インタビュー
「あんスタ!!」メインシナリオライター・日日日氏にインタビュー。まもなく完結するメインストーリー第二部「SS」編の制作秘話を聞いた
Happy Elementsがサービス中のアイドル育成ゲーム「あんさんぶるスターズ!!Basic/Music」で展開するメインストーリー第二部「SS」編が,2021年12月にフィナーレを迎える。この「SS」は,「あんスタ!!」の世界で毎年年末に開催され,全国のアイドルたちが頂点を目指してしのぎを削るアイドルの一大祭典だ。各地域ごとに設けられた予選会に出場し,それを勝ち抜いたユニットだけが本選に進むことができる。「SS」編では,ESのアイドルたちがライバルとして各地で激突する――といったストーリーが展開されている。
そんな「SS」編のフィナーレがまもなく……というタイミングで,今回4Gamerはメインシナリオライターの日日日氏に話を聞く機会を得た。本稿では,2021年4月からスタートした7つの予選と,これから公開される本戦のストーリーに関する,ここでしか聞けない制作秘話をたっぷりとお届けするので,ぜひ最後まで楽しんでもらいたい。
なお,日日日氏へのインタビューは,2020年7月29日に掲載した記事以来となる。前回はアイドルたちの輝きはどのように生まれ,これからどういった展開をくり広げるのか……といった話を聞いていたので,未読の人はあわせてチェックしてもらいたい。
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「あんスタ!!」シナリオ制作秘話をはじめ,各ユニットやDouble Faceについてのコメントも。制作陣&メインシナリオライター日日日氏にインタビュー
2020年3月に「あんさんぶるスターズ!」から生まれ変わり,新たなスタートを切った「あんさんぶるスターズ!!」は,同年4月に配信5周年を迎えてもなお,その勢いが衰えることはなく圧倒的な人気をキープし続けている。制作陣へインタビューする機会を得たので,その模様をお届けしよう。
※メインストーリーのネタバレが含まれますので未読の人はご注意ください
「SS」編・企画当初のエピソード。
組み合わせや指令,ゲートキーパーの設定について
4Gamer:
本日はよろしくお願いいたします。日日日先生にお話を伺うのは約1年半ぶりとなりますね。今日は「あんスタ!!」のメインストーリー第二部「SS」編についてお聞きしていきたいと思います。
日日日氏:
よろしくお願いします。予選はもうひたすら大変だったという思い出しかないんですが……。
4Gamer:
今日も少しお疲れのようですが,まさに執筆中ですか?
日日日氏:
そうですね。ちょうど本戦のシナリオを書いているところで,これ終わらないんじゃないか! となっています。今,完全に昼夜逆転していて……記事には「先生は終始無言でした」「今にも死にそうでした」って書いておいてください(笑)。
4Gamer:
そんな時期に大変恐縮です……! ファンの方は日日日先生のどんなお話でも喜んでくれると思いますので,ぜひいろいろとお聞かせください。
日日日氏:
はい,よろしくお願いします。
4Gamer:
「SS」編は2021年4月に予選がスタートしましたが,そもそも企画当初はどんな感じだったのでしょうか。
日日日氏:
少し前から,大きなシリーズものをやらないかという話はあったんですよ。それでハピエレさん側が何案か出してくださったんですよね。「ベストアイドル賞をみんなで獲ろう!」とか(笑)。でも結局,「SS」編をやることに決まりました。
4Gamer:
「SS」編は全部で7つの予選があり,すべてのユニットが全国各地で1対1の戦いを繰り広げます。この組み合わせはどのように考えられましたか。
日日日氏:
これも当初はハピエレさんがいろいろと案を出してくださったんです。たしか最初はALKALOID VS. Eveで,決勝戦がALKALOID VS. Edenはどうかと。でもそれって去年の焼き直しだし,Trickstarの立場は……? みたいになるのでダメ出しをしました(笑)。fine VS. Valkyrieの組み合わせも燃えるんだけど前にもやってるし,新章から始めたユーザーさんにそういう因縁は伝わりきっていない気がして。
そこで,決勝をfineとEdenで実施することを決めたうえでハピエレさんに星5カード(アイドル)のローテーションを組んでもらい,そのなかから「こことここがいいです」と予選の組み合わせを決めていきました。
「!」のときの「SS」は,そもそも主人公としたTrickstarをハッピーエンドとして描くための仕組みだったんですよね。それを今度は全ユニットでやるわけなので,頭を使ってルールを考えたり,「ゲートキーパー」を出したりしたんです。
4Gamer:
なるほど。では,場所についてはいかがですか。
日日日氏:
最初は自分のほうでざっくり考えましたね。ES周辺だけだと面白みがないし,せっかくの「SS」なので,少年漫画の全国大会編みたいにしようと。
4Gamer:
そうだったんですね。今「ゲートキーパー」(CV:武内駿輔)の話が出ましたが,この人もストーリーに深く関わる人物ですね。
日日日氏:
「ゲートキーパー」という“憎まれ役”を出すよという話をしているなかで,ボイス収録の関係で1話分だけ先にシナリオをお願いしますと言われたんですよ。最初はモブというか司会進行役で考えていたけど,キャラ付けしないと! ということで慌てて設定を考えました(笑)。
「あんスタ!!」はアイドルが権力を持ちすぎていて,悪役を設定しても権力財力含めて天祥院英智には勝てないので,英智以上の海外マフィア的な感じにしました。
4Gamer:
ゴッドファーザーや「ゲートキーパー」については後ほど詳しくお聞きするとして……「SS」編では,指令と裏指令の設定も面白かったです。
日日日氏:
そうそう,それも作りました。そういうルールがあったほうが面白いよね,ということで。
4Gamer:
作中では指令の内容が明らかになっていない人もいますが,このあたりは?
