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[CEDEC 2020]「あつまれ どうぶつの森」のアートができるまで。語りすぎない日常の画面はこうして作られた
「あつまれ どうぶつの森」公式サイト
「CEDEC 2020」公式サイト
どうぶつの森シリーズは,第1作の「どうぶつの森」が2001年に発売されて以来19年が経過しているが,アートディレクターの高橋幸嗣氏によると,今まで,そのアートを語る機会はあまりなかったという。
第1作のキャラクターの顔の解像度は,わずか32×16ドットしかなかったが,どうぶつの森シリーズは時代の変化やハードの進化に合わせて開発が続けられてきた。しかし,そのコンセプトは最初から変わらず,「人と人とのコミュニケーション」だ。
そのコンセプトに向き合い,本作のアートはどのように作られていったのかが,3つのトピックに分けて紹介された。
どうぶつの森のアート
どうぶつの森の世界には,さまざまな遊びが盛り込まれている。釣りをしたり,買い物をしたり,どうぶつと話したり,何もせずにゴロゴロしたりなど,プレイヤーが自分なりの目的を持ってさまざまな遊びを楽しむわけだが,この遊びがたくさんあるほど,人と人とのコミュニケーションにつながっていく。そのため,どうぶつの森のゲーム画面には,「遊びのきっかけ」がたくさん用意されている。
上の画像を見てみよう。川には魚がいて,釣りができる。川の向こうには犬のキャラクターがいて話しかけられ,その奥の家には入ることが可能で,バケツは家具のアイテムだ。点在している雑草は,摘んだり植えたりができ,木は斧で切り倒したり,りんごを落として拾ったりできる。草地には穴が掘れ,本作では川も埋め立てられるようになった。もちろん,プレイヤーキャラクターのコーディネートも用意されている。
これら,遊びのきっかけになる部分に色を塗ってみると,下のようになる。
つまり,空以外全部だ。こうした,たくさんの遊びのきっかけがきちんと機能するような画面であることが,どうぶつの森では重要になる。そのため,こうした屋外のフィールドには,遊びのきっかけが目に入りやすくなる工夫がこらされているという。
画面の上部に注目すると,本作ではあえて画面上部の地面をやや湾曲させている。これにより,遠景にある遊びのきっかけが目に入りやすくなるとのこと。プレイヤーの周囲の近景は,上から見下すようにして,モノのアクセスや移動をしやすくしている。空間の奥にはほかのキャラクターや建物が見え,さらにその奥には空があって,時刻や天候といった環境の変化を気づかせてくれる。
つまり,1つの遊びのきっかけを追っていくと,ほかの遊びのきっかけが目に入り,歩いたり走ったりするだけで,自然に遊びのきっかけに出会える。本作では,そうした画面作りが採用されているわけだ。
しかし,解像度が大幅に上がった「あつまれ どうぶつの森」では,数多い遊びのきっかけが埋もれてしまうという懸念もあるため,ここはバランスをしっかりとコントロールしなくてはならない。それぞれの要素が主張しすぎず存在し,プレイヤーが気づく遊びのきっかけとして機能する,「どれを選んでもいいし,どれも選ばなくてもいい」と思える画面にしなくてはならない。
そのため,アートの指針として「そのものらしさをとらえ,ゲーム内の役割に合わせた情報を選ぶ」こと,すなわち「記号化」があったと高橋氏は述べる。つまり,現実に近いオブジェクトをゲーム画面に置いた場合,見てほしいところ以外が気になったりするのだ。
しかし,そのものらしさをうまく記号化すれば,見どころが整理され,プレイヤーが気づきやすい遊びのきっかけになる。ただし,どのぐらい記号化すべきかはゲーム内での役割によって変わってくるという。
上の画像が,どうぶつの森におけるデザインの幅で,右が写実的,左が記号的だ。例えば,ムシやサカナは現実を少しだけ記号化しており,これは,博物館に寄贈したり,ほかのプレイヤーに見せびらかしたり,次の遊びのきっかけにつなげたりするために,現実の生き物の姿や,手にしたときの喜びが伝わる情報量を持たせたためだという。
