プレイレポート
[プレイレポ]映画「アバター」から15年後の世界を描いた「アバター:フロンティア・オブ・パンドラ」。美しい衛星パンドラをナヴィになって駆け巡ろう
主人公は,人間の民間軍事会社RDAに拉致されて育てられたナヴィ族(以下,ナヴィ)の青年で,パンドラをRDAから守り抜く物語が描かれる。発売に先立ち,開発中のゲームをプレイする機会を得られたので,インプレッションをお届けしていこう。
「Avatar: Frontiers of Pandora」公式サイト
作り込まれた自然環境で,エキゾチックな衛星パンドラに没入する体験を楽しめる
2009年に公開された映画「アバター」の世界を舞台に,これまでに語られなかった物語が展開する「アバター:フロンティア・オブ・パンドラ」(Avatar: Frontiers of Pandora)。同年にリリース(国内は2010年)された「アバター THE GAME」(PC / PS3 / Xbox 360 / Wii / PSP / NDS)に続く2回目のゲーム化で,オープンワールドの一人称アクションアドベンチャーとなっている。
映画「アバター」では,希少な鉱物が埋まる衛星パンドラを舞台に,これを狙う地球人と先住民であるナヴィの相克が描かれていた。
本作の主人公は,その少し前に人間の民間軍事会社RDAに拉致され,とある目的のための訓練を受けながら育てられたナヴィの青年だ。映画で描かれた戦いから生き延びるため冷凍睡眠に入った主人公は,15年後の世界で目覚める。そして,仲間であるはずのナヴィから人類のスパイとして疑われながらも,社会に受け入れられるべく努力していくことになる。
今回プレイしたのは,開発中のPC版で,操作にはPS5用コントローラ“DualSense”を使用した。インターフェースは英語での表示になっていたが,製品版では日本語に対応するとのこと。
プレイ時間は約2時間で,ある程度成長した状態のキャラクターを使用し,採集がメインのクエストと,翼竜「イクラン」を手なずけるクエスト,イクランでの飛行クエスト,そして人類の基地を襲撃するクエストを体験できた。
まず結論から言うと“映画の世界に入り込んだようなパンドラ体験”ができ,そして“人類とナヴィの武器,イクランを駆使してのハイテンポなバトル”が味わえ,世界観重視派とアクション重視派の両方が楽しめるタイトルであると感じられた。
本作でまず目を惹くのが,パンドラの美しさ,そして自分がナヴィであることを体感できる操作感,そしてゲームに没入できる仕掛けの数々だ。
ゲームの舞台となるのは,パンドラに広がる広大な地「ウェスタン・フロンティア」。活き活きとした色彩に彩られた自然のなかには,様々な植物や動物が息づいている。
もともと映画のために作られた世界ということもあってか,その奥深く凝ったデザインに感心させられると同時に,異星に来たことを強く意識させられる。
パンドラの自然は美しい |
植物ひとつとっても,プレイヤーが近づくと花を引っ込めるが特に害はなさそうな群生植物や,捕まって吊り上げられることもあるツタのようなもの,胞子を吸い込むと移動速度がアップするキノコなど多彩に富んでいる。
いずれも地球にはないような姿形と特性を持つ植物たち。映画で“見た”ことのある世界ではあるが,本作を通して“触れる”のは初めてなので,自然とおっかなびっくりに。自分がパンドラにいるような気分が高まるのだ。
謎のキノコ。上に乗るとトランポリンのように大ジャンプできる。地球ではあり得ない出来事に驚かされ,主人公と気持ちがリンクする |
グラフィックスが美しいため,アクセスできる動植物やオブジェクトが背景と見分けがつかないこともあるのだが,そこはシステム面でカバーされている。
[R1]ボタンを押すことで“ナヴィの感覚”が発動し,アクセスできるものが強調表示されるのだ。この状態で動植物をターゲットし,さらに[L3]ボタンを押すことで,その名前や特性も説明してくれる。「狩りの手引き書」にも記録されていくので,新しい動植物を見かけた際は,積極的に確認しておきたい。
またクエストの目的地もナヴィの感覚でチェックできる。オープンワールドゲームにおけるマーカーのように目的地が光るため,これを目印に進んでいけばスムーズにクエストを達成できるのだ。
「オープンワールドゲームと言えば,クエストの指示通りにマーカーを追っていくゲームだ」という声も上がるが,本作ではこうした単調でゲーム的なプレイを緩和する仕組みも取り入れている。
探索感を出すためにミニマップを用意していないのもそのひとつだが,特に面白いと感じたのは,オプションでマーカーをオフにもできる点だろう。
この状態だと,クエストの目的地はゲーム中のヒントから割り出さなければならない。例えば,とある植物の実を採集するクエストであれば,「目的の実はこのような地域(バイオーム)の水辺に生えている」という感じで指示されるので,実際に周囲を観察しながら該当する場所を探していくことになる。
