インタビュー
ついに正式サービスが始まる「ニンジャラ」。F2Pにおける有料アイテム要素や開発秘話などを企画原案の森下氏とディレクター金田氏に聞いた
2018年に大々的に発表され,5月末に行われたオンライン先行体験会でも多くの注目を集めた本作は「対戦ニンジャガムアクション」をジャンル名に掲げる,新作ゲームだ。
基本プレイ無料+アイテム課金のサービス形態に加え,Nintendo Switch Onlineに加入していなくても楽しめたり,すでに児童誌で漫画が連載されるといったメディアミックスも始まっていたりと,多くの注目を集めている。
本作の忍者×ガム×チャンバラというユニークな組み合わせはどのようにして生まれたのか。そして,2018年の発表からサービス開始までの2年間にどんなことがあったのか。ガンホー・オンライン・エンターテイメントで本作のゲームデザイン・ストーリーを担当する森下一喜氏と,ディレクターの金田元貴氏に聞いた。
忍者×ガム×チャンバラをキーワードに,壮大な物語が展開する「ニンジャラ」
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。「ニンジャラ」における,それぞれの担当を教えてください。
森下一喜氏(以下,森下氏):
「ニンジャラ」では企画原案,つまりゲームデザインとストーリーを担当しました。……あとは雑用ですね(笑)。
金田元貴氏(以下,金田氏):
ディレクターの金田です。森下から出てきたゲームデザインという名のお題を,実際のシステムに落とし込むのが仕事です。あと雑用です。
4Gamer:
どちらも雑用をされているんですね(笑)。
森下氏:
「ニンジャラ」の場合は,初めにゲームデザインありきで,ストーリーは後追いになります。僕らのプロジェクトは,このやり方が普通ですね。「パズドラ」でも,まずはゲームデザインが先にありました。
4Gamer:
「ガム」「忍者」「チャンバラ」といった子供の喜びそうなキーワードが散りばめられているので,世界観から構築されたのかと思っていました。
森下氏:
最初に存在したキーワードは「チャンバラ」なんですよ。子供が棒でチャンバラしているのを見て,これをゲームにしたいと思ったんです。チャンバラって不思議なもので,男の子なら必ず一度は経験している。学校の帰り道に,木の枝や傘があると,もうチャンバラが始まるじゃないですか。
4Gamer:
あー,確かに。そして,流行している漫画や特撮の技を出そうとしてみたり(笑)。
森下氏:
そうそう(笑)。みんな,なぜか棒を背中に回して構えちゃってね。もう,その時点で忍者になっているんですよ。チャンバラと忍者ごっこは本能的な遊びなんだなと思うんです。
そこで,空気で膨らませたビニールの武器を使う「スポーツチャンバラ」を参考に,スポーツ感を出したいこともあって忍者もあらためてキーワードとして組み合わせ,これを対戦型アクションゲームにしようと考えました。かねてから忍者のゲームを作りたいということで,ネタを溜めていたのも役に立ちましたね。
4Gamer:
その時点ではガムの要素は入っていなかったのでしょうか。
森下氏:
入っていませんでした。チャンバラ+忍者だけでは,UIとしての面白さや見た目の楽しさが足りなかったので「どうしようか……」と考えていたときに10円のチューインガムが目に入って,それを噛んでたら思いついたんです。
ガムを膨らませると楽しいし,噛んでいるとガム自体の形が変わっていって色々な形になる。これならガムを七変化させられるし,UIもガムの原色でカラフルにできる……ということで「ニンジャガム」と,ガムで武器を作るという設定を加えました。
4Gamer:
個人的には,日本で剣を使った競技というと,剣道というか,1対1の競技的な対戦を想像してしまうのですが,「ニンジャラ」は多人数対戦のゲームですよね。
森下氏:
スポーツチャンバラには関ヶ原の合戦をイメージした団体戦みたいなものがあるんです。それを見て「すげえやってみてぇ! 超面白そう!」と感じたんですよ。
4Gamer:
関ヶ原の合戦をイメージした集団戦。それはまたすごいですね。
森下氏:
