プレイレポート
未来の仮想現実ゲームの世界が……実は? ファンタジーアートRPG「二ノ国:Cross Worlds」を先行プレイ
しかし,二ノ国は仮想世界なんてものではなくて――。
過去作を知る人は「しーっ……」で。といっても公式サイトでも明らかになっているわけだが,ともかくそんなストーリーが描かれるはじまるファンタジーアートRPGが,新作スマホゲーム「二ノ国: Cross Worlds」(iOS / Android。以下ニノクロ)だ。
開発はNetmarbleの「リネージュ2 レボリューション」チーム。運営はネットマーブルジャパン。配信は2021年6月10日予定となる。
ニノクロは,レベルファイブが手がけた「二ノ国」シリーズの最新作であり,スタジオジブリが担当した初代「二ノ国」のアニメーションの温かいアートを連想させる絵と世界感を引き続き踏襲しつつ,音楽も「風の谷のナウシカ」をはじめとするジブリ作品の劇伴音楽でおなじみ,久石 譲氏が手がけた「二ノ国」シリーズの音楽を使用している。
今回はそんな本作を配信前にプレイする機会を得たので,ストーリーやコンテンツに触れてみての感想をお届けしよう。
「二ノ国: Cross Worlds」公式サイト
「二ノ国: Cross Worlds」ダウンロードページ
「二ノ国: Cross Worlds」ダウンロードページ
※記事中で使用しているプレイ画面のスクリーンショットは,すべて開発中のものであり,今後仕様が変更になる可能性があります
名もなき王国,再建の物語
大企業ミライカンパニーが非公開テストを開始した,仮想現実ゲーム“ソウルダイバーズ”。テストの被験者であるあなたは,現実と見間違えるほどにリアルな幻想世界“二ノ国”に降り立った。
しかし,あなただけが転送されたゲームの開始地点「名もなき王国」は,謎の黒き鎧の騎士と魔物の軍勢に攻められ,炎上していた。
そこであなたは,自分を「どの世界にも属さない人」と呼ぶ女王シアに,国の宝「守護石」を渡され,彼女の従者である珍妙な生物クウとともに遠き地,グレイナス南部へと飛ばされてしまう。
クウと話し合い,2人は近くにある正義と秩序の国「エスタバニア」に助けを求めることにした。そうして,名もなき王国に残してきてしまった女王の女王の安否を探りつつ,王国の再建を目指すことになり――。
■黒騎士 |
■女王シア |
■従者クウ |
といった流れから,エスタバニアを拠点とする冒険が幕を開ける。
序盤の流れは分かりやすく,二ノ国らしい牧歌的なデザインやドラマティックな構図,音楽,カメラワークに冒険心をかき立てられた。
人間種族以外の獣系種も多種多様で,見た目もにぎにぎしい。
そして,昨今のスマホゲームの最前線で求められるであろう品質についても,初見で「これでスマホかあ」と口ずさみたくなるほどだし,開始数分でそうそうに「すげえ」と言いたくなるくらいの出来だ。
つまり,ファンが想像する一定水準をやすやすと越えてくれる。
さて,ゲーム説明の前に注釈をしておこう。本作は“あのリネレボ開発陣の新作”とあって,昨今のスマホ向けMMORPGらしく,遊びやすさも進めやすさも手放しでほめられるほどの出来栄えだが,システムもコンテンツも細部が非常に,ひじょーっに,こまかい。
複雑なのではなく,遊び心がこまかすぎるくらい散らばっている。
バトル中も移動中も,どんな場所・タイミングであってもいろいろな操作や遊びに気軽に触れられる。そんなゲームなのだ。
それだけ覚えて帰ってもらえたら本稿のミッションは達成したようなもの……としつつ,本当に帰ってもらっては困るので解説に進む。
■5人のプレイヤーキャラクター
ニノクロには“全25のゲームサーバー”が存在し,プレイヤーはそのうち一つを選択後,5人のキャラクター(=ジョブ相当)からいずれか1人を選んで物語を進める。違うキャラもゲーム再開時のキャラクター再選択で気軽に触れられるので,最初は誰を選んでも構わない。ただし注意も一点。選んだサーバー次第ではやはり“違うサーバーにいる友人知人とは一緒に遊べない”ので,知り合いと一緒にゲームをはじめたいという人は,あらかじめ示し合わせておくといい。
さて,ここから各キャラクターの特徴を紹介していこう。
