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シブサワ・コウ40周年記念番組 秋の陣をレポート。Team NINJAが三國志の新作アクションを開発中。「信長の野望・新生」の実機プレイも披露
番組の第1部では,初作品を世に贈りだしてから40年を迎えたシブサワ・コウ氏(襟川陽一氏)の歴史を振り返り,ゆかりの人物からのお祝いコメントなどを紹介した。その内容はシブサワ・コウ40周年記念サイトでも披露されているので,興味のある人はそちらをご覧いただきたい。
その第1部終了間際に,シブサワ氏から「せっかくのチャンスですので」と思わぬ情報が飛び出した。現在Team NINJAとともに,「三國志」の新作アクションゲームを製作中とのこと。これまで歴史シミュレーション,MMORPG,カードゲームなど,さまざまなジャンルでゲーム化されてきた「三國志」が,次回はアクションゲームになるというのだ。「Team NINJAですから,わかりますよね。そういうゲームです。どうぞご期待ください!」と視聴者に向けてメッセージを贈った。
そして第2部では,「信長の野望・新生」のプロデューサー小笠原賢一氏が,本作のPC版のデモプレイを初公開した。
「信長の野望・新生」のコンセプトは「AIで躍動する武将たち」。AIで戦国時代のリアリティを出すことは,これまでのシリーズを通して変わらないコンセプトだが,本作ではそこに一層の注力をすることで,シリーズで初めて武将達がAIによって自ら行動するシステムを構築している。君臣一体の醍醐味を味わいながら天下統一を目指すという点が,最大の特徴だという。
配下武将達は「郡」を単位とした領地を持っていて,それを統括する「城」が存在し,全国すべての城を自勢力で固めることで,天下統一となる。ここで小笠原氏は,開発中のPC版のゲーム画面を披露した。
場面は,桶狭間の戦いが行われた1560年の織田信長でゲームをスタートした状況だ。信長のいる清洲城を中心に,マップ上には多くの城が存在し,名称と存在する武将の家紋,兵力が表示されている。城の数は前作の「信長の野望・大志」と同じぐらいの220前後が存在するという。
「信長の野望・新生」のゲーム画面。開発中のPC版となる |
マップを縮小すると,このように城の場所と統治している大名の家紋が表示 |
城にカーソルを合わせると,黄色いラインで囲われた領地が表示され,さらにその中で水色のラインで区切られエリアが郡となる。郡にはその場所を領有する武将が存在。彼らは自分がいる郡を自分自身で開発し,それぞれの国力のトータルが城の強さとなるのだ。
郡単位の内政は,統治しているAIの武将が行い,大名であるプレイヤーは城単位で目配せをしていくことでゲームを進める。もし武将達だけでは手に負えない火種が発生したときは,それをいかにして解決するかが戦略のポイントとなるようだ。
林秀貞が城主の那古野城。その統治下には自信も含め7名の武将がいることがわかる |
郡の中の小さなアイコンが集落で,郡に配置された武将はそれらを少しずつ掌握して力を付けていく |
武将をAIに任せず,すべてをプレイヤーがやりたいという人はどうなるのかと尋ねられると,小笠原氏は「本作のゲーム世界は,武将達が生きている」と返答。プレイヤーである大名から見れば,配下の武将も戦国世界の厳しい世の中を構成する他人であり,その序盤は彼らが生きる中で,どうにかしてその力を借りてゲームを進めていくのが基本となる。プレイヤーが天下人に近づいて絶対的な力を持っていくことで配下の武将も自在に扱えるようになり,プレイの幅が広がっていくといったゲームバランスになっているそうだ。
登場する武将の数については,前作から極端に増えているわけではないが,ある程度の人数が追加され,シリーズ中では最大の数になるとのこと。
シリーズ16作目ということで,これまでは過去作をプレイしていないと入りづらいこともあったが,本作は初めて「信長の野望」シリーズに触れる人でも入っていける形を目指して,現在開発中とのことだ。