ええ。このスポーツチャンバラと剣道は,だいぶ異なる競技なんです。武器も刀だけでなく二刀流や槍がありますし,剣道のような型がなく,アクロバティックな叩き方をしてもいいんです。本気でやったら,おそらく剣道よりも怖いものになるんじゃないでしょうか。
ちなみに,戦国時代では,刀よりも弓と槍が多く用いられていたそうです。槍は一点を突くより,叩いて脳震盪を起こさせるような使い方をされていたようですね。
4Gamer:
アクロバティックで武器の種類も多いとなると,ゲームにはもってこいですね。見た目のカラフルさにこだわったのはなぜでしょう。
森下氏:
忍者というと服の色は黒ですし,暗殺で血が噴き出るというダークなものを想像します。でも,僕は「LET IT DIE」(※2016年からガンホー・オンライン・エンターテイメントより配信中のPS4用サバイバルアクションゲーム)を作ったことで,血しぶきについてはもうお腹いっぱいなので。
4Gamer:
あー……(笑)。
森下氏:
あの時は闇堕ちしていましたからね(笑)。そこで,「ニンジャラ」では,低年齢層も楽しめるアートな雰囲気や使われる色の方向性も自然と決まりました。忍者モノにつきものな死の概念も「ニンジャラ」にはないんですよ。
4Gamer:
なるほど。低年齢層が楽しめるゲームとなると,カラフルでポップなビジュアルが必要だったと。
森下氏:
低年齢のみを対象としているわけじゃなくて,大人から子供まで楽しめるゲームを目指しています。ですから,ポップでカジュアルなビジュアルが似合う現代世界を舞台として,ストリートカジュアルのファッションを取り入れたんですよ。
4Gamer:
ファッションと言えば「ニンジャラ」のキャラクターはみんなオシャレですね。
森下氏:
スケボーやバスケ,パルクールといったエクストリームスポーツのエッセンスを取り入れたストリートカジュアルを意識しました。8人のキャラクターにはそれぞれお気に入りのゲーム内ファッションブランドがあり,そこの服を身にまとっているんです。
4Gamer:
それは現代っぽいですね。
ある時,アメリカのスタッフにコミュニティ作りについて聞いたことを参考にした設定なんです。「友達って,どういうきっかけで作るの?」って聞いたら「いろいろあるけれど,音楽がきっかけになることが多いかな」と教えてもらって。
ロックが好きな人,ヒップホップが好きな人……っていうように,同じジャンルの音楽が好きな人が一緒に行動していると,ファッションの傾向も似たものになっていくそうなんです。
こうしたことから「ニンジャラ」でもストリートファッションと音楽を重視してます。ジャズ系,ハードロック系,EDMなど色々なジャンルの曲があり,それぞれがゲーム内のファッションブランドと結びついているんです。
4Gamer:
キャラクターの人となりが,ファッションと音楽でも表現されているわけですか。
森下氏:
そうなんです。「プレイヤーそれぞれが自分のテーマ曲を予め選んでおき,1位の人の曲がゲーム内で流れる」という仕様も,かなり早い段階から取り入れたものです。
4Gamer:
ところで,キャラクター作りにおいて参考にされたものはありますか。
森下氏:
キャラクターの設定については,アメリカのホームコメディを参考にしたところはあります。キャラクター造形や,向こうの人が笑うベタなギャグなんかを研究しました。あとは設定をアートワーク担当スタッフに渡して制作しています。ちなみに,マスコットの「ガムッチ」だけは僕のデザイン案です。僕がホワイトボードに絵を書き,写真をアートディレクターに撮らせて。ドン引きされましたけど(笑)。
4Gamer:
ベタは強いということですね。
森下氏:
実は「ニンジャラ」ってストーリーにも注目してほしいんです。本編やCGアニメで描かれているのは歴史の一部分に過ぎず,重厚長大な物語があるんです。「日本を開国させるために来航したペリーが忍者をアメリカに連れ帰ったことにより,世界でも忍者の存在が知られるようになった」という話を,前に海外の記者にしたところ「言っている意味が分からない!」と言われました(笑)。
4Gamer:
な,なるほど?
