プレイレポート
「ディスガイア6」を自動戦闘の放置ゲームにできる!? 奥深く快適に使えるAIエディットシステムを紹介
ディスガイアシリーズといえば,インフレした数値ややり込み要素によって,キャラクター育成の楽しさが魅力となっているSRPGだが,本作では新要素として,自動戦闘を行える「魔心エディット」という仕組みが導入された。これは,キャラクターごとにAIを設定し,自動で戦わせるもの(もちろん手動操作もできる)なのだが,前作までにはなかった,完全に新規のシステムながら,なかなか奥深い。
というのも,ターンが回ってくる度にキャラクターへ指示を出すのではなく,AIを組んで戦うことをメインにして,ステージごとで調整を加えてクリアを目指すような,違うジャンルのゲームとしても遊べてしまうほどのデキなのだ。
もちろん,通常のプレイを便利に……いや,便利すぎるほどに補助してくれる要素としても使える。これまでのシリーズファンであっても,遊び方が変わりかねないほどの効果がある。
本稿では,そんな魔心エディットなるAIシステムを掘り下げ,この面白さと便利さをお伝えしていきたい。なお,ゲーム序盤のプレイレポートは2020年12月に掲載しているので,そちらも読んでほしい。
「どんなときに,だれに,なにをする」を決めて思い通りに動かせる自動戦闘
魔心エディットは,自動戦闘時のキャラクターの行動を設定するためのシステムだ。キャラクターごとに魔心(=AI)を設定しておき,ステージ上で自動戦闘モードをオンにすると,キャラクター達は一斉にそのAIに沿った行動を行う(このキャラクターは手動,こっちは自動といったバラバラの設定は不可)。
手動では,キャラクターを一体ずつ操作するのに対して,自動戦闘ではキャラクターが同時に移動や攻撃の処理を行うため,かなり早く行動を終えられる。
手動と自動は毎ターン切り替えが可能だ。そのため最初のターンだけ自動戦闘にして,キャラクターをベースパネル(拠点)から一斉出撃させ,次のターンから手動で戦うといった使い方もできる。
では,このAIをどのように設定するのかというと,「どんなときに?」「だれに?」「なにをする?」かを決めてやればいい。
AIは,10×12のマスからなる「思考経路」によって行動が決まる。まずはシンプルに「近くの敵に移動して通常攻撃する」という思考を用意するとしよう。この場合,「だれに?」は「敵対勢力」,「なにをする」は「対象に一番近い場所に移動」「通常攻撃」の思考が必要だ。この3つがつながるようにマスに配置すると,「敵対勢力の一番近い場所に移動して通常攻撃を行う」という思考になり,とりあえず殴りにいってくれるようになるわけだ。
しかし,適当に攻撃するだけでは死んでしまう。そこで,上記の思考の前に,「どんなときに?」として「自分のHPが50%以下」という条件をつける。そして,HPが低いときには「自分」を対象に「回復特殊技」を使うよう設定しておけば,「何もなければ攻撃しにいくが,ピンチのときは自分を回復する」というAIになる。
これで多少の殴り合いなら耐えられることになったが,近くの敵を殴るだけでは,あまりに頭が悪すぎる。もし敵の前衛に耐久力の高い戦士が,後衛に高火力の魔法使いがいたら,構わず前衛を殴り続けて,魔法を食らい放題だ。
その場合は,攻撃対象を指定してやればいい。条件付けの方法はさまざまだが,分かりやすいのがステータスを参照する方法だろう。例えば「敵対勢力」の「一番DEF(物理防御)が低いキャラ」を対象にするよう設定しておくと,硬い戦士は無視して,後衛の魔法使いを攻撃しにいくようになる。また,「戦士」「魔法使い」といった,クラスや種族を直接指定してしまうこともできるので,特定のステージで集中攻撃したい相手がいる場合は,こちらのほうが有効かもしれない。
ここまでの説明で伝わると思うが,魔心エディットによる自動戦闘の設定は,かなり自由に行える。ほかにも,強い敵にだけ強力な特殊技を使う,特定の状態異常になったら優先的に治療する,遠距離攻撃キャラなら距離を保って敵を攻撃するなど,いくらでも細かくできるのだ。
汎用的なAIを組んで,主力キャラクター全員にコピーして同じように動いてもらうと楽だが,こだわりたい人ならキャラクターごとの専用AIを組むのもいい。どこまで細かく組むか,そもそも魔心エディット自体をどれだけ利用するかも自由で,ディスガイアに新しい遊び方が増えたと言える。
さすがに,「メインストーリーを自動戦闘だけで進めてやるぜ」といった気合の入ったAI好きプレイヤーは限られると思うが,そうした使い方すら可能だ。
一方で,シリーズファンにとって分かりやすく,かつ便利な使い方となるのが,レベル上げの補助である。ディスガイアシリーズでは,お約束として,レベル上げに向いたステージがいくつか用意されている。特定のマスにキャラクターを移動させ,特定の広範囲攻撃を行うと,敵を全員範囲内に収められるため,即死させれば高速周回できるというものだ。この「特定のマスに移動」「敵の塊に広範囲の特殊技を使用」を自動化してしまえば,操作の必要すらなく周回できてしまうのである。
しかも,本作には自動周回機能まで追加されている。これをオンにして自動戦闘を行うと,ステージクリア後にまた同じステージに出撃し,同じAIで自動戦闘という流れを繰り返す。つまり,クリア可能なAIさえ用意しておけば,放置しておくだけで勝手に周回してレベルが上がるわけで,もう便利どころの話ではない。
従来のディスガイアシリーズとは,レベル上げの感覚がだいぶ変わってきそうだ。
ランダム生成のアイテム界すら周回できる!
