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[TGS 2021]「STRANGER OF PARADISE FINAL FANTASY ORIGIN」開発者インタビュー。初代FFの世界を舞台に前日譚が語られる
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印刷2021/10/01 20:00

インタビュー

[TGS 2021]「STRANGER OF PARADISE FINAL FANTASY ORIGIN」開発者インタビュー。初代FFの世界を舞台に前日譚が語られる

 スクウェア・エニックスは,アクションゲーム「STRANGER OF PARADISE FINAL FANTASY ORIGIN」PC / PS5 / PS4 / Xbox Series X / Xbox One)の最新映像を東京ゲームショウ2021で公開し,本作が2022年3月18日に発売予定であることを発表した。映像で披露されたシーンには,新たな女性キャラクター「ネオン」が登場するとともに,そのラストでは主人公のジャックが,初代「ファイナルファンタジー」(以下,FFI)に登場した重要人物「ガーランド」だということが明らかにされた。
 そんな意外な事実を踏まえて,このTGS 2021の開催に合わせ,10月1日から10月11日23:59まで,体験版の第2弾が配信されることも決定した。

画像集#001のサムネイル/[TGS 2021]「STRANGER OF PARADISE FINAL FANTASY ORIGIN」開発者インタビュー。初代FFの世界を舞台に前日譚が語られる

 今回,体験版第2弾の配信にあたり,本作の開発者へのインタビューを実施。その開発経緯や体験版の見どころなどを聞いた。

プロデューサー:藤原 仁氏(スクウェア・エニックス)
ディレクター:井上大輔氏(スクウェア・エニックス)
プロデューサー:安田文彦氏(コーエーテクモゲームス Team NINJA)

野村哲也氏の2つのアイデアを融合し,ジャック・ガーランドを主役としたアクションゲームを企画


4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。まずは,「STRANGER OF PARADISE FINAL FANTASY ORIGIN」を企画された経緯と,コーエーテクモゲームスさんとのタッグを組むことになった理由からお聞かせください。

藤原 仁氏(以下,藤原氏):
 このタイトルを作るきっかけになったのは,野村(野村哲也氏,原案・キャラクターデザイン)が昔から温めていたアイデアがいくつかありまして,その中で“ダンジョンを攻略していくアクションゲーム”というものがあったんです。そしてもう1つ,“FFIに登場したガーランドを主人公に据えたゲーム”というもので,彼がなぜカオスとなってしまったのかということを,野村なりの解釈でかみ砕いた新しいストーリーを作るというのが,企画の根幹にあるものですね。
 ゲームは本格的なアクションにしたいということで,「ディシディア ファイナルファンタジー」のアーケード版でお付き合いのあったコーエーテクモゲームスさんのTeam NINJAのみなさんと組ませていただいただきました。

画像集#012のサムネイル/[TGS 2021]「STRANGER OF PARADISE FINAL FANTASY ORIGIN」開発者インタビュー。初代FFの世界を舞台に前日譚が語られる

4Gamer:
 高難度のアクションゲームにすることも,企画当初から決まっていたのでしょうか。

藤原氏:
 高難度といってもいわゆる「死にゲー」ではなく,「本格的なアクションゲーム」を作りたいということが,現在の内容につながったと思います。

4Gamer:
 FFシリーズのIPとして本作のような本格的なアクションゲームを作ることは,かなり冒険をしている印象を受けたのですが,スクウェア・エニックスとして,それはOKだったんですか?

