを多くの観客や視聴者に見せることができたのがとてもうれしいね。
4Gamer:
アメリカにもこんなに強い選手がいるのか,と多くの人が驚かれたことと思います。普段はどのような環境で練習を行っているのでしょうか。
LostSoul選手:
仲間うちで対戦会を行ったときは,その内容を必ず録画して振り返るようにしているよ。そして議論の中心にしているのは,「攻められている状況をどう切り返すか」ではなくて,「どうすれば後手に回らずに済んだか」という点になんだ。「GUILTY GEAR Xrd REV 2」は攻める側が有利なゲームだから,守る側の選択肢が少なくなってしまう。だからそうなる前に,自分が主導権を握るにはどうすればいいか,ということを考えるのがとても重要だね。
もちろん,自分たちの試合だけでなく,大会での試合や日本の対戦動画についても同じように議論しているよ。本作の対戦レベルが一番高いのは日本だから,自分たちが知らないようなテクニックや戦術がどんどん更新されていく。それらを動画で研究して,自分たちの動きに組み込めるように練習しているよ。
4Gamer:
日本のプレイヤーについても研究されているのですね。では,アメリカと日本の環境について,最大の違いは何だと思いますか?
LostSoul選手:
日本人選手はアーケードで対戦をこなして,たくさんのプレイヤー,キャラクターと対戦することができているよね。一方,自分たちにはその環境がない。ただ,家庭用ではどれだけ対戦してもお金がかからないし,アーケードと違って試合をすぐ見返せるというメリットがあるんだ。量より質を高める練習方法を取ることで,今回のような結果が残せたんじゃないかな。
ただ,それでもやっぱり「お金はパワー」だと思うよ。お金があればもっと対戦環境を良くすることができるし,日本に行って,アーケードでたくさん対戦することもできるからね(笑)。
4Gamer:
量より質,という考え方は多くのプレイヤーにとって参考になるかもしれません。それでは,アメリカのコミュニティについてお聞きします。現在のアメリカではどういったコミュニティが形成され,活動しているのでしょうか。
LostSoul選手:
各地域ごとの対抗戦をやったり,お互いに協力してイベントを開催したりという形でうまくやっているよ。ただ,アメリカはとにかく広大だから,それがネックになっているかな。
だから,プレイヤーの数を増やすためには,ネットワーク対戦で少しずつすそ野を広げたり,今回のような大会によって注目度が上がったタイミングで,みんなで協力して盛り上げていく地道な活動が必要だと思っているよ。理想を言うと,アメリカのどの地域に行ってもコミュニティが存在しているようなところまで「GUILTY GEAR」を普及させたいね。
4Gamer:
話をうかがっていると多くの苦労もしているように感じられます。LostSoul選手がGUILTY GEARシリーズをプレイし続ける,そのモチベーションの源は何なんでしょうか。
LostSoul選手:
いい質問だね(笑)。そうだな……,自分の場合はとにかく自身の技術を向上させて,日本のトッププレイヤーに負けない実力を身につけたいというのが第一かな。でも正直なところ,このままアメリカだけでプレイしていても壁にぶつかってしまうとは思っているんだ。だから,いつか日本に遠征して,トッププレイヤーと戦って経験を積みたいと思っているよ。そしてその知識と経験をアメリカのコミュニティに還元できたら最高だよね。
4Gamer:
さきほど,アークシステムワークスから「ARCREVO WORLD TOUR」,そして公式世界大会「ARCREVO AMERICA 2019」の開催が発表されました。それについてはどんな印象を受けましたか。
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LostSoul選手:
GUILTY GEARシリーズは自分にとって大切なタイトルだから,オフィシャルでツアー形式の大会を開催してくれるというのは本当にありがたいし,うれしいね。当然,積極的に参加する気でいるよ。
4Gamer:
最後にファンやコミュニティに向けて,何かメッセージがあればお願いします。
LostSoul選手:
まず今回の大会を戦い抜くに当たって,自分との練習に付き合ってくれたアメリカのみんな,そしてサポートしてくれたすべての人たちに感謝します。それから,今回の配信を見て私を知ってくれた人や,現地で応援してくれた人のためにも,引き続き良い結果を出せるよう努力していくので,これからも応援よろしくお願いします。
4Gamer:
ARCREVO WORLD TOURでのLostSoul選手の活躍に期待しております。本日はありがとうございました。
鉄拳7部門 3位入賞
Lil Majin選手インタビュー
4Gamer:
鉄拳7部門は例年以上に参加者が多く,過酷なトーナメントとなりました。その中で3位という好成績を収められたことについて,気持ちを聞かせください
Lil Majin選手:
本大会では自分のベストを尽くすことができたと思う。とても強い相手ばかりの大会だったから,その中でここまでの結果を出せたことは自分でも驚いているよ。
4Gamer:
