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印刷2019/04/27 00:00

プレイレポート

Switch版「Cuphead」のプレイレポートをお届け。可愛らしい見た目とは裏腹な高難度を誇る,死にゲー界からの刺客

 2019年4月18日,StudioMDHRはアクションゲーム「Cuphead」Nintendo Switch版を配信した。
 主人公は,魔法の島・インクウェル島で暮らしていた「カップヘッド」「マグマン」というマグカップ頭の兄弟。2人は「デビルのカジノ」でうまくのせられて魂を賭ける大勝負をしてしまい,見事に大敗。たまらず命乞いをしたところ,「カジノから逃げ出した債務者たちの魂を回収してきたら見逃してやる」との提案を受け,仕方なく,債務者の魂を回収しに向かうことになる……というのが,本作のストーリーだ。

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 さて,この「Cuphead」は2017年9月にPC版とXbox One版がリリースされていたが,これまで日本語のローカライズが行われていなかった。今回リリースされたNintendo Switch版は,完璧な日本語ローカライズでの登場)となる。4Gamerでは海外版を連載「ハロー!Steam広場」などで紹介してきたが,今回,日本語で遊べるようになったこのタイミングで,改めてレビューをお届けしたい。

※PC / Xbox One版についても,Nintendo Switch版と同じ日本語ローカライズを含むアップデートが実施済み

「魂を! 賭けよう!」「グッド」……というようなやり取りがあったかどうかは不明だが,まんまとハメられた感のあるカップヘッド&マグマン兄弟
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 本作は,PC / Xbox One版がリリースされたときから非常に評判の高い作品で,筆者もずっと気になってはいた。しかし,当時は日本語化されていなかったため,英語で遊ぶしかないという点でちょっと及び腰になっていた。「これだけ評価が高いゲームなら,いつかローカライズされるに違いない……!」と,脳内の「いつかやるゲームリスト」に入れたまま1年半の月日が流れ,ついに,その「いつか」が来たというわけだ。

 しかし,ワクワクしながらゲームを始めてしばらく経ったころ,筆者の額に汗がにじみ出す。

「こ,これはっ……死にゲーだ!」


こだわり抜いた,極上のカートゥーン。レトロ&ハイセンスな音と映像で繰り広げられる初見殺し劇場


 ゲームを始めてすぐに感じるのは,1930年代のカートゥーンに対する異常なまでのこだわりだ。「それっぽい」のではなく,「そのもの」なのだ。それもそのはず,手描きのセル画を使い,アニメーションの制作工程も当時と同じ手法で作られているらしく,効率化とは無縁の,時代に逆行した手間のかけ方によって,「そのもの」が作り出されているというわけだ。

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 画面には常にフィルムノイズがかかり,レトロ感を演出しているが,ただノイズを足しただけではない。敵キャラクターから背景のモブまで,当時のカートゥーンを見ているとしか思えない“完璧な動き”なのだ。静止画だと分かりにくいので,こちらに動画を掲載する。ぜひ見てほしい。


ボスは皆,何かとアクションがオーバーで,満点のカートゥーン的デフォルメ。“らしさ”が大いに発揮されている
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 BGMもジャズやラグタイムが中心で,当時の雰囲気を再現。音質も,ブラウン管テレビを通して聴いている錯覚を起こすような,絶妙な音のこもり方だ。

 特にBGMに関しては,今の時代,むしろ1周まわって最先端のカッコ良さすらある。現在は,Steamでサウンドトラック(外部リンク)が販売されているほか,iam8bit Japanではアナログレコードの販売(外部リンク)も行われている。

 というわけで,音と映像と世界観の素晴らしさには誰もが絶賛すると思われるが,いざ始めてみると,ゲーム性はちょっと好みが分かれ始めるかもしれない。というのも,この「Cuphead」,可愛らしい見た目と世界観に反して,“死んで覚える”,昔ながらの硬派なアクションなのだ。

