プレイレポート
「ライザのアトリエ2 〜失われた伝承と秘密の妖精〜」プレイレポート。少し大人になったライザたちが,新たな冒険を繰り広げる
あの夏の日から3年。ライザたちの新たな冒険が描かれる
本作は,2019年に発売された「ライザのアトリエ 〜常闇の女王と秘密の隠れ家〜」(PC/PS4/Switch)の続編だ。「アトリエ」シリーズとしては,初めて主人公が続投する形をとっており,前作の主人公であるライザリン・シュタウト(ライザ)たちの3年後の物語が描かれる。
前作では田舎の「クーケン島」で平凡な日々に退屈し,いたずらを繰り返しては「悪童」と呼ばれていたライザも,本作では子供たちに勉強を教える教師のような存在に。かつての仲間もそれぞれの道を歩み始め,冒険の日々は過去のこととなりつつあった。
そんなライザを,仲間の1人・タオが王都「アスラ・アム・バート」へ誘う。独学の錬金術研究に行き詰まりを感じていたこともあり,王都へ赴いたライザ。伝承を調べているタオの発案で,かつての仲間たちとともに,太古の遺跡を巡る冒険を始めるのだった。
続編という作りであるため,前作をプレイしているほうが楽しめるのは間違いない。とくに,懐かしいキャラクターたちの成長した姿が見られるのは,本作の魅力の1つだ。小柄で臆病な少年だったタオは,遺跡研究に情熱を燃やす立派な青年になった。かつてライザたちに意地悪をしていたボオスでさえも,今はタオとともに王都で勉学に励んでいる。内気で控えめだったクラウディアは父親の商いを手伝い続け,海千山千の商人たちと交渉術で渡り合うまでに成長した。
一方で,あれだけライザと仲が良かったレントには何かが起こったようで,冒険の誘いにも浮かない顔をしている。これからプレイする人のために詳しくは書かないが,彼らの再登場が楽しみに感じられることだろう。
前作はアップデートにより,ゲームを簡単に進められる「VERY EASY」難度が追加されているので,未プレイの人はサクっと触っておくといいだろう。
もちろん,新しい仲間も登場する。タオが家庭教師をしているパトリツィア(パティ),トレジャーハンターのクリフォード,ある目的のために植物の種を集める旅をしているセリの3人だ。個性的な彼らとライザたちが織りなすドラマにも注目したい。
拠点が王都となったことで,田舎でいたずら三昧の日々を過ごしていた前作とは違い,ライザたちは自分で暮らしを立てなければならない。家賃の高さにビックリし,お金の価値をこれまで以上に意識するライザの姿に,一人暮らしの経験者は共感できるのではないだろうか。名家の坊っちゃんだったボオスですらバイトに明け暮れているのだから驚きだ。
華やかな王都だが,ここで暮らしを立てるのは大変だ |
ボオスも学業の傍らバイトに明け暮れる。かつての彼からすると考えられない姿だ |
牧歌的な故郷とは違い,都会にいるのは良い人ばかりとは限らない。ひょんなことから盗賊団に見込まれてしまったり,得体の知れない人物からホイホイ依頼を受けたり,トレジャーハンターを自称する怪しげな男性を簡単に仲間にしたり……と,ライザはあまりにもお人好しで,見ているこちらがハラハラしてしまう。
それぞれの道を歩み始めたキャラクターたちが,得意分野で協力し合うのも印象深い。クラウディアの仕事で品物が不足すればライザが錬金術や採取で助け,商人のロミィはライザが調合した品を王都で広める……というように,子供の頃からの関係が仕事に役だったりする辺りも“社会人あるある”と言える。
「今回は偶然再会できたものの,次はいつ出会えるか分からない」とクラウディアは話す。そして,せっかく再会できたのだから少しでも長くライザといたい,と冒険への同行を申し出るのだ。一緒にいたいのに,お互いの道は分かれている。これにも人間関係のリアルが感じられ,なかなかに切ない。彼女たちの冒険がどのような結末を迎えるのか,先が気になってしまうことだろう。
美しいフィールドを泳ぎやロープアクションで探索
冒険できるフィールドは前作から進化を遂げた。「高低差」と「水中」,そして「ロープ」という新要素で,より立体的かつダイナミックな探索を楽しめるようになったのだ。
前作はジャンプしてもライザのかわいいジャンプモーションが見られるだけだったが,本作ではちょっとした障害物なら飛び越えられるし,崖から飛び降りることも可能となった。
これまでは障害物でしかなかった水も,冒険の舞台となる。飛び込んで泳げるようになっただけでなく,水中で呼吸できるアイテムがあれば,潜水することも可能だ。泳いでいると島が見つかったり,潜ると秘密の洞窟があったりと,探索がより楽しくなっている。
