インタビュー
[インタビュー]「Pikmin Bloom」3周年。新プロジェクト「『とっておきの京都』ポストカードウォーク」の魅力をNiantic 村井説人氏と長野 剛氏に聞く
その人気はアプリ内だけにとどまらず,日本各地,そして世界でリアルイベントなどが開催されている。11月6日からは,京都市/京都市観光協会が取り組んでいる「とっておきの京都プロジェクト」の連動イベント「『とっておきの京都』ポストカードウォーク」も始まり,注目を浴びた。
4Gamerは11月5日に行われた「『とっておきの京都』ポストカードウォーク」京都市との共同記者会見後,ナイアンティック代表取締役社長 兼 Niantic副社長 村井説人氏と,ライブイベント マネージャーの長野 剛氏に,それぞれお話しする機会を得た。
本稿では,3周年を迎えてますます盛り上がる「Pikmin Bloom」の魅力や,「『とっておきの京都』ポストカードウォーク」を含むリアルイベントの見どころを聞いたインタビューをお届けしよう。
「Pikmin Bloom」と京都市/京都市観光協会による「『とっておきの京都』ポストカードウォーク」の開催が発表された共同会見レポート
スマホ向け位置情報ゲーム「Pikmin Bloom」と,京都市/京都市観光協会が取り組んでいる「とっておきの京都プロジェクト」の連動イベント「『とっておきの京都』ポストカードウォーク」が,2024年11月6日8:00にスタートする。本稿では,京都市長 松井孝治氏,Niantic 村井説人氏の共同会見をレポートする。
ナイアンティック代表取締役社長 兼 Niantic副社長
村井説人氏インタビュー
3周年,おめでとうございます。今のお気持ちをお聞かせください。
村井説人氏(以下,村井氏):
とてもうれしいです。私や開発に携わるメンバーだけでなく,本社のあるサンフランシスコをはじめ,世界中に散らばっているNiantic社員が,「Pikmin Bloom」が3周年を迎えられたことをうれしく思っています。
4Gamer:
あらためて「Pikmin Bloom」の魅力は,どこにあると思われますか。
村井氏:
弊社ではさまざまな位置情報ゲームを出していますが,「Pikmin Bloom」は,ほかのプロダクトと根本的なコンセプトが違います。“皆で歩いて,地球を花で埋め尽くそう”というコンセプトで,歩くことを前面に出し,皆で地球に花を植えていくことが目的です。
皆でたくさんの花を植えて,地球が花であふれたら,世界は少し平和になるのではないか……と私たちは信じています。そして,歩いて皆で健康になる。そんな平和な世界観の作品なんです。
4Gamer:
本当に,歩くきっかけをくれる作品ですよね。私もゲームライターという仕事上,インドアな生活になりがちで,本作のイベントが外出の大事なモチベーションになっています。
村井氏:
そう言っていただけて,本当にうれしいです。Nianticには,世界中の人たちが1歩でも外に出て,外を探索するきっかけを提供することをミッションとしています。「Pikmin Bloom」だけでなく,弊社で提供している「Pokémon GO」や「モンスターハンターNow」も,外に出るきっかけをどう作るかにこだわり続けて提供・成長し続けているサービスです。
4Gamer:
今回発表された「『とっておきの京都』ポストカードウォーク」は,日常から1歩飛び出し,旅による発見を楽しめるイベントです。どのような部分を,楽しんでほしいですか。
村井氏:
私たちの提供しているプロダクトは,地球全体がゲームボードになっています。生活するうえで歩いている場所で,新しい体験,発見をしてもらいたいと考えているんです。
しかし,人間はそれだけでなく,時に旅行に行ったり,違うことを体験したりすることが活力になりますよね。その新たな体験のお供にピクミンがいたら,すごく楽しいんじゃないかなと思っています。
今回のような地方自治体と連動したイベントは,その地に住んでいる皆さんにも楽しんでいただけますし,違う地域に住んでいる皆さんが「行ってみよう」と思うきっかけになります。
新しいイベントを提供することによって,「Pikmin Bloom」がなければ知らなかった,行くきっかけがなかった場所に皆さんを誘って,新しい体験をしていただきたいです。それによって,皆さんの楽しい思い出が日々増えていったらうれしいです。
4Gamer:
イベントの開催地は,古都京都です。京都の魅力は,どのような部分だと思われますか。
村井氏:
京都は,日本のなかでも歴史がある都市だと思います。世界中にあるたくさんの都市のなかでも,長い歴史のある京都市様は特別で,位置情報ゲームを提供するなかで欠かせない場所です。歴史に思いをはせるのに,ぴったりな街だと思っています。
4Gamer:
確かにそうですね。
村井氏:
Nianticが提供している位置情報ゲームには,訪れると価値があるPOI(ポイント オブ インタレスト)というスポットがあります。訪れると秘話があるようなスポットを地図上で見られるデータがあり,それが弊社のゲームの基礎になっているんです。世界中のデータがあるのは,おそらく弊社だけじゃないでしょうか。
