プレイレポート
モンスター収集ゲーム「Nexomon」プレイレポート。ポケモンリスペクトにあふれながらも独自要素が光る作品
本作はネクソモンというモンスターを捕獲し,世界中のネクソモンテイマーと戦っていくというRPGだ。もともとはVEWO InteractiveがiOSやAndroid用アプリとして開発し,2020年7月には,海外向けにSteam版が配信されていた。2021年8月には,続編にあたる「ネクソモン:絶滅」がコンシューマ機向けに配信されているので,すでにそちらをプレイ済みの人もいるかもしれない(Steam版は2020年8月配信,日本語未対応)。
タイトル画面から察している人も多いと思うが,本作は「ポケットモンスター」シリーズをオマージュした“ポケモンライク”なタイトルだ。
ゲームの舞台となる世界は,かつて人類とネクソモンが戦っていた歴史を持つ。人類は突如現れたネクソモンの王「オムニクロン」によって滅ぼされそうになるも,ネクソモンたちと「友だち」になる方法を会得。数世紀に渡る長い戦いの末に,ついにオムニクロンを打倒した。それ以来,人間とネクソモンたちは争うことなく平和に暮らしている。
そして物語は主人公がある朝,目を覚ましたところから始まる。自分の部屋からリビングに降りてみると,そこにはネクソモンテイマーの頂点に君臨する人物・ネクソロードがいた。どうやら彼は,科学者である主人公の両親に何かを依頼していたようだが……。
そしてひょんなことからネクソモンテイマーとなった主人公は,ネクソロードの目的を知るために旅に出る。地震や異常気象など,災害が増えつつあるこの世界で,何が起きようとしているのかを確かめるために……。
プレイヤーは世界各地を旅しつつ,バトルで弱らせたネクソモンを「ネクソトラップ」で捕獲したり,最大6体のチームを組んで野生のネクソモンと戦わせたりしつつ,物語を進めていくことになる。戦闘はターン制のコマンドバトルで,ネクソモンが持つスキル(技)を駆使して,相手のネクソモンを倒せば勝利だ。
もちろん,ほかのネクソモンテイマーと対戦することもある。強敵を倒すには,属性を意識してネクソモンを交代させることが重要だ。レベルが同じくらいなら,有効な属性で戦えばほぼ負けることはない。逆に,相手がこちらのネクソモンの弱点を突いてくるようなら速やかに交代させよう。
本作はシングルプレイ用のRPGであり,ほかのプレイヤーとの対戦要素は存在しない。そのためか,相性の裏をかくような逆転要素はあまりなく,シンプルに属性相性を考えていればいい。対戦要素などがあれば,ここに属性相性をひっくり返すような戦略などが絡んでくるわけだが,本作のシステムはシングルプレイに合わせてか,分かりやすいものとなっている。
ネクソモンが経験を積んでレベルアップすれば,新たなスキルを覚えたり,次の形態に進化したりするといったお楽しみもある。プレイし続けるうちに,手持ちのネクソモンたちに愛着が湧いてくるはずだ。
このように,本作のバトルはかなりシンプルで,8bit機や16bit機の時代のコマンドRPGを思い出させる。しかし,シンプルだからこその明快さ,爽快さ,テンポの良さが確実にあり,気持ちよくバトルを繰り返すことができた。
フィールド画面は3Dではなく,見下ろし型の2Dで描かれている。マップは複雑すぎず,単純すぎずで,迷うことなく探索できるのも好感触だった。
仮にポケモンシリーズで例えるなら,本作のプレイフィールは,「ポケットモンスター赤・緑」に近い。もちろんビジュアルはモノクロのドットではないし,操作感やゲームバランスは現代基準だが,「シンプルながらしっかり楽しめる」印象が重なるところがある。
作品の手触りから,作り手側たちの「ポケモン」へリスペクトや思い入れ,確かな愛が感じられる。
シングルプレイの遊びやすさを重視した独自要素の数々
多くの部分で「昔のポケモンの常識」が通用するため,プレイしていてほとんど戸惑うことがない本作だが,もちろん独自の部分もある。
まず,ネクソモンとの遭遇方法は,ランダムエンカウントとシンボルエンカウントの中間のような方式になっている。ガサガサと動く草むらのマスに入るとネクソモンバトルが始まるのだが,出てくるネクソモンはランダムで,バトルが始まってみるまでわからない。
データベースを埋めるため,狙ったネクソモンが出るまで粘り続ける楽しさも味わえるし,チームが壊滅寸前のときは戦闘を避けて街まで戻ることもできる。何が出てくるか分からない,ランダムエンカウントの面白さと,戦いたいときだけモンスターと戦えるシンボルエンカウントの親切さをうまく同居させているわけだ。
しかし,洞窟など危険な場所では,通常のランダムエンカウントに切り替わる。強敵が出る場所では,なるべくネクソモンに遭遇しないように祈りつつ進み,途中で回復アイテムの残りが少なくなれば,そのまま先に進むか引き返すかの決断に頭を悩ませる。このあたりのプレイフィールは,クラシカルなRPGという感じで懐かしくもあり,楽しさもある。
また,ネクソモンはレベルアップ時にHPなどのステータスが全回復する。レベルアップまでの経験値を見てうまく調整すれば,ネクソモンの体力を回復してくれるヒーリングセンターへ頻繁に帰る必要はないし,回復アイテムを節約することにもつながる。
しかし,それを狙いすぎると思わぬ相手に弱点をつかれて戦闘不能……ということも起こりがち。節約もほどほどにしておこう。
ネクソモンにレアリティの概念があることも大きな特徴だ。コモン→アンコモン→レア→メガレア→スペシャル→レジェンドの順で強くなっていくので,迷ったときはレアリティの高いものを育てれば間違いがない。
コモンは進化しないので後々大変になるが,アンコモン以上であればバトルでそう困ることはない。見た目で気に入ったネクソモンを育てていくというのもアリだろう。
戦闘中に使用できるスキル(技)まわりもネクソモン独自の仕組みになっている。スキルは使用回数が決まっているわけではなく,スタミナ(いわゆるMP)を消費して使用する。そのため強力なスキルを連発し,戦闘後にアイテムでスタミナを回復するといった戦い方も可能だ。
また習得したスキルは,自由に選んでセットすることができる。強敵と戦うときには,相手に合わせて有利に戦えそうなスキルをセットし,勝利をつかみ取ろう。
以上のように,本作は,「ポケモンライク」でありつつも,シングルプレイのための気配りや工夫がほどこされているなど,リスペクトだけにとどまらない,ゲームとしてのこだわりも感じられる。翻訳に若干難があるのが少し残念だが,シナリオはかなり壮大できっと楽しめるはずだ。
斬新な要素があるわけではないが,手堅く遊ばせてくれる「ちょうどいい塩梅」の作品なので,興味を持った人は遊んでみてほしい。
「Nexomon」公式サイト
キーワード
(C)2021 Developed by VEWO Interactive Inc. Published by PQube Limited. Ported by Ratalaika Games S.L.
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