プレイレポート
2月27日発売「バブルボブル 4 フレンズ」インプレッション。可愛いキャラと奥深いプレイが楽しめる名作が,装いも新たにSwitchに登場
「バブルボブル」は1986年に発表されたアーケードゲーム。「泡はきドラゴン」のバブルンとボブルンが力を合わせて100のステージを攻略していくという内容で,泡の特性を活かしたゲームデザインが素晴らしい,1画面固定型アクションゲームの名作だ。「バブルボブル 4 フレンズ」では,ゲームシステムやグラフィックスが一新された最新作と,オリジナル版を忠実に移植した「バブルボブル」が両方遊べるということで,新旧のプレイヤーどちらもが楽しめるパッケージとなっている。
なお本稿では,最新作のゲームモードを「フレンズ」,オリジナル版が楽しめるモードを「オリジナル」と表記している。また泡を使ったテクニックのいくつかには正式名称がないようなので,筆者が馴染んでいる俗称を使って紹介していくので,あらかじめご了承いただきたい。
「バブルボブル 4 フレンズ」公式サイト
マイニンテンドーストア内「バブルボブル 4 フレンズ」販売ページ
カワイイ顔して奥深い。名作アクションゲームがSwitchに復活
アーケード版の移植となる「オリジナル」は,吐いた泡で閉じ込めた敵を,背びれや頭突き,踏みつけで割って倒していくアクションゲームだ。敵を全滅させればステージクリアとなる分かりやすいルールで,奥深いプレイや可愛らしいキャラクターを楽しめる。
使うボタンは「泡を吐く」「ジャンプ」のたった2つ。コントローラの多数のボタンを使う近年ゲームに慣れた人からすればシンプルに感じるかもしれないが,泡は攻撃だけでなく,移動にも活用できたりと,工夫のしがいがあるところが面白い。
また先述のとおり,敵を倒すにしても泡を当てるだけではダメで,かつ閉じ込めた敵をまとめて倒す「れんさ割り」を意識することで,攻略に深みが与えられている。うまく決めれば得点に倍率が掛かるうえ,敵を倒すと出現するフード(得点アイテム)で高得点が狙えるのだ。
最初のうちはアバウトに遊んでいてもれんさ割りできるが,ある程度ゲームが進むとそうもいかない。ハイスコアを狙うなら,敵を閉じ込めた泡が1か所にまとまるよう,ステージの形と敵の動きを把握してパターンを組むことが大事になる。この辺りは,1980年代のゲームらしい面白さといえるだろう。
例えば敵を閉じ込めた泡の間が少し離れていても,「隣り合った泡は連鎖して割れていく」という性質を利用し,出した泡でつないでおけば,まとめて倒すことが可能。こうした工夫で一気に倒せれば気分爽快で,かつ得点的にもお得感がある。
またステージによっては敵がすぐに逃げ出したり,地形が複雑だったりで,れんさ割りが困難な場合もある。そんなときは各個撃破に切り替えるのがポイントだ。敵を本当のギリギリまで引きつけ,泡へ閉じ込めると同時に割る,通称「かぶりつき」や,割ると炎や水,稲妻がほとばしる特殊バブルを利用した攻撃を駆使して進んで行こう。
さらにジャンプボタンを押しっぱなしにすることで,泡の上で飛び跳ねる「あわジャンプ」もあり,ステージ内に流れる「気流」に乗って漂う泡の性質と組み合わせることで,普通のジャンプでは届かない高所に登ることも。また泡の上でジャンプ→ジャンプした先で再び泡を吐いてジャンプ……と繰り返すことで,足場がない場所を駆け上がる,通称「階段登り」といったテクニックもある。これらを駆使し,またステージごとのパターンを熟知することで,敵をあっというまに処理できるようになる。ときには,敵が動き出す前に全滅させられるほどだ。
泡が持つ3つの性質,すなわち「中に何かを包む込むことができる」「衝撃があると割れる」「風で漂う」という要素を,一つのアクションに凝縮したのが本作のメカニクスの肝なのだ。一つの要素にさまざまな使い方を盛り込むことで幅を広げるゲームデザインは1980〜90年代のゲームに良く見られたものだが,中でも「バブルボブル」は,群を抜いてこれがうまかったタイトルと言えるだろう。今となっては決して広くはない画面の中に,これだけ濃密なアクションを詰め込んだ本作には,今回の再プレイを通し,改めて感心させられてしまったほどだ。
進行をセーブできなかったり,ディスクシステム版にはあったステージセレクトがなかったりと不満がないではないが,インディーズゲームの流行で,ドット絵の魅力やシンプルなゲームデザインの大切さに脚光が当たる今だからこそ,遊んだことのない人にも一度は触れて欲しい。なおゲームデザイナーのMTJこと故・三辻富貴朗氏は,生前本作について「女性やカップルをゲームセンターに呼び込むことを意識して作った」と語っており,そうした点はキュートなキャラクターデザインや,スイーツいっぱいのアイテムなどに垣間見ることができる。当時のアーケード事情なども想像しつつ,プレイしてみるのもまた一興ではないだろうか。