今回,選手個人としても,アメリカの鉄拳シーンの選手としても,大きな快挙を成し遂げました。会場内でも,配信を視聴している人のコメントでも,たくさんの応援と歓声が上がっていて,あなたのプレイから目が離せないようでした。今回の結果を達成できた要因は何だったと思いますか。
Lil Majin選手:
とにかく落ち着いて,ミスをしないよう丁寧に努めようとしたこと。そして,あの大きな決勝会場で応援してくれる皆の歓声を,力に変えて臨もうとしたことかな。TOP8の最初の試合でJDCR選手に勝てたときは,自分の中でも最高に気持ちが高ぶったんだ。会場も最高に盛り上がっていたし,自分の勝利を望んでくれているのが伝わってきたから,普段以上のプレイができたんじゃないかと思っているよ。
4Gamer:
鉄拳の競技シーンでは,アジア圏の選手が上位を占める傾向にあります。北米の鉄拳プレイヤーは,どのようにして練習や自己研鑽,対戦の機会を設けているのでしょうか。
Lil Majin選手:
アジアのプレイヤーは本当に強くて,北米の大会に遠征しにきてすごい成績を残していくよね。ただ,アジアと北米の選手の強さの差は,オンライン対戦のおかげで急速に縮まってきていると思う。ヨーロッパのプレイヤーもどんどん上達しているし,これまでとこれからとでは,違った結果が見えてくると思うよ。
4Gamer:
北米の鉄拳コミュニティについて聞かせてください。大規模大会も開かれ,MarkMan氏などが積極的に情報を発信していますが,日本人にとってはまだまだ知らないことの方が多い地域というのが現状です。
Lil Majin選手:
鉄拳シリーズの20年を超える歴史の中で,北米でもたくさんの偉大なプレイヤーが登場し,伝説と呼ばれるようになった試合があって,それとともにコミュニティは成長してきた。自分自身もそういったものを見て育ってきた側だしね(笑)。ただ,日本と違って,ひん繁に顔を合わせて対戦できるゲームセンターのような環境がないため,大きな大会やイベントでないと満足にプレイできないという状態が続いていたのは確かだね。
それこそ,オンライン対戦ができるようになった,ここ2〜3年からようやく対戦機会が増えていったようなものだと思うよ。このあたりに関して,日本や韓国などは恵まれていたと思う。だから,北米には,まだまだたくさんの猛者が隠れているんだ。
4Gamer:
ということは,今後の鉄拳の大会や次のEVOでも……。
Lil Majin選手:
もっと多くの“Lil Majin”みたいなプレイヤーが見られると思うよ(笑)。
4Gamer:
Lil Majin選手のキングは多くの技を使いこなしていて,日本人とはかなり違うプレイスタイルだと感じました。何かこだわりなどはあるのでしょうか。
Lil Majin選手:
キング自体は,初代「鉄拳」からずっと使っているキャラなんだ。だから,長年プレイをしてきて,「勝つための動き方」や「負けてしまう動き方」を研究してきた。例えば,キャラクター別の確定反撃や,状況限定のコンボなどをとにかくたくさんね。おそらく,キングについては他のプレイヤーがまったく知らないようなことを,自分だけは知っているんだ。だから,そういった知識を総動員することで,普通に戦うだけでは厳しいような相手にも勝つことができるんだと思うよ。
4Gamer:
日本の配信コメントや,キング使いからは驚きの声が上がっていました。
Lil Majin選手:
日本には破壊王選手というとても強くて有名なキング使いがいるよね。自分は彼をとても尊敬していて,彼の使っている技や組み立てを参考にしている。ただ,彼も逆に“Majin Tech(マジン式)”を参考にしてもらいたいね(笑)。彼がマジン式を身につければもっともっと強くなると思うよ(笑)。
4Gamer:
今日,最強のキング使いになられたあなただからこそ言える言葉ですね!
Lil Majin選手:
とてもいい響きだね,最強のキング使いと,北米一のキング使い。ああ……,一日に世界一の称号を2つもらえた気分だよ(笑)。
4Gamer:
最後に大会を見ていたファンにメッセージをお願いします。
Lil Majin選手:
元々他の人のプレイを研究するために配信を見ていたんだけど,去年から自分でもプレイ配信を始めたんだ。配信というサービスは本当にすばらしいと思う。さまざまなプレイヤーの動きを見て参考にできるし,単純にゲームを楽しみ,モチベーションを向上させることにも役立つんだ。それに,普段から配信上で応援してくれたみんなのおかげで,今日の成績を残すことができたからね。配信を見てくれているみんな,いつも本当にありがとう。
Lil Majin選手:配信チャンネル
https://www.twitch.tv/lil_majin
それから,大会に関して言えば,8月末にある「SUMMER JAM」に参加するよ。そこで結果を出して,12月の「TWT FINALS」に参加したいね。みんなの応援が強い力になるから,これからも応援してもらえるとうれしいな!
4Gamer:
今後の活躍に期待しています。本日はありがとうございました。
「BLAZBLUE CROSS TAG BATTLE」公式サイト
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- ライター:タケヤマ
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