インタビュー
[EVO2018]自分を信じ続け,つかんだ栄光――「ストリートファイターV AE」部門優勝,ProblemX選手インタビュー
「ストリートファイターIV」以降のシリーズ作品で,イギリスの選手がEVOで優勝したのは史上初。歴史的勝利を収めた同選手に対し,優勝直後にインタビューを行ったので,その模様をお届けしよう。
4Gamer:
優勝おめでとうございます。非常に長く,厳しいトーナメントだったと思うのですが,今の気持ちをお聞かせください。
ProblemX選手:
どう言ったらいいのかな……本当に言葉がないんだ。今頭に浮かぶのは,今日までとにかく長い間練習してきたこと,それから,ストリートファイターIV時代,2011年のCanada Cupに参加したときのこと,そのあと参加してきたいくつもの大会のこと。そして,Ryan Hart選手とウメハラ選手の試合を見て,自分もいつかそのレベルにたどり着きたいと思ったこと……。
7年だよ,それからここまで来るのに。7年もかかったんだ……。だけど,ついにここまで来れたんだ。本当にうれしいよ。
4Gamer:
Ryan Hart選手は,あなたの原点だったのですね。
※少し離れた席には下を向きながら,うれしそうに話を聞いているRyan Hart選手の姿がありました。
ProblemX選手:
そうだね,彼の配信を見て,彼と練習して,彼と対戦して,そして多くの人たちの協力を得て,ようやくここまで来れたんだ。ただ,それだけでなく,自分自身が「格闘ゲームで生きていける」という確信を持っていたから,多くの大会にも出場できたし,これまで挫けずにやって来れたんだと思うよ。
4Gamer:
7年もの長い年月を経て,何度も試行錯誤を繰り返した結果,今日の大きな結果を勝ち取りました。今回の結果について,日々の努力以外の大きな勝因は何かあったのでしょうか。
ProblemX選手:
TOP8にウィナーズで残れたことで,自分の比較的得意とするキャラクターと戦えたことが勝因になったと思う。それから,日本はストリートファイターシリーズで世界一の国だと思うけれど,一方で世界最高峰のベガ使いはいないと思っているんだ。自分のメインキャラはベガなんだけど,それが今回の勝利につながったんだと思う。
自分はアビゲイルも使っているんだけど,アビゲイルはべガでは辛い相手に出すキャラとして必死に練習した。そんな準備をした上で勝ち進み,決勝のトーナメント表を見たときに「ガイルはいない,ウメハラ選手もいない,これならいける!」と思うことができたんだ。
4Gamer:
最近の試合ではアビゲイルで好成績を残していたので,ベガと併用してアビゲイルを使うのかと思っていました。
ProblemX選手:
実際にTOP8に残るための最後の対戦相手だったLuffy選手のミカに対しては,アビゲイルを使用したよ。ただ,日本にはアビゲイル使いの強豪として板橋ザンギエフ選手やストーム久保選手などがいるよね。日本の選手は対アビゲイル戦の対策が進んでいるから,ベガのほうが通用しやすいと考えていたんだ。実際,決勝トーナメント初戦で当たったガチくん選手には,過去に「EGX 2017」や「CEO 2018」でベガを使って勝利していたし,今回もベガを出して勝つことができた。
4Gamer:
Luffy選手と同じミカ使いのふ〜ど選手にもベガを使用しましたよね。
ProblemX選手:
これも同じ理由だね。キャラ性能的にはアビゲイルの方が優位を取れると思うけど,過去の自分の戦績を振り返るとベガの方が勝ちやすいと思ったから,ベガを信じて出したんだ。
4Gamer:
ガチくん選手,ふ〜ど選手と続いて,Grand Finalの相手はときど選手でした。ときど選手には3-2でカウントをリセットされてしまったわけですが,そのときの心境はどのようなものだったのでしょうか。
ProblemX選手:
試合には負けてしまったけど,内容的には悪くなかったし,あと少しで勝てていたと思っていたよ。だから気落ちをするということはなかったんだ。ベガは豪鬼に対して有利な部分があると思っているしね。
もちろん,ときど選手レベルの豪鬼はそうはいないけど,研究するために対戦で確かめられるレベルの相手ならいるんだ。スカしや対空,確定の反撃という基本の部分をしっかり押さえて,確実にダメージを取り続けていけば,押し切れると考えていたよ。
それから,去年のEVOの決勝では,Punk選手がグランドファイナルで一度敗れ,リセットされた時にときど選手に気圧されている様子がはっきりと見えたんだ。そして,それがPunk選手の敗因になっていたように自分からは見えた。だから自分はときど選手に対して「気持ちで負けることはない。勝つのは自分だ」という姿勢を貫き続けたんだ。そういったすべての要因が組み合わさることで,最後まで落ち着いて自分のプレイができたと思っているよ。
4Gamer:
ベガをメインキャラクターとして使っていますが,どういった理由だったのでしょうか。
ProblemX選手:
元々ボスキャラが大好きなんだ。ストIVでは(ボスキャラの)セスを使っていたんだけど,いろいろな場面でベガがこちらをボコボコにしてくるから悔しくて,そのあとVに移ってからベガを使いだしたんだよね(笑)。重厚な雰囲気やゆっくりとした歩き方,重い一撃……IV時代と違ってVのベガは,この「ボスの風格」を持っていたからこそ使いたいと思ったんだ。
4Gamer:
あなたの地元,イギリスのコミュニティについて教えてください。
ProblemX選手:
イギリスのコミュニティはものすごい勢いで成長している。Red Bull Sphereができたことや,カプコンのコミュニティマネージャーであるMatthewが毎週火曜日に定期的なオフラインイベントを開催してくれるようになったことで,コミュニティ全体が活性化してきているんだ。
イギリスから近い距離にいるLuffy選手のようなトッププレイヤーだけでなく,世界的にはあまり名前が知られていない強いプレイヤーもたくさんいる。ラシード使いのBigBird選手(アラブ首長国連邦のトッププレイヤー)のように大会でしか会えない相手も,会うたびに練習に協力をしてくれたりしているね。オフライン大会だけでなく,オンラインでの対戦も盛んに行われているよ。
4Gamer:
最後に世界中の格闘ゲームファンにひとことお願いします。
ProblemX選手:
格闘ゲームの上達には,とにかく膨大な時間が必要だ。練習の時間やオフライン対戦の時間,オンライン対戦の時間。それから,周りのプレイヤーたちと議論したりする時間。そこで挙がった課題や,仮定を解決するための時間……。これらと真剣に向き合わなければ,思い通りに勝てるようにはならない。その代わり,自分を信じて継続的に取り組んでいけば,必ず結果はついてくると思うよ。今回の自分のようにね!
4Gamer:
あらためて優勝おめでとうございます。本日はありがとうございました。
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