また,ツタを登ったり,小さな穴を匍匐前進したりと,より冒険らしいアクションも多数登場する。特に印象深いのがロープだ。フィールドや遺跡の特定地点では,特殊なロープ(魔法の紐)を使うことにより,ターザンのようにスイング移動ができる。橋の切れ目や崖を飛び渡る姿はまさに冒険家で,見た目にもカッコイイ。
加えて,ゲームを進めると魔物の背に乗れるようになり,高速移動や地面を掘ってのアイテム探しができるようになる。
「高低差があるフィールドに,秘密の場所やアイテムが隠されている」という近年のRPGらしい要素が取り入れられたことで,前作以上に探索が楽しくなった。
洞窟には小さな穴があり,くぐると当然こうしたアングルになる |
マップの特定地点ではロープを引っかけてターザンのように移動が可能 |
また,早朝は霧が立ちこめ,昼間は日差しが眩しく,時に雨が降る……といった自然の表現も美しくなっている。お気に入りの場所や時間帯を見つけてスクリーンショットを撮影するのも面白いだろう。
本作ではさまざまな遺跡に赴くことになるが,各遺跡では断片的なヒントから伝承を解き明かす新システムが登場する。ライザたちが手に入れることになる探究手帖に,「特定のアイテムを見つける」「特定の魔物を倒す」といった課題(調査リスト)が提示され,達成すると遺跡の各所に「記憶の粒子」「遺跡の欠片」などが出現。これはかつてのできごとや,遺跡にいた人物の会話を断片的に見られるというもので,謎解きに必要なキーワードや手がかりとなる。そして,このキーワードを探究手帳内で適切に配置すれば,過去に何が起こったのかが分かるという仕組みだ。
各種の手がかりを発見するには,画面上部の「追憶の羅針盤」が重要となる。欠片などの近くに行くと羅針盤が光り,どの方向にあるかが表示されるため,これを頼りに探していくのだ。
より派手でアップテンポになったバトル
戦闘も大きく様変わりし,より派手でアップテンポなものとなった。とにかくスキルを使いまくれば,効率もアップして派手な展開が楽しめるシステムになっているのだ。
「リアルタイムタクティクスバトル」の大枠は前作と同様。フィールドにいる魔物に触れると戦闘モードに移行し,時間の経過に合わせて画面右下の「タイムライン」が動き,素早い者から行動の権利を得ていく。コマンドを選択している間も時間の流れは止まらないため,適切な行動を即座に選ぶことが重要となる。
通常攻撃を当てて「AP(アクションポイント)」という,そのバトルのみのリソースを溜め,これを消費してスキルを使っていくのも前作同様だが,今回はAP周りのシステムがシンプルになり,より攻撃しまくれるようになった。
前作では,APに“スキルのリソース”だけでなく,“「タクティクスレベル」を上げて通常攻撃の回数やAPの蓄積上限などをアップさせる”という使い道が存在していた。スキルで攻撃するか,長期戦を見越してタクティクスレベルを上げるか……というリソース管理をしなければならなかったわけだ。
今回のタクティクスレベルは,APを消費するのではなく,スキルを使うことでアップするようになった。APを溜めてスキルを使えば,タクティクスレベルも自然にアップ。タクティクスレベルが上がれば,スキルが強化されるだけでなく,より多くのAPが溜められるようになっていく。前作のようにスキルとタクティクスレベルのどちらを選ぶかという二択構造ではなくなり,“APをタクティクスレベルアップに回したのでスキルを使えない”という局面も発生しなくなった。
APさえあれば,通常攻撃からスキル1,そこからスキル2……というように攻撃をつなぐ「スキルチェーン」も可能で,ダメージ倍率も上がる。つまり,戦闘は時間経過に伴ってどんどん派手になっていくのだ。
APは自分以外のキャラクターが通常攻撃を行った際や,仲間から提示される「魔法ダメージを与えてほしい」「敵の能力値を下げてほしい」といった(「アクションオーダー」)を達成することでも増える。そして,APの上限は,タクティクスレベルの上昇に伴って上がっていく。最初は通常攻撃でAPを溜めてからスキルを使っていたのが,バトルが進めば,自分の番が回ってくる頃に使い切れないほどのAPが溜まっている,なんてことも当たり前の様に起こる。前作以上に長期戦が楽しく,「もっと長く戦えるヤツを出せ!」とばかりに強敵を捜し回ってしまった。
