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  • セガ
  • 発売日:2021/06/01
  • 価格:ゲーム本編&DLCパック:3300円(税込)
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印刷2021/06/08 15:00

プレイレポート

「Virtua Fighter esports」は何が変わった? 進化したグラフィックスとオンライン対戦,トレーニングモードをチェック

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 1993年にアーケードゲームとして登場し,3D対戦格闘ゲームというジャンルを確立した「バーチャファイター」シリーズ。2010年に稼働開始となった「バーチャファイター5 ファイナルショーダウン」(以下,VF5FS。その後,PS3とXbox 360向けにリリースされた)を最後に,長らく新作のリリースが途絶えていたが,2021年6月1日にPS4用タイトル「Virtua Fighter esports」(以下,VFes)の配信がスタートした(アーケード版は翌6月2日より稼働)。

 10年以上の時を経て再始動を果たしたVFシリーズだが,最新作は何が変わったのか。かつてゲーセンで闘った記憶を思い出しながら,VFesのリニューアルされたグラフィックス,“eスポーツ”仕様になったオンライン対戦,トレーニングモードを紹介してみたい。

「Virtua Fighter esports」公式サイト



見た目と雰囲気は“ほぼ”新作

しかし,プレイフィールは当時のそのまま


 VFesは,VF5FSをベースにしてリメイクされたタイトルだ。「龍が如く」シリーズなどで使用されている「ドラゴンエンジン」によって,キャラクターや背景のグラフィックスは見違えるほどにリニューアル。さらにBGMに関しても,VFes独自の新規楽曲が採用されているため,ゲームの見た目と雰囲気は“ほぼ”新作といった趣がある。
 一方でキャラクターの挙動や技の入力受付猶予は,(筆者の感覚では)まったくVF5FSと変わらず,空中コンボも当時のものがそのまま使える。筆者のようなVFシリーズ経験者には「見た目は新作だけど,身に染み付いた感覚でスムーズに遊べる」という,非常に都合のいいタイトルである。

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現実の人間に近い風貌になったキャラクターたち。とくにシュンやラウといった老齢の戦士は,年相応の顔立ちになった印象を受ける
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ステージの広さやギミックはVF5FSをそのまま踏襲しているが,グラフィックスは作り直されている。壁が破壊された際のエフェクトなどもリアルに
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操作感覚は従来のVFシリーズと変わらない。アキラの崩撃雲身双虎掌や堤膝弾腿,ジャッキーの居合蹴りといった,入力難度の高い技を自在にくり出すには相応の修練が必要
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 VFシリーズ経験者にとっては,キャラクターが放つ打撃技にヒットエフェクトが発生するようになったことは大きなトピックだろう。これは試合を観戦している人が攻防を理解しやすくなる演出として導入されたようだが,VFシリーズから長らく離れていた筆者にとっても,ヒットやガードの確認がしやすくなるという恩恵が感じられた。

ヒットエフェクトによって,技が当たった状態を表現するようになった。左はノーマルヒット時,右はカウンターヒット時のエフェクトだ
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左は相手の側面に技をヒットさせた際のエフェクト,右はガード時のもの。ガードされたことが視覚的に分かりやすくなっている。10年ぶりに復帰する出戻り組には,ありがたい要素だ
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現代的なオンライン対戦機能を搭載

快適かつ多彩な形式で拳を交えよう


 ただし,実際にVFesをプレイしてみて最も驚いた点は,進化したグラフィックスではなかった。どのゲームモードを選んだとしても,スピーディに進行していく快適さである。オフライン時のキャラ選択から試合開始に至るまでのロード時間は非常に短く,オンラインの「ランクマッチ」では条件を設定した状況でも即座に相手がマッチング。対戦時のラグはアンテナ5本(最高品質)ならまったく感じられず,アンテナ4本以下の状況でも「ここは投げに来るだろうから膝で暴れて最大リターン!」「アキラ戦は躍歩や揚炮を食らいたくないから一生避け!」といった決め打ちで行動する“VFおじ”なプレイングだと,ほとんどストレスは感じない。