森下氏:
でも,これは荒唐無稽なファンタジーというわけでもないんですよ。「徳川家が,支配下にある諸国の動静を監視するため,忍者たちを重用していた」という説がありますよね。そして徳川幕府がなくなった後,「新体制の邪魔になるということで忍者狩りが行われたのではないか」とする説もあるようです。
4Gamer:
ああ,それでペリーに連れられてアメリカに逃げ延びた忍者がいたと。
森下氏:
そうです(笑)。話を戻すと,現代からほんの少し未来,海外に新天地を求めた忍者達が「世界忍者協会(WNA)」を組織して,FBIやCIAといった組織や企業へ忍者を送り込んでいるという世界が本作の舞台になります。
そして,WNAが忍者を育成するために作った競技が「ニンジャラ」で,薄れていく忍者のDNAを活性化させるものがニンジャガムなんです。
ゲームとしてぶれない軸が,長期の開発を支えた
4Gamer:
ところで,「ニンジャラ」はE3 2018で初披露されましたが,この時点での反応はどうだったのでしょう。
すごく良かったですね。E3やPAX EASTでは,試遊で2時間以上お待ちいただくほどでした。いろいろな年齢層の方をブースのバックヤードにお招きしてスタッフと対戦プレイをしていただき,ご意見を頂戴しましたね。
4Gamer:
その後,2019年春に発売予定だったものが,2020年春に延期されました。2018年バージョンになかった要素が追加されているあたり,やはり紆余曲折や試行錯誤があったのでしょうか。
森下氏:
そういうわけじゃないですね。2018年バージョンは「ガムを基軸に据えたアクションゲーム」というものが面白くなるかどうかを検証するためのもので,いろいろな要素を削ぎ落とした状態だったんです。そして,もとから考えていた完成型が,2020年に皆さんへお届けする発売バージョンになります。
金田氏:
この2年間で,トレイラーに収録されつつもゲームには実装されていなかった動きを実装していきました。例えば,チャンバラしながら瞬間移動で相手の背後に回り込むといった動きがいい例ですね。
森下のビジョンがハッキリしていたので,ブレずに開発を進めていけたんです。忍者やガムという要素はイメージしやすいものでしたし。
4Gamer:
つまり,中身を変えるための延期ではなかった。
森下氏:
ええ。開発を進めると同時に,いろいろな国でオンラインプレイのテストをしたのですが,快適とは言えない状態だったので,発売を延期させていただき,サーバー関連を根底から作り直していました。
発表の際は「オンラインでの対戦アクションプレイをより快適なものとするため,さらなるブラッシュアップが必要と判断した」とお伝えしましたが,本当に言葉通りの意味だったんですよ。
4Gamer:
なるほど。
森下氏:
「開発時,とくに苦労したのはサーバー周りです!」……と言っても記事的には面白くないような気はしますが(笑)。とにかく60fpsを死守し,アクションゲームとしての手ざわりを損なわないようにしつつ,多人数対戦を実現するためにバックエンドではいろいろとやっているんですよ。
金田氏:
ネット環境が一番いいのは日本ですが,そこより落ちるアメリカやヨーロッパでも遅延なく遊んでいただくために,根っこの部分からサーバーの仕組みを構築することになったんです。
4Gamer:
海外だと想像以上に回線環境は良くないですからね……。
森下氏:
そうなんです。最大8人対戦になったのもネットワーク事情によるもので,最初はもう少し多人数で戦うものを考えていました。シューターなら海外の環境でもある程度フォローできるんですが,接近戦主体のアクションだと,そうもいきません。
運の要素は絶対必要だが,強すぎてもダメ
ゲームデザインにおける運の適量とは?