こうしたシステム改変で存在感を増したのが,錬金術でライザが作った攻撃や回復のアイテム類だ。タイムラインを無視して即座にアイテムを使う「クイックアクション」は前作同様に10のAPが必要になるが,タクティクスレベルにAPをを消費しなくなったため,頻繁かつ気軽に使える。そして,アイテムを使うために必要な「CC(コアチャージ)」は,本作ではスキルを使うことで増えていくようになった。
つまり,“スキルは出し惜しみせずにどんどん使っていく”というセオリー通りに行動すれば,タクティクスレベルが上がってAPも溜まりやすくなり、アイテムが使える機会(CC)が増え,クイックアクションも存分に使える。これの流れは非常に分かりやすい。
CCさえ充分にあれば,複数のアイテムを一度に使う「アイテムラッシュ」により,回復しながら攻撃するような贅沢も可能だ。「アトリエ」シリーズでは,錬金術の特性を活かしたアイテムを戦闘に活用できるのが面白みの1つだが,本作ではその機会が大幅に増え,錬金術の励みにもなる。
そして,攻撃時のカメラアングルもダイナミックなものになったのに加え,スキルの画面効果も派手になっているのも見逃せない。単に通常攻撃やスキルを使うだけでも決め技っぽく演出されるのだから,気分も盛り上がる。
バトルの上では「ガード」も重要だ。魔物もリアルタイムで行動しているため,ぼーっとしていたのでは殴られるままになってしまうが,魔物が攻撃してくるのにあわせて対応するボタンを押せば,受けるダメージを少なくできる。相手が攻撃してくる際にタイミング良くガードできれば「ジャストガード」となってAPが増える。こう書くと難しそうだが,受付時間は長めで,アクションゲームが苦手な人でも大丈夫だろう。
少し困るのが,側面にいる魔物に画面外から攻撃されることだ。一応,攻撃の際には赤い警告の印が出るのだが,見落としやすいので注意してほしい。
錬金術でさまざまなアイテムを生み出す
錬金術でアイテムを調合するシステムは,基本的に前作を踏襲している。
まずはフィールドで得られた鉱石や木材,草といった材料を「マテリアル環」に投入する。それにより,材料が持つ「属性値」を高めてマテリアル環をレベルアップさせれば,特殊な効果が付与されたり,より多くのマテリアル環がアンロックされ,アイテムの品質を上げたりできるようになる。
マテリアル環は分岐しており,品質重視だったり,特性重視だったりといった複数のルートを持つ。売却用なら品質を重視し,自分で使うなら特性を山盛りにするなど,用途で調合を使い分けるのも面白いところだ。材料を投入できる回数は限られているため,ちょっとしたパズルのよう。材料の選定と投入をオートにする「おまかせ材料投入」機能も健在で,自分ではなかなか作れないような品が出てきたりもするので,こちらも活用していきたい。
また,材料そのものが持っている特性を,作ったアイテムに引き継げるのも「アトリエ」シリーズのお約束通り。たとえば,特性を持つ鉱石で「インゴット」を調合,これを材料として武器を作れば,特殊な効果がついた武器が誕生する。特性には,武器に向いたもの,防具に向いたもの,アイテムに向いたものがあるため,完成後の姿を思い描いたうえで戦略的に調合していくことが求められる。材料から厳選して望みの品が作れた時の喜びもひとしおだ。
本作は,前述した戦闘システムの改変により,アイテムの出番が増えている。HPを回復させるアイテムに,回避率や攻撃力を上昇させる特殊効果を付与することでバフ用にも使えるようにしておくなど,工夫すれば戦闘がより有利になるのも面白いところだ。
新システム「スキルツリー」では,何か調合する度に「SP(スキルポイント)」が手に入り,これを使って新たなアイテムを調合できるレシピや,採取や調合を有利にする補正効果をアンロックできる。戦闘でAPを使いまくれば有利になるのと同様,たくさんのアイテムを調合するほどライザがパワーアップするわけで,どんどん調合したくなってくる。SPは,調合はもちろん,探究手帖内で遺跡の謎をといたり,クエストをクリアしたりすることでも入手可能だ。
美しいフィールドでの立体的な探索。システムのシェイプによってスピーディになった戦闘と,よりモチベーションがアップした調合。そして,3年を経て大人の階段を上りつつあるライザたちの変化。前作をプレイしていた人なら見逃せない続編と言えるだろう。
個人的には,フィールドの進化が印象深い。立体的な構造かつ,探索意欲をそそる地形という考え方が取り入れられたことにより,今後の「アトリエ」シリーズのフィールドがどうなっていくかも楽しみだ。
「ライザのアトリエ2 〜失われた伝承と秘密の妖精〜」公式サイト
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