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人は電車の中で「DARK SOULS REMASTERED」を遊んで心が折れずに済むのか。Switch版の携帯モードで試してみた
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印刷2018/11/17 00:00

プレイレポート

人は電車の中で「DARK SOULS REMASTERED」を遊んで心が折れずに済むのか。Switch版の携帯モードで試してみた

 2018年10月18日に発売された,Nintendo Switch版「DARK SOULS REMASTERED」。発売延期により,ほかのプラットフォームよりも遅れての登場となったが,Nintendo Switch版ならではの強みといえば,やはり携帯モードだろう。いつでもどこでも死ねる……いや,遊べてしまうわけだが,冷静に考えてみてほしい。「こんな殺意の高いゲームを,腰を据えた環境以外でまともにプレイできるのか? 心が折れないか?」と思わないだろうか。
 というわけで,移動中の電車内だけでDARK SOULS REMASTEREDをプレイし,乗り換えやら何やらと両立できるのかどうかを試してみた。

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 未プレイの人向けに紹介しておくと,DARK SOULS REMASTEREDは2012年に発売されたアクションRPG「DARK SOULS」のリマスター版だ。特徴はなんといっても難度の高さで,敵の配置やステージの構造も練り込まれており,力押しでの突破はまず不可能。そこかしこにプレイヤーの心を折るかの如き難関があり,クリアするまでに何度も何度も,繰り返し死にまくることとなる。いわゆる“死にゲー”として認知され国内外で高い評価を得ており,とくにインディーゲームの世界では,DARK SOULSやその前身となる「Demon's Souls」から影響を受けたゲームが多数登場し,「Soul Like(ソウルライク)」というサブジャンルを作るに至っている。

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 そんなDARK SOULSが現行機向けに蘇った本作だが,Nintendo Switch版における最大の変化は,携帯して遊べるようになったことだ。元々は据え置き機用に作られ,ガッツリと真正面から取り組むことを想定されていたゲームに,新たなプレイスタイルが加わったというわけである。
 「どこでも」というと,時間の限られた日本の社会人としては,電車での移動中にプレイしたくなるもの。しかし,電車移動中は,ある程度まとまった時間は取れても,状況によっては強い日差しが入り込んで来たり,乗り換えが必要になったりと,プレイの妨げになる要素も多い。とくに筆者の場合,あちこちの取材先に行くため,電車に乗っても降りる駅が一定ではないのでなおさらだ。そんな環境で本作をプレイすると,どうなってしまうのだろうか。

 なお,今回は電車での移動中に限定してプレイしているが,車内が混んでいるなど,周囲に迷惑のかかりそうな時はテストを自粛している。入口付近や優先席でのプレイ,歩きながらなどのプレイももちろん行っていない。電車内でゲームをプレイする際は,マナーを守って行おう。

筆者私物のNintendo Switch。2017年にはなかなか買えず難民になったが,増産のタイミングでなんとか入手したものだ
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死にゲーの強烈な洗礼,そして乗り換えという強敵


 筆者は「仁王」や「Salt and Sanctuary」などの死にゲーはそれなりに遊んでいるが,実はDARK SOULSに関してはほぼ初心者だ。「DARK SOULS III」のPC版を購入したものの,忙しさにかまけて積みっぱなしである。本稿でのひとまずの目標は,「不死院のデーモン」を倒しチュートリアルを終え,「城下不死街」を進んで「牛頭デーモン」を討伐することとする。

 「とにかく死ぬ」という知識はあるので,ステータスと初期装備を決める「素性」は迷わず重装備の「騎士」を選択するという,チキンプレイでスタートだ。さすがにチュートリアルは難しくないので,「こんなに早く終わっては原稿にならないぞ」などと調子に乗って進めていたが,ボスの不死院のデーモンで大苦戦。いくら攻撃を当ててもロクにダメージを与えられず,順調に死にまくる。
 この試行錯誤がゲームの醍醐味よ,などと強がりつつ,周囲のことなどすっかり忘れて没頭していた筆者だが,ここで新たな強敵が登場する。そう,乗り換えだ。時計を見ると,完全に乗り換え予定時刻を過ぎており,どう考えても降りるべき駅を通り過ぎている。電車がどのあたりを走っているか一刻も早く知りたいが,こういう時に限って車内ディスプレイは面白クイズを流しており,焦りは募るばかりである。ともあれ,「電車内で集中してプレイできるか」という点では,問題はないと言えそうだ。

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 本作にはポーズが存在しないため,乗り換えの際には電源ボタンを押してのスリープ機能を使う必要がある。とはいえ,Nintendo Switchはスリープからの復帰が非常に早い(※)ため,電車を乗り換えてもすぐにプレイを再開できるのが嬉しい。バッテリーの保ちも良く,自宅でドックに置いて充電しておけば,新幹線クラスの移動をしない限りバッテリー残量を意識する必要がないのも便利だ。

※オフラインモードのみ。オンラインモードでは,マルチプレイのセッションがあるので復帰後タイトル画面に戻る。

 乗り換えを挟んで一端冷静になった筆者は,ここまで強い敵を相手に,先人達はどうやってこれを乗り越えたんだと考える。そもそも,こちらの攻撃力が明らかに低すぎる。かといって武器の選択肢は,初期装備の「直剣」しか……と,よくよく装備欄を見直してみると,自分が装備しているのは「直剣」ではなく「直剣の柄」ではないか。装備欄のグラフィックスも刃先がポッキリと折れており,これではまともにダメージが与えられるわけがない。なんというか,完全にコントの領域だ。これ,戦わなくていい戦闘じゃん!
 携帯モードの画面サイズでプレイしていたので,アイテムの詳細に気付きにくかった……ということにしておいてほしいが,どう考えても筆者のうっかりである。