プレイヤーキャラクターについては,記号的と写実的のちょうど中間という感じだ。プレイヤーキャラクターにどれぐらい自分を投影するか,プレイするときにどんな気分なのかは人それぞれなので,どんな状況でも思いを重ねられるように,顔や手足に意味を持たせすぎないような情報量にしているとのこと。
草や木はさらに記号化されている。同じものが並ぶ状況が多いので情報量を押さえ,なおかつ並んだときに単調にならないことが求められる。花や果物については,分かりやすく「3つ」を基本とした記号的なシルエットになっている。
自分自身をコーディネートできることが魅力の衣装は,全体的に記号化された立ち位置ではあるものの,シンプルなものからディテールが必要なものまで幅が大きい。1つの服の見どころを絞り,必要ないディテールをなるべく省いて,情報量が多くなりすぎないようにしている。
壁や床は,記号的なものから写実的なものまで,コンセプトによって幅が広い。必要なだけの情報量を持ちながら,家具やキャラクターを引き立てるように工夫しているという。
このように,役割によって情報量は異なり,記号化によって減らした情報量は,「捨てた情報」とも言える。解像度の高い画面で情報量を減らすことには,ためらいを覚えるアーティストも多いのではないかと高橋氏は言う。ではなぜ,どうぶつの森では意志を持って情報を捨てられるのかと言えば,捨てた部分が「想像のスキマ」という可能性を生み出しているからだという。
想像のスキマがあることで,見る人は自分の記憶の中から情報を呼び起こし,スキマを埋めようとする。そして,スキマに自分の思いを投影できれば,遊びの目標や動機が生み出される。下の画像の赤い矢印に示されるように,見る人の主体性が生まれるかどうかは,本作において非常に重要なのだそうだ。
つまり,目に見える絵を作ると同時に,目に見えない部分もデザインするのだ。
以上のように,想像のスキマを大事にしながら,記号化したものたちが集まった画面が,どうぶつの森のアートだというわけだ。
続いては,たくさんの遊びのきっかけの下地となる「草地」を例に,記号化で情報を選んでいった過程が紹介された。どうぶつの森の草地はパターン模様だが,この特徴的なパターンは何を表しているのだろう。
下の写真は,高橋氏がよく行く神社だそうだ。ここで草地を写真に撮ると,全体を覆う緑に,さまざまな植物や落ち葉などが混ざっていることが分かる。これを形と色で表現すると,三角形のパターン模様が見えてくる。どうぶつの森の草地は,植生の違いや生育度,落ち葉など,草地を構成する情報を記号化して表現しているのだ。色を変えることで,1年を通して季節の変化が感じられる記号的表現にもなる。
どうぶつ達のデザイン
どうぶつの森は,毎日遊び,長く楽しめるゲームを目指しており,その中でどうぶつ達は,プレイヤーと同じように暮らし,生活を共にする仲間だ。
どうぶつ達は,全部で約400体が存在するが,数が多いと,プレイヤーごとに島に住んでいるどうぶつが異なる可能性が増え,それが「ほかの人に自分のどうぶつを見せたい」というコミュニケーションにつながる。
どうぶつのデザインでは,プレイヤーにとって「いつの間にか大切な存在になるキャラクター」を目指しているという。そのため,どうぶつと「関わりたい」,どうぶつを「見ていたい」と思えるような魅力が必要になる。本作では,関わりたくなる,感情移入しやすい見た目と,見ていたくなる,いきいきとした行動の2つをポイントにデザインしたと,キャラクターリードの柴田朝子氏は語った。
まずは感情移入しやすい見た目について。どうぶつ達は,記号的なシルエットをしているが,これは,暮らしの中で遠くにどうぶつを見つけたとき,誰だか分かりやすいシルエットのほうが関わるきっかけが生まれやすいからだ。
どうぶつ達とのいろいろな会話を通して,何が好きか,どう考えているかを知ることができるが,それを活かすため,シルエットには例えば「猫」という情報以外は入れないようにしている。事前の情報が少ないほうが,その猫がどのような性格か,何が好きかなどを知りたいという動機につながり,想像のスキマを刺激するからだという。
