プレイレポート
アーケード発サッカーカードゲームがリブート。「WCCF FOOTISTA 2019」ロケテストレポート
※記事内で掲載されているカード画像につきましては,テストを目的としたものであり,製品版稼働時には変更となります。
「WCCF FOOTISTA 2019」公式サイト
一新された筐体とオンデマンド印刷で排出される選手カード
「WCCF FOOTISTA」では,筐体が一新されている。これまでのシリーズ展開でも筐体への機能追加(キープレイヤーボタンやQRコード読み取り機の増設など),基板の変更を含む筐体のリニューアルなどが行なわれているが,筐体全体のシルエットや雰囲気がここまで変わったのは初めてだ。
ピッチを模したフラットリーダーに選手カードを配置して,情報を読み取らせて試合を展開する。従来の直感的な操作は継承されている |
筐体の側面の大部分はLED。ゴールを決めると,設定したチームカラーが光り輝く |
プレスボタンが右側に移ったため,左側は方向ボタンのみに |
試合中に使用するボタンは5つに増加した |
最も大きな変更としては,筐体にプリンターが内蔵され,オンデマンド印刷で選手カードが発行されるようになった点が挙げられる。これに合わせてカードのデザインはもちろん,サイズやレアリティの分類,能力値やポジション適正の表記も一新されている。
ただ,開発スタッフいわく,カードには「まだまだブラッシュアップする余地がある」とのことで,正式稼働までに変更される可能性がある。
オンデマンド印刷が採用されたことで,カードの排出方法も変更になった。ゲームを開始するときにクレジットを追加投入すると,1プレイに最大4枚まで「スカウト」が可能だ。スカウトした選手カードは試合を進めている間に印刷されて,試合が終了する頃には完成しているという寸法だ。
今回のロケテストでは体験することができなかったが,「WCCF FOOTISTA」のカードには,さらに新しい試みが施されているという。その1つが「ランクアップ」だ。
自分が引いた選手カードは,試合に使うことで成長していく。そして,一定のレベルに達するとランクアップが解禁となり,これを実行すると能力が上昇して新たな画像になったカードが手に入る(それまでに使っていた選手カードは使用できなくなる)。
また,本作の公式ブログにてアナウンスされていた,従来の「WCCF」シリーズで排出されたカードの扱いについて,開発スタッフから一歩踏み込んだ話を聞くことができた。
それによると,権利関係などをクリアして「WCCF FOOTISTA」での使用にゴーサインが出た旧「WCCF」の選手カードは,店舗に導入されるターミナルを介して再発行を登録後,そのAimeでゲームをプレイすると「WCCF FOOTISTA」用に変換されたカードが手に入る,という方向で調整しているとのことだ。
対戦の楽しさをあらためて追求するゲームシステム
「WCCF FOOTISTA」の変更点は,筐体や選手カードだけに留まらない。ゲームの根幹を成す試合パートも,ほぼ完全新作と言えるほどに生まれ変わった。
まず,既存の「WCCF」プレイヤーにとって大きな違いは,「筐体左側の方向ボタンで選手のおおまかな動きを指示する」というアクションが廃止されたこと(方向ボタンの左右は自チーム/相手チームの情報の確認に使用),そしてプレスボタンが右側に移ったことだ。これにより,「WCCF FOOTISTA」では右手でボタンを入力,左手はカードの操作のみに使う。従来より,さらに直感的な操作へと整理されている。
しかし,選手の動きに直接影響を与える操作が減ったからと言って,「WCCF FOOTISTA」の試合パートが単純になったというわけではない。実際には,むしろ逆だ。
新たに加わった「指示コスト」という概念と,C〜Eボタンによる新システムの活用により,「クラブチームの監督らしく」試合の勝敗に介入できるようになっている。
Cボタンの「スキル」は,現行の「WCCF」における「チームスタイル」に近い効果を持つ。発動方法は選手カードを擦りながらCボタンを押すだけだ。スキルが発動すると選手の能力値が上昇し,加えてスキルの種類によっては選手が好んで行なうプレイも変化する。
例えば,「クロス」のスキルはサイド突破からクロスを狙う頻度が上昇し,「カットイン」の場合はサイドから中央に切り込む動きが増える,といった効果が現れる。ある程度ではあるが,プレイヤー(=監督)の意図がピッチ上に反映されるのだ。
Dボタンの「ホットライン」,Eボタンの「マンマーク」は従来にはなかった要素だ。
ホットラインは最大3人の選手カードを擦った後,Dボタンを押すと使用できる。主に自チームの攻撃に関わるシステムで,発動すると擦った選手がラインで繋がれた状態になり,チーム全体の攻撃がホットラインの選手を中心に組み立てる形へと変化する。ホットラインの選手は能力値が上昇した状態が続くため,純粋なブーストの手段としても有効だろう。
一方のマンマークは,主にホットラインを発動した相手に対抗する手段として用意されたもの。選手カードを擦ったのちにEボタンを押すと,その選手は画面右側に表示されるレーダー上の最も近い相手選手を執拗にマークする。マンマークの状態でホットラインの選手からボールを奪うと,相手のホットラインは「BREAK」状態となり,解除される。
そして,C〜Eボタンでシステムの利用するときや,ピッチ上の選手に何らかの指示を与えるときには,「指示コスト」を消費する。これにより,「WCCF FOOTISTA」では指示コストというリソースをどう管理して活用するか,といった戦略性が生まれている。
なお,開発スタッフいわく,対人戦では互いのホットラインを予測してマンマークでのBREAKを狙い合う,こうした読み合いも勝敗を分ける要素になるとのこと。
また,開発スタッフには「試合,とくに対人戦をあらためて楽しんでほしい」という思いがあるという。それはプレイ時間に反映されており,「WCCF FOOTISTA」の試合時間は8分前後である。これは現行の「WCCF」シリーズにおける,チームマネージメントと試合時間を合わせたボリュームだ。
サッカーファンにとっては若干飲み込みづらかった,「WCCF」シリーズの課題にもメスが入る模様である。現実のサッカーでは機能しないと思われるフォーメーションが,ゲームでは勝利への最適解であるという課題だ。
「WCCF FOOTISTA」ではポジション適正のないエリアに選手カードを配置すると,著しく能力が低下するほか,試合前に選択したフォーメーションに従って選手を配置することで,指示コストの回復速度が上昇するといったボーナスが発生する。「サッカーらしい」フォーメーションで戦うことに,一定のメリットが与えられる形だ。
その一方,「メッシがスキルを発動したから,守備力の高い選手を寄せてマンマークで対処する」「相手のホットライン上に選手を動かして,パスカットを狙う」といった,カードを動かすことでピッチ上の問題にアプローチする作戦も効果的に働くようにバランスを調整していくとのこと。
「WCCF FOOTISTA」には多数の新システムが採用されているが,「クラブチームを率いる監督として対戦を楽しむ」という初期「WCCF」で強調されていたコンセプトをあらためて追求していく,という狙いが見える。正式稼働はまだ先になりそうだが(開発スタッフいわく,目標は「年が明けて暖かくなるまでに」),参戦するクラブや登場選手,選手カードに設定されているコストの扱いといった続報を待ちつつ,アーケードゲーム屈指の長寿シリーズである「WCCF」のリブートに注目していきたい。
「WCCF FOOTISTA 2019」公式サイト
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