プレイレポート
見つけたのは,とっておきの景色。夢追う女性画家の謎解きゲーム「Behind the Frame」をプレイ
本作はアカツキの子会社であるアカツキ台湾,その社内スタジオとなるSilver Lining Studioが開発した初のタイトルで,Akupara Gamesと共同で全世界に配信されたアニメ調の謎解きゲームだ。
海外ではすでにさまざまなゲームアワードでの受賞歴もあるなど,配信日の本日時点でも箔付けはバッチリと言える。
作中では,日夜目の前のキャンバスと向かい合う夢追いの女性画家が,ふと窓の外に映る景色に目を取られると――といったはじまりから,色合いと情感にあふれる世界でのちょっとした謎に迫っていく。
まるで人生を語る映画のよう,じっくり楽しめる文芸作品(というコンセプトだという)。プレイ時間も90分〜120分くらいと,それこそ休日を豊かにするストーリー体験にもピッタリな作りだ。
「Behind the Frame 〜とっておきの景色を〜」公式サイト
「Behind the Frame 〜とっておきの景色を〜」ダウンロードページ
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どこか不思議。セル画チックなアニメ世界にトリップ
お話の主人公は,ニューヨークの公募展への作品出展を目指し,新たな絵を描こうとしている,とある女性画家。
物語は,彼女が家の窓辺で絵を描きはじめるところからはじまる。
まずは下記の画像を見てもらえば分かるとおり,本作は日本のアニメにも詳しいコンセプトアートのデザイナーが手がけたとのことで,全体的にどこか懐かしい,温かみのある雰囲気に仕上がっている。
この時点で刺さったのなら素質あり。遊ぶほうが早いだろう。
本作はアニメではなくゲームなので,プレイヤーにもお仕事はある。最初の目的は,メモに残されたラフ絵と同じように,画面をタップ&スライドして,キャンバスに黄色の絵の具を塗っていくことだ。
任意の場所に,好きに色を塗っていこう。
ちなみに絵を塗るときは“厳密な操作は求められない”ため,キャンバスから色がはみ出たり,違う箇所を塗ったりしてしまっても,ゲーム側が自動的に修正してくれる。難しい操作はいっさいなしで,アーティスティックな気分を味わってもらうことを重視したかのような作りだ。
絵の具を塗り,筆を置くと,そこからが本格的なゲームスタート。
作中では,セル画風のロケーションを一人称視点で見渡せる「360°パノラマ・テクニック」により室内を散策できる。身体移動ではなく視点移動なので,操作は気になる場所をタップするだけだ。
謎解きゲームの経験者なら分かるだろうが,ここから周辺を探索して,アイテムを見つけるなどして,話を進めていく。
とはいえ定番の謎解きゲーム,あるいは脱出ゲームの場合,鍵を探したり箱をあさったりするが,彼女は部屋に閉じ込められているわけではない。むしろ,自ら閉じこもって絵画に没頭する画家だ。
彼女は「絵が完成するまでは家から出ない」と心に誓っているものの,さりとて緊迫した様子ではない。がんばるためにそうしようと決めたマイルール……くらいの制限で日常生活を送っている。
それゆえストーリー進行も,ラジカセで音楽をかける,おいしそうな卵で朝食を作る,コーヒーをいれてから絵を描く,などなど。
そういった何気ない毎日のルーチンをこなすものは多い。
朝食を終えて絵に向き直ると,ふと窓の外に見える向かい側の部屋に,自分と同じように絵を描いている老人と,老猫の姿が。
そして彼女とこの老人との関係が,物語の行く先を示していく。
挨拶をしても無視する頑固な老人。彼の背を見ながらスケッチブックにその姿を描き写していると,彼女はひとつの事実に気付いた。
老人の家に飾られた絵が,自分の部屋にある絵と似ていたのだ。
老人の家の絵と自分の家の絵。似ているが,なにかが足りない。そこで彼女はスケッチした絵を手本に,不足している部分を塗り足した。
こういった絵自体の探索や間違い探しも,絵画を題材にした本作における大きな謎解き要素につながっている。
絵の不足を描き終えると,キャンバスの裏から見覚えのないサインとメモが見つかった。そこに描かれているものは,奇妙なことに,またしても自宅にある別の絵画と酷似しているような気がした。
こうして絵にちなんだ謎を解き進めていくと,「新たな絵の具」を入手できる。最初は黄色しか持っていない彼女だが,一色ずつ新たな絵の具を手にしていくことで,作品に塗れる色の数も増えていく。
なぜ,老人の部屋の絵と似たものがあるのか?
なぜ,絵に奇妙なメモが残されているのか?
なぜ,解決すると絵の具が出てくるのか?
これらの謎はやはりというかミステリーやサスペンスのような怖い彩りはなく,プレイヤーはのんびりとした空気感のなか,少しだけ垣間見える非日常を楽しみつつ,目的の絵を完成させていく。
謎を解き,絵の具を入手し,新たな色を描き加えたら1日はおしまい。物語は毎日毎日,代わり映えのしない同じ部屋で進行するのに。
ちょっとしたハプニングが,気付けばサプライズになっている。
ゲームは全チャプター6まで用意されており,謎解きに要する時間次第であるが,筆者はおおよそ2時間でクリアすることができた。
1日の終了後につづられる,女性画家とは別の視点での物語も世界観とマッチしていて,真相をひも解いていく感覚になれた。
「Behind the Frame 〜とっておきの景色を〜」は言ってしまえば,“謎解きしながら楽しむショートムービー”のような作品である。
ビジュアルに引かれた人はぜひ遊んでみてほしいし,物語の奥に潜んでいる温かな謎にも,より多くの人に触れてほしいと思える。
一方で,それらをネタバレするわけにはいかないので。代わりにどんな体験が待ち受けているのかを,開発担当のSilver Lining Studioのスタジオビジョンの引用をもって,ここでの解答としておきたい。
「Every cloud has a silver lining.」
心温まるストーリーを掘り起こすことで、あなたの純粋な笑顔を見つけ、前に進めるよう手を取ってあげる。Silver Lining(希望の光)のように、裏の闇から抜け出す、美しい日の出のような希望へと導く存在であり続けます。
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(C)2021 Silver Lining Studio. All rights reserved. Powered by Akatsuki Taiwan Inc.
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