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3DアクションADV「黄昏ニ眠ル街」プレイレポート。美しいビジュアルを軸に,探索の喜びを途切れさせない巧みな設計が光る
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印刷2021/04/14 12:00

プレイレポート

3DアクションADV「黄昏ニ眠ル街」プレイレポート。美しいビジュアルを軸に,探索の喜びを途切れさせない巧みな設計が光る

 PLAYISMは本日(2021年4月14日),オリエンタルファンタジー探索アドベンチャー「黄昏ニ眠ル街」を,SteamとGOG.comでリリースする。

画像集#001のサムネイル/3DアクションADV「黄昏ニ眠ル街」プレイレポート。美しいビジュアルを軸に,探索の喜びを途切れさせない巧みな設計が光る

 黄昏ニ眠ル街は,「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」のプロダクションアートなど,数多くのゲーム作品に携わったイラストレーター・nocras氏による個人制作タイトルとして発表された作品だ。

 発表当時から個人制作とは思えないほどに洗練されたビジュアルで話題を集めており,そのゲーム内容が気になっている人は多いはず。そんな本作を実際に遊んでみたので,プレイレポートをお届けしよう。

「黄昏ニ眠ル街」公式サイト



シンプルなのに探索の手が止まらない
美しい世界を探索する3D探索アドベンチャー


 まずは,導入部分を軽く紹介しよう。主人公のユクモは,飛行船で世界を旅する少女。彼女は東洋の街へと向かう途中,未知の力による干渉を受けて不時着を余儀なくされる。

 なんとか無事に着陸に成功したものの,そこは深い霧に包まれた街。周囲には人の気配がほとんど存在せず,不気味な静寂に包まれていた。

光や水面の表現に注目。飛行船のパーツの隙間から,奥に隠れた光が覗く様子など,普通に飛んでいる途中に視点を変えるだけで美しく映る
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ユクモが不時着した静閑渓谷。寂れた小さな村があり,放棄された民家はユクモの拠点となる
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 ユクモが出会ったネズ族のコガラによると,住民たちは街を包む「黄昏の霧」に追われるように出ていってしまったのだという。飛行船の故障も,この黄昏の霧が原因のようだ。

 霧を払うためには,街の各所に隠された「大地の源」を集め,聖域に鎮座する“神木”の加護を受ける必要がある。ユクモは飛行船を修理して旅を続けるため,そしてコガラや街を救うため,霧に包まれた街を探索することになる。

ユクモに状況を教えてくれるネズ族のコガラ。ユクモが拠点にする民家のお手伝いとして働いていたようだが,人々が土地を去ってしまい途方に暮れている
画像集#008のサムネイル/3DアクションADV「黄昏ニ眠ル街」プレイレポート。美しいビジュアルを軸に,探索の喜びを途切れさせない巧みな設計が光る

探索の拠点となる民家には,一定数の大地の源を集めることで開く扉も設置されている。そのほかの収集アイテムもこの民家に設置されるので,定期的に帰って確認してみよう
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 ゲームの大目標は街を探索し,それぞれの街に存在する神木から加護を受けることだ。神木は“聖域”と呼ばれる場所に存在しており,これを攻略することで街に立ち込める霧が晴れていく。神木の加護を受け霧が晴れたら次の街へのルートが開放される。これを繰り返しゲームを進めていくわけだ。

 ただし,聖域への侵入や,新たな街への移動を行うためには,大地の源を一定数以上集めなければならない。そのため,新たな街に訪れた際は,大地の源を収集しながら街の構造を覚え,その中で聖域探しをするのが良いだろう。いわゆる“敵”は存在せず,攻撃にあたる動作も存在しない。ジャンプなどの基本動作を駆使しつつ,自分のペースでゆったりと探索を進めよう。

落下すると元の足場に戻されてしまうが,残機や体力の概念は存在せず,すぐにリトライができる。何度も繰り返しチャレンジして,先に進む方法を探そう
画像集#012のサムネイル/3DアクションADV「黄昏ニ眠ル街」プレイレポート。美しいビジュアルを軸に,探索の喜びを途切れさせない巧みな設計が光る

 それぞれの聖域には,不安定な足場を乗り継ぎながら先へ進むアスレチックやパズルといった試練が待ち受けており,これを突破することで神木にたどり着くことができる。
 神木の加護を受けると街が霧から開放されるだけでなく,急速落下や二段ジャンプといった新たなアクションがアンロックされるので,加護を受けるほど探索範囲が広がっていく仕組みだ。

 聖域での試練はさほどイジワルなものではなく,どの試練も数回チャレンジすればスパッとクリアできる程度の難度だ。街の各所に落ちている“おカネ”を支払えば試練をスキップすることも可能なので,アクションが苦手な人でもしっかり探索しておけば無理なくゲームを進められるだろう。

