連載
レトロンバーガー Order 61:“家筐体”気分を「龍が如く」シリーズや「SEGA AGES」シリーズでも味わおう。でもやっぱゲーセンも行こう編
「人生はチョコレートの箱、開けてみるまで分からない」
(Life is like a box of chocolates. You never know what you're gonna get.)
日本では1995年に公開された,映画「フォレスト・ガンプ/一期一会」(以下,フォレスト・ガンプ)のキャッチコピーです。映画冒頭では,トム・ハンクス氏の演じるフォレスト・ガンプが,冒頭のシーンから「ママは言っていた。“人生はチョコレートの箱みたい”って。食べるまで中身はわからない」(字幕版)といった形で言及します。
ゲームで“チョコレートの箱”――何かステキなものが詰まっているけど,口に合うか否かは食べてみないと分からない箱といったら,そう,アーケード筐体ですね。見知らぬゲームが入ったアーケード筐体に100円硬貨を気軽に投じられるようなマインドを持っていると,ゲーマー生活のクオリティは劇的に向上し,社会への適応力は順調に衰退します。
……まあ十数年前,実際に“口に入れてみた”ところ,「フォレスト・ガンプ」って筆者的にはあまりマッチしないタイプの映画だったんですけどね。トム・ハンクス氏の主演による感動系映画って,「グリーンマイル」なんかもそうですが,あまりにも“うますぎ”て,飲み込みにくいところがあると思うんですよ。まして何かをこじらせているタイプの人間には。
「グリーンマイル」からスティーブン・キング氏の小説を原作としたラインで言えば,「ショーシャンクの空に」とか,「スタンド・バイ・ミー」の死体を見つけて以降のパートとかも,こじらせ人間にはしっくり来ません。「シャイニング」や「ミスト」といったサスペンス&ホラーの名作は最高ですし(「ミスト」も「ショーシャンクの空に」「グリーンマイル」と同様にフランク・ダラボン監督なんですけどねえ),「バトルランナー」(シュワちゃんが変態ストーカー軍団に追われるやつ)とか「マングラー」(悪魔の憑依したシーツ用プレス機が人を殺すやつ)とかみたいなボンクラ映画は脳がシビれるにもかかわらずです。なお個人的には「ドリームキャッチャー」は楽しめましたが,「ダークタワー」はなんだか“並”な感じでした。
フォレスト・ガンプ青年のベトナム戦争での兵役も,「フルメタル・ジャケット」「地獄の黙示録」「プラトーン」「ランボー」を観たり,「コール オブ デューティ ブラックオプス」をプレイしたりしていると,壮絶な戦闘にしても温度感の違いでヘンな気分になりますね。まあ先の「シャイニング」に続いて「フルメタル・ジャケット」が出てくるように,筆者はリアリズムを徹底的に追求することで醸成されるスタンリー・キューブリック監督作品に特有のドライな空気感が大好きで,逆にウェット&ウォーミングな作風が好きじゃないっていう話だったりはするのですが。ウェット&ウォーミングが好きな人は多いですが,キューブリック氏がドライな空気感でSFを描いた「2001年宇宙の旅」が無かったら,きっと「エイリアン」や「ブレードランナー」のリドリー・スコット監督なども続かず,現代のSFはもっとスペオペ的なテイストに寄っていたはずです。極度乾燥(しなさい)!
あとキング氏の作品を実写化したものと言えば,近年では「イン・ザ・トール・グラス -狂気の迷路-」や「ザ・ミスト」もありましたが,これらは原作やテイストどうこうではなく「Netflixは頼むからソレ系をいい加減にしてくれ……」と思う次第です。Netflix,連続ドラマは「アンブレラアカデミー」とか「ストレンジャー・シングス」とか(つい先日シーズン4のトレイラーが公開されましたねえ!)面白いですし,ドキュメンタリも「ハイスコア ゲーム黄金時代」などスゴいものがありますが,時折やっべえのを放り込んでくる,とくに原作モノでやらかすのはマジで何なんでしょう。「リーグ・オブ・レジェンド」のアニメ「Arcane」や,実写版「ウィッチャー」のシーズン2などは普通に楽しみにしていますけど,なにゆえ定期的に悲劇を産み出すのでしょう。あと,どうしてオリジナルアニメは往年のGONZOみたいなテイストばかりなのでしょう。
そんな感じで,キング氏とかキューブリック監督とかNetflixとかの話を,皆さんが「今読んでるの『ぴあ』か『映画秘宝』だっけ?」と錯覚するまで続けることもできますし,「見てくれよ! ココナッツジャパンエンターテイメントから1994年に発売された,もはやキング感のカケラも無いスーパーファミコン用ソフト『バーチャルウォーズ』!」と斜め上に突き抜けることもできますが,今回は先々週の予告どおり,筐体特集パート2として「龍が如く」シリーズ&「SEGA AGES」シリーズでやっていきましょう。
とはいえ,今回の映画話はほとんどタイトルを並べているだけなので,改めて“刑務所映画”というラインで1作言及しますと,現在「モンスターハンター」が全国の劇場で上映中のポール・W・S・アンダーソン監督による「デス・レース」は,「マリオカート×カーマゲドン×ツイステッドメタル」といった感じでゲーマー的にも非常に(※以下やっぱりボンクラ映画話が1万5000字くらい続くので割愛)
セガのジョイジョイなテレフォンにCall!!