日日日氏:
実は指令については,書き始める前にあまり決めていなかったんですよ。裏指令だけが物語を進める要素として機能しているので,指令はアイドルが普段と違うことをやったり,ファンの皆さんが「この人の指令はなんだろう?」って推測したりする……みたいな面白要素です。
4Gamer:
だから作中では判明していないアイドルがいるんですね。
日日日氏:
そうですね。でも,指令が判明していない子のファンは寂しいかもしれないので,インタビューのおまけとして出しておきましょうか。
全国各地で激戦!
1st〜7thまでの予選の話を聞く
◆1st STAGE「サテライト」
<場所:北海道/出演ユニット:Trickstar,ALKALOID>
4Gamer:
それではさっそく,予選についてお話を伺っていきたいと思います。1回戦「サテライト」は北海道が舞台で,TrickstarとALKALOIDが登場しましたね。初っ端から衝撃の展開で驚きました。
日日日氏:
「北海道」とは言いつつジャングルにしておけば,あれは北海道じゃないはず! と疑ってくれると思ったんですけど,そうは捉えられなかったようで……。あそこは実は国内ですらないんですよ。
4Gamer:
そうだったんですね! たしかに「北海道ジャングル?」みたいな表記でしたよね。
日日日氏:
Trickstarがとんでもないところに連れて行かれてるぞ! 大変だ! みたいな危機感を煽るためだったんですけど,すごく真面目に捉えられていたと聞いて,ちょっと凹んでしまいました(笑)。
4Gamer:
ついに「SS」編が始まるとなってファンの期待も大きかったと思うんですが,いきなり「ジャングル! 蟹!」と出てきたときに「掴みがすごいな……」と思いました。
日日日氏:
今回の「SS」編では,Trickstarのファンが一番割を食うというか,損した気持ちになるんじゃないかと思いまして,いろいろ考えたんですよね。Trickstarは前回の「SS」優勝者で,メタ的にも前回はTrickstarのためのイベントという感じになっていました。だからその結果から少し下がるだけで,ファンとしては負けた,損したとなるんじゃないかと思って,すごく気を使って書いたんです。
4Gamer:
2つのユニットが出てきてぶつかりますよと聞くと,じゃあどちらかは負けるんだなと思いますよね。
日日日氏:
それはずっと気にしていました。「SS」はそもそも「一番のアイドルを決める」というルールになっているので,全ユニットを戦わせるとなると,1つのユニット以外はみんな負けた損したになってしまいますよね。だから毎回すごく考えて,最終的にはどっちも勝ち残ってそう……という気配を感じさせたりするなど気を使いました。
4Gamer:
今のところ,各回ともどちらが勝ったかは明言されていないですよね。
日日日氏:
予選会で「負け」までを書いたのはKnightsだけじゃないかな……その後に逆転があるので。結果的に全ユニット残りましたが,これを最初に読者に伝えてしまうと緊張感がないので,慎重に進めました。
4Gamer:
たしかに「SS」とは本来そういうものですよね。
日日日氏:
ハピエレさんも最初の予告までは「対決!」みたいな感じにしていたし,そういうものを想定していたと思いますが(笑)。あのときは本当にどこか負けさせないといけないかな……と思ってました。
4Gamer:
最初に“予選”と聞いたとき,「もう勝敗つけるの!?」と思ったファンの方も多かったと思います。また「サテライト」に関しては,風早 巽がスパイのような役になっていたことに驚きました。巽はかつての玲明学園の革命児で,すごいアイドルで……ということは語られていましたが。
日日日氏:
巽は負傷してしばらくアイドル活動を休んでいたけど,本当はすごい先輩なんですよ。ALKALOIDの最強戦力なので。それらしさがあまり見せられていなかったかなと思ったので,本当にすごい人なんだよというのを見せようとした記憶があります。まだ底知れないけど。
あと,Trickstarは誰にでも噛みついていきそうだけど,ALKALOIDは何も悪いことをしていないんですよね。弱い者いじめみたいに見えそうだなというのが怖かったのもあります。
4Gamer:
1回戦から意外な設定や展開も多かったので,次からはどうなるんだろうと思いました。
日日日氏:
1回戦から「Trickstarが結成されたばかりのALKALOIDに負けたよ」みたいなのをやってしまうと,あとは読まれなくなる気もして。
4Gamer:
個人的に,新章のメインストーリーではALKALOIDがかつてのTrickstarのポジションなのかなと感じていたところがありました。なので,今回の「SS」編ではどっちを勝たせるのかなと。
日日日氏:
それすごく言われるんですけど,主役交代みたいに捉えられるのは意図していないんですよね……。「!」のメインストーリー第一部やキセキシリーズでは確実にTrickstarが主役なんですけどね。前回優勝者のTrickstarはどれだけすごい存在と思われているかの作中描写があまりなかったので,今回は過剰に巨大な相手に見えてしまったかもしれません。