名作の血脈を受け継ぎつつ,新たな境地を拓いた「バブルボブル 4 フレンズ」
さて,オリジナル版の解説が長くなってしまったが,完全新作である「フレンズ」についても紹介していこう。
「バブルン」「ボブルン」「クルルン」「コロロン」(「バブルシンフォニー」に登場した面々だが,物語的なつながりはないようだ)の最大4人でプレイできる「フレンズ」だが,基本ルールは「オリジナル」と変わらない。大きく変化したのは「スキル」と「しゃがみ歩き」の2つの新アクションだ。
「スキル」は[L]か[R]で発動する特殊技で,ボスを倒しワールドをクリアするごとに新しいものが増えていく。ただし,装備できるのは1つだけ。敵が多いなら,割ると横一直線に稲妻が走る泡が吐けるようになる「サンダーバブル」や,時間経過で爆発する泡を吐く「ボムバブル」がオススメ。気流が激しいステージなら,一定時間気流を止める「ストップウィンド」などもいい。状況に合わせて選びたい。
とくに面白いのが「ダッシュ」のスキルで,名前こそ地味だが,短時間無敵になって敵をすり抜けられるうえ,ジャンプ中にも使用可能。間合いを一気に詰めて強襲したり,ステージをショートカットしたりもできて,使い方次第でさまざまな可能性がありそうだ。
「しゃがみ歩き」は,バブルン達がかがんだ低い姿勢で移動するもので,これを使って狭い通路をとおり抜けたり,敵の飛び道具をかわしたりできる。とくにボス戦では重要になるので,しっかり使いこなしたい。
敵の動きを見極めた「れんさ割り」や,「あわジャンプ」「階段登り」といったテクニックも,依然として使用可能で,攻略には重要な要素だ。「れんさ割り」によるフードの高得点化や,ステージクリア時の巨大な「クリアフード」も残っており,「バブルボブルしているじゃないか!」と喜ばしく感じられた。
そのほかの新要素としては,画面比率が4:3から16:9となり,多人数プレイに対応するためかステージは全体的に広めになっていること,またバブルン達の基礎性能が,「オリジナル」よりも向上している点が挙げられる。
前者は1人プレイだとミスしたときのダウンタイムが伸びがちになってやっかいだが,多人数プレイだと攻略を分担したり,ほかのプレイヤーをジャンプの踏み台にできたりもするようなので,新たな定石が見つかる可能性もありそうだ。
後者は,「オリジナル」におけるパワーアップアイテムがスポイルされたことの裏返しとして,基本性能が向上しているようで,ミスしたときのリカバリーが効きやすいことを鑑みても,かなり遊びやすくなっていると感じられた。また同じステージで何度もミスすると,「ムテキでコンティニューする」が解禁となり,とりあえずクリアはできるようになる。初心者にはありがたい要素と言えるのではないだろうか。
先人への多くのリスペクトが散りばめられた良作
初代「バブルボブル」から34年,前作「バブルメモリーズ」から24年もの時が過ぎ,ゲームをめぐる状況が変化した中で生まれた「バブルボブル 4 フレンズ」。「れんさ割り」やフード集めの気持ち良さ,泡の特性を活かしたアクションなど,オリジナルの良いところを受け継ぎつつ,新たな要素を加えた本作は,先人への多くのリスペクトが散りばめられた良作と言える。
その一端は,例えばオリジナルとよく似た構成のステージだったり,故・三辻氏へ献辞を捧げたステージだったり,あるいは「ムテキでコンティニューする」オプションにあしらわれた初代の無敵化アイテム「ちゃっくんハート」だったりに見ることができ,筆者のような旧来のファンには嬉しいばかりだ。広くなったステージや,パワーアップアイテムのスポイルなど,好みが分かれる部分はあれど,2020年に「バブルボブル」を作ろうとするスタッフ陣の気概は,しっかりと感じられた。
かつてタイトーが得意としていた1画面型アクションだが,今やめっきり新作も少なくなってしまった。名作「バブルボブル」も,派生作である「パズルボブル」の大ヒットで,バブルンとボブルンを見ても「ああ,パズルボブルのキャラだね」と認識されることも少なくない。そんな今だからこそ,「バブルボブル」の面白さに改めて触れてみてほしい。マイニンテンドーストアでは「あらかじめダウンロード」もスタートしているので,ぜひお試しあれ。
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