4Gamer:
ここからはゲームデザインについてお聞きしたいのですが,オンライン先行体験会ではフィールド上に出現するドローンの存在が印象的でした。無抵抗な上,倒すとある程度のポイントがもらえ,そしてSエナジーの上限値がアップ。それで大武器を作れたり,Sバーストができるようになる……と,戦いの準備ができるというか,RPGにおけるレベルアップのような役割をしています。
すぐに他のプレイヤーを倒しにいってもいいけれど,ドローンを倒すとより有利になる。これはMOBAにおけるミニオン(※)を意識したのでしょうか?
※MOBA:Multiplayer online battle arenaの略で「リーグ・オブ・レジェンド」などの多人数対戦リアルタイムストラテジー
※ミニオン:MOBAでCPUが操作する,やられ役のキャラクター。倒すと経験値やお金が手に入り,キャラクターが強くなる
森下氏:
そういうことじゃないですね。「アクションゲームが苦手な人に向けた要素もあった方がいいだろう」ということで入れました。当初は倒すとポイントが手に入るだけだったんですが,それでは存在する意味合いが薄いので,Sエナジーの上限値がアップするフィーチャーを導入したんです。
このフィーチャーによって,ドローンを狙って自分を成長させるのか,それともドローンを狙ってきた人を倒してポイントを稼ぐのか……という戦略性が深まったと思います。こうした戦略は変化の術(近くのオブジェクトに変身して身をひそめる忍術)との相性が良いんです。ドローンの出現地点がそのまま待ち伏せに最適な場所になりますから。
4Gamer:
変化の術はかなり面白いですね。先行体験会でも,ドローンの出現地点で変化の術を使ったプレイヤーが何人も待ち伏せしていたりと,ユーモラスなハプニングが起こりました。
森下氏:
変化の術はゲームにガムの要素を導入した段階で考案されたシステムです。最初は「オブジェクトに化けてもすぐにバレるんじゃないの?」と思ったんですが,実際にはそんなことなかったですね。変化の術を使用中は,ライフが早く回復するので,危ないと思ったら変化の術で立て直すのもオススメです。
金田氏:
慣れている人は怪しいオブジェクトをバンバン叩いてくるので,これを見越して少し離れた場所で変化するような駆け引きもありました。また「ガムウツセミの術」で囮のオブジェクトを怪しげな感じに置いておき,自分はその近くで別のオブジェクトに変化するという戦法も開発スタッフ内で流行っています。皆さんの発想によって使い方が変わっていく要素ですね。
4Gamer:
正式サービス開始後にどんなテクニックが考案されるか楽しみですね。
さて,「ニンジャラ」と言えば,「通常攻撃」「ガムガード」「ガムブレイク」とソウサイ後の「ノーマルアタック」「バックアタック」「ワイドアタック」という2つの3すくみが存在していますよね。これら3すくみのおかげで初心者が上級者に勝てることもありますが,対戦ゲームを競技的に遊ぶ人々は,こうした運の絡む要素を嫌う傾向があると思います。「ニンジャラ」が今後eスポーツのような競技的展開をする場合,これらの要素がマイナスになるのではとも考えられるのですが。
森下氏:
「ニンジャラ」をeスポーツ前提なものにしたいかというと,そういうわけではないんです。あまりガチなところを偏重すると人を選ぶものになってしまいます。そうならないためには,本能的で直感的に面白いものにするべきなんです。
4Gamer:
そうなんですね。「パズドラバトル」のように,競技化も念頭に置いた上での開発だと思っていました。アニメの「パズドラ」も,主人公の「明石タイガ」がパズドラのプロゲーマーという設定だったりしますし,てっきりeスポーツ推しだと。
森下氏:
もちろん,eスポーツにも展開できますが,僕らの世代がファミコンでやったような大会をやりたいんですよ。電気屋の店先で勝手にやっていたゲーム大会みたいな感じで。
4Gamer:
ありましたねぇ。
森下氏:
