インタビュー
[インタビュー]マルチプレイシューター「SYNCED」が目指すのは,日本のプレイヤーとコミュニケーションを取り愛される作品になること
プレイヤーが操るランナーは,銃器などで攻撃できるほか,等身大のナノテク兵器「ナノ」を操れる。ナノは初めは敵として登場し,倒すことで乗っ取ることが可能。パワフルな「クラッシャー」や,防御に優れた「ガーディアン」,遠距離攻撃を得意とする「サプレッサー」,情報収集能力を持つ「シアー」の4種類が存在する。
装備品やスキルなどは,戦闘を通して手に入る「MOD」で強化やカスタマイズも行えるので,状況や自分の戦いに合ったナノの運用や育成が重要になってくる。
またランナー自身は,範囲攻撃や治療,ステルスに索敵といったスキルを持つ。ランナーとナノは自由に組み合わせることができるため,自分なりのビルドを楽しめるのだ。
2022年末にはオープンβテスト,2023年4月には「ソロモード体験版」の配信を行った本作。プロデューサーであるNExT Studiosのクラーク・ヤン氏に,「SYNCED」の魅力などを聞くことができたので,その内容をお届けする。
「SYNCED」公式サイト
日本ユーザーとコミュニケーションを取り,愛される作品作りを目指す
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。
さっそくですが,「SYNCED」のシステムや特徴などを教えてください。
クラーク・ヤン氏(以下,ヤン氏):
「SYNCED」は,多人数プレイが可能なTPSで,個性豊かなランナーたちを操作し,ナノと呼ばれるAIキャラクターとともに戦います。ランナー1人に対して1体のナノがついている,コンビのような状態ですね。
ランナー自身もスキルを持っていますし,ナノにも固有のアビリティがあります。そして,ランナーとナノは自由に組み合わせられますから,いろいろな戦い方を試すのが楽しい,自由度の高いゲームになっているのです。
4Gamer:
オープンβテストをプレイしたのですが,ナノとの共闘感は独特のものがありますね。どういったきっかけでナノを生み出したのでしょうか。
ヤン氏:
“これからの世界では,すべての機械設備はもちろんのこと,人間の意識もネットワークで繋ぐことができるようになるだろう”といった,イーロン・マスク氏の思想からです。
「それなら,未来の戦争においては敵の意識もネットワークに繋がっているだろうから,これを乗っ取ることもできるのでは?」ということで,“敵のナノを奪って自分のものにする”遊びを考えついたんです。
4Gamer:
サイバー時代の未来展望から,「SYNCED」の遊びが作られていったわけですか。多人数プレイのTPSにおいて,プレイヤーのそれぞれにAIの仲間が付いているというのも珍しいですが,実装に当たって苦労した点はありますか。
ヤン氏:
苦労だらけです(笑)。まず呼び出されたナノですが,プレイヤーが何を考えているのかを理解したうえで共闘するAIにしなければいけませんでした。たとえば,出現時の立ち位置ひとつにしても,プレイヤーの邪魔にならないような場所にしないといけません。
また,戦闘中に指揮者であるランナーのライフが減ってきたときなど,さまざまな局面において行動に優先順位を設定する必要もあります。
非常に細かい点ですが,このような部分がプレイアビリティに影響しますので,AIの調整などには数年かかりました。そのかいあって,今では「ナノが邪魔になる」という声も聞くこともなくなりましたね。
4Gamer:
開発当初は,ナノの出現位置や召喚モーションも違っていたんですか。
ヤン氏:
はい。今とは違って,ランナーと同行するような仕組みでしたので,目の前に出現したり常に横に立っていたりすることもあったんです。
4Gamer:
それだと,ランナーの攻撃時に非常に邪魔になりますね(笑)。
ヤン氏:
そこで,ランナーとナノを融合・合体させようというアイデアが出ました。ただ,ランナーはあくまでヒーローなので,融合・合体したあとも,ヒーローとしてのイメージを崩すような姿になってはいけません。
そこで,ナノはランナーの右腕にパーツとして装着される形になりました。召喚の際には,“右腕のパーツが粒子と化して飛んで行き,ナノとして再構成される”という表現になり,ヒーローとしてのイメージを保ちつつ,ランナーの邪魔をしないように一緒に行動できる現在の形になったわけです。
4Gamer:
融合・合体という表現が模索されたものの,ランナー自身が怪物化するようなビジュアルではヒーローとしてのイメージが損なわれる。そこで右腕に着けるパーツとしてナノが再構成され,召喚時には少し離れた場所へ出現することになったわけですか。
ヤン氏:
パーツが右腕に装着されるのにも理由があります。本作はTPSなので,ランナーは画面の左寄りにいることが多いです。その右腕にパーツを装着すれば,画面の中央に位置することになるわけでから。
また,現在どのタイプのナノを味方にしているのかが一目で分かるよう,パーツ化した時のデザインも工夫しています。
4Gamer:
戦闘中は忙しいので,見た目でパッと分かるのはうれしいですね。
ヤン氏:
ランナーやナノにアビリティを付与できる「MOD」も自由に選択することができるので,いろいろと組み合わせて試してみて欲しいですね。
βテストのときには,YouTubeでプレイ動画を配信している人が,我々が予想もしていなかったような使い方をしていて驚いたこともありました。
4Gamer:
これまで,2回のオープンβテストを行っていますが,印象に残っているプレイヤーの反応はありますか。
ヤン氏:
どの国のプレイヤーも,有意義な提案を数多くくれたのが印象的ですね。最初のオープンβテストのあと,日本のプレイヤーからは,「ソロモードが欲しい」「ランナーの移動が遅い」という声をいただきました。