よりシリーズファン向けに掘り下げた話をしていこう。ディスガイアシリーズのキャラクター育成において,「レベル上げの周回」と同様に忘れてはならないのが「アイテム界」だ。アイテム界はランダム生成のステージであり,奥に進めば進むほどアイテムが強化されていく。
また,強力なアイテムの入手先となるのもアイテム界なので,ここを周回しないことには,強いキャラクターは作れない。
そして,魔心エディットをしっかり使えば,アイテム界さえも自動周回が可能になる。
アイテム界の基本行動は
- 敵の全滅 or スキップゲートの上に移動して次のフロアに進む
- イノセント(撃破でアイテムが強化される敵)やレベルスフィア(破壊でアイテムが強化されるオブジェクト)を見つけたら確保する
- 宝箱を破壊してレアアイテムをいただく
- 特定のフロアで出現するボスは必ず倒す
となる。だったら,これを自動で行ってくれるAIを組んでしまえばいいのだ。
組み方は人それぞれだと思うが,参考までに思考経路の例を出してみよう。
まず必要なのが「壊滅したときの撤退条件」だ。せっかく自動化しても,途中で全滅してしまっては意味がない。そこで,「味方勢力の残り人数〇体以下」などの条件で,脱出アイテムである「デールを使う」といった設定を用意しておけば,全滅寸前になったら自動で帰還してくれる。
この後で設定すべきなのが,イノセントやレベルスフィアといった,道中で見つけたら優先的に確保したいものの指定だ。これは,「イノセントがいれば攻撃する」「レベルスフィアがあれば攻撃する」「宝箱があれば攻撃する」「強敵(ボス)がいれば攻撃する」といった条件付けをそれぞれ用意してやれば,見逃すことなく反応する。もちろん,それぞれを見つけたら,攻撃前に移動の指示も必要だ。
そして,条件を付けたものがステージ中に存在しなかった場合に,スキップゲートを目指して次のフロアに移動するよう設定する。これで,「アイテム界周回の基本行動をしつつ,ヤバくなったら脱出する」というAIになる。
しかし,この設定は穴だらけである。確かに基本行動は取ってくれるので,ある程度は機能する。自動周回は可能と言えば可能だ。ただ,このままAIに任せると,まず壊滅してデールで脱出するばかりになるだろう。
例えば,ステージ中にイノセントがいて,そいつが1ターンで撃破できない距離に配置されていた場合,1ターン目は全員でそちらの方向に移動するだけで終わる。つまり,ほかの敵は野放しなので,攻撃を受け放題だ。攻撃を受けても困らない低レベルなアイテム界ならいいが,そうでなければ効率的な周回は難しい。
これを解決しようと思うと,イノセントに到達できない場合,ターゲットを切り替えて周囲の敵の攻撃を優先する思考経路を追加すれば,より安定性が増す。ほかにも,HPが減ったら小まめに回復するよう設定したほうがいいかもしれない。スキップゲートを目指すにしても,もっと安全なAIが組めるはずだ……。
などなど,考えだすときりがない。仕組みが分かってくると,最初は多すぎると思っていた10×12のマスが,まったく足りないことに気付く。やりたいことを実現するために,ついついAIの最適化にのめり込んでしまうことだろう。
完成させるのは大変だが,うまくAIを組んで,きっちりアイテム界を周回してくれるようになると,喜びもひとしおだ。しかも,放置しておくだけでアイテムの強化&収集も進むのだから,さらに嬉しい。
シリーズファンには,ぜひ魔心エディットによる快適なプレイを体験してもらいたいところだ。もちろん,AIを組んで戦うゲームという点で気になるという人も,この機会にディスガイアの世界に足を踏み入れてみるのもいいと思う。これまで以上にインフレしたステータスやレベルを目指して,自動周回で稼ぎまくろう。
なお,1月21日に配信された本作の体験版(関連記事)では,魔心エディットが体験できる。アイテム界には行けないので,AIの作り込みはできないが,どのようなシステムなのか直接確認してみよう。
「魔界戦記ディスガイア6」公式サイト
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(C)2021 Nippon Ichi Software, Inc.
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