バリエーションを作る際も,できる限り想像が膨らむ形にする。例えば頬にフワフワの毛を持つという情報を加えると,形から想像できる見た目が限られてしまうが,付加情報を持たないシルエットにすれば,いろいろな猫の姿が想像できる。
このように本作では,シンプルな共通のシルエットを元に,異なるテクスチャによってそれぞれのキャラクターを作成している。どうぶつ達は島で普通に暮らす存在であり,目立ちすぎないようにするためにもシルエットを統一する必要があったと柴田氏は述べる。
その一方,普通ではない,ゲームの上で役割のあるどうぶつ達は,それぞれシルエットが異なるほうが分かりやすい。そのため彼らは,情報量を増やして目立たせている。
シルエットを統一すると表現の幅が狭くなりそうだが,実は個性を広げることにつながるという。猫の場合なら,三毛やヒマラヤン,シャムなど,現実に存在する猫のイメージが使えると同時に,歌舞伎メイクやみかんっぽい猫など,少し変わったデザインでも同様に猫だと認識してもらえるからだ。
どうぶつ達の個性を考える際には,現実の人間の個性を手がかりにしているそうだ。さまざまなベクトルの魅力が存在すると同時に,「あの人っぽい」という親しみやすさも生まれるという。
どうぶつの種族は35種で,大きさや形をそれぞれの種族らしくすることでシルエットの違いを強調しているが,その一方で,プレイヤーが感情移入しやすいように,嬉しいときや悲しいときなどの感情表現は記号化されている。
すべてのキャラクターは,同じボーンによる同じアニメーションで動く。つまり,どうぶつのアニメーションは記号化されており,それぞれの種族らしい動きは意図的にさせていない。これも,プレイヤーがどうぶつ達に感情移入しやすくするための判断だ。
以上のように,記号的なシルエットのどうぶつ達に,活き活きしたディテールを追加し,感情移入をしやすくするという作業が重ねられたという本作。いたずらに情報を足すだけでは画面が語りすぎてしまい,想像のスキマが生まれないので,あえて語りすぎないディテールを選ぶことがポイントだという。
続いて,ずっと見ていたいと思える,いきいきとした行動についての説明が行われた。親しみやすいキャラクターにするためには,動きが機械のように感じられてはダメであり,いきいきと行動させることで,一緒に島で生活をしている身近さや,関わるきっかけを作る必要があるという。
どうすれば,いきいきと行動しているように見えるのか? ここで挙げられたのが,
- そのどうぶつらしい行動を自ら選択している
- その場で判断し,周りの者に反応して行動する
- ランダムとは感じないほどの行動のバリエーション
という,3つのポイントだ。これらを踏まえたうえで,本作ではそれぞれのどうぶつが「自ら何かする」「見つけて何かする」という2つの行動をとるという。
どうぶつ達がご飯を食べたり,ヨガをしたり,掃除をしたり,釣りをしたりなど,生活上の行動をとることが「自ら何かする」だ。趣味の要素もあるので,歌が趣味のどうぶつなら,ほかのどうぶつより頻繁に歌うし,読書が趣味のどうぶつならよく本を読む。どうぶつごとに行動パターンを変えることで,意志を持って行動し,自ら何かしているように見えるのだ。
また,どうぶつ達は,運動をするときジャージを着るなど,行動や状況に応じて衣服も着替える。これも「自ら何かをする」ように感じてもらうためだ。
「見つけて何かする」では,目に入ったものに反応して行動する。例えば,虫を見つけたら追いかけたり,プレイヤーが家具を置いたら,それを使ったりといった具合だ。
「自ら何かする」途中で,「見つけて何かする」の行動に切り替わることもしばしば起きる。しかし,いきなり行動が変わると機械のような動きになってしまうため,本作では「悩む」時間を作り,その後に行動が変化する演出を入れることで,想像のスキマを用意した。
毎日の生活の中で,どうぶつ達と関わったり,行動を見たりすることの積み重ねで,それぞれのプレイヤーごとに異なるどうぶつとの思い出が生まれる。そうした思い出が積み重なることで,いつの間にかどうぶつ達はプレイヤーにとって大切な存在になっていくのだ。