アーケードの汎用キャビネットで人気投票をしたら,1位を獲得するのはまず間違いなくセガの「アストロシティ」でしょう。セガトイズから「アストロシティミニ」が発売されていますし,ウェーブからプラモデルも出ていますし,スマホスタンドとして使えるペーパークラフトもありますし,15年くらい前にもセガプライズの「SEGAゲームハード ぼくのゲームセンター」シリーズでミニチュア化されていました。
ただアストロシティって,バーチャル化されたり壁紙になったりする機会は妙に恵まれていないように気がします。あるいはすぐニッチに向かおうとするという“セガセガしい”一面なのでしょうか,例えば「SEGA AGES」シリーズに出てくるのは「T-13」や「エアロシティ」!
Nintendo Switch「SEGA AGES ファンタジーゾーン」や「SEGA AGES ワンダーボーイ モンスターランド」に壁紙として収録されているT-13は,18インチのブラウン管を搭載したテーブル筐体で,俗に“セガテーブル”と呼ばれていたりもします。ちなみに筆者としては「学生時代ホームにしていた某ハイテクセガにはテーブル筐体を4台並べたレトロゲームコーナーがあったけど,この筐体だったかな……?」ぐらいの距離感です。
セガ製汎用筐体の系譜としては,T-13とエアロシティの間に「シティキャビネット」が存在します。それと出会えるのが1988年を舞台とした「龍が如く0 誓いの場所」。カプコンのステイタスと同じく「テーブル筐体ほど平たくはないけど,1990年代の筐体ほど立ち上がってもいない」画面の傾斜角に,時代の空気を感じますね。
2005年を舞台にした「龍が如く」では,当時の最新筐体である「ネットシティ」が登場……してるように見えるんですけど,実はネットシティ“そのもの”じゃないんですよねコレ。正面から見るとネットシティっぽいのですが,横から見るとブラストシティっぽい寸胴デザイン。このネットシティ風謎筐体,ポリゴン削減のためにこのような形状になったのだろうとは思いますが,改めて見ると不思議な存在です。
ですが「龍が如く3」(PC / PS4 / PS3)で,アストロシティの後輩にしてネットシティの先輩である「ブラストシティ」が登場して以降,「龍が如く」ワールドのゲームセンターはブラストシティが主流となりました。「龍が如く」のリメイクである「龍が如く 極」(PS4 / PS3 / PC)でも,ネットシティ風謎筐体に替わってブラストシティが登場しています。
また,ブラストシティと共に「龍が如く」ワールドに登場したのが,ネットシティの後継機にしてセガ初の液晶ディスプレイ採用タイプである「リンドバーグ」筐体! ”斜めのライン”をデザイン上の基軸にしていたシティシリーズとは一線を画し,“直線・垂直のライン”をデザイン上の基軸としたリンドバーグ筐体は,某ハイテクセガで初遭遇したとき,その32インチという(当時としては)驚愕の大画面と,第1弾タイトルである「バーチャファイター5」の(当時としては)フォトリアルなグラフィックスから,「明らかに時代が変わった!」というインパクトを受けました。……まあインパクトを受けつつも,当時はブラストシティで「ラジルギ」「トリガーハートエグゼリカ」「鋳薔薇」,バーサスシティで「電脳戦機バーチャロン オラトリオ・タングラム ver.5.66」を頑張っていて,だいたいNAOMI姉さんとお付き合いしているシティボーイをけっこう長く続けることになりましたが。
それにしてもアストロシティって,「Hi sCoool! セハガール」に登場したりもしているのに,なぜゲームだと微妙にハブられがちなのでしょう。「ダイナマイト刑事2」でも出てきたのはブラストシティ(ゲーム内表記は「ブラスト シティー」)でした。なんか大爆発していた気もしますけど。
嗚呼栄光の50インチ筐体
また,セガの汎用ビデオ筐体はシティ系だけではありません。1990年代には最大で4Pコンパネまで対応した「マルチキャビネットスイング」や,50インチのプロジェクションディスプレイを搭載した「メガロ50」といった筐体もリリースされました。
50インチ筐体って,当時かなり流行りましたよね。ブラウン管ディスプレイでは30インチ台が運用の困難もあって実質的な限界でしたが,プロジェクションディスプレイの採用で画面サイズのブレイクスルーが起こり,一例としてはタイトーからも「テアトロ50」および同EXがリリースされています。「ダライアス コズミックリベレーション」(PS4 / Nintendo Switch)への収録および単品ダウンロード版の発売といった形で2月25日にリリースされた「GダライアスHD」には,テアトロ50(EX)の壁紙が収録されていて,ゲームプレイをアーケードの雰囲気で彩ることが可能です。
「ダライアス コズミックリベレーション」に収録される「GダライアスHD」と「ダライアスバースト アナザークロニクルEX+」の新情報が公開
タイトーは本日(2021年1月19日),2月25日発売予定のシューティングゲーム「ダライアス コズミックリベレーション」に収録される「GダライアスHD」と「ダライアスバースト アナザークロニクルEX+」の新たな情報を公開した。
そのほかにもカプコンの「NEW OOB-50」,ナムコの「アリーナサイト」,SNKの「NEO50」など,50インチ筐体はビデオゲームコーナーの花形となっていました。テアトロ50(EX)にはシートの振動ギミックがあったり,シートの背もたれにもレバーおよびボタンの取付部があって4人プレイに対応したもの(記憶にあるだけで,どこの筐体なのか分からないのですが)があったりと,大きい分だけ特殊なギミックが組み込まれていたのも印象的ですね。
これらの筐体は80〜100万円ぐらいの価格帯だったそうですが,それにしても最近のディスプレイ(テレビ)は安価なものだと4K対応50インチで5万円を切っていたり(筆者宅の近所にあるホームセンター調べ)して,随分安くなったものです。1990年代末頃なんて19型CRTが10万円切り〜40万円代(ブラウン管は価格差が大きかったですね),12型TFT液晶ディスプレイが10万円切りくらいだったのに。……いや,むしろ今19インチのトリニトロンがアナログ/デジタル両入力で「レトロゲームに!」って発売されたら,10万円代でも「安い!」って思うかもな……?