勝っても賞金や豪華な品をもらえるわけじゃないけど,あれって楽しかったじゃないですか。参加することに意義がある。ゲームを作るにしても,eスポーツとしての競技化がすべてではない……読者さんからは「パズドラをeスポーツ推ししてるお前が言うな!」って思われるかもしれませんけど。
一同:(笑)
4Gamer:
でも,たしかに大会でゲームを楽しむことと,競技性を追求することは別物ですね。
森下氏:
バトルロイヤルがメインなのも,「まずは楽しく遊んでほしい」という願いがあるからです。チーム戦ありきだと,初心者が「自分のせいで負けてしまったんじゃないか……?」って萎縮しちゃうじゃないですか。でも,バトルロイヤルなら,勝っても負けても自分の責任ですから。まずは自由に,気兼ねなく遊んでほしいんです。
4Gamer:
バトルロイヤルであれば,それ自体にめぐり合わせだったり,巻き込まれたりで運要素がありますから,負けてもそこまで深刻にはならないかもしれませんね。
森下氏:
実は,最初の企画ではソウサイのシステムはなくて,開発の中盤から導入したものなんです。つばぜり合いというシチュエーションをどう実現するか。そして攻撃が同時に発生した際,いかに処理するか……という2つのテーマを考えた上で,チャンバラらしい解決として出てきたものなんです。
でも,僕は最初実装に反対だったんです。「アクションゲームを作るって言ってるのに,じゃんけんの要素入れるって何なんだよ!?」って(笑)。
4Gamer:
やはり運が絡んでしまうから,と?
森下氏:
いえ,そういうわけじゃないです。ゲームデザインにおいて,運の要素は絶対に必要なんです。運の要素がまったくないと,ゲームは面白くなくなってしまうんですよ。
もちろん,運の比重が強すぎて,実力が上の相手にラッキーだけで勝ててしまってもまずいんです。そうした中で「ソウサイからは逃げられる」というシステムを落としどころにしました。皆さん意外と気づかれていなかったのですが,十分なSエナジーがあればソウサイから[L]ボタンで脱出できるんですよ。
自分の状況や立ち回りを考えて,ソウサイというじゃんけん勝負をするかどうかは決められるんです。
4Gamer:
運に賭けるか,引くかという駆け引きはプレイヤーができるんですね。
金田氏:
そうです。もちろん脱出にSエナジーが必要ですから,他のプレイヤーが襲ってくる中で,いかにSエナジーを管理するかという実力は問われます。
ソウサイも,お互いの手を読み合うだけではありません。通常攻撃がぶつかり合ったときも通常武器よりも大武器のほうが有利になります。また,スーパーアーマー(※)が付いている武器もありますし,ソウサイのじゃんけんは突き詰めるとかなり複雑なものになっています。
※攻撃を食らった際ののけぞりを無効化する特性
4Gamer:
ソウサイを受けるにしても,ただ運だけではないということですか。
金田氏:
確かに,うまい人と初心者が対戦した場合,初心者がソウサイの運で勝つことはありますが,試合を通したトータルの結果で見ると,やはりうまい人が勝つはずです。運の要素もあるけれど,ちゃんと実力差が反映される設計ということです。本当にうまい人とプレイした場合,運の要素だけで1位になれることは,まずないんじゃないでしょうか。
森下氏:
こうしたところを議論する上では,よく金田から「誰もが森下さんみたいにうまくやれるわけではないですよ」と言われましたね(笑)。
金田氏:
森下の想定だと,ゲームのうまい人が基準になるんですよ。
4Gamer:
「みんなこれくらいできるだろ?」みたいな(笑)。
森下氏:
スタッフにも「ゲームの開発をしてるんだから,これくらいできないとおかしいだろう」って言ってましたからね(笑)。
それはさておき,運だけでない余地を残すこと,そして逃げるという抜け道があるなら,完全な運任せにはならないだろうということで,テンポ感を調整した上でソウサイを実装するに至りました。
忍者の戦いなので後ろから狙うのも大事ですし,ガムウツセミの術で惑わしたり,漁夫の利を狙ったり,うまく立ち回ることが重要なんです。