藤原氏:
 僕としては,本作のようにFFシリーズの派生作品においては,シリーズに深みを持たせられるように,いろいろな方向性を模索していきたいと思うんです。
 本作は主人公がガーランドであり,ヴィラン=悪役が主人公になるということで,豪快なアクションをするところも踏まえて,一気に振り切った感じですね。

4Gamer:
 ジャックがガーランドだったという事実には驚きました。

藤原氏:
 はい,ジャックことジャック・ガーランドがヴィランとして,どういう道を歩んでいくのかというストーリーも,本作の見どころとなっています。

4Gamer:
 ゲームの中で,光の戦士にしては,豪快かつ残虐なアクションをするなという印象があったんですよね(笑)。

藤原氏:
 最初の体験版やトレイラーなどから「FFなのにずいぶん血みどろだな」という印象を持たれた方への答えが,ヴィランであるガーランドだったということにつながるということですね。


FFIの世界を新解釈で構築し,ジャックを中心としたFFIの前日譚が語られる


4Gamer:
 タイトルの「STRANGER OF PARADISE FINAL FANTASY ORIGIN」にはどのような意味が含まれているのでしょうか。

藤原氏:
 「STRANGER OF PARADISE」という部分は,今回ジャック達が現代風の衣装を身に着けていることにも関係しているんですが,彼らはよそからやってきた異邦人という設定があるんです。それが理由でああいう衣装を着ていて,そんな彼らがこのFFIをベースにしたこの世界にやってきたことを意味しています。
 一方,「FINAL FANTASY ORIGIN」に関しては,FFIと直接つながる話ではないんですが,ガーランドがカオスになる過程を描いた,FFIの前日譚としての1つの可能性という意味を含んでいます。

画像集#004のサムネイル/[TGS 2021]「STRANGER OF PARADISE FINAL FANTASY ORIGIN」開発者インタビュー。初代FFの世界を舞台に前日譚が語られる

4Gamer:
 今回のキャラクターデザインのポイントを教えてください。

井上大輔氏(以下,井上氏):
 主人公ジャックの無骨な姿は,ジャックがガーランドだということの伏線でもあり,あの鎧を着ている人物ということで,ガタイのいい豪快なキャラクターとなりました。
 一方,モンスターなどは,本作の世界にモンスター達がいたらこう見えるだろうということをポイントにしてデザインしています。RPGとしてデザインされていたモンスターも,アクションゲームになると動かす必要がありますから,動くことを前提とした解釈でのデザインに落とし込んでもらっています。

4Gamer:
 体験版をプレイした限りでは,モンスターも結構多彩なアクションがあって,作るのが大変ではないかと思えました。

安田文彦氏(以下,安田氏):
 確かにそうですね。もともとがアクションゲームとしてデザインされたモンスターではないので,野村さんや井上さんをはじめとするスクウェア・エニックスさんの開発者に監修してもらいながら,アクションゲームのキャラクターとして迫力を出したり,取り回しが良かったりするデザインにアレンジさせていただくという作り方をしています。

4Gamer:
 Team NINJAが開発において気を付けていたことはなんですか。

安田氏:
 「ファイナルファンタジー」という,世界中で人気のIP作品を作るわけですから,ファンを失望させるようなことはしないように最大限の努力をしています。一方で,藤原さんもおっしゃっていた,これまでとは違う「ファイナルファンタジー」を作るということで,我々も「大丈夫なのか?」と思うぐらい踏み込んでいて。そこは我々も背中を押していただいて,アクションゲームとして品質を上げるうえで,比較的自由に作らせていただいている感覚があります。

4Gamer:
 開発においてここは譲れない,といった部分はあったりしますか?

安田氏:
 細かなところで,こうしよう,ああしよう,というやりとりはすごくたくさんありますが,例えば最初の演出シークエンスが長いので,プレイアブルパートを入れてほしいとか,アクションゲームとしての構成やバランス的な部分での提案はさせていただいてます。
 我々もこのタイトルでしかできないことをやっているという手応えは実感していて,すごく刺激的な開発をさせていただいていますね。

4Gamer:
 体験版の第2弾が配信されますが,ぜひここは見てほしいというポイントがありましたら教えてください。

安田氏:
 アクションとしては,前回から新しいジョブを追加していますので,ジャックをどうカスタマイズをするかという遊びや,パーティキャラも含めたジョブ編成など,いろいろ模索していただきたいと思っています。
 一番大きいのは,マルチプレイが入っていますので,ぜひ試してもらって,もし何か思うことがあったらフィードバックも寄せていただきたいです。