これを受けて,体験版でも配信したソロモードや,空中を素早く滑空する「ナノリープ」(仮称)を実装しました。
我々「SYNCED」開発チームは,プレイヤーとお互いに良い影響を及ぼし合う関係を築き,ともに成長していきたいと考えており,ローンチ後も皆さんのご意見を取り入れた開発を続けていきたいです。
4Gamer:
正式サービス後の「SYNCED」では,PvPとPvEのどちらがメインになっていくのでしょうか。過去のオンラインゲームでは,PvEで強くなるためにPvPをプレイしなければならないような例も見られましたが。
ヤン氏:
ゲームコンテンツとしてのボリュームは,PvPよりPvEのほうが大きいですね。ただどちらのモードも,アップデートで新しい体験を加えていく予定です。
PvE,PvPのどちらでも楽しめるように開発していますので,好きなモードで遊んでもらえればと思います。
4Gamer:
課金要素についてはどうなっていくのでしょう。
ヤン氏:
現時点では協議中ですが,ランナーや武器,ナノの外観変更や,バトルパス(購入すると,プレイに応じて特殊な報酬がもらえる),ガチャが課金要素になります。
武器やナノの能力強化に必要なアイテムが入手できるガチャも用意する予定です。手早く強くなりたいときは,活用してみてください。
4Gamer:
ガチャで入手できる武器は,PvPで使えるのでしょうか。
ヤン氏:
PvPでは使えません。あくまでPvEオンリーのものです。課金で手に入る強力な武器をPvPで使えたら,ゲームバランスが崩れてしまいますから。
ただ,それらの武器の外見のみをPvPに反映することが可能です。強力な武器は特別な外見をしていますから,そのカッコ良さをPvPでも楽しんでください。
4Gamer:
折角手に入れた銃だから,いろいろな所で愛でたい。ガチャの武器の見た目のみPvPで使えるというのは面白い着地点ですね。キャラクターの外観はどのようにカスタマイズできるのでしょう。
ヤン氏:
上から下までひと揃いになった服装セットが手に入り,同じセットの中でカスタマイズしてもらう方式です。
例えば,「消防士コスチューム」という服装セットが手に入ったとしましょう。消防士コスチュームの服装セットでは,3種類の消防士帽子が用意されていて,気分に合わせて変えられるようになっています。
なお上着は消防士,ズボンは別のセットから……と自由に組み合わせられるわけではありません。
4Gamer:
今後はどんなランナーやナノが増えるのでしょうか。また入手方法はどうなりますか。
ヤン氏:
すでに数シーズン分のランナーを計画しており,テストを行っています。その中には日本的なランナーもいて,日本の方々に好きになって頂けるのではないかと思っています。
新たなランナーはスキルも新しいものを持っていて,実装されるたびに今までと違った遊び方を楽しめます。シーズンごとの新しいランナーやストーリーをご期待ください。
入手方法については未定ですが,楽しみにお待ちください。
4Gamer:
日本的なランナーがどのようなものになるのか,楽しみです。「SYNCED」の運営における日本市場の位置づけや,期待にしたいことについて聞かせてください。
ヤン氏:
日本は,「SYNCED」にとって非常に重要な市場です。シューティングゲームも非常に高い人気を持っていますから,日本市場の潜在力というものを深彫りし,シューティング系のゲームではトップクラスになりたいと考えているのです。
先ほどの日本的なランナーだけでなく,日本的なメカやデザインも増やしていき,日本のプレイヤーとの交流を密にしていくことで,どのようなものが受けるのか,「SYNCED」に対してどのような期待が寄せられているかを知りたいのです。
実は昨年12月のオープンβテストの際,「SYNCED」のランナーたちをドット絵で描いてくれた人がいて,開発チームはみんな凄く感動していました。
このようなUGC(ユーザー作成コンテンツ)が次々に出てくるようなコミュニティを作りたいですし,プレイヤーとのコミュニケーションを続けていきたいですね。
4Gamer:
日本市場を重視し,愛されるゲームにしていきたいということですね。
ヤン氏:
「SYNCED」ですが,普段シューティングゲームをプレイしない層のプレイヤーも多く,今後も獲得に力を入れていきたいと考えています。
ランナーの外観についても,幅広いプレイヤーに好まれるようなものも取り入れる予定ですし,将来的にはコスチュームのデザインコンテストなども実施したいです。
4Gamer:
「SYNCED」が幅広い層のプレイヤーに受けた理由をどのように考えていますか。
ヤン氏:
一緒に戦ってくれるナノの存在が大きいかもしれませんね。通常のシューターではエイミングの精度が求められますが,「SYNCED」では,それが苦手な人であってもナノが助けてくれるのでTPSの魅力をたっぷり感じてもらえると思います。
4Gamer:
確かにナノの存在は大きいです。では最後に,正式サービスに向けて,読者にメッセージをお願いします。
ヤン氏:
「SYNCED」は独特な体験ができるゲームです。プレイヤー自身のアイデアで,いろいろなスキルやナノの組み合わせを作り,自己表現してみてください。
4Gamer:
ありがとうございました。
ひとりでも多人数でも楽しめる「SYNCED」は,2023年夏に基本無料でサービスが行われる予定だ。能力モノ漫画のようにナノを呼びだし,共闘する感覚が新しい本作。気になる人は続報をチェックしておこう。
「SYNCED」公式サイト
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(C)2023 Proxima Beta. All Rights Reserved
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