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[TGS2022]「スナフキン:ムーミン谷のメロディ」試遊レポート。ほのぼのだけじゃない,やり応えのあるムーミン世界の音楽アドベンチャー
「スナフキン:ムーミン谷のメロディ」公式サイト
「スナフキン:ムーミン谷のメロディ」は原作のエピソードのみをベースに物語を作っている。制作者に聞く,開発の経緯と“ムーミンの世界への思い”
「ムーミン」シリーズを原作としたパズルアドベンチャー「スナフキン:ムーミン谷のメロディ」は,どういった経緯で,どのような思いを持って制作されたのか。TGS 2022にて,開発スタジオHyper Gamesの中心人物であるAre Sundnes氏に話を聞いてきた。
トーベ・ヤンソン氏の小説および絵本「ムーミン」シリーズを原作とした本作。開発を担当したのはHyper Gamesという独立系の開発会社で,Raw Furyがパブリッシングを,架け橋ゲームズが日本向けのローカライズに協力している。
主人公は,そのタイトル名のとおり,自由を愛する旅人のスナフキンだ。ゲームを始めると,どこか旅先から帰ってきたところらしい。一体どれくらいの期間,旅をしていたのだろうか,ムーミン谷は何やら様子が変わっている。
昆虫採集家のヘムレンさんの話によると,厳格すぎる公園番(パークキーパー)がやってきて,ムーミン谷に悪趣味な公園をたくさん作ったのだという。これによって,最後のホタルがその住処を失ったと嘆くヘムレンさん。自然豊かで穏やかなムーミン谷の調和を取り戻すため,谷の各地を冒険することになる。
まず印象的だったのがアートスタイル。オープンワールドで表現されたムーミン谷は絵本の中の絵を動かしているような不思議な感覚があり,歩き回っているだけでなんだか温かい気持ちになってくる。ムーミン谷の住人たちとの会話もどこかハッとさせられる言葉があり,日本語訳も丁寧に,住民たちそれぞれの個性を感じさせる言い回しになっている印象だ。
続いて音楽だ。スナフキンは,キラキラしている草の上を通過して,何かのアクションを成功させるといった形で音楽の力を入手でき,楽器を奏でることによってその力で謎解きをしたり,困難を解決したりできる。
このとき奏でる音色が美しく,また最初はハーモニカのみだがほかの楽器も入手できるようで,ゲーム攻略のためはもちろんだが,何もないときでも奏でたくなりそうだ。
BGMは,音の力を入手していったことが影響していたかは分からないが,最初は「音量が小さいのか,音楽があまり聴こえてこないな」と思っていた。しかし,ゲームを進めるうちに自然に温かみのある音楽が広がっていた。10分ほどの試遊時間ではそういったインタラクティブな要素があるのかは判断できなかったが,音楽アドベンチャーと銘打っているだけあって,音楽のこだわりは十分に感じられた。
基本的なゲームの進め方は,時にその音楽の力を使いながらさまざまな謎解きやパズルに挑み,それを解決していくというものだ。メインとなるのが公園の探索のようだが,そのほかにも困っている住人たちに声をかけることで,クエストのようなものが発生することもある。
ゲームを始めてすぐ,公園にたどり着くまでも,「迷子になったアヒルの子どもを探す」「木の上から降りられなくなったクニットを助ける」といったクエストが発生した。このような形で,いろいろなムーミン谷の住人たちと交流できるのは,シリーズファンにはうれしいものがあるだろう。
さて,ほのぼのとした温かい雰囲気のアートの印象から,「のんびり謎解きをして雰囲気を味わうゲームだろうなあ」なんて思っていたのだが,実はやり応えがけっこうあるゲームだった。謎解きはこれというヒントがなく,しっかり話を聞いたり,周囲を見たりして自分自身で解決法を探す必要がある。
とくにやり応えがあったのが公園の探索。公園番の視界に入らないよう隠れたりルートを変えたりしながら目的を果たしていくのだが,ちらっとでも視界に入れば追いかけてくる公園番がなかなか厳しいのだ。
発表時の公式リリースでは「かくれんぼもあるよ」といった表現になっていたが,いやいやどうして,公園を探索するときはけっこう“スニーキングミッション”な緊張感がある。小さな子どもには少し難しい(そしてちょっと恐い)かもしれないが,家族でその難関に挑むのも悪くないだろう。
あと気になるのが,原作のキャラクターがどれくらい,どのような形で登場するかだ。
10分ほどの試遊の範囲で登場したヘムレンさんやクニットに会えた(ヘムレンさんと呼ばれるへムルはたくさんいるので,ゲームのヘムレンさんは初めましてかもしれないが)し,公式のスクリーンショットやトレイラーではスニフやリトルミイ,スティンキー,そしてニョロニョロが登場するシーンもあったので,けっこう期待してよさそうだ。
おそらくスナフキンもそう思っているであろう,早くムーミントロール(ムーミン)に会いたい! という気持ちになる,ムーミンの世界の空気感にあふれる作品だった。
「スナフキン:ムーミン谷のメロディ」公式サイト
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(C)Snufkin: Melody of Moominvalley. Developed by Hyper Games. Published by Raw Fury AB.(C)Moomin Characters