新章のメインストーリー第一部でも「ALKALOIDがTrickstarをやっつける」みたいな案も出たんですが,さすがに無理があるだろうと。Trickstarを倒すって具体的にどうするんだ,倒れないが?(笑) 何をもって「勝った」とするか否かっていう。
4Gamer:
たしかにそうですね。「サテライト」では,前回優勝のTrickstarにはシード権がある設定でした。
日日日氏:
最初はシード権を放棄したTrickstarとALKALOIDが普通に戦う話だったんですけど,それだとどっちかが敗北して予選落ちする……みたいになってしまうのでああいった展開にしました。実はシード権があったんだよ! っていう。
でもそれもご都合主義な気がしたので,プロデューサーに枷をはめたんです。あの流れだと気持ち的にも物語的にもプロデューサーがTrickstar側に立たなければいけないところだけど,全ユニットが出るとなったらそれは無理だなと。どこにも加担しないよう,設定的に無理やりそうしましたね。
4Gamer:
縛りがある状態ですね。
日日日氏:
「サンクチュアリ」で描写もありますが,プロデューサーは「ゲートキーパー」さんちに居候しています。「SS」編だと基本,プロデューサーはほぼ「ゲートキーパー」としかしゃべっていないですね。
◆2nd STAGE「サブマリン」
<場所:沖縄県/出演ユニット:流星隊,紅月>
4Gamer:
2回戦は「サブマリン」,沖縄の流星隊と紅月です。奏汰の出自絡みと,奏汰に対する颯馬の役割の話が印象的でした。
日日日氏:
「!」では夢ノ咲学院の旧3年生ばかり目立っていた気がしたので,新章では下の学年の子たちを活躍させたかったんですよ。ずっと言っているんですが,なかなかやらせてくれないんですけど(笑)。重要な話はリーダーが担うべきみたいな謎の圧が……。
4Gamer:
なるほど。今回の星5はその奏汰と颯馬で,指令もちょっと面白かったです。
日日日氏:
このあたりからようやく指令を活用できはじめましたね,面白い要素として。これをやれば普段と違うものを見せられるよみたいな。実は「サブマリン」は,本来の想定よりものすごく明るい話になりました。そもそも最初は「サブマリン」じゃなくて「サクリファイス」(捧げもの,生け贄などの意味)だったんです。
4Gamer:
そうだったんですか! みんなで釣り大会とかもしてましたよね。
日日日氏:
流星隊が出ていて深刻な話だと思われると,誰も読んでくれないんじゃないかという予感もあって変えたんです。あと「SS」編は毎回シナリオよりイラストが先に仕上がっていたんですが,流星隊の過去編で前フリをしていた,「そもそも颯馬は奏汰を殺す一族の子だ」というのを匂わせようとして,颯馬が魚を切るイラストを同時に作っていただきました。
でも,仕上がったものが思いのほか面白くて。もしかしたら今回は本当に颯馬が奏汰を斬るのではないか!? という想定でストーリーテリングする予定だったんですけど,この感じで斬っちゃダメだろみたいな(笑)。
4Gamer:
なるほど……。流星隊も大変な時期でしたね。
日日日氏:
流星隊はずっと大変です。が,別にハピエレさんも僕も流星隊をいじめて楽しもう! みたいに思ってるわけでは全然ないですし,遅れてきた,ちょっと長引いている,でも絶対に必要な成長痛だと思ってもらえれば幸いです。大丈夫,ヒーローは必ず最後には逆転勝利しますので。
◆3rd STAGE「シークレットサービス」
<場所:九州地方・四国地方/出演ユニット:Eden,Double Face>
4Gamer:
3回戦は「シークレットサービス」,九州地方・四国地方でEdenとDouble Faceのストーリーでした。これはまた衝撃の展開でしたね……。
日日日氏:
シナリオ提出したあと,めっちゃ質問攻めにされました(笑)。あの人は本当に生きてるんですか!? って。実はプロット時点ではなかったんですが,急にシナリオに入れたんです。この展開ハマるな,これを入れたら面白いなと。
4Gamer:
そうだったんですか! 「シークレットサービス」ではゴッドファーザーや「ゲートキーパー」関連の話も大きく動いていきましたね。
日日日氏:
これは「サブマリン」と逆のパターンでした。乱 凪砂の開花前イラストは「去年の『キセキシリーズ』の衣更真緒になぞらえるくらいで」と言っていたんですが,かなりシリアスに仕上がってきて。凪砂がこの顔をするにはどういう展開にすればいいんだろう……と。
4Gamer:
重めのイメージのイラストに合わせていったと。
日日日氏:
「キセキシリーズ」の因果がめぐり,凪砂がようやく真緒の気持ちが分かる程度のつもりだったんですが。あとこの話は,Edenがシード権を持っていることと,Double Faceの桜河こはくがCrazy:Bのいる関西から動けないこと,そもそもソロユニットでは参戦できない三毛縞 斑……ということで,本来の設定では対戦が成立しないんですよ。
4Gamer:
そういう意味では,「シークレットサービス」はかなりイレギュラーですね。そして,凪砂が「三代目の神」になると……。
日日日氏:
やっぱり「SS」編だとお父さん絡みの話は避けてとおれないと思っていたので,書いてみたものがきれいにハマりました。あのままダラダラ書いても先が気にならない予感がありましたし,「サブマリン」が思いのほか平和だったので,もう少し深刻な感じも出したいと思って。基本,同じ時系列の違う地域で2つのユニットが戦うだけなので,毎回趣向は凝らしましたね。
4Gamer:
「門番」「神父」「使徒」というキーワードも登場しましたね。
日日日氏:
それもハピエレさんに聞かれました。「この人たちはあとからキャラクターとして登場する予定はありますか!?」って。皆さんが知らないなら登場する予定はないんですが,一応後々にも響くようにはしております(笑)。
4Gamer:
「シークレットサービス」は伏線の宝庫みたいな印象がありました。
日日日氏:
めちゃくちゃ頭を使いましたね。全員がそこにいる理由を語るだけでもめちゃくちゃページを食うんですよ。斑が1人なのに「SS」にいるのは何で? こはくはどうして関西から移動できたの? シード権のEdenは何で巻き込まれたの? と。
◆4th STAGE「シンセカイ」
<場所:東北地方/出演ユニット:Valkyrie,Switch>
4Gamer:
4回戦は「シンセカイ」,東北地方でValkyrieとSwitchが登場します。これはまた毛色が変わったストーリーでしたね。
日日日氏:
「シンセカイ」は執筆期間に一番余裕はあったんですが,どうまとめようか迷って書いても書いても終わらなかったですね……。そもそも戦うユニットでもないし,「シンセカイ」は最初から仮想空間を出そうという話がありました。「SS」編の前から仕込んでいたんですが,誰もそのネタを使ってくれないので自分で書きました(笑)。
4Gamer:
ついに来たかと思いました。仮想空間だと極端な話,何でもできるじゃないですか。
日日日氏:
そうなんですよ。現実はままならないけど夢ならって。逆先夏目は前から(VR装置を)作ってましたし,親和性が高いと思います。でも仮想空間の話は意外と使われないんですよね。ほかのライターさんにも書いてほしいんだけど,トンチキ話を(笑)。
4Gamer:
「シンセカイ」では,見た目はこの人の姿をしているけど,実は中身は別の人……というのもありましたね。
日日日氏:
それこそ「シークレットサービス」のあとだから不安を持続させようとして,偽物を出してみたりしました。あと,何でバーチャルの先生たちが出たかというと,「SS」編のカード枚数的に「シンセカイ」では星3の春川 宙が1人になっちゃうんですよね。それはかわいそうなので,教師2人を出すということになった気がします。
4Gamer:
運営的な事情をストーリーに組み込んだということですね。また「シンセカイ」では,以前も出ていた「氷鷹誠矢が影片みかを後継者に?」というネタもありました。
日日日氏:
その話は「骨董綺譚」(【秘宝紐解く/骨董綺譚】)で書いていたので触れないのもな,と。それこそゴッドファーザーの後継者が○○でした,というのがあったので,「神父」や「使徒」あたりの後継者はみかなのでは? みたいな不安をかきたてようと……。
4Gamer:
なるほど……。「シンセカイ」では,五奇人である斎宮 宗と夏目が対決? という面でも注目されていました。
日日日氏:
そうですね。でも五奇人は戦わせたくない……(笑)。夏目だけが年下なので上に上げるようにしてみたり,宗さんがそもそも勝負したがらないので,指令で無理やり違う仕事をさせてみたりしました。
Happy Elementsスタッフ:
ユーザーアンケートでは宗が「夏目」と呼ぶところが好評でした。
日日日氏:
宗はずっと(夏目のことを)「小僧」って呼んでましたからね。
◆5th STAGE「サンドストーム」
<場所:中国地方/出演ユニット:2wink,UNDEAD>
4Gamer:
5回戦は「サンドストーム」,中国地方で2winkとUNDEADが登場するストーリーでした。砂漠も驚きましたが,これも展開に度肝を抜かれましたね……。
日日日氏:
そこが一番組み合わせとしてはよくあるというか,いつもどおりのメンツなんですよね。だからこそ,みんな安心してるだろうと思って「とりゃー!」ってやりました(笑)。あの返しはみんな驚いてましたよね。ハピエレさんも「葵ゆうたはこれからどうなっちゃうんですか!?」と言ってました。
4Gamer:
いやもう,読んでるこっちが「うわ,刺された!」みたいに驚きました。
日日日氏:
びっくりしたでしょ(笑)。でも西岡先生(サブライター・西岡麻衣子氏)にはすごくタイミング悪かったんですよね※。西岡先生は優しいから何も言わないだろうけど,本当にすみませんでした……。
※「サンドストーム」のあと,西岡麻衣子(Happy Elements)氏書き下ろしのスカウトストーリー【スカウト!実りのOCTOBER】が公開された
4Gamer:
展開として「こうしよう」と思ったのはどのタイミングですか?
日日日氏:
「サンドストーム」はどうだったかなあ……。プロットはいつもかなりの量を書いているんですが,本文を書くときは基本プロットを使わないから毎回びっくりされるんですよ。ちょうど今ここに本戦のプロットがあるんですが,このくらいの量です。
4Gamer:
すごい枚数ですね!