登場人物はそれぞれ性格についても言及されているが,作中ではみんな“物を言わぬ主人公”であるため,ボイスでその特徴が引き出されることはあれど,基本的にフレーバー程度に思っておくといい。
○紳士的な剣士「ソードマン」CV:神谷浩史
片手剣を扱い、素早い連続攻撃を得意とする。
紳士的だが少年らしさも併せ持ち、
華麗な剣技で敵を蹴散らす。
中性的な雰囲気の青年。前衛役から補助役までこなせる万能剣士タイプ。操作のしやすさは言わずもがなのポジションだが,キャラクターはどれも扱いやすいので操作性で選ぶ必要はない。気持ちで選ぼう。
○美しき魔法使い「ウィッチ」CV:花澤香菜
魔力を込めた槍を用いて優雅に戦う
完璧主義の魔法使い。
優れた頭脳であらゆる状況に対応できる。
美しき魔女のお姉さん。火力とデバフのメイジアタッカーに相当するが,初期スキルは「浮いてる槍でぶん殴ったり斬りまくったり」と近接色が強い。ゆえに誰でも扱いやすく,殴れる魔法使い好きにオススメ。
○いたずら好きな弓使い「ローグ」CV:内田真礼
トリッキーな動きと弓さばきで敵を混乱させる弓使い。
遠距離アタッカーであるだけでなく、
味方を強化するサポーターの役割も果たす。
元気ないたずら少年系。弓を使った遠距離射撃から,敵への妨害や味方のバフまでサポート面で光る。円状・扇状・直線などの範囲攻撃に優れた射撃スキルを使っているだけでも,敵をバッサバッサと倒せる。
○可愛らしいガンナー「エンジニア」CV:悠木 碧
ライフルを始め、様々な火器を扱う武器の専門家。
戦場では敵を攻撃するだけでなく、
仲間たちを治癒する役割も担う。
銃持ちの小柄な少女。銃器を扱う遠距離アタッカーでいて,味方の回復や復活を司るヒーラーでもある。ソロプレイではポーションがぶ飲みが手早いが,マルチプレイなら1人はほしい,おなじみの急募枠。
○巨体の戦士「デストロイヤー」CV:大塚明夫
巨大なハンマーで強烈な一撃を放つ荒々しい戦士。
戦場で敵を容赦なく攻撃し、
豪快に暴れまわる頼りになる仲間。
見た目どおりのタンクらしいタンク。耐久が人一倍だが,近接火力も優れている。操作性にしても重いかと思いきや,回って飛んで連打してと,なかなかに機敏かつ高速なアクションで敵を粉砕できる。
いずれもデフォルトデザインでキャラが立っているが,キャラクター選択時に髪型や体型,コスチュームの色合いなども変更可能だ。
(テスト版では)プレイ開始後,体型などの一部を除き,髪色や衣装はアイテム製作などで変更できた。本番でどこまで再変更できるのかに期待しつつ,自由に変更できそうな部分はゲーム勘で気楽に選ぼう。
ただし“キャラクター名だけは全キャラ共用”なのに注意。
キャラクターは,レベルや装備で総合値「戦闘力」が増減する。武具は,クエスト報酬やゲーム内素材での製作などで獲得できる。
当面は手に入れたアイテムを片っ端から自動装着,スキルも順次かつ適度にレベルアップしておけば,序盤攻略で困ることはほぼない。
MMORPGらしくマルチ向けを考慮してもよし,まずはこの世界を楽しむためにソロ向けに考えてもよしと,好みで選んでしまおう。
■プレイ&操作感と,心の仲間「イマージェン」
3Dフィールド上の操作は,画面左のバーチャルパッドで移動,画面右のアイコンで通常攻撃・各種スキル(初期3枠。レベルアップで開放),自由に出せるジャンプと,クールタイムありの回避行動などだ。通常攻撃はボタン連打せずとも,長押しでコンボを完走できる。
カメラは切り替え可能,かつオートで追従してくれるが,移動中も戦闘中もできれば“画面内スワイプでカメラ操作”を駆使したい。
スキルにはキャラクターごとのクラススキル,バーストスキル,SPアクティブルスキルなどさまざまだが,このへんはおいおいでいい。
まじめに,とにもかくにも小項目が多いゆえに。
昨今では標準装備が求められるバトルのオート機能は当然として,目当ての魔物を探せるターゲットリスト,PK設定もプレイヤーを攻撃しない「平和」,味方以外を攻撃する「敵対」などを切り替えられる。
ともすれば,ニノクロの雰囲気にPKは似つかわしくないと感じるかもしれないが,すこし進めると「これなら敵対も十分ありだな」と思えるような納得の事態に出会えるので,心変わりしても不思議はない。