今回,京都市様とパートナーシップを組ませていただいたことで,我々だけでなく京都を愛する市民の皆さんや,観光協会の皆さんと一緒に,「もっと,京都を知ってもらうには」と協議を重ねながら,企画を進められました。
選定したスペシャルスポットは,練りに練った場所ですので,京都をお越しの際はピクミンと一緒に歩いてみていただきたいです。絶対に損はさせません。
4Gamer:
京都は魅力的な場所が多くてどこから回るか悩ましいですし,どうしても有名観光地に行ってしまいがちです。今回のように,知らない魅力を知って,さらにピクミンとの思い出も残せるというのは,京都旅行の新たな楽しみ方になりますね。
村井氏:
おっしゃるとおりです。Nianticは,できる限り皆さんの知的好奇心を刺激し続けたいと考えています。私は人が人であるうえで,知的好奇心は1番大切で,そこが刺激されることで能力が高まっていくと思っているんです。
今回「とっておきの京都プロジェクト」にご協力いただいたことで,京都の方もあまり知らなかった場所をスペシャルスポットにできました。そして現地に行くことで,歴史や周辺の関係性をもっと知りたいという意欲も高まると考えます。我々の思いと,京都市様の思いが一致した良いプロジェクトです。
4Gamer:
協議されるなかで,印象に残っていることはありますか。
村井氏:
今回のイベントでは,スペシャルスポットを訪れたユーザーの方に,アプリ内で特別なポストカードを提供することになりました。京都市様と京都市観光協会様のお力添えで,スペシャルスポットに選定させていただいた施設の皆さんに,事前に説明させていただく場を設けてもらったのですが,皆さん「Welcome!」と温かく歓迎してくださったことが印象に残っています。
4Gamer:
「Pikmin Bloom Tour」に何度も参加させていただいているんですが,商店街でアプリ内の曲が流れていたり,お店の方がお土産のピクミンサンバイザーをつけていたり,自治体の皆さんも一緒に盛り上げてくださっていますよね。
村井氏:
私たちが,地方自治体の皆様と協力してイベントを行う理由の1つです。ユーザーの皆さんに新しい体験をしていただきたいのは大前提として,その地域経済に貢献したいという思いがあります。過去の体験からそれが可能であることも分かっているんです。
地方自治体の皆さんも「Pikmin Bloom」らしいおもてなしをしてくださって,そうすることによって,ユーザーの楽しい思い出がより一層増します。楽しい思い出のある場所は,また行きたいという気持ちになりますよね。そのような循環が生まれることで,イベントを継続して開催することができていると思います。
4Gamer:
海外でもイベントを開催されています。やはり,海外での反響も大きくなっているのでしょうか。
村井氏:
「Pikmin Bloom」は3周年を迎えましたが,ありがたいことに,プレイヤー数は右肩上がりに増えています。それは日本だけでなく,海外のユーザーの皆さんに再評価していただき,歩くことに楽しさを感じていただけているからこそだと思います。
世界中の皆さんが楽しんでくださっているので,オンライン上で一緒に花を植えたり,パーティウォーク機能で一緒に歩いたり,よりコミュニティが築ける仕組みを一生懸命開発しています。
そこで出会った人たちと,現実世界でも交流を深めていただきたいので,リアルイベントチームが世界各地でイベントを開催していきます。来年はさらに力を入れますので,ピクミンと一緒に世界旅行をするくらいの気持ちで,期待していただきたいです。
4Gamer:
最後に,ファンの皆さんにメッセージをお願いします。
村井氏:
皆様のおかげで,3周年を迎えることができました。本当にありがとうございます。まだまだ楽しさを提供していけるように,開発一同が力を入れています。今回のように特別なポストカードを提供する機会も増えていくと思いますし,さまざまな場所で交流できるイベントも開催してまいります。
皆さんが1歩でも外に出て,太陽の光や風を感じ,我々が生きている地球が素晴らしい場所だと感じていただくきっかけに成長していきたいと思っています。ぜひ「Pikmin Bloom」で,ピクミンたちと歩いていただけたらうれしく思います。
4Gamer:
ありがとうございました。
Niantic ライブイベント マネージャー
長野 剛氏インタビュー
今回のイベントを開催することになった経緯を教えてください。
長野 剛氏(長野氏):
昨年「Pikmin Bloom Tour 2023 : 京都」(2023年11月12日)を開催しまして,ご協力くださった京都市さんから,とても意義のある取り組みだったと言っていただけました。
我々としても「Pikmin Bloom」という作品をもっと知っていただきたいという思いがあり,今後も何かできないかと話し合いをし,今回の「『とっておきの京都』ポストカードウォーク」につながりました。
4Gamer:
「Pikmin Bloom Tour 2023 : 京都」の良い反響があって,企画が動き始めたんですね。新たな形式になった理由を教えてください。
長野氏:
どうやったら,もっと楽しんでいただけるだろうという思いが常にあります。「Pikmin Bloom Tour」は,スペシャルスポットでデコピクミンの苗を手に入れることが楽しみの1つですが,新しい楽しみを提供したいと社内でディスカッションを重ねて,「ポストカードウォーク」という形になりました。
4Gamer:
日々のキノコチャレンジで集まることもあり,ポストカードは同じものを貯めてしまっている方も多いと思います。ポストカードがメインのイベントというのは,とても新鮮で驚きました。
長野氏:
これは個人的な意見なのですが,ポストカードは訪れた場所によりフォーカスを当てられることが魅力ですよね。名前と写真が特別なデザインのポストカードとして手に入るので,その場所に行った思い出とリンクさせられるなと考えています。
4Gamer:
期間を1年間と長めに設定されているのは,年間を通して魅力のある京都での開催であることと,観光客の分散を意識してのことでしょうか。
長野氏:
そうですね。分散を意識し,いつ来ても楽しんでいただけるようにしています。また,遠方の方が予定の調節しやすいように,という意図もあります。
4Gamer:
京都といっても6エリアもあるので,1回で回りきるのは大変そうです。そういう意味でも,何度も訪れるチャンスのある長期開催はうれしいですね。
長野氏:
もちろん楽しんでくださるプレイヤーの皆さんのご予定にもよりますが,我々としては1年間で何度か京都を訪れて,ゆっくり歩いて回っていただけるとうれしいです。
4Gamer:
共同記者会見で,今回のスペシャルスポットは京都市と京都市観光協会からの推薦だったと発表がありました。スポットのなかで,新たな発見だったと感じる場所はありましたか。
長野氏:
個人的な考えですが,京都ということで寺社仏閣が多いだろうと思っていました。実際に総数で見ると寺社仏閣が多いですが,道の駅やバスの案内所など面白いところが推薦されていました。まだ知られていない魅力的な場所がたくさんあり,それを散りばめたスペシャルスポットを選定できたと思っています。
4Gamer:
まだに,共同企画だからこそ選べたものですね。
長野氏:
はい。実は,ポストカードの写真にもご協力いただいてます。どれもステキなお写真なので,海外のフレンドさんに送ったら,とても喜ばれると思います。
4Gamer:
スペシャルスポットと言えば,「Pikmin Bloom Tour」では各地の説明文もとても面白いものが多かったです。今回も期待していいのでしょか。
長野氏:
説明文は,弊社でもこだわっている部分です(笑)。ぜひ,楽しみにしていてください。
4Gamer:
反響次第では別の地域でも開催したり,さらに期間を延長したりすることもあるのでしょうか。
長野氏:
そうなるとうれしいですね。世界中の皆さんにプレイしていただきたいので,今回いただいた意見を受け止め,将来的にはたくさんの場所で開催できればと思っています。
4Gamer:
「Pikmin Bloom」は3周年を迎えました。思い出に残っている出来事はありますか。
長野氏:
私はイベント担当ですので,「Pikmin Bloom Tour」で日本全国や海外のプレイヤーの皆さんと交流したり,お話をしたりするのが楽しかったです。
4Gamer:
リアルイベントも「Pikmin Bloom Tour」,今回の「ポストカードウォーク」,11月23日,24日には「Pikmin Bloom Journey2024:東京ドームシティ」の開催と,どんどん進化していっていますよね。
長野氏:
とくに今年は,新たな動きが多いですね。おっしゃっていただいた「Pikmin Bloom Journey」は,我々にとっても初めての有料イベントになります。また,ドイツと台湾でも「Pikmin Bloom MINI WALK」を開催し,海外でもイベントを行えるようになったのは大きな1歩だなと感じています。
4Gamer:
最近,ウィークリーチャレンジの“誰とでもグループ”で,海外の方とマッチングすることが増えたと感じています。やはり,海外の反響も大きいのでしょうか。
長野氏:
本当に,増えましたよね。ドイツのイベントでプレイヤーの皆さんとお話をしたのですが,熱心に遊んでくださっている方が多いです。日本と同じように,プレゼントのピクミンサンバイザーをつけて,イベントで歩いておられました。そこでフレンドになった皆さんとは,ゲーム内での交流も生まれて,すごく楽しいですね。
4Gamer:
最後に,ファンの皆さんにメッセージをお願いします。
長野氏:
毎日楽しんでプレイしていただき,ありがとうございます。皆様のおかげで,3周年という節目を迎えられました。11月には,新しい形式でのイベントも開催します。リアルイベント担当として,これからもできる限り世界中のたくさんの皆さんに楽しんでいただけるイベントを提供して行けたらと思っておりますので,ご期待ください。
4Gamer:
ありがとうございました。
――2024年11月5日収録
「Pikmin Bloom」公式サイト
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