日日日氏:
新曲イベントの場合など,曲を作る関係で早めにプロットを作らなければいけないことが多いんです。でも,書くまでに期間が空くので内容を忘れてしまうんですよね。
実は「サンドストーム」もプロットとは全然違うんですよ。プロットでは砂漠の精霊を登場させようとしていたし,朔間 零はゆうたに指令の書かれた封筒を奪われているから自分のNG行動が分からない……とかもありました。でも何とか零を黙らせないと2winkの勝ち目は薄いと思って,ああいった形になりました。
零がまったくしゃべれなかったから,その次のUNDEADのイベントを書く木野先生(サブライター・木野誠太郎氏)に,ファンが寂しいと思うので零をたくさんしゃべらせてくださいってお願いしましたね。
4Gamer:
2winkは相手がUNDEADでなくても,同じ行動を取ったのでしょうか。
日日日氏:
やらなかったんじゃないでしょうか。メタ的な意味でも,そこ以外だとあまり本気度が伝わらないし洒落にならない(笑)。ほかのユニット相手にやったら今後堕ちていくだけなんですよ,悪の道に。2winkは手を替え品を替え,注目を集めるように頑張っているんですけど……。
4Gamer:
展開的にだいぶ心配ですが……。
日日日氏:
たっぷり心配していただきたいです。苦難を乗り越えてさらに面白さを出していけたらと思います。
2winkは「!」の最初のほうで「返礼祭」(「!」【衝突!思い還しの返礼祭】)をやって結論が出てしまったので,そこからどうするか……みたいな感じになってました。2winkに関してはまだまだ面白い展開が控えてます。ファンの人もそうじゃない人も注目! 何も考えていないわけではないよ,っていう。
◆6th STAGE「サンクチュアリ」
<場所:関東地方/出演ユニット:fine,Ra*bits>
4Gamer:
6回戦は「サンクチュアリ」,関東地方でfineとRa*bitsが登場しました。これもまた「そうきたか!」という展開でした。
日日日氏:
「サンクチュアリ」は英智さんの理想像みたいなものを具体的に……ESは英智の思想そのままではないので,思想を具現化したものを出してみようと思いました。あと,西岡先生に記憶喪失ネタ(【Wander!ブラックバニー in UNDERLAND】)を先にやられたので,僕も書きたい! と思って書きました(笑)。きっと渉はあの流れでうらやましいと思ったんですよ……。
4Gamer:
日々樹 渉と真白友也の組み合わせも久しぶりですね。
日日日氏:
この2人はユニット関係なく絆を結んできましたが,新章になってから絡みが減ってきていたのもあって,まだ掘り下げていないところを掘り下げようと思いました。
4Gamer:
「SANCTUARY」の構想はどこから……?
日日日氏:
これは僕の被害妄想ですけど,ここまでにいろいろやりすぎていて「人の心がないのか!」って言われている気がしたので,じゃあ誰も傷つかない優しい世界を作ってやろうじゃないかと。
4Gamer:
まさに天国のような世界ですよね。
日日日氏:
突き詰めればああなるのかなと。ESはアイドルを育てる機関だけど,アイドルの絶対数が増えないとそもそも回っていかない。「スラムダンク」を読んでバスケットボール選手を目指しました! みたいなのを生み出すために作られた施設なんです。「サンクチュアリ」では英智が裏をいろいろしゃべるから気色悪いと分かるだけで,実際にあったら洗脳されるかも。
英智は金と権力があるので何かやってもらおうと思ったのと,遊園地を出すことは決まっていたんです。どんな内容にするかは曖昧だったんですが,童話的というかパキッと思想が出ている感じで良かったのではないでしょうか。
4Gamer:
独特の世界でした。また,ラストの爆弾もすごかったですね。
日日日氏:
あれも最後に思いつきました。みんなびっくりするだろうな,忘れてたでしょ!? って(笑)。Trickstarが「サテライト」で全国を回ると言っていたのでそれも拾いつつ。毎回,オチが同じような感じになるのも何なので,せっかくのシリーズものだし変えようかと。
4Gamer:
ラスト,あることについて明星スバルが聞く相手が姫宮桃李というのも意外でした。桃李も言っていましたが,関係値が薄いですよね。
日日日氏:
桃李は星4だし,ちょっとした特別な何かをあげたかったんです。あと,桃李以外の子とTrickstarだと,そこで話が終わらずに転がっていっちゃうんですよね。スバルとはあまり関係のない桃李に投げたからこそ,「何!?」って。きれいにハマると思うとついやってしまいました。
◆7th STAGE「サドンデス」
<場所:関西地方/出演ユニット:Crazy:B,Knights>
4Gamer:
このインタビュー時点ではつい先日公開されたばかりの7回戦「サドンデス」は,関西地方でCrazy:BとKnightsが登場しました。
日日日氏:
傷跡も生々しい……ついこの間まで書いてたんですよ。「サドンデス」はやりきった感があります。まとまってよかった(笑)。こはくのお姉ちゃんを意外といい使い方にすることができました。
あれもたしかプロットにはなかった気がします。Crazy:BがKnightsに勝つ,くらいまでは決めていたんですが,せっかくあの2人(こはくと朱桜 司)が星5なので,伝奇ものっぽい話をやろうと。結果うまいことKnightsの総集編みたいになりました。かなり綱渡りでしたが……。
こはくの姉との入れ替わりは途中で思いついたんです。ずっと「司クン」という言葉を仕事机に貼っていて,「これ拾うぞ!」って考えてました。ユーザーの方にどう受け止められるか恐怖心もあったのですが。
4Gamer:
ああいう形で女性キャラが出てきたのには驚きました。作中でしゃべる女性キャラは初めてですよね?
日日日氏:
マドモアゼルがいるじゃないですか!(笑)
4Gamer:
失礼しました,そうでした!
