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[E3 2019]“命の物語”を描くRPG「鬼ノ哭ク邦」のインタビューをお届け。気になる世界観やアクションバトルについて制作メンバーに聞いた
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印刷2019/06/15 11:29

インタビュー

[E3 2019]“命の物語”を描くRPG「鬼ノ哭ク邦」のインタビューをお届け。気になる世界観やアクションバトルについて制作メンバーに聞いた

画像集 No.002のサムネイル画像 / [E3 2019]“命の物語”を描くRPG「鬼ノ哭ク邦」のインタビューをお届け。気になる世界観やアクションバトルについて制作メンバーに聞いた
 スクウェア・エニックスが2019年8月22日に発売を予定している「鬼ノ哭ク邦」PS4 / Nintendo Switch / PC)は,“日本発RPG専門スタジオ”として設立されたTokyo RPG Factoryの3作目となるアクションRPGだ。
 輪廻転生が当たり前のものとして認識されている世界を舞台に,彷徨える死者の魂「迷イ人」(まよいと)を救済する役割を担う「逝ク人守リ」(いくともり)の一人であるカガチを主人公に,この世とあの世を行き来して迷える魂を救う“命の物語”が描かれる。

 E3 2019のスクウェア・エニックスブースにて,Tokyo RPG Factory所属のプロデューサーの佐々木隆太郎氏とディレクターの橋本厚志氏,そして「LIVE A LIVE」「クロノ・トリガー」などの制作者としても知られる本作クリエイティブプロデューサーの時田貴司氏による合同インタビューが開かれた。本作について色々な話を聞いたので,その模様をお届けしよう。

(左から)佐々木隆太郎氏,橋本厚志氏,時田貴司氏
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――Tokyo RPG Factoryの新作に時田さんが参加することになった経緯を教えてください。

時田貴司氏(以下,時田氏):
 前の2作が「クロノ・トリガー」のバトルシステム(ATB2.0)をベースにしていたこともあって,けっこう前から当時の資料を共有したり開発の相談に乗ったりという形で協力していました。
 その頃から,面白いコンセプトで作品性の強いRPGを作ろうというスタンスが(クロノ・トリガーなどを作っていた)スクウェア時代に似ているなと好感をもっていて,3作目を作るということで声をかけられて「やりましょう」と。そういった経緯で,本作には企画の立ち上げから関わっています。

――2人のプロデューサーはそれぞれどのような役割なのですか。

時田氏:
 僕は世界観やシナリオ,それらのメリハリの付け方などをまとめました。ゲーム性やゲームシステムはコアなゲーマーでもある佐々木ですね。

佐々木隆太郎氏(以下,佐々木氏):
 さまざまな意見を参考にしながら,できるかできないかは別として「こんな風にしたい」というのを好き勝手に言っている感じです。最初はもう自分でシナリオ書き始めちゃっていましたから(笑)。

橋本厚志氏(以下,橋本氏):
 どちらに決まっているというわけではなく,感覚的にどちらかというとシナリオ系は時田さん,ゲーム周りは佐々木さんになったかなという感じです。

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――開発のスタートはいつからですか。

橋本氏:
 明確にここからというのは難しいですね。「LOST SPHEAR」PS4 / Switch)の開発後半から,次作の話はしていました。

――Tokyo RPG Factoryの作品といえばターン制のコマンドバトルでしたが,なぜ本作ではアクションバトルを選んだのでしょう。

佐々木氏:
 最初からではなかったです。「企画のコンセプトに合ったゲームシステムはなんだろう」と話した結果ですね。

橋本氏:
 もともとはターン制のコマンドバトルで考えていましたが,本作では1人旅なのでアクションバトルがいいのではないか,と。1人でもターンベースでのバトルはできますが,複数人のパーティでのバトルと比べると戦略性を出す面では難しいところがあります。だったらアクションバトルにして,リアルタイムでジョブを切り替えて戦うようにしたら,これまでと違った形での戦略性が出せて面白いのではと考えました。

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――カガチは,迷イ人でありながらあまりに強い想いを持っていた事から魔物化しなかった「鬼ビ人」(おにびと)の力を借りて戦います。これがいわゆるジョブの役割を持っていると思いますが,この鬼ビ人について聞かせてください。

橋本氏:
 まず鬼ビ人は使用する武器が違い,それぞれ固有のアクションを持っています。固有アクションはダッシュとジャンプ,そして防御という大きく分けて3系統あり,その中でも細かく分かれています。さらに武器特性があり,その組み合わせで個性付けを行いました。

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――武器は何種類くらい出てきますか。

佐々木氏:
 まだお伝えできませんが,両手には収まらないですね。

――橋本さんが個人的に好きな武器やオススメの武器はありますか。

佐々木氏:
 情報公開されている武器から選んでね(笑)。

橋本氏:
 そうですね……好きな武器はまだ公開されていないものの中にあります(笑)。
 オススメは刀でしょうか。最初に触れる武器なので分かりやすくというのを意識していますが,かなり気持ちよく操作できます。重たいアクションが好きな人は斧がいいですし,武器の好みは開発のなかでもけっこう割れているんですよ。そういった意味では武器ごとの個性がうまく出せたかなと思っています。

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――本作で楽しんでもらいたいポイントも,それらのアクション要素なのでしょうか。

佐々木氏:
 ゲーム部分としては(アクションの)触り心地ですが,本作でもシナリオに重きを置いてるので,ぜひ物語も楽しんでもらいたいですね。これまでと変わらず切なさや儚さ,そして独特の死生観に基づいたものを突き詰めています。