ゲームオーバーになると画面中央に表示される「YOU DIED!」の文字。うっ,既視感が……
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 「Cuphead」は,従来のアクションゲームによく見られる「ステージ進行→ステージの最後にボス」という流れから,ステージ進行を丸々カットして,ボス戦のみに特化している。たまに横スクロール型の「ラン&ガン」ステージが挟まるが,これは,ボス戦の箸休め的存在だ。つまり,普通のアクションゲームと逆の構成になっているのだ。

ステージを選ぶと,いきなりボス戦がスタート。ステージ名の日本語フォントへのこだわりがスゴい。画像のように,たまにシューティング面も登場する
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こちらは「ラン&ガン」ステージ。いわゆる横スクロールアクションだ。ステージ数はボス戦より少ない
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 ボス戦から始まり,ボスを倒せばそのステージはクリアとなるので,1ステージの所要時間はおよそ2分〜5分程度と短い。しかし,まず1回では終わらない。よほどアクションが得意な人でなければ,何度も何度も繰り返し挑戦することになるだろう。

 では,一体,何がどう難しいのか。まず,1つ目にプレイヤーの初期HPが3しかないことが挙げられる。敵や攻撃に3回触れるとゲームオーバーとなるうえ,チェックポイントの類が一切なく,ゲームオーバーになったら最初からやり直し。実質,ボス戦の終盤辺りまではノーミスで進行することを求められるのだ。筆者は「クッ……『ロックマン』や『忍者龍剣伝』でも,もうちょっと体力ゲージあったよな?」とか呟きながら,自分のアクションセンスのなさを呪ってしまった。
 また,初見殺しが多いことも難しい点としてあげていいだろう。といっても,初見殺しのないアクションゲームなんて,逆に珍しいし,これはジャンルとしての宿命とも言えるのだろうが。


“易しい”のではなく,“優しい”。プレイすればするほど実感する巧みな導線設計


 しかし,慌てないでほしい。「難しいからクリアできない」とは,一言も言っていない。というのも,「Cuphead」は,近年見る死にゲーの中でもトップクラスに“プレイヤーの導き方”が優れているからだ。
 例えるなら「お手玉2つに慣れてきたかな。じゃあそろそろ3つにしてみようか。次はそのお手玉をジャンプしながらやってみようか」という感じで,とても慎重に,徐々に難しくなっていくのだ。
 さらに,敵が放ってくる弾などの遠距離攻撃にしても,動体視力がハードルになるような弾速は一切ない。筆者は動体視力の弱さには定評があると言っていいレベルだが,大概の弾は「見てから回避」できるレベルだった。
 いきなり無茶なことは絶対にやらせない。決してプレイヤーを突き離さない。「Cuphead」は“易しいゲーム”ではないが,“優しいゲーム”なのだ。

 また,「ラン&ガン」ステージは,ボス戦が続く本編の気分転換として配置されている。こちらはボス戦とは違って,クリアしなくても先へ進めるが,道中にある「コイン」を回収することで,ショップでアイテムを購入できるようになる。言わば,「気分転換ついでに,本編の攻略に役立つアイテムを仕入れることができる」わけだ。

攻略がラクになる……であろう,さまざまなアイテム・武器が売られている「ポークリンド雑貨店」。何か購入すると,新たな品が並ぶ。中でも,この「ツインハート」は早めに購入しておきたい一品
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 各ステージには5枚のコインが配置されているが,ボス戦同様に初期HPは3なので,最初はステージをクリアするだけでも結構難しい。さらに5枚のコインを回収したうえでクリアするとなると,場合によってはボス戦のステージより難しいこともある。ただ,5枚全部は無理でも,2〜3枚はなんとかなると思うので,頑張ってコインを集めてみよう。

コインは,マップ上のキャラクターと話したり,悩み事を解決してあげることで手に入ることもある。マップはただの移動フィールドではなく,探索の楽しみもある
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 高難度アクションゲームでよくある“キツいこと”と言えば,「がんばってボス戦まで辿り着いたけど,負けた。再開は……最初から!?」というボス戦のためにステージを繰り返しやり続けるケースだ。
 「Cuphead」は,そもそも「ボス戦」ステージと「ラン&ガン」ステージが分けられているため,たとえボスに負けたとしてもすぐさまリトライできる。もし,これが分けられておらず,「ラン&ガン」ステージのラストにボス戦という構成だったら……考えただけでも恐ろしい。