そしてクエスト関連は,さすがリネレボチームといったところ。
画面左側のクエストリストをタップすれば,キャラクターが目的地までオート移動,到着後にオート戦闘,ポーションも(厳密にはオプション設定で)勝手にがぶ飲みしてくれて,帰還時の報告まで任せられる。
会話やイベントシーンのほか,一部「手動じゃないとマズい!」な場所では手動に切り替わるが,ながらプレイでも支障は少ない。
またクエスト開始地点が離れた地域であっても,クエスト中は無償,それ以外でもゲーム内ゴールドを支払えば瞬間移動できる。
さらにクエストのオートプレイ中は上記画面のように,装備やコミュニティなどの別画面を開いていても画面裏で自動進行してくれる。
アイテムの整理整頓や友人との会話を済ませて画面を戻すと,メイン画面で次のイベントが発生していたり,ターゲットを殲滅できていたりする。端末省エネモードで延々とレベリングするのも,やはりできる。
ボス相当の敵に関しては,予兆範囲への大ダメージ攻撃もあって手動が最善だが,回避ボタンだけ手動操作など,プレイスタイルはいかようにもできる。スマホ向けMMORPGに慣れていない人も迷わず攻略でき,慣れている人なら今までのノウハウで遊びやすく調節できるなど。
これ一つとっても,遊びやすさはすでに十二分に確保されている。
ニノクロのメインクエストは,レベルや戦闘力(などのキャラクターの強さ)を参照するのではなく「名声ランク」で開放される。
ランクは各地域の住人たちの頼みを聞く,いわゆるおつかい的な名声クエストをこなすことで上がっていく仕組みだ。
まだゲーム中盤と言えるほどには遊べていないが,名声クエストも含めて“全部オート進行でもOK”なプレイサイクルはしっかりと構築されており,ゲームを進めるのに手間に感じるところはなかった。
それよりもコミカルな住人や,きみ何者(?)といった依頼者などなど。本作に散りばめられたユーモアに癒やされるのが先立つ。
冒険の仲間には,ユニークな登場人物たち,パーティを組めるほかのプレイヤーキャラクター,そして移動や戦闘を補助してくれる心強い友「イマージェン」がいる。イマージェンは“環境や物体の心から生まれた生物”で,ゲーム中で仲間にすると最大3体までお供に設定できる。
種類によっては移動中のマウントとして,戦闘中の補佐役として活躍してくれるし,なによりプレイヤーの後ろをついて回る,愛らしい仲間としての存在感もデカい(サイズ的にデカいのもいる)。
ゲーム的な意味では,個体のレベルや固有スキルをはじめ,属性・種族・タイプの組み合わせでキャラクターの戦闘力も変動する。
イマージェンはフィールド上で確保したり,ショップで召喚したり,卵からかえしたりと入手方法も多岐にわたる。なんでも犬や狼,乗り物のロボットに飛行機など,生物も無機物もバリエーション豊富らしい。
ついでに補足すると,フィールド上には“とにかくやたらめったらにオモシロおかしいオブジェクト”がこれでもかというほど存在する。
そのへんに置かれた鉢に水をあげると花が咲く,意味があるのかないのか謎のサイコロを蹴る,お散歩中の猫をグワシとつかんで抱きかかえるなど,すべてを紹介するのはお手上げなくらいである。
桜舞うグレイナス南部からはじまり,メラメラ砂漠,魔女の森,コエルコ雪原などロケーションも四季折々。そこにカッコかわいい主人公,ユーモラスな住人,いとおしいイマージェンに,不思議な物体の数々。
常套句で恐縮だが,歩いているだけで楽しいゲームそのものだ。
■みんなの城「キングダム」
コンテンツ関連も,フォロー&フォロワーを増やす「ソーシャル」,フィールドボスやワールドボスなどの「チャレンジ」,空島で大乱闘できてしまうらしいPvP「戦場」など,豊富に搭載されている。なかでも,ニノクロ最大のコミュニティコンテンツ「キングダム」は,自分だけの,あるいはキングダムマスター&サブマスターらを据えるギルド領のお城をカスタマイズする遊びで,城内の木々の1本1本から城壁の飾りまで,人それぞれのキングダムを作れてしまうものだ。
ニノクロのキャッチコピーである「想像を超える、理想の国へ」の文言的にもピッタリの遊びと言えよう。