4Gamer:
では,ゲームバランスはどのように調整されているのでしょう。
金田氏:
スタッフに対し「いま,一番の武器は何だと思いますか?」とアンケートを取っています。結果がばらけてくるようであれば,良いバランスになっているんじゃないかという感じですね。その上で,アクションゲームがどれくらい得意なのかをみんなに聞いて,偏差値的な数値を付けることもやりました。それで一週間も経つと,アクションゲームが苦手な人もかなり上手になっていましたね。Sバーストを積極的に仕掛けたり,状況によっては敢えてSバーストを温存して殴られたりと,いろいろな戦術を採っていました。
森下氏:
最初からすべての武器種を使っていただけて,「必要であればバランス調整を加えていく」つもりです。どの武器にも必ず弱点があるので相性的なものも存在しますけど,多人数対戦であるあたりがミソだと思います。
有料要素は見た目と1人プレイ要素。盛りだくさんの展開を予定
4Gamer:
「ニンジャラ」の正式サービス以降の展開はどうなるのでしょうか。まずは有料要素から教えてほしいのですが。能力値に補正が入るような武器やコスチュームが販売される可能性はありますか?
ないです。「ニンジャラ」はあくまで実力がベースとなるゲームで,Pay to Winにはならないように運営していきます。武器については先ほども少し話したように,すべての種類を最初から使えますから,別途購入する必要はありません。
4Gamer:
とはいえ運営サービスである以上,有料の要素はどこかで必要になりますよね。
森下氏:
「ジャラ」といわれる有料のゲーム内通貨を購入していただくことで,アバターコスチュームやエモートスキンなどを直接ゲーム内のショップで購入できるようになっています。
そのほかにも,武器の見た目を変えられる特殊な「ニンジャガム」をガチャから入手できますが,これらも強さや能力に影響を及ぼしません。こうした品を入手するために,ゲーム内通貨「ジャラ」をご購入いただくという感じですね。なお,ジャラはゲーム内から購入でき,1000ジャラ=1100円くらいの値段になります。
また,2020年7月22日に発売される「ニンジャラ ゲームカードパッケージ」には2000ジャラが入る予定です。ほかにも,限定コスチューム「カラステングウェア」と限定アクセサリー「カラステングマスク」,限定ステッカー「ガムッチ・ニンジャ」に限定エモーション「ヤンツー」が入っています。ウチとしては売れれば売れるほど損をするパッケージですね(笑)。
4Gamer:
ほかにジャラを使う有料要素はあるのでしょうか。
森下氏:
950ジャラで「ニンジャラパス」をお買い上げいただければ,「コスチューム」や「エモーション」「ニンジャメダル」などといったティアごとの報酬が手に入るようになります。
バトルを繰り返すことでニンジャラパスの「ティア(Tier)」を上げ,100ティアを達成すると950ジャラ以上のジャラが手に入るという仕組みもあり,そのジャラで次のシーズンのニンジャラパスを購入していただくことも可能です。
また,ゲーム外ですが雑誌掲載のシリアルコードでコスチュームを入手するというものはあります。
4Gamer:
キャラクターの強化要素はどういうものなのでしょう?
森下氏:
特殊能力が得られる「シノビカード」と,その性能をさらに上げる「アシストコード」を最大3つ装着し,キャラクターに装備することでパッシブスキルを強化できます。
例えば「キンキューバースト」のシノビカードは「Sエナジーが足りなくても1回だけSバーストで緊急回避できる」というものです。これに例えば,「ソウサイ後にIPPONを決めるとライフが回復する」「ソウサイ後にIPPONを決めると忍術ゲージがアップする」「ソウサイ後にIPPONを決めるとSエナジーがアップする」みたいなアシストコードを付与するといった感じですね。また,アシストコードをレベルアップさせると効果も上がっていきます。
4Gamer:
シノビカードやアシストコードはどうやって手に入れるのでしょう?