 また,敗北した画面でも配慮がうかがえる。敗北画面の中央にあるラインと旗マークによって,全体のどのあたりでゲームオーバーになったかが表示され,自分の到達度が視覚的に分かるようになっているのだ。
 旗マークに触れるくらいの位置だと,「しまった! あとちょっとでクリアだったのか!」と再戦のやる気が倍増するし,半分も行っていないと,「コインを集めて,違う武器を買ってみようかな……」と戦い方を見直したくなる。

ボスのセリフは,たまにうまいダジャレになっていて,クスッとさせられる。ローカライズのレベルの高さに驚くばかりだ
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 それでもダメなら「シンプル」という難度も用意されている。各ステージには「シンプル」と「レギュラー」の2つの難度が用意されており,「シンプル」はその名の通り,ボスの攻撃が幾分かラクになる。
 ただし,「シンプル」でクリアしても先へは進める……のだが,3つのワールドを終えた後,最終ワールドに入ろうとすると……

ここまで来て,まさかの門前払い! 「タマシイの契約書」は,難度「レギュラー」をクリアしないと手に入らない
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 こんなふうに警告され,入れてもらえない。もっとも,序盤で債務者から取り立てる「タマシイの契約書」の獲得には「レギュラー」でないとダメということを言われているのだが。

序盤にこんな感じで警告されるのだが,「シンプル」でも先へ進めてしまうため,「あれ? 気にしなくていいのかな?」と思っちゃうよね……
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 しかし,最初から「レギュラー」で挑むのがゲームクリアへの一番の近道かというと,必ずしもそうではないと感じる。最初から高難度で神経をすり減らすよりは,とりあえず「シンプル」で先へ進み,マップ探索を楽しみ,アイテムや武器を揃えたほうが,うまくいくこともあるからだ。
 当然,「シンプル」とはいえ,3ワールドまでのボスをすべて倒した後ならプレイヤースキルはかなり上がっているし,すでに経験したステージの知識や道中で得たアイテムなどが活用できる分,最初のころよりは有利にゲームを進められるはずだ。
 また,マップに点在している「霊廟」では必殺技も入手できるため,アクションの腕に自信がないという人は,まず「シンプル」でこれらを整えてから,満を持して「レギュラー」に挑んだほうが結果としてスムーズに攻略できるかもしれない。

「霊廟」のクリアは,さほど難しくない。必殺技は使い所を見極めれば威力バツグン
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 筆者は,「おもしろい死にゲー」の条件は2つあると思っている。
 まず1つめは,プレイヤーのゲームオーバーが「次につながる死」であることだ。普通,10回,20回とリトライしても突破口がまったく見つからない場合は,絶望しかないが,「次はイケる!」という光明,または「あれをああしてみたらいいのでは?」という“気付き”があると,どんどん先に進めたくなるからだ。

 そして2つめは,「リトライにかかるスピード」だ。これが早いだけで,プレイヤーは意外なほどストレスを感じなくなるものだ。この2つを満たしたとき,難しいゲームは“おもしろ難しい”ゲームへと変化する。

 今回,Nintendo Switch版のリリースに合わせて,PC版とXbox One版でも日本語で遊べるようになるアップデートが施されている。すでにやり込んだ人も,久々に起動して,細部までこだわった完璧なローカライズを堪能してほしいし,「気になってはいるけど,英語だしな〜」と足踏みしていた人も,これを機にゼヒ遊んでみてほしい。この,何年に一度出るか分からないレベルの“おもしろ難しい”名作を。

「リザルト!」の文字に注目。後から作った文字を当てはめたはずなのに,何の違和感もない。早くも筆者の中で2019年ローカライズ大賞を贈りたい気分だ
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