今年は待望の有観客開催！「逆転裁判 20周年記念オーケストラコンサート」レポート。演奏とゲーム映像がリンクし，シリーズの思い出が甦る

　プロマックス／ハーモニクス・インターナショナルは，2022年5月7日に東京・渋谷区のBunkamuraオーチャードホールにおいて「逆転裁判 20周年記念オーケストラコンサート」を開催した。本公演は「逆転裁判」シリーズ20周年を記念したもので，過去のコンサートで演奏された曲を厳選する趣向での実施された。

会場の物販には長蛇の列ができていた

「大逆転裁判1＆2 -成歩堂龍ノ介の冒險と覺悟-」のポスター展示も

「逆転裁判 20周年記念オーケストラコンサート公式サイト

「逆裁」ファンたちがシリーズを彩る名曲に聴き惚れる

　法廷に響く「異議あり！」の声で，無実の依頼人が救われる。カプコンの法廷バトルアドベンチャー「逆転裁判」は昨年10月に20周年を迎えた。お馴染みとなったオーケストラコンサートも，今年は待望の有観客開催となり，会場を訪れたファンたちは思い出深い名曲に聞き惚れた。

■「逆転裁判 20周年記念オーケストラコンサート」出演者一覧
指揮：栗田博文氏
オーケストラ：東京フィルハーモニー交響楽団
MC：竹本英史さん（御剣怜侍役）
トークゲスト：近藤孝行さん（成歩堂 龍一役）
トークゲスト：KENNさん（王泥喜 法介役）
ビデオメッセージ：下野 紘さん（成歩堂 龍ノ介役）

■「逆転裁判 20周年記念オーケストラコンサート」セットリスト
「成歩堂龍一 〜異議あり！」
「王泥喜法介 〜新章開廷！」
「逆転検事組曲 華麗なる軌跡」
「ゴドー 〜珈琲は闇色(やみいろ)の薫り」
「逆転裁判1〜3 法廷組曲」

「逆転裁判1〜6 麗しの組曲」
「逆転裁判 革命と継承の組曲」
「大逆転裁判組曲」
「大逆転裁判 覺悟の大法廷組曲」
「逆転裁判3 終幕」

「続・大逆転裁判組曲」
「大江戸戦士トノサマン」

　オーケストラ演奏は東京フィルハーモニー交響楽団，指揮は2019年のオーケストラコンサートや，昨年の「逆転裁判オーケストラコンサート・ザ・ベスト ONLINE」も担当した栗田博文氏だ。ファンのツボを押さえた選曲もあり，会場は大いに盛り上がった。
　「成歩堂龍一 〜異議あり！」と「王泥喜法介 〜新章開廷！」では，曲だけでなくスクリーンに流れていたゲーム映像も強く印象に残った。前者では成歩堂が自分の原点を思い出す姿が，後者では王泥喜の初法廷やライバル・牙琉響也との対決がフィーチャーされており，会場のファンも曲と映像を通して思い出に浸っていたようだった。


　2曲の演奏が終わると竹本さん，近藤さん，KENNさんが登場。近藤さんは「逆転裁判3」のPVからシリーズに参加し，10年以上経っているが，いまだにたくさんの思い出が作られている作品とし，とくにオドロキ君のメドレー曲ではゾクゾクした，と感慨深げなコメントを残した。
　KENNさんは「逆転裁判」の発売当時はいちプレイヤーとしてゲームを遊んでいたとのことで，「逆転裁判4」から声優として参加し，さらに20周年の記念公演にいられることが今でも夢のようだと語っていた。

写真左から，竹本英史さん（御剣怜侍役），近藤孝行さん（成歩堂 龍一役），KENNさん（王泥喜 法介役）

　キャスト陣のトークに続くのは，「逆転検事組曲 華麗なる軌跡」「ゴドー 〜珈琲は闇色(やみいろ)の薫り」という検事側のセレクション。とくに「ゴドー 〜珈琲は闇色の薫り」は，今回のコンサートには珍しいジャズテイストの曲で，ゲーム映像から見えるゴドーの濃いキャラクターと相まって，あらためて強烈な印象を残した。
　続く楽曲は「逆転裁判1〜3 法廷組曲」。ジリジリとした緊迫感，そしてムジュンを指摘しての盛り上がりというシリーズの魅力を凝縮したような組曲で，コンサートの前半を締めくくった。