日日日氏:
まあ,あれは宗ですが(笑)。こはくの姉については,ファンの方からは好評だったと聞いてほっとしています。名前を知りたいとも言われているらしいんですが,名前や本当の姿を見せたら意義が薄れるというか,分からないからこそ全部弟にあげたんだ,っていうのが伝わるのかなと。
4Gamer:
こはくが実家で閉じ込められていた理由も明らかになりましたね。何なら「こはく」という名前もきれいにハマったなと。
日日日氏:
僕も「これだ!」って思いました。いや,最初からそのつもりで名前を「桜河こはく」にしていたんですけど(笑)。あと,昔からの家族なら幼少期を出すべきだよねということになって,そのころのエピソードを出しました。
4Gamer:
幼少期はこれまでも,一部のキャラクターしか出ていないですよね。
日日日氏:
実は最初に出たのもアクシデントだったんですよ。伏見弓弦と七種 茨の話(「!」【スカウト!ギャング】)を書くことになったとき,彼らは高校まで再会してないはずだし,過去を書くとなってもアイドルじゃないから,最低でも中学生になっちゃうなと。それで無理やり出しましたね,軍地施設みたいなのを……。
4Gamer:
「サドンデス」の話に戻りますが,Crazy:Bもいきいきしていましたね。
日日日氏:
Crazy:Bというか,天城燐音を書くときは気持ちが攻撃的になりすぎてしまうんですよね。なので周りの子にかわいい動きをさせたりしてバランスを取るので,周りが愉快な感じになるんですよ(笑)。
塩梅がなかなか難しくて。ほかのライターさんが仲良しの関係性にしていても,僕が書くと急に喧嘩したりするんですよ。喧嘩しているほうがいいっていうわけではないけど,いろいろな関係があったほうが楽しいかな,とは思ってます。
ついにやってきた本戦は紅白歌合戦……!?
4Gamer:
そしていよいよ年末,「SS」編のフィナーレとなります。この記事は本戦より前の公開となりますので,今お話しいただける範囲でお聞かせいただければ。
日日日氏:
散々いろいろと煽ってきたので,それを器用に回収しつつきれいにまとめて,安心できるような話になればいいかなと思っています。カードになるのは特定の子だけなんですけど,全員が残って紅白歌合戦するんですよ。
4Gamer:
紅組と白組の構成を拝見させていただきましたが,個人的には,紅組がプロレスで言うところのベビーフェイス的な雰囲気、白組はヒール的な格好良さもあるように感じました。所属事務所のイメージもあると思いますし,本当の意味で悪役アイドルがいるわけではないですが。
日日日氏:
善人と悪人ね(笑)。最初にハピエレさんからいただいた組分けだと,メタ的には意味があっても物語上は……ということで変えました。
4Gamer:
今現在「こういう終わり方にしよう」あるいは「したい」というアイデアはあるのでしょうか。
日日日氏:
本戦だけですべての伏線や問題が解決するとは思わないでほしいですね。そこから先も物語は続いていくので……。一番重要そうなゴッドファーザーや明星パパまわりの屈託をなくし,今後どうしていくかという。
でも,そこまで悲惨なことにはならないと思います。最後まで読んでもらいたいなと。この先はどうなったの,というのはできるだけ早めに出したいですね。
4Gamer:
読む前からすごいボリュームになりそうな予感がしますね……。「サドンデス」も41話ありましたし。
日日日氏:
ええー(笑)。あれでも割愛してたんですよ。ただ,本戦は全キャラそれぞれが物語のなかで役目を果たして……とするわけではないので,いろいろな事情を紅組白組の総代表に集約させて,最後にまとめようと思ってます。
あとは「ゲートキーパー」おじさんの展開ですね。あの人は書けば書くほど面白くて……憎まれ役として設定しておいたけど,何か憎めないなと。むしろアイドルに振り回されてかわいそうだなこの人……って(笑)。
とりあえず本戦は最終回では全然ないので,一区切りといか,最後まで緊張感を保たせることを考えて書いています。ここで完結するんじゃないかと思われたら嫌だなと。「あんスタ!!」は終わらない物語として進んでいくので。
4Gamer:
各ユニット,これからの活躍も楽しみです。
日日日氏:
「SS」編までは問題提起というか現状説明になっていたので,「SS」編でそれが明確になり,今後どうしていくかという感じですね。「SS」編が終わったあともいろいろな展開がありますし,ハピエレさんはまだまだ仕込んでいますよ(笑)。やりたいことが山盛りのようで,まったく落ち着く気がないよ,みたいな。それが一番です。
4Gamer:
新たな展開を楽しみにしています。それでは最後に,ファンの皆さんにメッセージをお願いします。
日日日氏:
これからも「あんさんぶるスターズ!!」を楽しんでいってください。まだまだ驚きの展開が皆さまを待っています。退屈はさせませんよ? がんばってついてきてください……!
4Gamer:
本日はありがとうございました!
――2021年10月23日収録
日日日先生一問一答!
ここでは公式YouTubeチャンネル「あんスタチャンネル」にて配信中の番組「『SS』編感想語ろう会」に寄せられたユーザーからの質問を,日日日先生に一問一答形式で回答してもらった。インタビューや動画とともに楽しんでほしい。
◆「サテライト」編
【Q】藍良の体重はどうなりましたか?