よりリアルなナヴィ感を味わえるというわけで,プレイに慣れてきたらこちらのオプションをオフにして遊んでみてほしい。
“ナヴィの感覚”使用中。敵は赤,目的地は緑色の光として示される |
植物の多くはボタンひとつで採集できるが,なかにはちょっとした追加操作が必要なものも。例えば植物の実を取る場合,「実が外れやすい方向へ引っ張って,丁度いい力でもぐ」という動作が必要になる。
円状のインターフェース内に表示される点を[Lスティック]で動かして引っ張る方向を定め,[R2]ボタンを押してどれくらい力を入れるかを決めていくのだが,上手くやれば高品質の実が手入るので,ついつい真剣にプレイしてしまうのだ。
また動物の狩りは,ナヴィ製の弓矢や人類の銃などを使って行う。ナヴィの感覚を使えば動物の弱点部位が表示されるので,手強い相手は積極的に弱点を狙いたい。
狩った動物からは肉などの素材が手に入る。植物と同様にそのまま食べてもいいし,各地に点在するキャンプで調理してもいい。食べることでプレイヤーの「エネルギー」が回復するのだが,これは後述する戦闘において非常に重要になる。
高品質の食材は,エネルギーの回復量が高い。持ち歩けるアイテムの数は限られるので,できるだけ高い品質の食料を集めておきたい |
採集や狩りでは,料理だけでなくクラフトに使える素材も入手できる。武器や防具といった大がかりなクラフトはキャンプの作業台で,矢や弾丸はその場で製造が可能だ。クラフトも素材の品質が重要になるようで,ナヴィとして狩りや採集に熟達しなければならないのが面白い。
ナヴィと人類の武器を使い,パンドラを汚す人類を翻弄するハイペースバトル
美しくも驚異に満ちたパンドラの世界は,自然が豊かな半面,高低差も多く移動が困難な地形も多い。しかしナヴィの優れた身体能力をもってすれば,その地を自由に駆け巡ることも可能だ。
[×]ボタンひとつで障害物を乗り越える「ジャンプ」や,力を溜めて高く飛ぶ「チャージジャンプ」,2段ジャンプの「エアブースト」といったアクションを繰り出せる。高速のダッシュと,壁やツタがあれば自動で掴まる能力を合わせれば,森の中だろうが山だろうが自在に移動できるだろう。
人間ならとても踏破できないような地形であっても,ナヴィなら道具も使わずにヒョイヒョイと通り抜けられる。周囲の自然がリアルに描かれていることと相まって,高さに肝が冷えるような思いをしつつ,スピード感と爽快感を味わえるのが楽しい。
遠くの岩にはオレンジ色の「リフトツタ」が垂れ下がっている。人間ならあそこまで跳べないが,ナヴィなら2段ジャンプの「エアブースト」でラクラクたどり着き,自動で掴まれる |
さすがのナヴィでも越えられないような険しい地形もあるが,そんなときはナヴィの感覚の出番だ。踏むとナヴィを跳ね上げてくれる「人魚の尾」や,矢で射ると掴まれるツタを伸ばす「リフトツタ」といった植物を発見できれば,目的地までの移動が楽になる。
これらの植物の形が分かっていれば,ナヴィの感覚を使わずともアクセスできるのがポイントで,パンドラの自然を理解していくことも,プレイを進めていくうえで大切なことになる。
こちらは「人魚の尾」。プレイを続けていると,ナヴィの感覚がなくとも見つけられるようになる |
高い所にたどり着いたら,ダイビングしてみるのもオススメだ。落下中に十字キーの[↑]を押せば,翼竜であるイクランを呼び出して,その背に乗れる。そのまま空を自由に飛び回れるのは爽快の一語に尽きる。
ウェスタン・フロンティアには,空に浮く岩塊や人類の飛行プラットフォームなど寄り道したくなるロケーションが沢山ある。その為,特に目的を持たないイクランによる空中散歩も非常に楽しい。
イクランの呼び出しは,地上と空中のどちらでも可能 |
またイクランには,オヤツを与えることもできるし,スキルの中には海鳥よろしく「水面に近づいて魚を食べる」ものもあるなど,生き物としての側面も描写されている。単なる移動の手段ではなく,原作同様に“試練を経て絆を結ぶ特別な存在”を感じさせてくれるのがうれしいところ。
なお本作では,この試練がクエスト化されており,ナヴィになったかのような感覚を得られる。先のオヤツとあわせ,「アバター」ファンがやってみたかったことが詰め込まれているという感触だ。
試練を乗り越え,ついにイクランと絆を結ぶことができた。イクランには名前を選んで付けることができ,思い入れも深まる |
パンドラでは空にも美しい光景が広がる |
自然とともに暮らすナヴィだが,主人公は訓練を受けていることもあって,戦闘でも高い能力を発揮する。今回は,辺りを汚染する人類側の基地を襲撃するというクエストをプレイしたのだが,多彩なアクションと武器を駆使して戦う,爽快感のあるバトルを体験できた。
このクエスト,敵は数が多い上に銃器を始めとしたハイテク兵器で武装しているが,ナヴィの身体能力と,周囲の環境を利用する知恵を使えば互角以上に立ち回れる。前述したジャンプ絡みの機動を使えば,縦横無尽に動き回ることができ,銃で狙われてもものともしない。