ランクマッチの待機時間は自キャラのコンボやフレームを調べられるため,暇を持て余すことはない。リリース直後だからか,そもそも対戦相手には困らず,マッチングを待たされることはほとんどなかった
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 また,筆者の確認した限りだが,対戦相手のレベルは多種多彩だ。「ランクマッチには,昨日までVF5FSをやっていたような猛者が溢れているのでは……」と思っていたのだが,実際にVF5FS現役勢と思しき超上級者とのマッチングしたのは100戦中,3〜4回といったところ(現役勢はすぐに“錬士”以上に駆け上がった模様)。“五段”程度までであれば,久しぶりなのでまだ操作がおぼつかない様子の復帰勢,他の格闘ゲームから参戦してきたらしいプレイヤー(2択のかけ方やガードはしっかりしているが,トリッキーなキャラの動きには弱い),そして技を出すこと自体を楽しんでいる格ゲー初心者が大多数を占めているようだ。VFシリーズ経験者に狩られ続けるわけではない……という意味でも,現状のランクマッチは快適と言っていい。

アーケードでプレイしていた人には,メニュー画面も注目してほしい。放置していると,ほかのプレイヤーの対戦(リプレイ)が流れ続けるため,かつてのVF.TV(ゲームセンターに筐体とは別に設置されていたターミナル機。対戦リプレイが流れていた)を自宅で眺めている気分に
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 もうひとつのオンライン対戦モードである「ルームマッチ」は,設定できる対戦形式が豊富だ。タイトルに“eスポーツ”を冠するだけあって,観戦のみの入室,ダブルイリミネーション形式のトーナメント戦,全員総当たりのリーグ戦(トーナメント戦,リーグ戦ともに最大16人参加可能)などが用意されているうえ,試合の勝利条件(1,2,3,5,7,10本先取制)も細かく選べる。つまり,「EVOルールっぽい2先トーナメント」も「魂の10先勝負」も(TOPANGAリーグではお馴染みの)「7先リーグ戦」も設定可能だ。
 フレンドを直接ルームに招待する手段がない点は残念(これは早急に対応を望みたい……)だが,ルームマッチの機能は現代的な格闘ゲームのなかでも引けをとらない充実度だ。

eスポーツライクなルールのほか,特定のプレイヤーに次々と挑んでいく「組手戦」(VFファンにはお馴染み),ルーム内の最強ではなく最弱を決める“負け残り”ルールなど,バラエティ要素の強い設定も用意されている
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ルーム設定時のPRコメントが豊富,かつ現代的(配信や観戦に言及したものが存在する)。こうした配慮も嬉しいところだ
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十年待ったんだよ!!


 リニューアルされたグラフィックス,快適かつ多彩なオンライン対戦。この2点だけで,VFesは現代の格闘ゲームとして申し分のないタイトルだが,アップデートが物足りないと感じるところはあった。それは「トレーニングモード」だ。

 VFesのトレーニングモードは,ベースであるVF5FSのものとほとんど変わっていない。VFシリーズ初心者向けにシステムを解説するチュートリアルがあり,フリートレーニング時にはすべての技の攻撃発生や硬化差,攻撃方向などが表示される点は秀逸だが,コマンドトレーニングに用意されている基本コンボが3種類というのはあまりに少ない。また,特定の連係への対処や隙の大きい技に対する確定反撃,2択回避といった“実戦でやられてイヤだったこと”を克服するための練習には,レコーディング機能を活用するのが必須になる。初心者を卒業したプレイヤーが用意された機能を活用するにはひと手間かかるため,不便さを感じた。

VFesのチュートリアルは,シリーズ初心者がシステムや技のフレームを理解するためのツールとしては必要十分の内容だ
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 「バーチャファイター4」以降,VFシリーズの大きなウリの1つになっていたキャラクターのカスタマイズ要素。もちろんVFesにおいても健在だが,筆者はまだ寂しい印象を受ける。DLC「レジェンダリーパック」を購入すれば,各キャラクターに70〜80種類前後のアイテムを使ってコーディネートすることが可能になるが,カスタマイズ全盛期を知るバーチャ勢には物足りなさがあるのだ。この点に関しては,今後のアップデートに期待したい。

歴代シリーズのBGMと多数のカスタマイズアイテムが手に入るレジェンダリーパック(税込1100円)。このDLC自体は破格のコストパフォーマンスと言える
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 トレーニングモードやカスタマイズ要素には,“VFおじ”めいた感想が漏れてしまったが,PlayStation PlusまたはPlayStation Nowの月額料金だけで楽しめることを考えれば,VFesのコストパフォーマンスと充実ぶりはあらゆる世代の格ゲーマーを十分満足させるはずだ。
 しかも,VFesはセガ自身が運営を手がける“eスポーツコンテンツ”としての展開が決定しており,またアップデートによるチーム戦の実装,上位入賞者に称号が配布される定期トーナメントの開催などが予定されている。セガ公式だけでなく,コミュニティ主導のオンライン大会や配信が盛り上がりそうな雰囲気もあり,今後も目が離せないタイトルと言えるだろう。

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