　コンサート後半は女性キャラクターをフォーカスした「逆転裁判1〜6 麗しの組曲」でスタート。「逆転裁判1〜3 法廷組曲」と打って変わって軽やかな調べがファンの心をつかむ。「逆転裁判 革命と継承の組曲」は，「逆転裁判5」「逆転裁判6」がテーマで，曲とゲーム映像のリンクが絶妙。法廷爆破事件，育ての父・ドゥルクとの再会，そしてクライン王国での“逆転の大革命”といったドラマチックな物語がゲーム映像で描かれ，オーケストラの音色がこれを彩っていく。ゲームの物語とオーケストラ演奏が融合したという意味で，ゲームコンサートらしい組曲といえるだろう。


　演奏の後は竹本さんと近藤さんが再び登場。「逆転裁判1〜6 麗しの組曲」にちなんで，思い入れのある女性キャラクターについて聞かれた近藤さんだが，個人的にははみちゃん（綾里春美）も可愛いけれど，ナルホド君的には真宵ちゃん，千尋さんも……と玉虫色の回答だった。

　続いては「大逆転裁判」シリーズの曲ということで，近藤さんが「ご先祖様」である下野さんに呼びかける。スケジュールの都合上，会場に来られなかったという下野さんはビデオメッセージでの出演で，高い所にあるスクリーンから皆に語りかける様子はまさにご先祖様のようだ。

　20周年を迎えるほどに愛された「逆転裁判」に携わることができて光栄だ，と下野さん。「逆転裁判オーケストラコンサート2019」でオーケストラを背負って生アフレコをした際は，さすがの下野さんも台詞がズレてはいけないと大いに緊張したそうで，それだけに感動もひとしおだった……と思い出を語った。

　トーク後に演奏された「大逆転裁判組曲」「大逆転裁判 覺悟の大法廷組曲」は，重く広がりのあるオーケストラと，暖かみのあるアコーディオンの音色がマッチし，明治時代らしさを演出。「大逆転裁判」では，龍ノ介とホームズの「共同推理」をはじめとしてキャラクターが動き回る演出が特徴的だったが，スクリーンのゲーム映像もこういったシーンがピックアップされており，シリーズにおける演出の変化を感じられた。


　最後の楽曲となったのは「逆転裁判3 終幕」。この楽曲では，霧緒が企画した「成歩堂 龍一のハッタリ博物館」に，ナツミが撮影したシリーズ名場面の写真が並び，そこに千尋を始めとした成歩堂ゆかりの人々が訪れる……という特別な映像が流された。キャラクターのセレクションが濃く，台詞も味があるので，気になるファンはオンライン視聴^※でぜひチェックしてほしい。

※オンライン視聴券は以下サイトで3500円で販売中。なお，こちらは5月15日（日）23:59までであれば何度でもアーカイブ試聴可能とのことだ。
https://l-tike.zaiko.io/e/gyakuten2022

　お馴染みとなっているアンコールでは，「続・大逆転裁判組曲」と「大江戸戦士トノサマン」が披露された。「続・大逆転裁判組曲」では，龍ノ介の親友亜双義や，助手の寿沙都らがフィーチャーされており，曲名がスクリーンに出た際，筆者の周囲の女性ファンらが息を呑んでいたのが印象的だった。続く「大江戸戦士トノサマン」では，栗田氏の日の丸扇子が今回も登場。来場者たちも手拍子し，会場も大いに盛り上がった。


　コンサートを締めくくるのは，こちらも恒例となっている，舞台上とファンが一緒になっての「異議あり！」ポーズ。コロナ禍ということで声を上げてコールすることはできなかったが，皆で「異議あり！」ポーズを決めたことで，コンサートが思い出深いものとなったはずだ。
　なお，先にも紹介したが，本公演はオンライン視聴券を購入すれば，5月15日（日）23:59までアーカイブ視聴できる。本記事を読んで気になったファンは忘れずにチェックしてほしい。

「逆転裁判 20周年記念オーケストラコンサート公式サイト