プレイレポート
見知らぬ誰かの生殺与奪の権を握ってみませんか? 木村良平さん演じる“彼”の鼓動とボイスを堪能できる「シンゾウアプリ」プレイレポート
そんな仄暗い欲求を抱いたことがあるのなら,125が2019年2月1日にリリースした声と鼓動のインタラクティブノベル「シンゾウアプリ」(iOS / Android)に注目してみてほしい。
「シンゾウアプリ」ダウンロードページ
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「その昔,罪人の心臓を切り抜き晒す『心ノ臓ノ晒シ刑』という惨たらしい呪いの刑罰があった。その刑罰を現代のテクノロジーで再現した」と謳う本作。アプリを起動して真っ赤なトップ画面に続いて現れるのは,謎のメッセージ“now downloading SHINZO”という文字だ。そしてノイズにまみれた画面には脈打つ「心臓」が浮かび上がり,どこからともなく“彼”の声が聞こえてくる……というのが,物語の始まりとなっている。
物語の中心人物である彼は,どうやら呪いによって心臓を切り抜かれてしまい,それがどういうわけかプレイヤーが開いているこのアプリにある,ということらしい。突拍子もない出来事に思わず混乱しそうになるが,それは自分の命ともいうべき心臓が他人の手に渡ってしまった“彼”も同じこと。こちらの声を直接届けられない,コミュニケーションの手段が限られた状況で,どこの誰とも分からない“彼”と少しずつ対話を重ねていくことになる。
“彼”を演じるのは声優の木村良平さんだ。アプリを立ち上げると,なぜか健康にまつわるちょっとした一言(ケンコウナレッジ)が流れる。理由はよく分からないが,木村さんの声で気遣われるのはちょっと嬉しい |
プレイ中は主にノイズだらけの画面が表示されているのだが,スクリーンショットだけでは「シンゾウアプリ」らしさがなかなか伝えにくい。どのあたりが心臓っぽいのかは,本作を目と耳と手を使って感じ取ってほしい |
アプリによって“彼”の心臓とつながっているということで,プレイ中の画面では心臓が脈打つさまを確認でき,脈動に合わせた心音が聞こえ,スマホを握る手からは端末のかすかな振動を感じられる。この鼓動が見えない“彼”の生きている証なのだと耳を澄ませていると,もし止まってしまったら……止めることができてしまったら……という,ちょっと危険な衝動にかられるかもしれない。
“彼”の話す言葉に耳を傾けることが主となるので,感覚としてはドラマCDやシチュエーションCDに近い。焦ったり,緊張したりといった感情が声音だけでなく鼓動の速さからも伝わってくるため,より臨場感たっぷりに楽しめる。
プレイ中は,時折“彼”が何らかの問いかけを行ってくることがあるので,指を縦にスライドさせて「YES」,横にスライドさせて「NO」の意思表示をしよう。どちらの反応を返したかによって“彼”から投げかけられる言葉も変わるので,色々と試してみたくなるだろう。
そしてもう1つ,彼からの問いかけに応える際に「太陽のマーク」と「月のマーク」が現れることがある。どちらを選ぶのもプレイヤー次第だが,これは6人存在する“彼”との出会いに関係してくる。どのような流れでどんな“彼”と出会い,結末を迎えることになるのかは……ぜひ自分の目と耳で確かめてほしい。
なぜ複数人いるのかも気になるところだが,これもシナリオを読み進めていくと「そういうことか」と納得できる。このほかにも展開によって少し変わった操作を求められることもあり,どれも内容と演出がマッチしていて非常に楽しめた |
セリフが聞こえている間にハートの「Bookmark」をタップすれば,好みのフレーズを保存できる。あとで好きな部分を好きなだけ聞き直せるのは嬉しいところ |
※以下では,どのようなタイプの彼と出会うかなどネタバレとなる部分があります。ネタバレを気にする方は,クリア後のチェックをオススメします。