霧が晴れると聖域や街の見通しが良くなり,住民も帰ってくる。試練をクリアしたら,もう一度街を歩き回ってみよう
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街に配置されたおカネは,マップを切り替えれば復活する。光っている場所を見つけたら,探索のついでに拾っておこう
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ゲームの中盤以降には,おカネを支払って衣装や家具を購入できるショップ(旅館)も登場する。試練でおカネを使わないスタイルの人は,余ったおカネでオシャレを楽しんでみるのもアリ
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アクションがアンロックされる場面では,すぐ近くに新しいアクションを試すためのギミックが用意されている
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 注目すべきは,なんといっても霧から解き放たれた街の美しさだ。霧に包まれた物寂しい雰囲気の街が,一気に光に満ちた美しい街に変貌する様子には感動させられてしまった。

 また,霧が晴れた街のオブジェクト(ジャンプ台や船など)は機能を取り戻し,一部の住民も帰ってきて会話が可能になる。その結果,神木に触れるまでは眺めるしかなかった場所にも行けるようになるので,ビジュアルの変化だけでなく探索がより楽しくなるのも嬉しい。

霧が晴れる前と,晴れた後に近いアングルで撮影したスクリーンショット。街全体の見通しが非常に良くなっているのが分かるだろう
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いずれの街も「見えるところは行ける」と言えるほど開放的に作られていて,到達が難しい場所にはたいてい大地の源が置かれている
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ゲームを進めてから以前に開放した街に戻ると,新たなオブジェクトや住民が登場することもある。より多くの大地の源が必要になったら,クリア済みの街に戻ってみよう
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ゲーム後半に入ると街で飛行船を飛ばせるようになり,フライトシム系のゲームでお馴染みの“リングくぐり”のようなギミックも出現する
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 さらに,やりこみ要素やオマケ的な遊び要素も随所に用意されている。
 例えば,それぞれの聖域に用意された試練は専用の灯籠に触れることでクリア扱いになるのだが,後半に獲得できる能力を使わなければ攻略できない特殊なルートも存在する。こういった特殊ルートでは高難度なアクションを要求されるが,それでこそやり甲斐があるというものだろう。

初めて訪れた段階では,遠くに光る大地の源を眺めることしかできないが,ゲームが進めば取得可能になる。霧が晴れた街では,聖域の内部も霧が晴れて見た目が変化するので,そういった部分にも注目してみよう
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 個人的には,街中でのみ実行できる“フォトモード”でのスクリーンショット撮影が非常に楽しかった。ビジュアル面にこだわりがある作品だけあって,高所から街を一望できる場所や,民家が立ち並ぶ小道,人々の生活を感じさせるオブジェクトなど,写真が映えるポイントは非常に多い。

 本作の公式サイトでは,撮影したスクリーンショットをTwitterの公式ハッシュタグ「#タソマチフォト」をつけてシェアすることを推奨しているので,良いスクリーンショットを撮影できたら投稿してみよう。

フォトモードではキャラクターの視点にとらわれない角度での撮影ができる
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街に隠された時計を使えば,昼と夜を切り替えることができる。夜の月明かりが映えるシーンを撮影したい時はもちろん,隠れた大地の源が発する光を見つけたい時にも便利だ
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 ゲームクリアまでプレイしてみた感想は,プレイヤーのモチベーションを維持する“目標”の配置が非常に巧みだということだ。

 先述の通り,それぞれの街には「聖域の試練をクリアして霧を払う」という大目標が提示されており,プレイヤーは探索しつつ聖域を探すことになる。その道中には,おカネや大地の源といったアイテムがそこかしこに見られ,手の届く範囲にあるアイテムを収集しているうちに聖域に到達できる。小目標が大目標を達成する合間をしっかり埋める構造になっているため,探索を“面倒な作業”と感じることがない。

 クリアした街を再度訪れると発見できる変化も,試練などで手が止まってしまったときの箸休めとして良い役割を果たしてくれている。以前との違いを楽しめるうえ,その探索で入手できるおカネを使えば確実に難所を突破できる。

 以上のように,本作は手を止めるタイミングがないように設計されている。そもそもゲームを構成する要素自体が絞られているのも,探索でプレイヤーが楽しむべきポイントを明確化する意図があるのかもしれない。

大地の源の隠し方はそこまで複雑ではなく,ちゃんと探索していれば先に進むにあたって必要な数は十分集まる程度の難度に抑えられている
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 エンディングまではだいたい5時間前後でたどりつけると思うが,それぞれの街に隠された探索要素をしっかりとやりこめば,より長く本作の世界を楽しめるだろう。

 触れられるオブジェクトに表示されるアイコンが微妙に見辛かったり,キャラクターの表情にあまり変化がなかったりと,気になった点もあるにはあるが,本作独自の魅力を損なうものではない。休日に軽い観光を楽しむ感覚で遊べる作品を探している人は,ぜひ本作に触れてみてほしい。

街に隠された大地の源は,フォトモードでも確認できる。ちょっと入り組んだ場所を探索したい時には意外と便利なので,覚えておこう
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「黄昏ニ眠ル街」公式サイト

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