余談ですが,2000年頃に筆者の行動範囲にあったゲームセンターは,50インチ筐体にSNKの「メタルスラッグ3」がよく入っていた覚えがあります。ゲーム自体は屈指の神ゲーで,どうにか1コンティニューでクリアできるくらいまでやりこんだほど大好きなタイトルなんですが,あまり「画面がデカいほど良い! ギャラリー映えもする!」みたいなタイトルではないとも思うんですよね。なぜ某エリアでは「メタルスラッグ3」がよく50インチ筐体に入っていたのでしょうか。また,皆さんの周りの「50インチ筐体に入ってたゲー」もお聞きしてみたいところです。
だけどやっぱりゲーセンに(いろいろ留意しつつ)行こう!
といった感じで前回に引き続き,ゲームで再現された筐体を見てきましたが,やっぱり結局のところ絵に描いた餅であり,モッチモチのモッチッチーです。やはりアーケーダー魂を持つ者なら,ゲームセンターの筐体にコインを入れて,コンパネでプレイしてこそ,なんぼのもん! ハイ前回も言った!
ですが今現在,全国のゲームセンターは経営難に襲われています。これも前回の繰り返しになるので長い話は避けますが,かねてより衰退・縮小の状況下にあったビデオゲーム中心型ゲームセンターの置かれた現状は,「回復呪文がホイミしか無いのにスリップダメージを受けているうえマホトーン食らった」みたいなものです。やくそうが尽きたら死にます。
それでもアーケード向けビデオゲームの灯は絶えてはいません。exA-Arcadiaでの「P-47 ACES改」や「アルカナハート3 LOVE MAX SIX STARS!!!!!! XTEND」の展開が発表されましたし,サクセスは「コットン」の新作をアーケード向けに開発中,エムツーは「戦刃アレスタ」をALL.Net P-ras MULTI バージョン3でリリースする予定です(緊急事態宣言を受けて,ロケテストおよび稼働開始時期が延期となりましたが)。さらに6月1日には名古屋市博物館で企画展「ゲーセンミュージアム〜この夏、博物館はゲームセンターになります。〜」がスタートします。
映画で言えば,自宅に50インチの4Kテレビを気楽に置けるうえインターネットで何万本という映画にアクセスできる時代になっても,「映画館で映画を観る」という体験は,未だ「映画館で映画を観る」ことでしか得られません。「ゲームセンターでアーケードゲームを遊ぶ」ことも同様で,壮大なゲームを家庭で遊べるようになった現在でも,未だ“ゲームセンターでプレイする面白さ”を家庭に持ち込むことは不可能ですし,だからこそ「アーケード向けに出そう!」と頑張っている方々がいます。
いつかは家庭に持ち込めるだけの技術が確立されるでしょうが,技術が満ちるよりも“ゲームセンターでプレイする面白さ”が忘れ去られるスピードのほうが,ずっと早いでしょう。例えばデータイーストの「デコカセットシステム」は,ゲーム保存協会のルドン・ジョゼフ氏が保守・管理に取り組まなければ,今はもう「過去の資料にその形跡が見られるのみ」になっていたかもしれません。
つきましては,家庭用ゲームでバチバチと気持ちを盛り上げつつ,可能な限りモリモリとゲームセンターに繰り出していこうではないですか。公衆衛生にはペカペカと気を付けつつ! と言っても先日の筆者みたいに,休業中の秋葉原Heyの前で立ち尽くすようなこともありえますので,情報収集もしつつ! そして前回言及した「全国ゲーム屋コロナウイルス対応支援窓口一覧」やCi-enを見てチャリチャリとチャリティったり,そのほか「さきクレ」や「ゲーマコネクト」でバシバシとお支払ったりしつつ!
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- 編集部:早苗月 ハンバーグ食べ男
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