「直剣」と「直剣の柄」では攻撃力も大違い
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 地面の「逃げろ!」というメッセージに従い,不死院のデーモンを放置して走り去る。その先でアイテムを手に入れ,リターンマッチだ。最初は苦戦していたものの,集中してプレイしていたら“ゲーマーズハイ”とでも言うべき状態となり,回避やガードがことごとく成功し,あっさり撃破に成功した。思わずガッツポーズが出てしまうが,我に返ると2度目の乗り過ごし寸前である。スリープにしてそそくさと電車を降りる。



明るすぎる電車内,ディスプレイに映り込む鼻の穴と不景気な顔


 続きは自宅で遊びたい気持ちを抑えつつ,良く晴れた日の電車で続きをプレイすることに。拠点となる「火継ぎの祭祀場」から,うっかり敵が強い方向に進んでスケルトンに殺されるお約束を体験しつつ,その反対方向にある最初の攻略エリア「城下不死街」に突入する。
 ここからは「本当のDARK SOULS」というか,「道中で死ねる」展開がプレイヤーを待ち受ける。死んでしまうと,以前休息した篝火へ戻されるうえに,雑魚敵もすべて復活する。つまりは,死ぬとすべてがパーになるわけで,1つのミスが非常に重い。そのくせ,暗がりに入れば待ち伏せしている敵に襲われ,ガードを固めていたら攻撃を防いだノックバックで落下死し,一本橋では下から火球が放たれる中で戦わなければならないなど,どこもかしこも殺意に溢れているので,未知のエリアを探索する時のプレッシャーは相当なものがある。

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 そんな状況なので,集中して先に進みたいが,晴れた日の電車内というのは,ゲームを遊ぶにはちょっと向かない。窓から陽光が差し込むのは気持ちが良いのだが,暗い場所での戦いが続くせいか,周囲が明るすぎると,ディスプレイの輝度を最大に調整しても少し見づらいのだ。画面が見づらいまま進もうとするとどうなってしまうのかは,もはや言うまでもない。
 電車内でのプレイは,できれば日が当たるのとは逆の席かつ,背後に窓がない端っこが望ましい。とにかく陽光は避けよう。担当編集から「『太陽万歳!』と真逆じゃないか」とツッコミが入ったが,そんなことを言われてもどうにもならない。太陽怖い。

 また,本作では死亡した後のロードや,ムービーの再生など,画面の結構な部分が黒くなることが多い。携帯モードで遊んでいると,そこに不景気な面をした男が映り込んでしまうのも辛い。「なんだこいつは,亡者か」と思わないでもないが,もちろん筆者である。角度的に鼻の穴が丸見えで,死んだ時に悔しそうにしているのもちょっとアレな気持ちだ。Nintendo Switch版ならではの死亡ペナルティと言える。

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電車の中でもボスは倒せる!


 城下不死街を進み,途中の篝火に到着し,ボスの牛頭のデーモンとの対決にこぎ着けたところで,また別の日のプレイに。今度は少し遅めの時間の電車で,混まないことを祈りつつボス戦に挑む。ボス戦の前などの緊張するシーンでも,Nintendo Switchのスリープで一呼吸置けるのはありがたい。

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 道中で回復アイテムのエスト瓶はほとんど使ってしまっており,さらに牛頭のデーモンの戦場は狭い橋の上。しかも,近くの塔からは一方的に弓で射られるという悪条件で戦うことになる。
 再び死んで戻ってのスパルタに突入するかと思いきや,勘違いで散々不死院のデーモンと戦い続けた経験がここで生きた。たとえ相手が隙を見せても,スタミナが減っている時は無理に手を出さない。とにかく引いて,防いでを徹底する。幸い,「騎士」の初期装備である「塔のカイトシールド」はガードの上から体力を削られない。慎重な立ち回りで,コツコツと攻撃を当てて敵のHPを減らしていく。
 焦らず,堅実に,電車内で真顔で戦い続ける筆者。エスト瓶が尽き,篝火送り目前というところで,どうにか牛頭のデーモンの体力を削り切り,見事初戦での勝利を飾ったのだった。

 すぐに篝火へ帰れるアイテム「帰還の骨片」が手に入ったが,もったいないので使わずに先へ進む。ボスの後だから,すぐに新たな篝火があるはずだ。途中で「太陽の騎士ソラール」と出会い,「今回のプレイは太陽苦手なんだ」と思いつつも友好関係を築いてから,大きな橋へ。意気揚々と歩いて行くと,いきなりドラゴンのブレスを浴びせられ,筆者は灰燼と化した。篝火を期待した先に炎のブレスで洗礼されるというのは,いくらなんでもエスプリが効きすぎている。死ぬと敵が復活するDARK SOULSなので,牛頭のデーモンも復活するのか……と画面蒼白になりつつ城下不死街の篝火から再出発したが,さすがにボスは倒したことになっていたので一安心だ。

 初のDARK SOLUSなだけあって,筆者のプレイ自体は残念な内容だったと思うが,バッテリーの保ちやスリープからの高速復帰など,携帯機としてのNintendo Switchの良さを再認識できた。筆者のようなマヌケであっても,道中を進んでボスを撃破できるのだから,もともと据え置き機用に作られたコアなゲームであっても,電車の中で充分に楽しめると言えるだろう。これからNintendo SwitchでDARK SOULSを遊ぼうと考えている人も,恐れずに挑んでみよう。
 ただし,乗り過ごしにだけはご注意を。

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