画像集#002のサムネイル/[TGS 2021]「STRANGER OF PARADISE FINAL FANTASY ORIGIN」開発者インタビュー。初代FFの世界を舞台に前日譚が語られる

4Gamer:
 マルチプレイは,ソロプレイとはずいぶん印象が違って,ロール分けなどソロにはない楽しみもありましたね。

井上氏:
 ありがとうございます。バトルをデザインしたコーエーテクモさん側のディレクターの狙い通りだと思います。

4Gamer:
 バトルに関して,この手のアクションとしては,ガードの手段が2種類あるのがすごく特徴的ですが,通常のガードとは別にソウルシールドを入れた理由を教えてください。

井上氏:
 ソウルシールドは,「敵の攻撃を利用して,自分が有利に立ち回れる」という部分をガードと明確に分けたかったので,導入したものです。ヴィランが主人公ですので,敵の攻撃を普通に防御するだけでなく,それを奪って利用するような要素を強化したいと考えて生まれたものですね。ガードとの棲み分けも含め,プレイヤーができる手段の1つとして考えていただければいいと思います。

4Gamer:
 ソウルシールドが重要なぶん,ガードの重要性が薄れるような気もするのですが,そこはいかがですか?

井上氏:
 いわゆる「死にゲー」と言われる高難度ゲームのジャストガードって,結構ハードルが高いものだと僕は思っていて,それができないとゲームが攻略できないぐらいの印象があるんです。本作は,それに追従する高難度のものを作るのではなく,ハードルの高い部分を楽しむに至るまでの,入口になるような内容を目指したんです。その結果として生まれたのがソウルシールドで,あれってボタンを押したままでも出し続けられるので,アクションにおけるプレイヤースキルだけに依存しない,うまく立ち回る楽しさを1ステップ下げたところに設けたシステムの1つなんです。
 もちろん本作にもジャストガードは存在しますが,そちらはプレイヤースキルの高い人に楽しんでいただくぐらいの感覚で入れています。そのためにジャストガードができるとメリットのあるジョブなども用意しているので,自分がどう立ち回りたいかを意識して,アクションやジョブを選んでいただくのがいいと思います。

画像集#009のサムネイル/[TGS 2021]「STRANGER OF PARADISE FINAL FANTASY ORIGIN」開発者インタビュー。初代FFの世界を舞台に前日譚が語られる

安田氏:
 我々としても,体験版のフィードバックでは,ガードとソウルシールドの差別化や統一という声があったことも把握していますが,武器やジョブによるガード性能の違いという深みの部分と,ジャックというキャラクターに紐付くソウルシールドの両立は,製品版をしっかりプレイしてもらえれば,その意図も感じていただけるのではないかと思います。

4Gamer:
 ちなみに体験版からのフィードバックは,この第2弾でどの程度反映されているんですか?

安田氏:
 大小いろいろな部分で変わっていますね。前回プレイした人なら,その違いをもしかすると感じていただけるかもしれません。

4Gamer:
 最後に今回の体験版第2弾の配信にあたり,プレイヤーにメッセージをお願いできますでしょうか。

井上氏:
 まずは何よりも楽しんでいただけると嬉しいです。今回入ったマルチプレイに関しても,まだまだ足らない部分はあるかと思うので,そういったところはぜひフィードバックをいただければ,今後の開発に反映させていきます。

藤原氏:
 いよいよ発売日も発表されて,情報も今後どんどん出てくるかと思うので,ジャックと仲間達がどうなっていくのかというストーリー部分なども,今回の体験版でその前後をいろいろ予想してもらいたいです。

安田氏:
 前回の体験版でいただいた意見を踏まえて,2回めの体験版はかなりいろんなところでパワーアップしています。ぜひそこを楽しんでほしいと思いますし,発売に向けて「ファイナルファンタジー」ファンと,アクションゲームファンの両方に満足いただけるタイトルにしていこうと思っていますので,ぜひ楽しみにお待ちください。

4Gamer:
 ありがとうございました。

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