ここで,本作の新規描き下ろしの武将イラストも披露された。今回は小笠原氏一押しの武田家の武将のイラスト5点。その筆頭となる武田信玄と,武田家四名臣の山県昌景,馬場信春,高坂昌信,内藤昌豊だ。高坂昌信のようなシリーズおなじみの姿で描かれている者がいる一方,内藤昌豊のようなあまり見た目が固まっていない武将は,肖像画を参考に描いているとのこと。今後,武将イラストはTwitterなどでも披露されていくそうだ。
番組ではそんなシリーズの歴代プロデューサー陣3名も登場し,当時の開発秘話も披露した。シリーズは1983年発売の初代「信長の野望」から,最新作の「新生」も含め16作がリリースされている。
最初に紹介されたのは,2003年に発売されたシリーズ第11作「信長の野望・天下創世」だ。PCベースの開発で,シリーズ初のフル3Dのグラフィックスを実現し,2Dでは表現できない内政や合戦の面白さを表現したと,プロデューサーの浅野健二郎氏は語る。箱庭内政により,自分の作り上げた城下町を3Dで眺められる楽しみも盛り込まれた。
3Dで開発されることになったが,チームに3Dのプログラム経験者がおらず,ほかの部署の開発者に助っ人に来てもらったそうだ。またタイトルも,前作までの「○○伝」や「○○記」といった歴史書のようなサブタイトルが続いていたが,シブサワ氏にタイトルのことを尋ねると「そんなパターンは気にしなくていい」と軽く言われ,自分の理想の城下を作って天下統一を目指す意味を込めた「天下創世」に決めたという。
続いては2005年の第12作「信長の野望・革新」だ。プロデューサーの阿野越雄氏は,「ゲームの手応えに注力した」と本作のポイントを述べる。「天下創世」に続くフル3Dで,シリーズ初のシームレスの1枚マップを採用。ゲームはリアルタイムで展開し,これまで以上に手応えのあるタイトルとなった。また武将のみならずでなく,勢力の個性を際立たせる「技術革新」も導入。プレイヤーの勢力がある程度大きくなってからも,それに対抗する勢力ができていく,強いAIを備えている。
阿野氏は企画提案時に,成功すると自信を持って企画会議に挑んだが,2度却下され,会議でその思いが伝わらなかったことを改めて認識したそうだ。3度目はあまり企画内容は変えていないものの,熱意と覚悟をもって挑み,見事企画を通したという思い出を語った。
最後に紹介されたのは,2009年発売の第13作「信長の野望・天道」だ。プロデューサーの北見 健氏は,前作の評判がよかったため,その流れを汲みつつ,各シリーズのゲームの中盤以降で発生する,大勢力を前線に押し上げて隣の城にぶつけていく城の奪い合いの展開を打破するべく,領地を削り取るという概念を導入。これにより戦略の幅がさらに広がった。
本作のPSP版の「パワーアップキット」を発売したときに,雑誌のレビューで高評価をもらい,シブサワ氏からそれを祝う電話がかかってきたが,北見氏は思わぬ電話にしどろもどろになってしまったことを今も後悔していると苦笑いしていた。
こうした歴代シリーズのプロデューサーに囲まれ,最新作「信長の野望・新生」の開発に挑む小笠原氏は「ちょっと緊張していた」と述べつつも,毎回新作ごとに超えなければならない壁があり,それを超えることでプレイヤーが満足してくれると歴代プロデューサー陣も努力をしてきたことを踏まえ,本作でもプレイヤーのシリーズへの期待感にしっかり応え,これまでのシリーズを超えられる作品にすることを約束した。
気になる発売日は「Early 2022」と公式発表されているが,「梅には勝てないけど,桜には負けたくない」とのこと。今後の情報に期待したい。
「信長の野望・新生」公式サイト
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信長の野望・新生
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