また遮蔽物から遮蔽物へと渡り歩き,相手が気づかぬうちに仕留めるくらいのことは朝飯前。歩兵ならスライディングや近接攻撃の一撃で倒すことができるため,基地を駆け巡りながら敵の勢力を削っていくようなハイテンポの戦いが気持ちがいい。
イクランも戦闘に組み込める。背に乗ったまま敵のヘリと弓矢で空中戦を演じたり,いきなり敵の真っ只中に乗り付けて大暴れするようなムチャも可能で,まさに一騎当千の無双気分を味わえる。とはいえ,こちらは1人なのでやり過ぎは禁物だ。減った体力は,回数制限付きの即時回復ができるのに加え,ダメージを受けずにいれば,エネルギーを消費して体力が急速回復していく(「Grim Dawn」の経験者なら,同作の活力システムに近いといえば分かりやすいだろうか)。
先ほど述べたように,エネルギーは所持している食材や食料を食べることで回復できる。正面からでは太刀打ちできない強敵がいる場合も,ナヴィらしいヒットアンドアウェイのゲリラ戦を徹底すれば粘り強く戦うことができるだろう。
イクランに乗ったまま,弓矢でヘリと戦うこともできる。ヘリはローターが弱点なので,狙い撃つと大ダメージを与えられる |
また,特性の異なる武器を状況に応じて使い分けることも重要になりそうだ。ベースとなる武器は9種用意されており,これをカスタマイズすることで性能や見た目を変化させられるという。敵が孤立しているのであれば,音の出ないナヴィの弓矢で1人1人仕留めていくのも有効だろう。また弓によっては,爆発やガスの矢を射ることもでき,事前のクラフトも大事になってくる。
2系列の武器を使い分ける様は,人類の中で育てられた主人公の特権といえる。銃器での攻撃に必要な弾薬は,敵を倒すと手に入るほか,自分でもクラフト可能 |
一方,耐久力の高いAMPスーツ(人間が乗り込む5m程のパワードスーツ)や飛び回るドローンにはアサルトライフルを始めとした人類の銃器が使いやすい。
AMPスーツは普通に戦うと苦戦させられるが,実は様々な手段で倒すことができ,工夫のしがいがある。例えば,前述したガスを放出する矢を当てると,パイロットがキャノピーを開けて無防備な状態になるので,そこを狙い撃てばいい。
毒ガスの矢を当てると,たまりかねた乗員がキャノピーを開ける。その様子は見ているだけでも面白い |
また,背中にあるタンクを壊せば爆発して大ダメージを与えられる。またどの敵にも有用だが,周囲に置かれたボンベなどの可燃物に巻き込むことも可能だ。
スキルの中には,「AMPスーツの体勢を崩した所に近接攻撃をすれば,パイロットを引きずり出して一発撃破できる」というものもあり,工夫して戦うという本作のコンセプトを象徴しているといえるだろう。個人的には,かなりナラティブ寄りのゲームを想像していたので,バトルがこれだけ充実しているというのは嬉しい驚きがあった。
人類のAMPスーツは正面から立ち向かうと恐るべき相手。乗ってみたくもあるが,ナヴィの身長だと厳しいか |
AMPスーツに火をつけると,周囲のAMPスーツも慌てふためく |
今回の「アバター:フロンティア・オブ・パンドラ」の試遊,ユービーアイソフトらしい癖のない操作感と,原作をリスペクトした作り込みが合わさって,プレイの2時間があっという間に思えるくらいに楽しむことができた。
ゲーム全体のボリュームについては「メインキャンペーンが豊富な上,サイドクエストも沢山あるので,クリア時間はプレイヤーのスタイルによって変動する」とのこと。映画「アバター」ファンはもちろん,オープンフィールドを舞台にした探索アクションが好きな人も,2023年12月7日の発売日を楽しみに待つといいだろう。
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Avatar: Frontiers of Pandora(C)2021 20th Century Studios. Game Software excluding 20th Century Studios elements:(C)2021 Ubisoft Entertainment. All Rights Reserved. Avatar: Frontiers of Pandora and the 20th Century Studios logo are trademarks of 20th Century Studios. Licensed to Ubisoft Entertainment by 20th Century Studios. Ubisoft and the Ubisoft logo are registered or unregistered trademarks of Ubisoft Entertainment in the U.S. and/or other countries
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