【A】保ったんじゃないですかね,心労で……。太って違反してても面白いけど(笑)。でも,罰金になってもALKALOIDはそんなに取られなかったんじゃないでしょうか。
◆「サブマリン」編
【Q】エピローグで千秋と紅郎はデュエットしましたか?
【A】もちろんしたにきまってるじゃないですか!
◆「シークレットサービス」編
【Q】ラスト,日和は凪砂の気持ちを分かっていて何も聞かなかったのでしょうか。それとも本当に何も気づいていなかったのでしょうか。
【A】それはもちろん,皆さんが期待しているほうですよ。何か気づいたとしても,絶対に触れちゃいけないところには触れないのが日和さんなので。
【Q】茨は私兵をどのように集めているのでしょうか。
【A】あの人は普通に雇ってますね,会社をいくつも持っているので人を扱える立場なんです。部下を私兵って言ってるだけ(笑)。
【Q】「ゲートキーパー」は斑に蹴られたとき痛かったですか?
【A】そりゃ痛いでしょう! あの体重の男がドロップキックして……死ななかったのが不思議です。できるだけ深刻にしたくなかったからライダーキックにしました。
【Q】二代目ゴッドファーザーの設定はいつから考えていたんですか?
【A】「シークレットサービス」でその話題が出るまでは……いやいや,前からずっとその想定はあったんですよ。物語に必要になったら出している感じです。
◆「シンセカイ」編
【Q】「SSVRS」中の東北ミッションを用意したのは誰ですか?
【A】Switchを中心とした事務所(ニューディ)および「SSVRS」を共同開発したゲーム会社のスタッフが超がんばって考えて実装しました。時間なかったんだろうし,いろいろ雑なのは勘弁してあげてください。
【Q】日日日先生が「SSVRS」を使用してアイドルになれるなら誰をアバターにしますか?
【A】宙くんでしょうか。共感覚がどういうものなのか,仮にでも体験してみたい。
【Q】宙は「ゲートキーパー」の「色」が見えないのでしょうか。
【A】「見えない」というより「見たくない」でしょうね。血や暴力,宙くんには理解できない,したくもない「色」が渦巻いているのでしょう。だから,宙くんはそれを認識しないようにしている(気持ち悪くなっちゃうから)。
【Q】Switchはどういう成り行きで「SS」の運営と手を組んだのでしょうか。
【A】推測ですが,おそらくSwitch側から話を持ちかけたんでしょう。彼らのほうが手を組むメリットは大きいので(「ゲートキーパー」的にはSwitchと組んでも組まなくてもどっちでもいいし,組んだほうがお得だから組んだというだけ)。
【Q】つむぎが「ゲートキーパー」をヨイショするシーンではどういう気持だったのでしょうか。
【A】つむぎさんはそういうとき己の感情や自我を殺して動けてしまうので……。怒りとか警戒とかの具体的な感情のためではなく,たぶん反射的にヨイショしてます。あの場面では。
【Q】Valkyrieはどうやって仮想空間で衣装を作ったのでしょうか?
【A】痛いところを突かれた……。たぶんデータ上の「材料」を購入し,ゲーム内で縫い縫いして仕上げたんでしょう。シンセカイ内ではそういうことも可能,ということで。
【Q】宙とみかの会話で,先輩たちからもっと頼ってほしいという気持ちを2人が共有するシーンがあります。このシーンは「2人が抱えるさみしさ」が描かれているのでしょうか? あるいはそう思い始めたことが「成長の1つ」ということなのでしょうか。
【A】似たような立場の2人による,共感をこめた愚痴です。先輩たちには聞かせられない,聞かせたくない内緒話。そんな深刻な話じゃないですよ,誰でも普通に家族や友達に漏らすような愚痴です。彼らも人の子なので……。
【Q】みかの「お兄ちゃん」呼びは,本人が故郷では長兄扱いだったことから,「兄」への憧れがあったのでしょうか?
【A】いや,【ネヴァーランド】で宗さんが自分を「年上のお兄さん」と評したのがみかくんの心のなかに残っていて,つい口から出てきた呼称だと思われます。「偉大で完璧なお師さん」が,ぐっと身近に感じられてうれしかったんじゃないかなぁ,みかくん。もちろん,兄的なものへの憧れもあったのかもしれませんが。
◆「サンドストーム」編
【Q】ゆうたとひなたが長期間離れて暮らすのは初めてですか?