キングダムのデコレーションは見た目の変化のみならず,ゲーム的な“キャラクターの戦闘力強化”にもつながっている。またキングダム自体にもレベルがあり,「クエスト攻略」「コインなどの寄付」「王城コンテンツの報酬」「王城実績」などで経験値を獲得可能だ。
キングダムでは,魔物から城を守る協力プレイ「防衛戦」,ほかの領地に攻めるギルド戦「侵攻戦」,大規模総力戦の「遺物の戦場」に,さまざまな特権が与えられる“首都”の地位を争う,頂上決戦「王位争奪戦」など,自分たちの城を使っての遊びも多彩に用意されている。
※「侵攻戦」や「遺物の戦場」など,一部コンテンツについてはサービス開始後に随時実装予定とのこと
なお,上記のうちテストプレイが可能だった「防衛戦」に関しては,ゲーム進行でキングダムを設立したプレイヤー最大50人(以下でも可)で行われる,プレイヤー協力型のGvE(ギルドvsエネミー)だった。
MMORPGであれば,できることならコミュニティに所属してゲームの楽しさを広げておきたい。ただしそれはそれとして,誰しもソロプレイで粛々と遊びたい気持ちもないわけではないので,気軽に協力プレイを体験できるコンテンツとしては非常に有用そうである。
■主な特徴
・キングダムの“心臓”を敵から守る
・修理屋フニャロボット・爆弾ロボット・バリア生成ロボットを製作して配置できる(権限はマスターのみ)
・敵攻撃ウェーブは10まで。10ウェーブ目に強力な“ドラゴン”が出現
・キングダム育成のための経験値も報酬として獲得可能
■タワーの種類
・敵の属性はウィークリー周期でローテーション(予定)
・キングダムレベルが上がると配置できるタワーの種類が増える
・キャノンタワー:火炎の砲弾でダメージを与える
・フローズンタワー:ダメージ+相手の移動速度を下げる
・フレアタワー:ダメージ+相手の命中率を下げる
・コンサートタワー:味方の移動速度を上げる
・シャドウタワー:ダメージ+束縛の状態異常を相手に付与する
■バフ
・キングダム劇場(サブマスターまでの権限で適応)
・キングダム劇場(全員適応できる)
マルチプレイでのコミュニケーション関連もチャットやスタンプ,エモートによる感情表現のほか,一部アイテムのトレード機能(露店機能)も存在する。こういった小粒なシステムはとにかく多い。
幸い,各種機能やコンテンツはキャラクターレベルに応じてアンロックされていくため,最初に覚える必要はない。ゲームを遊びながら,そのときどきのタイミングで自然と触れていけばいいだろう。
この世界には,主人公と同じく現実世界で生活しているプレイヤーたちが冒険者としてログインしており,“ゲームプレイヤーらしい遊び方”で好き勝手する者もいる。これについては,思い当たる節はいくらでもあるだろう。仮に思いつかなかったら,今プレイしているゲームで,物語に沿わずにどんな遊び方をしているのか思い出してみるといい。
ゲームの世界のはずの二ノ国とは,一体なんなのか?
ストーリーでそれが発覚するまでは,一概に彼らを悪く言うことはできないが,つまるところ作中では「二ノ国の住人」「現実世界の人間」,不思議な立場にある「どの世界にも属さない人(あなた)」,それらの垣根を認識している者たちが,ときにシリアスに,ときにコミカルに,ここでの生活を彩ってみせてくれる。
これまでのシリーズとは,ほんのすこし切り口を変えつつ。それでいて違和感はいっさい見せない,二ノ国らしい二ノ国さ。
残念なことに,RPG好きがやらない理由は見つからなかった。
「二ノ国: Cross Worlds」公式サイト
「二ノ国: Cross Worlds」ダウンロードページ
「二ノ国: Cross Worlds」ダウンロードページ
※記事中で使用しているプレイ画面のスクリーンショットは,すべて開発中のものであり,今後仕様が変更になる可能性があります
- 関連タイトル:
二ノ国: Cross Worlds
- 関連タイトル:
二ノ国: Cross Worlds
- この記事のURL:
キーワード
(C)LEVEL-5 Inc.(C)Netmarble Corp. & Netmarble Neo Inc. All Rights Reserved