家具のデザイン
続いて,家具デザインリードの杉本裕美氏から,本作の家具がどのように作られているかが語られた。自分だけの世界を作り,ほかの人とのコミュニケーションを通してどうぶつの森がさらに楽しくなるというサイクルを生む。そのためには「ほしい」と思ってもらえる家具が必要で,それが本作の家具デザインで目指したことだという。
ほしいと思ってもらえる家具を作るためには,「らしさ」の表現が重要だ。「それらしくて,よくできている」と感じられれば,自然に飾ったり使ったりしたくなるわけだが,では「らしさ」とはなんだろうか。
ここでは,レトロな扇風機を例に「らしさ」が紹介された。
モデルを作る前に必ず行うのが,「らしさ」の調査だという杉本氏。例えば,扇風機のガードフレームは手や物が入りにくくするためにあり,つまりプレイヤーキャラクターの手が入らない本数のバーが必要だ。また,ボタンを観察すると,押しやすいように中央にへこみがついていることが分かる。
首振りの機構は上下左右に動くため,どんな構造かを細かく確認。本体の角の丸みは,床を傷つけないよう,下のカーブのほうが緩やかだ。
このように,どんな扇風機にもある共通の特徴をデザインに取り入れることで,説得力のある「らしさ」が生まれてくる。もちろん,扇風機のすべての要素を再現するわけではなく,「そうそう,昔のデザインってこんなだよね」という懐かしさが感じられるデザインの扇風機を作り,想像のスキマは残しておく。
モデルを作ったあとも,「らしさ」を気にして調整を続けていくという。扇風機のガードフレームは,前方のほうが大きいものなので位置を調整し,キャラクターに対して背が低かったので,ポールを伸ばして風を受けられるようにした。
最後に,一番見てほしい部分である「顔」を決めるのだが,扇風機の場合は風を送る羽根を顔に定めた。調整前のモデルは羽根ではなくフレームに目が行っていたので,羽根の明度や彩度をいろいろ変化させ,さらに「指入れ禁止」のシールを貼って存在感を増し,顔としての羽根に目が行く扇風機が完成した。
扇風機1つで,これだけの設定画が用意され,細かな調整が行われているのだが,本作では,すべての家具がこうした工程を経て作られている。なぜここまでするのかといえば,家具はどうぶつの森において,デザインの幅が最も広いカテゴリだからだ。記号的なものから写実的なものまで,実にさまざまな家具が登場し,これらを1つの画面で共存させるには,微妙なバランス調整が必要なのだ。
さて,こうした家具によってプレイヤーは自分の世界を作っていくのだが,ほかのプレイヤーと同じような家具を配置しては面白くない。人によって選ぶ家具が変化しなければ,自分だけの世界とは言えないだろう。そのため本作では,実に多数の家具を用意した。
単純に種類を増やすだけでなく,1つの家具でもさまざまな使い方ができるように工夫していると杉本氏は説明した。同じモデルの家具でも,テクスチャを変えることで雰囲気がガラっと違うものになるという。
数多くの家具があり,人によって飾り方が異なるため,どの家具同士が組み合わされるのか分からず,場合によっては相性の悪い組み合わせの家具が出てくるかもしれない。そこで本作では,どんな組み合わせでも気持ちのいい空間にできるように,家具同士の「粗密の歩み寄り」をポイントにした調整を加えているという。
家具には,直径10cm程度のカップや人形から,数十mの灯台やプール(家具とは呼べなそうだが)まで,さまざまなサイズのものがある。これを現実のサイズで配置するのは難しい。
下の画像のように本作では,カップや人形は1マス,灯台は4マス,プールは9マスの広さに収まるように作られている。天井を考慮して,高さも最大4マスに収まるという。これにより,灯台と人形を同じ空間に存在させることはできるが,ものすごく小さい灯台になり,そのままでは違和感が生じてしまう。