森下氏:
シノビカードと,これをセットするための枠は,試合でもらえる「ニンジャメダル」を使って開放します。また,アシストコードはバトルの報酬で手に入りますので,これを同じくバトル報酬で手に入れるニンジャメダルでレベルアップしていきます。
4Gamer:
試合をするほどパワーアップしていけるわけですね。シノビカードの中でとくに面白い能力はありますか?
森下氏:
「ウツセミ変化マスター」というカードがあるのですが,これはガムウツセミの囮が攻撃を受けたり触れたりすると爆発して,相手にガムダメージを与えるという効果があります。アシストコードで強化すると,爆発範囲を広げられたり,ダメージ量を増やせたりするんですよ。
金田氏:
正式サービス後は4対4のチーム戦が解禁されますが,ドローンの近くにガムウツセミを置いておき,敵チームを牽制するような使い方もできますよ。
4Gamer:
シノビカードをうまく使えば,バトルロイヤルでも,チーム戦でも,それぞれ立ち回りが変化しそうですね。新要素はどれ位の頻度で追加されますか?
森下氏:
約2か月半くらいで「シーズン」が切り替わりますが,新シーズンが始まると新ステージや新コスチューム,新しいシノビカードとアシストコード,そして新タイプの武器が4種類増えます。
4Gamer:
“新しいタイプの武器”というのは,新たな外見が追加されるということですか?
森下氏:
「カタナ」「ハンマー」「ヨーヨー」に続く,まったく新しいタイプの武器です。現在ですとカタナ,ハンマー,ヨーヨーがそれぞれ4種類ずつ存在しますが,ここに新タイプの武器4種類が追加されて16種類になります。
4Gamer:
新しいタイプの武器にはどういったものが?
森下氏:
いまはまだ秘密です(笑)。ただ,既存のものとはまったく異なったものになりますよ。
4Gamer:
分かりました。では,新しいタイプの武器はどのようにして手に入れるのでしょうか。
森下氏:
とくに制限はなく,新シーズンが始まれば全員に支給されますよ。
4Gamer:
となると,シーズンの進行で新武器を試すのが楽しみになりそうですね。ところで,ニンジャラには1人かつオフラインで楽しめるモードってあるんですか?
森下氏:
DLCですが「ニンジャラ ストーリーパック 壱ノ巻」(本編と同日の6月25日に発売)を別途DLCで購入いただければ,ストーリーモードが追加されます。これはニンジャガムでシノビの力を引き出された少年・バーンが,「ニンジャラ」の競技に出ていない時の任務を描くというもので,バンド・デシネ風のカットシーンと,1人プレイならではの派手な展開を楽しめるステージクリア型アクションゲームになっているんです。
「スペースニンジャ」が色々な物体に取り憑くことでボスになるんですが,清涼飲料水のビンの形をしたディスプレイが巨大なボスになって襲いかかってきたりもします。現代と忍者と歴史とSF,これが「ニンジャラ」なんです!
金田氏:
変化しながらターゲットを尾行するスニーキングミッションもありますので,楽しみにしていてください。
4Gamer:
プレイ時間としてはどれくらいになるのでしょうか?
金田氏:
ノーマル難度を詰まることなく遊んでいけば2時間くらい,ハードも合わせて6時間ほどでしょうか。高評価を求めて繰り返し遊んでいただける内容ではありますので,実際のプレイ時間はもう少し長くなると思います。クリアタイムなどに応じてニンジャメダルがもらえますので,繰り返し遊んで最高の「金」評価を目指してください。また,クリア報酬には限定のコスチュームも用意されています。
4Gamer:
それは楽しみですね。現在「ニンジャラ」はコロコロコミックで漫画連載と情報掲載が行われており,低年齢層に対しても積極的に展開しているイメージです。低年齢層にも受けるものを作るため,大人である皆さんはどういった感性の磨き方をされているんでしょうか?