【A】離れるというのが物理的な距離だとしたら,星奏館でも違う部屋なんですよね。離れて行動してることも多いんですけど,幼少期から今まではずっとべったりというか一緒でしたね。
【Q】最初に裏指令が与えられたときに,ゆうたがリーダーとしてその場に行ったのは,ひなたも了承済みのことだったのでしょうか。
【A】もちろんそうです。ゆうたくんがひなたくんを説得し,入れ替わってその場に行ったんでしょうね。2winkの舵取りを自分が(ゆうたくんが)したかったから。
ひなたくんも,そんな弟の気持ちを尊重して(というか止められずに)了承したのではないかと。
【Q】「ゲートキーパー」はひなたがゆうたと入れ替わっていたことに気づいていたのでしょうか。気づいていた場合,ゆうたとひなたに与える「裏指令」を変えていたのでしょうか。
【A】英智さんあたりから入れ替わりの可能性ぐらい提示されてたでしょうが,残念ながら,「ゲートキーパー」的にはしゃべる相手がひなたくんだろうがゆうたくんだろうが,どっちでもよかったんじゃないかと思われます。そこまで重要視してないというか。
入れ替わっていようがいまいが,指令などの内容も特に変わらなかったでしょう。+ゆうたくんが「サンドストーム」で行ったことについては,指令や裏指令は無関係ですし(個人的な取引でしかない)。
【Q】ゆうたの選択に衝撃を受けました。葵兄弟はたくさんの人と触れ合うことで「人間」として生きていくこともできただろうに,そちらには進まないという覚悟を感じます。おそらく過去の積み重ねがあっての「あの選択」だと思うのですが,日日日先生が思う決定打だというのはあるのでしょうか。
【A】おっしゃるとおり過去の積み重ねによるもので,具体的に何かトラウマがあってそれを解消するために爆発した,みたいに捉えられるのは不本意です。ゆうたくんは,ありとあらゆるものに,じわじわと追い詰められ殺されようとしていたのです。
今回のことがなくても,いずれゆうたくんは同じことをしたか,生涯,その気持ちを押し殺して我慢して良い子にして過ごしたでしょう。今回のタイミングだったのは,明智光秀が本能寺を襲ったのと同じように「今ならできる!(今やらないと生涯,チャンスはないかも!)」と思ったからでしょう(光秀の動機の解釈も今では変わってるかもですが)。
【Q】最後のシーンの晃牙くんのセリフ「馬鹿野郎が……」は,ゆうたが「良い子」と発言したことに対して,無理していることに気づいて言ったのでしょうか。それとも,それを含めてゆうたが本気でUNDEADを陥れたことに気づいているのでしょうか?
【A】あぁいや,もう化けの皮が剥がれてるのに良い子ぶるゆうたくんに対する素直な「馬鹿野郎(罵倒)」であり,彼をそんなふうにしてしまった晃牙くん自身に対する自責をこめた「馬鹿野郎(悔恨)」ですよ。後者のほうが気持ちとしては大きいぐらいかも。UNDEADを陥れたかどうかは論点ではなく,あくまでも晃牙くんは「自分と,目の前のゆうたくん」について煩悶しています。
◆「サンクチュアリ」編
【Q】「ゲートキーパー」は普段どの国に住んでるんですか?
【A】アドニスくんの祖国と同様にあんまり明言したくないんですが,たぶん,欧米のどっかでしょうね。マニフェスト・ディスティニー!(何)
【Q】冒頭友也が見た夢は友也のどんな深層心理が反映されていたのでしょうか。
【A】具体的にこれ,と示すことのできないモヤモヤとした不安の象徴です。としか言えません。渉さんの夢と対比するとずいぶん具体的で,それだけ友也くんが現実的な子だということでしょう。
【Q】友也が英智に対して,マジギレしてるときの友也の妹と同じ目をしていると話していましたが,友也の妹はどれだけ怖いんですか?
【A】あぁいや,友也くんの妹さんが怖いか怖くないかという部分は個人的にはどうでもよく,あの場面で英智さんが「幼い女の子のように感情を露わにしている(羞恥心から隠そうとしているが,それが目に出ている)」ということを示すための表現です。
【Q】記憶を失った渉(5歳当時の渉)は,友也に名前を教えられるまで「日々樹 渉」であることを忘れていました。これは,5歳当時の渉はその名で呼ばれていなかったということでしょうか……?
【A】う〜ん。ここは謎めかしときたい部分なので,回答しません。ご想像にお任せします。僕が勝手に渉さんの仮面を剥ぐわけにもいきません(?)
◆「サドンデス」編
【Q】入れ替わっていたこはくの姉は何歳くらいなんでしょうか?
【A】これについては明言しないほうがロマンチックなので,伏せます。本名も,本当の声も,年齢も何もかも隠していたほうが「弟だけは守りたくてぜんぶ捧げた」下の姉はんの矜持を守れる気がしますし。
【Q】司は祖父とほぼ会ったことがないようでしたが,それは朱桜家の教育方針なんですか?
【A】教育方針というより,それが身分社会・階級制度というものです。祖父ははるかに目上の相手(本家当主)であり,殿上人であらせられるので,武家社会では滅多に面と向かって話すことも許されなかったのですよ。司くんちが,代々,そういう旧弊的なしきたりを受け継いできた家系だったということです。
【Q】ニキは予選会後,粉モノを食べることができたのでしょうか?
【A】それはもう,貪り食ったと思います。
【Q】ニキの指令は「粉モノ禁止」というニキにとっては地獄の指令ですが,ある意味雑なものでした。英智さんは指令を考えているうちに面倒臭くなったのでしょうか。
【A】いや,それは英智さんを侮りすぎです。彼,常にアイドルに関することについては本気なので……。指令は基本的にアイドルにストレス(圧)を与え,普段と違う行動をさせるために設定されています。が,「飲食禁止」だと守れるわけないしニキさん絶対に嫌がって帰っちゃうので,「大阪で粉モノ禁止」ぐらいが妥当な落としどころだと考えたんでしょう。英智さんが。的確だと思います。
【Q】幼少期の司がお菓子をしまっていた箪笥は,「!」の【レクイエム*誓いの剣と返礼祭】で司くんがモノローグで語っていた,レオが作曲していたCDをしまっている箪笥と同じものなのでしょうか?
【A】「……そうですよ!」と元気良く答えさせていただきます(何)。司くんの親にも見せない秘密の宝箱だったんでしょう,和箪笥。
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