木村さん演じる“彼”のボイスをたっぷり堪能
さて,本作の大きな特徴となるのが,木村さんによる“彼”の演技だ。木村さんといえば,女性向けゲームという枠組みの中だけでも真っ直ぐで初々しい少年や,クセが強く何を考えているのか分からない青年まで,さまざまなタイプを演じ分けている。これまでさまざまな木村さんの演技を見聞きしてきたつもりだったが,本作では女性向けタイトルでは出会えないようなタイプも登場する。その理由は実際にプレイしてもらえれば察してもらえると思うが,ここではどんなタイプがいるのかをザックリと紹介していこう。
それに女性向けタイトルをたくさん遊んできたプレイヤーなら,このタイプにもう1つの面があるとなんとなく察することができるはずだ。こちらに信頼を寄せてきた際のギャップには,思わず菩薩のような顔になってしまうだろう。
続いては女癖が悪そうなチャラ男タイプ。女性向けタイトルに出てくるチャラ男タイプは可愛げがあり,軽めの言動にも何か深い理由があるなど,プレイボーイな一面だけでは終わらないキャラクター性を持つことが多い。
だが,ここで登場するのは悪さのあるチャラ男だ。だからこそ,あまり女性向けタイトルでは見られないセリフや演技が飛び出してくるので,その新鮮さから結末までじっくり楽しめた(なんともいえない微笑を浮かべながら)。冒頭で述べたように,生殺与奪の権を握る感覚を楽しみたいプレイヤーにマッチしたタイプだろう。
もう1人,チャラ男っぽいタイプがいるのだが,こちらは端的にいえば「人でなし」の一言に尽きる。怒りや悲しみなど,聞き手の負の感情を揺さぶる展開ゆえに,人によっては途中で聞くのをやめたくなってしまうかもしれない。
しかし「これバグってない!?」と,アプリの挙動を疑ってしまうユニークな演出が入るため,気になってつい最後まで聞いてしまった。個人的にはなかなか楽しかったので,寛大な心で最後まで付き合ってみてほしい。
一方,女性向けゲームに登場しても不思議ではないタイプも存在する。あえて名付けるならワンコ系といったところで,こちらの反応を気にして垂れ下がる耳や振り切れそうな尻尾が見えてくる気がした。
とはいえ,本作にキャラクタービジュアルは一切登場しない。だが,木村さんの声を聞いているだけで見えないはずのイケメンの姿が脳裏に浮かび,さらにあるはずのない耳や尻尾が見えてしまう,幻覚に幻覚が重なるという体験をした。聞こえてくるのは心臓の音と声だけなのに,どんな表情で,どんな感情を抱いて話しているのかがありありと浮かぶのは,さすがといったところ。
もう1人,こちらも比較的登場しそうなタイプがいる。一言でいうなら「包容力」といったイメージで,少し気の抜けたところもあるが,どこまでも自分を守ってくれそうな優しさに満ちている……そんな男性像がすぐに浮かんだ。こちらはシナリオや演出がほかのタイプと異なり,SFミステリーのような印象を受けた。エンディングの迎え方も一味違うので,お楽しみに。
最後の1人は,あえて詳細は伏せるが,乙女ゲームなどにもいるといえばいるし,人気のタイプといえば人気だと思う。いろいろな意味で“振り切れた演技”のせいか背筋に嫌な汗がつたったし,思わず「これはゲームなんだ,アプリなんだ」と自分に言い聞かせてしまうほどだった。好きな人はとことん好きなタイプだと思うので,ぜひこのうっすら感じた寒気を味わってほしい。
あなたは「シンゾウアプリ」で,どんな“彼”に出会うだろうか――?
『心ノ臓ノ晒シ刑』惨たらしい呪いの刑罰が現代に蘇る。
— シンゾウアプリ (@125Inc) 2019年2月7日
ノイズにまみれた画面から響く彼の声は何を語るのか...
声と鼓動のインタラクティブノベル『シンゾウアプリ』 (6人の彼 cv 木村良平)
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