ここで違和感の軽減に役立つのが,上記の「粗密の歩み寄り」だ。小さい人形なら,1マスの中でも小さく描く。ただし,上記の扇風機のように構造をしっかりと作り込み,小さくても説得力のあるものにする。逆に灯台のような大きなものは,構造の説得力を持たせつつ,手すりを間引いたり,ドアの細かい要素を省いたりなど,要素の「引き算」をして小さい家具との差を少なくする。
上で人形は小さくと述べたが,小さくというのは,具体的に何を基準にしたサイズなのだろうか。人形の隣に置く家具は人によって異なるので,小さくした人形が違和感を生むケースもあるかもしれない。
そこで杉本氏が,サイズの基準になる家具を探してたどり着いたのがベッドだ。横になって眠るベッドはプレイヤーキャラクターと最も触れ合う家具で,それだけにキャラクターとサイズが合っていなければ違和感がある。
キャラクターに合わせたベッドのサイズは,ちょうど2マスで,キャラクターとマスの両方にサイズの合った家具であるため,基準として利用できるのだ。このベッドに合わせてほかの家具を調整することで,家具同士のサイズ感が自然と揃っていき,一度サイズ感の揃った家具は,次に作る家具の基準となるため,どんどん基準が増えていくわけだ。
上記のように,自分だけの世界を作ると,ほかの人に見せたくなり,コミュニケーションが生まれる。そのときに会話の中心となるような,心を動かす要素がそれぞれの家具に仕込まれている。
例えば,洗濯機のアニメーションは10分もあり,洗って,すすいで,脱水するのだが,それに気づくと,「おっ」と思うはずだ。これが心が動く瞬間であり,こうした瞬間が多いほど,ゲームは豊かになり,フレンドとのコミュニケーションも楽しくなってくる。
杉本氏によれば,家具を作る工程で意識しているのは「遊ぶ姿を想像する」ことだという。家具のようなアセットを作っていると,つい目の前にあるグラフィックスを良くすることに意識が向きがちで,もちろん,それも大切なのだが,同時に,どうしたらより楽しい時間を過ごしてもらえるかを常に心に置いておくことも大切だ。
肝心なのは,作っているのは遊びの土台であり,遊びを完成させるのは最終的にプレイヤーであるということだ。開発者の手を離れ,思ってもいない使われ方をされたりするのが,家具の魅力だと杉本氏は語った。
最後に,高橋氏が本セッションのまとめのコメントをしたのだが,非常に含蓄のある言葉なので,本稿の締めとしてそのまま掲載したい。
たくさん作った遊びのきっかけ達は,それぞれが独自の価値を持ち,どうぶつの森の世界を作っています。それぞれの要素が主張しすぎずに存在していて,ユーザーが思いつく遊びのきっかけとして機能する。
「どれを選んでも良いし,どれも選ばなくても良いと思える画面」。そんな画面を目指して,記号化を積み重ねてできあがったものは,「語りすぎない日常」でした。
現実世界はリアルなものに囲まれていますが,自分から焦点を合わせに行かないと,詳細は見えない。これと同じような感覚を画面にしたのだと思います。
今振り返るとそう思いますが,開発の序盤では,何をどうやって選べば良いか,分かりませんでした。単純に情報を加えていくだけではダメだということは分かっていましたが,何が自分のオリジナリティなのか,何が必要な情報量なのか,手探りで進めていきました。
おそらく,日常をシミュレーションしようと作っていれば,日常を語りすぎる画面になって,コミュニケーションのための画面にはなり切れなかったのではないかと思います。
私達が,“人と人とのコミュニケーション”というコンセプトに向き合ったからこそ,ユーザーが手に取りやすい,語りすぎない日常の画面にたどり着けたのではないかと思っています。
現在のゲーム制作において,表現の幅はとても広いです。だからこそ,その中で何を選択するかの価値は高まっていると思います。その選択のぶんだけ,ゲーム体験があります。そして,その選択のぶんだけ,ユーザーの想像の可能性が生まれます。
想像の可能性が生まれる限り,ゲームの可能性も広がり続けると確信しています。私達は,これからもその可能性に応えるデザインをしていきたいです。
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