プレイレポート
石化の呪いを受けた騎士がダークな世界で戦う。Switch向けアクション「Castle of Heart」プレイレポート
スラブ神話に影響を受けたダークファンタジーの世界を舞台に,呪われた騎士が剣やクロスボウ,毒を塗った槍などを使い,襲い来る敵を打破していく。本稿ではそのプレイレポートをお届けしよう。
本作の主人公は身体が石になっていく呪いをかけられた「騎士」。邪悪な魔術師にさらわれた愛する女性を救うべく,さまざまなステージに挑む。
「Castle of Heart」は“古き良き横スクロールアクション”と言えるテイストで,襲ってくるモンスターや敵兵を倒し,トラップを回避しながらステージを進めていく。
基本はとてもシンプルだが,本作独自のルールとして「時間の経過に伴い,徐々にライフが減っていく」というギミックが採用されている。
これは騎士にかけられた「身体が石になる呪い」をゲーム内で表現したもので,ライフが一定値を下回ると片腕がもげて,後述する「サブ武器」を持てなくなってしまう。
ライフ減少により,活動できる時間に限りがあるという点では,いわゆる制限時間制のアクションゲームと似ているようにも見えるが,スリルはこちらの方が上だ。
戦闘でヘマをしたり,罠にかかったりしてライフが減ると,呪いによる自然減少と合わせて一気にピンチに陥ってしまう。なんとかして回復アイテムを手に入れるか,チェックポイントにたどり着かないと,そのまま死んでスタート地点まで逆戻り……ということになりかねない。
急いでステージをクリアしたい衝動に駆られるが,道中のさまざまな場所にアイテムや通路が隠されているという点も面白いポイントだ。
例えば,一見届かない位置にあるアイテムは,少し先にある足場を使うなどの工夫をすれば手に入れられたり,床に貼られた板や建物の壁を攻撃すると隠し通路が現れ,その先にアイテムが置かれていたりもする。
ライフを減らしながら周囲を探索すれば,それ以上に大きく回復できるかもしれないが,ライフが減っていくということは,活動時間も残り少なくなっているということでもある。試行錯誤して寄り道するべきか,切り上げて先へ進むべきか……というジレンマが発生する。ちなみに筆者はプレイ中,回復アイテムを目の前にしながらライフが尽きるようなこともあった。
さらに,各ステージには「ハートのかけら」というアイテムが5つ配されている。これはすべて集めると「オルタナティブ・エンディング」が開放されるというものだ。一目見ただけでは分からない秘密の部屋に隠されていたり,普通のジャンプでは届かないような高所に置かれていたりと,入手には工夫が必要になっていて,探求心をそそられる。
「ハートのかけら」の隠し場所はさまざま。画像ではジャンプで届かない屋根の上に置かれているが,少し先へ進んで足場で建物を登り,屋根の斜面をうまくジャンプで渡ればたどり着ける |
こちらは木のうろに隠されており,中に踏み込まないと見つからない |
騎士は鎧と剣で武装しているが,いかんせん攻撃力が不足気味で,何度斬っても敵はなかなか倒れない。敵の攻撃に対応する手段に関しては,「ガード」と「前転」があるのだが,どちらも頼り切るのは禁物だ。ガードを固めていても,石化の呪いによる時間経過に伴うライフ減少は止められないし,前転は無敵時間もなければ,敵をすり抜けることもできない。ガードでじっくりと構えて,時には前転で攻撃を回避し,敵の背後に回り込む……という立ち回りは不可能なのだ。
しかし,敵を倒して「サブ武器」を手に入れれば戦いはかなり楽になる。
サブ武器には近接系と射撃系の2種類が存在しており,近接系は攻撃が自動で二刀流になって威力がアップする。攻撃モーションこそ全種共通だが,“薪のような木の棒に,金属片を打ち込んだだけの棍棒”“刃がノコギリ状になった剣”“トゲの生えた金属球が付いたメイス”など,どれも妙に生々しくて殴られると痛そうなデザインがたまらない。
射撃系は弾に限りがあるものの,敵に自動で照準を合わせてくれるので便利だ。“矢の先端に火が点いたクロスボウ”や“幅広い穂先が痛そうな毒付き投げ槍”などは,遠くから撃って,継続ダメージで相手を封殺できる強さを持つ。手段を選ばない中世の戦場の雰囲気を演出しているようでリアルだ。
なお,隠し部屋には,「輝くメイス」など特に高火力の武器があるので,いろいろと探索したい。
ガードは敵の攻撃を無効化してくれるが,背後からの攻撃までは防げない。そのため,うまくジャンプして敵を飛び越え,囲まれないようにすることが重要となる。敵の頭に乗ってしまえばそいつを無力化できるので,これを利用するのも手だ。
また,ツララを「クロスボウ」などで撃ち,敵の頭上に落とせばダメージを与えられるし,ランタンや毒の入ったタルを壊して敵を巻き込むといったこともできる。戦い方を工夫し,戦況を有利にしていくのだ。
さて,本作の最大の敵とも言えるのが,地形やトラップの類である。地面の穴や水に落ちると一発でミスになるし,回転して騎士を振り落とす足場や,突如背後から転がってくる大岩など,ステージには危険がいっぱいだ。
下から水が迫る中,乗ると崩れる足場を駆け抜けつつ,なんとか上を目指さなければならないような場所も存在する。
ジャンプで足場を飛び渡っていくアクションも多く,先の地形を確認せずにどんどんジャンプするような場所も少なくないため,この辺りは好みが分かれるところだろう。ただ,初見でもなんとか抜けられるし,自然とスピードランのようなプレイになるので爽快感がある。死んでしまってもリトライが早いのも好印象だ。
坂道の上から丸太が転がり落ちてきて騎士を押し潰す |
騎士が乗っている足場は端から崩れていく。落ちるともちろんミスになる |
荷車に乗って雪山を下る。目の前には崖が口を開けていて,ジャンプのタイミングが遅れるとアウト |
トゲの生えたブロックが上下していて,タイミングを計って抜ける必要がある |
スタンダードな横スクロールアクションに,ライフ減少によるスリルを加えた本作。グラフィックスは雰囲気が出ており,翻訳と相まって海外のダークな民話を見ているような気分になる。徐々にライフが減っていくシステムもアイテムを見つけるために寄り道するべきか,先へ進むべきかの駆け引きを生み出しており,これらの要素がうまくかみ合ったステージは面白い。
一方,戦闘ではサブ武器を持たないとやや非力で,敵は攻撃を当てても一発ではのけぞってくれない。攻撃をガードで防ぐにも,敵の隙が小さいため,サブ武器がないとどうしても殴り合いの泥仕合になりやすい。そのため,腕が落とされないようにライフ管理には常に気を配る必要がある。
また,1つのステージに戦闘とジャンプアクションの両方が盛り込まれていることも多く,敵を倒してようやく先へ進んだと思ったら,ミスすると即死の足場渡りが突然始まることもあるなど,全体的な難度はやや高めだ。死にながら試行錯誤をするような側面もあるため,少し好みは分かれるかもしれないが,骨太な古き良きアクションゲームが好きな人は楽しめる作品と言えるだろう。
「Castle of Heart」公式サイト
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Castle of Heart(C)2018 7Levels
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