――生者の世界である「現シ世」と,死者の世界「幽リ世」を行き来するということですが,この2つの世界を行き来するというテーマはいつ決まったのでしょう。

橋本氏:
 順番でいうと,まず2つの世界を切り替えて戦うというアイデアがありました。最初は「いけにえと雪のセツナ」PS4 / Vita / Nintendo Switch)と「LOST SPHEAR」の世界でっていう冗談のレベルでしたが,色の違う世界を切り替えながら物語を進めるのは面白そうだなと。それでゲームのテーマを進めているときに,「そのシステムだったら生と死の2つがハマるんじゃないか。生と死を行き来するなら輪廻転生をテーマにしてみてはどうか」という流れで決まっていきました。

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時田氏:
 世界観とシナリオ,ゲームシステムが渾然一体となったのがこの形なんだと思います。

橋本氏:
 そうですね。結果論的ではあるんですけど,西洋ではなく東洋のイメージも出していきたいというのがあって,そこでも輪廻転生はしっくりきたなと思います。

――世界観や物語はいかがでしょうか。

橋本氏:
 今の方向性に定まっていくなかで,時田さんが「もっとエグくやろう」と言って,実際それを意識して作り上げました。
 エグいと言っても,あくまでストーリー的な部分であったり,衝撃的なシーンをいかに演出してプレイヤーのみなさんの想像力を掻き立てるかで,過激な表現を使いたいという話ではないんですけどね。

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佐々木氏:
 心が掴まれて,掻きむしられるようなもの,です。

時田氏:
 ファミコンやスーパーファミコン,PlayStationなどの時代だと,ゲーム自体の表現力がなかったから,演出的にスポイルせざるを得ず、プレイヤーの想像力に任せるようなところがありました。
 ゲームの表現力が上がったいまは,コンプライアンスを気にしすぎて萎縮してしまうことも少なくないですが,果たしてそれで面白いものができるのかなと思うんです。なので本作では,とりあえずどこまで見せられるかは気にせず,ゲームに入れ込んでから調整しようと。このあたりは昔のゲーム作りに近いと感じています。

橋本氏:
 これまでは,例えば「SQEXが出すRPGだから,CEROでいうとこのあたりに抑えよう」みたいな目標が漠然とありました。それを今回は取っ払ってみようと。

時田氏:
 みんないい子だったんだよね(笑)。

橋本氏:
 (笑)。ちょっと悪い言い方になりますが,そういう意味では時田さんがいてくれるからこそできたというのはあります。

時田氏:
 日本の漫画やアニメ,ゲームというのは,そういった部分で自由にやってきたからこそ,大人になってからも心に響くんだと思うんです。「だから自由にやっていいんだよ」というのは,今回,皆とやりたかったことの1つです。

――表現といえばグラフィックスの雰囲気も変わりました。これもそういった流れでしょうか。

橋本氏:
 (新作を作るなら)まずイメージを変えましょうというのは,かなり前から話していたことです。

佐々木氏:
 我々が遊んで育ったRPGの持っているものを継承する。普遍的なものを突き詰めるという開発理念のようなものは変わらないのですが,だからずっと同じスタイルというのも……。根底にあるものさえ変わらなければ大丈夫なので,変わってもいいだろうと。

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時田氏:
 「いけにえと雪のセツナ」の,雪景色のなかに赤い葉をつけた木が一点あるアートに代表される,あのイメージのインパクトはすごかったと思います。だからといって本作で同じことをやっても,ああいったインパクトを与えることはできません。
 それならばどうするかを考えたとき,ビビッドな色合いや陰影を際立たせるといった,色使いや演出を意識しました。バトルのエフェクトもアニメタッチで,なかなかよくできています。

――分かりやすさみたいなものは意識されましたか。

橋本氏:
 意識しているところもありますが,そこまでではありません。チーム内でより良いグラフィックスを追求しようという話で,最終的にああなりました。いい感じに落とし込めたと思います。

――ストーリーですがどれくらいのボリュームになりますか。

橋本氏:
 「LOST SPHEAR」よりは長くならず,だいたい30時間くらいかなと思います。

――メインストーリー以外にサブストーリーやクエストのようなものはありますか。

佐々木氏:
 ちょっと脇道に逸れて遊べるようなサブクエストや,鬼ビ人達の過去を掘り下げるような部分は用意しています。

――鬼ビ人は仲間にしなくても進められますか。

橋本氏:
 分かりやすいところにいるので見つけられないということはないですが,全員を仲間にしなくてもゲームは進められます。それを意識して作ったわけではないですが,キャラクターの縛りプレイなどをする人でも楽しめると思います。

――発売前に試遊の機会はありますか。

佐々木氏:
 まだお約束できる段階ではないのですが,考えてはいます。シナリオはもちろんですが,やはりアクションなので皆さんに触れてもらって判断してほしいですから。状況を見ながらとなりますが,実現したいです。

――最後に期待しているファンにメッセージをお願いします。

佐々木氏:
 では,代表として時田さんにお願いしましょう。

時田氏:
 このE3 2019でもリメイクや続編で盛り上がっていますが,新たな作品をもっとコンスタントに出していきたいし,僕ら自身も作っていきたい。そしてそれを待っているゲームファンも多いと思います。
 最近だと「OCTOPATH TRAVELER」PC / Nintendo Switch)の成功に勇気をもらいました。それに続けではありませんが,新たなインパクトを与えるゲームを作ろうと考えてやってきたので,ぜひどんな作品になっているか確かめてみてください。

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