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[TGS2022]「勝利の女神:NIKKE」ディレクターインタビュー。社内コンペをきっかけに,キム・ヒョンテ氏が発想し,SHIFT UPが作品にした
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印刷2022/09/20 12:58

インタビュー

[TGS2022]「勝利の女神:NIKKE」ディレクターインタビュー。社内コンペをきっかけに,キム・ヒョンテ氏が発想し,SHIFT UPが作品にした

 東京ゲームショウ2022の出展タイトルで,Level Infiniteが配信予定の「勝利の女神:NIKKE」iOS / Android)より,SHIFT UP代表取締役であるキム・ヒョンテ氏のインタビューを掲載済みだが,続けてディレクターであるヒョンソク・ユー氏のインタビューをお届けする。

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[TGS2022]キム・ヒョンテ氏に「勝利の女神:NIKKE」インタビュー。2Dイラストの後ろ姿を見る,それ自体の斬新さ

 TGS 2022に出展されたスマホゲーム「勝利の女神:NIKKE」の開発指揮を執る,プロデューサー兼イラストレーターのキム・ヒョンテ氏にインタビューする機会を得た。2Dイラストの後ろ姿,それ自体の斬新さに気付かされる。

[2022/09/20 12:57]

 キム・ヒョンテ氏の「2Dイラストの背中を見せたい」というアイデアから,さまざまな試行錯誤で形作っていったという本作。

 その企画の成り立ちについて探っていこう。

“背中で魅せる”写真左からキム・ヒョンテ氏ヒョンソク・ユー氏
画像集 No.001のサムネイル画像 / [TGS2022]「勝利の女神:NIKKE」ディレクターインタビュー。社内コンペをきっかけに,キム・ヒョンテ氏が発想し,SHIFT UPが作品にした

画像集 No.002のサムネイル画像 / [TGS2022]「勝利の女神:NIKKE」ディレクターインタビュー。社内コンペをきっかけに,キム・ヒョンテ氏が発想し,SHIFT UPが作品にした


会社の企画コンペからはじまり
キム・ヒョンテ氏のアイデアをもとに
SHIFT UPのゲームを作っていった


4Gamer:
 “背中を魅せる”という発想はどこで生まれたのでしょう。

ヒョンソク・ユー氏(以下,ヒョンソク氏):
 それについてはNIKKEの由来からお話ししますが,弊社では4年前,社内スタッフを対象にゲーム企画コンペが行われました。賞金も1億ウォン(日本円で約1千万円)を用意したリッチなコンペで,そこで最優秀に選ばれたのが,NIKKEの前身となるゲームだったんです。
 ただし当時は“キャラクターの後ろ姿を見せる”といった発想はなく,横から見た構図のガンシューティングだったのですが,それを見たキム・ヒョンテが「このゲームはキャラクターの正面と背面,銃撃中や遮蔽中の姿勢があったほうが絶対にいい」と確信を持って発言しました。それをきっかけに,プロジェクトが発足したのです。

4Gamer:
 その発言に,スタッフは納得できたのでしょうか。

ヒョンソク氏:
 正直に言うと,ピンとはきたものの,キム・ヒョンテの頭のなかのイメージを100%理解できていたわけではありません。ただ,それでもみんな「やってみよう」と受け入れたわけですね。
 とはいえ,当時はまだ現在のNIKKEの構図ではなく,いくつものパターンで試行錯誤しました。制作物をキム・ヒョンテに見せると「いやそれじゃない」「考えているのはこうじゃない」と言われ,ビジョンが共有されるまで,だいぶ時間もかかって。

4Gamer:
 3Dモデルにする,といった手法は最初からナシでしたか。

ヒョンソク氏:
 2Dイラストを,3Dモデルにするか,2Dの姿のままでいくか,そこも最初に議論したところです。当時はモバイルとブラウザ向けのゲーム「デスティニーチャイルド」の運営まっただ中であり,そこでの開発で培った2Dノウハウが社内に蓄積されていました。
 弊社が3Dに舵を切ったら,さらに新しい技術を積み上げていかなければなりません。競合他社に勝つためにも,蓄積したノウハウがあり,得意分野でもある,キム・ヒョンテの2Dイラストをより活かしたほうがいいだろうということになって,NIKKEの3D案はすぐになくなりました。

4Gamer:
 つまり,NIKKEは最初から,キム・ヒョンテさんが描いていた理想のイメージに向かって作られていったゲームなんですか。

ヒョンソク氏:
 キム・ヒョンテの脳内には,当時から今のNIKKEの姿があったんだと思います。しかし,ビジョンを具体化し,全員で共有してゲーム開発をスタートさせてからは,開発スタッフたちが実務で力を発揮していきました。ですから,皆さんにお見せしているNIKKEは,キム・ヒョンテが想像していたものより,ずっと進化したゲームに仕上がっています。