森下氏:
……僕ら自身が子供なんじゃないですかね。厨二病ならぬ「小二病」ってよく言われますし。感性を磨いているというよりは“素”なんだと思います(笑)。「ウンコ!」って言うだけで笑っちゃいますし。
金田氏:
こうした感性は開発メンバーも同じなんですよ。ヨーヨーのビヨンド・ザ・ガムを食らった相手を何に変身させようか……と開発メンバーでミーティングした際も「ウンコ!」でしたから(笑)。なにか特別にマーケティングをしたわけではないんですけど。
4Gamer:
確かにコミック的な表現では,王道と言えなくもないですが(笑)。
森下氏:
コロコロコミックさんで展開するのも商業的な理由ではなく,編集部さんと話し合って決めたことです。漫画版については,上がってきたものに対して「もっとギャグを入れてくれ」とお願いしたりもしていますし,ゲームのストーリーパックでも,ギャグ的な要素満載です(笑)。でも,せっかくだから楽しくやった方がいいじゃないですか。
4Gamer:
ちなみに,ストーリーパックと漫画以外で「ニンジャラ」の世界が描かれることはあるんですか?
森下氏:
現在展開しているフルCGアニメとは別に,カートゥーンのアニメもWebで公開していきます(6月24日にカートゥーンアニメ「ニンジャラ シノビの血」が公開)。バーンたちがなぜWNAに入ったのかという物語がそれぞれ展開される,大人と子供のどちらも楽しめるものです。
それぞれのキャラクターに思惑があったりといったバックグラウンドの部分が描かれていて,観てからストーリーパックを遊んでいただくとより楽しめると思います。あと,バーンは意外な人が声を当てているので,それも楽しみにしていてください(笑)。
4Gamer:
6月25日には正式サービスもスタートします。先行体験会ではサーバートラブルがありましたが,再発防止の対策はされるのでしょうか。
森下氏:
第1回については,サーバーに想定以上のアクセスが集中したのが原因です。この点についてはすぐに修正を行い,第2回は初日の序盤にイレギュラーな問題が発生しましたが,こちらも解決しており,以降は快適に楽しめるようになっていると思います。
4Gamer:
分かりました。では,最後に読者へのメッセージをお願いします。
金田氏:
「ニンジャラ」はかなり間口が広く,誰でも遊んでいただけるゲームです。有料のアイテムもキャラクターを強くしたりゲーム部分に影響を及ぼしたりするものではありません。ゲームの世界観を気に入っていただけたら,衣装をお買い上げいただくなどして楽しんでください。
30分もトレーニングモードを触っていただければ操作も覚えられますし,立ち回りが重要になるゲームなので,まずは気軽に対戦を楽しんでみてください。
森下氏:
お子さんでも問題なく楽しんでいただけますし,それでいて立ち回りや状況判断の“うまさ”はしっかりと出るゲームです。ガチャプレイでも勝てたりしますけれど,それだけではありません。
また,シノビカードの組み合わせによっては,玄人好みのセッティングも可能です。入口は広く,突き詰めるとプレイヤースキルが生きる内容になってますので,うまくなっていく楽しさをぜひ味わってください。
4Gamer:
ありがとうございました。
忍者×ガム×チャンバラという軸をぶらすことなく,企画立ち上げからの7年間を走りきった「ニンジャラ」。強さにまったく影響しないという有料要素に,2か月に1回の新シーズンで新たな武器が追加されるというアップデート体制など,見どころも多い。
「ニンジャラ」自体はF2Pで,Nintendo Switch Onlineに加入していなくてもオンラインプレイを楽しめるので,気になったらとりあえずダウンロードして遊んでみるといいだろう。
「ニンジャラ」公式サイト
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ニンジャラ
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