画像集 No.003のサムネイル画像 / [TGS2022]「勝利の女神:NIKKE」ディレクターインタビュー。社内コンペをきっかけに,キム・ヒョンテ氏が発想し,SHIFT UPが作品にした

4Gamer:
 コンペの原型を,キム・ヒョンテさんが想像し,開発スタッフが磨いていって,SHIFT UPで形作った。そういうゲームなのですね。
 ではヒョンソクさんの思う,NIKKEの魅力はなんでしょう。

ヒョンソク氏:
 セールスポイントは多種多様ですが,なかでも核はSHIFT UPならではのキャラクタービジュアルと,ゲーム性を支えるガンシューティングだと言えます。そのほかもいろいろあって,一口では語れませんので,個人的には「二次元ゲームのテーマパークのような作品」だと呼んでいます。
 キャラクターもストーリーもバトルも育成要素も,その1つ1つをプレイヤーの皆さんが見て,楽しんでくれればと思っています。

4Gamer:
 世界観を作るうえで大事にしていることはなんですか。

ヒョンソク氏:
 第一に没入感です。どうすれば物語や体験をナラティブなものとして受け取ってもらい,プレイヤーの皆さんがゲームの世界に没入できるのか,そういった面を考えて世界観を組んでいます。
 世界観については,シリアスさやハードさが目立つかもしれませんが,愉快なやり取りや甘い感じのシーンもあったりなど,従来の二次元ゲームのような一面も,そうではない側面と同じく,たくさんあります。

画像集 No.004のサムネイル画像 / [TGS2022]「勝利の女神:NIKKE」ディレクターインタビュー。社内コンペをきっかけに,キム・ヒョンテ氏が発想し,SHIFT UPが作品にした

4Gamer:
 最近,あるいはTGS会場の出展作品もそうですが,ゲームの世界観として「終末世界(ポストアポカリプス)」を主題に選ぶタイトルが増えています。NIKKEはなぜ終末世界だったのでしょう。

ヒョンソク氏:
 NIKKEのシナリオは,企画発足時からかなり悩んで,キム・ヒョンテも含めて何度も議論しました。結論は「終末世界ものが,我々が一番好きで,一番得意で,一番やりたいことだから」でした。むしろ,そのときの会議であらためて,キム・ヒョンテも私もシナリオライターも全員「終末ものが好きだ!」と再確認できまして(笑)。
 自分でコンテンツを楽しむときもそう,作るときもそうなので,ならば好きで得意なことをやったほうがいいですし,何よりユーザーの思いに応えられるはずです。結論を出してからは深く悩むこともなく,真っすぐにやりたいことだけを追求してきました。

4Gamer:
 市場全体で見るなら,どう捉えていますか。

ヒョンソク氏:
 ここ数年,ゲーム市場で終末世界ものが大幅に増えているのは私たちも認識していて,それらが気にならないといえばウソになります……いや,気になっています(笑)。
 でも,私たちSHIFT UPが“一番いい終末世界もの”を作れると思っているので,今後も迷わずに開発を進めていきたいです。

4Gamer:
 ちなみに,世界観が終末世界であることの利点はありますか。

ヒョンソク氏:
 非常に極端な状況に置かれた環境であることで,“登場人物たちの個性や感情を極大化しやすい”ところが,ストーリーや空気感を届けるうえでの最大のメリットになると考えています。
 壊れた世界であるからこその気持ちを増幅し,最大化しても違和感がない。逆に平和な世界で表現できることも,ギャップを作って見せられる。そういった素材としての利便性は確実にありますね。

画像集 No.005のサムネイル画像 / [TGS2022]「勝利の女神:NIKKE」ディレクターインタビュー。社内コンペをきっかけに,キム・ヒョンテ氏が発想し,SHIFT UPが作品にした

4Gamer:
 NIKKEのサービス開始後,何か目標を置いていますか。

ヒョンソク氏:
 一番の目標は,運営を長く続けられることです。長年にわたって愛してもらえるロングランが,私たちの夢です。
 もちろん,そのための面白さはがんばって構築してきたので,楽しんでもらえる自信があります。会社である以上,セールスも重要ですが,そこは結果の話。まずはSHIFT UPがNIKKEに込めたゲームとしての哲学を,皆さんに受け取ってもらえるか,納得してもらえるかが重要です。多くの人たちに楽しんでもらえるかを第一に考え,当面はNIKKEのローンチに向けてがんばっていきます。

4Gamer:
 最後に,今後の意気込みをお願いします。

ヒョンソク氏:
 市場のタイトル数は増加の一途ですが,その反面,「楽しさの種類」は年々減ってきている印象です。似通ったゲームがたくさん出ているのは,ある意味では市場が安定化したとも言えますが。
 SHIFT UPは,その安定化した市場に刺激を与えたい。まだNIKKEが成功するかどうかは分かりませんが,私たちがやっていることが,他社や市場,そしてユーザーにとっていい刺激になれば,とても嬉しいです。

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