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次に遊びたいマーダーミステリーはどれ? 「ゲームマーケット2022春」で見つけた新作をピックアップして紹介
またエリア出展の企業のみならず,サークル規模のインディーズ作品も多く出展が行われていたので,本稿ではそうしたマーダーミステリー関連作品をピックアップして紹介してみたい。
グループSNE/cosaic「最果亭の災禍」「カナリアは歌わない」
安定した人気を集める,グループSNE/cosaicのMystery Party in the Boxシリーズからは,最新作「最果亭の災禍」が登場。また比較的少人数で楽しめるミニシリーズからは,4人用の新作「カナリアは歌わない」も発売され,好評を博していた。いずれも昼過ぎには完売する勢いで,根強い支持がうかがえる。
「Mystery Party in the Box」公式サイト
ワンドロー「オッドタクシー ショー・タイム」
開場からあっという間に完売になってしまったのが,TVアニメ「オッドタクシー」とコラボしたマーダーミステリー「オッドタクシー ショー・タイム」だ。
木皿儀氏によれば,本作では原作の物語と並行して起きていた,別の物語を描いた作品だという。プレイヤーが演じるのはオリジナルキャラクターとのことだが,そのため原作とクロスオーバーした物語が楽しめるとのことだった。ちなみにキャラクターも,原作の背景などにちらりと登場しているそうなので,ファンは探してみるのも一興かもしれない。
「オッドタクシー ショー・タイム」製品ページ
goonie cafe「SORCIER賢者達の物語」
西武線・江古田駅近くの専門店・goonie cafeからは,「SORCIER賢者達の物語」のパッケージ版が販売されていた。
本作は,goonie cafeが制作した8人向けの公演用シナリオ「SORCIER」のスピンオフ作品にあたる。その経緯はやや複雑で,そもそもは「SORCIER」の公開が折り悪く緊急事態宣言に重なってしまったことに端を発している。そこでオンライン用に生まれたのが「〜賢者達の物語」で,これをさらに対面で遊べるようにリデザインし,パッケージ化したのが本作となっている。
プレイ人数はゲームマスターを含め5人で,とくにゲームマスター専用のマニュアルに力が入っているとのこと。また1公演あたり1つのパッケージを購入すれば,商用公演も可能だそうだ。
なお大元である「SORCIER」は,2022年内の公開を目標に準備が進められているとのこと。こちらには四元素の賢者と騎士が登場し,タイトルの意味や登場人物が全員女性である理由も判明するという。「賢者達の物語」のファンはお楽しみに。
「SORCIER 賢者達の物語」公式サイト
反社会人サークル「ASMR刑事〜秋葉原耳かき姫殺人事件〜」
毎回意欲的な作品を送り出してきた反社会人サークルからは,これまた一風変わったマダミス風ボイスドラマ「ASMR刑事〜秋葉原耳かき姫殺人事件〜」がリリースされていた。
こちらはDiscordを使って遊ぶ2人用のオンライン専用タイトルで,進行はDiscord Botが担当する。BGMやSE,NPCの台詞などもBotから流れるそうなので,プレイヤーはこれを聞きながら推理を進める趣向となっている。
以前にも“匂い”を使って推理する「スパイス工場殺人事件」で界隈の度肝を抜いた反社会人サークルだけに,こちらもなかなか斬新なタイトルと言えるだろう。
「ASMR刑事〜秋葉原耳かき姫殺人事件〜」製品ページ
檜木田正史氏の「マーダーミステリー校正サービス」
プロの作家としてゲームブック形式の長編小説「血ザクロ学園」シリーズなどを発表している檜木田正史氏は,個人ブースにてマーダーミステリーの「校正サービス」を発表していた。
専門店であるRabbitholeのオリジナルタイトル「懺悔輪舞曲 -ザンゲロンド-」のシナリオや「マダミス666」内で「凍てつくあなたに6つの灯火」のゲームデザイン・シナリオを担当している同氏だが,現状のマーダーミステリーにはテキストが読みづらいものや,誤字脱字の目立つものが少なくないという。そこで氏が業界への貢献という意味も込めて始めたのが,この校正サービスだ。
対象となるのはハンドアウトやカード,マニュアルなど,作中に登場するおおよそすべてのテキストで,誤字脱字のほか,言い回しなどでも気が付いた点はフィードバックしてもらえるという。
気になる料金は2万字までで9000円(税込)。この金額が高いか安いかは人によるだろうが,依頼はすでにいくつも届いているとのことだった。個人はもちろん,すでに稼動している店舗公演型タイトルの見直しや,パッケージ化にあたってのブラッシュアップなど,商用タイトルの依頼も多いそうだ。
檜木田正史氏のTwitter
ウズ「マダミスノート」
マーダーミステリーを手軽に楽しめるスマホアプリ「ウズ」(iOS / Android)のブースでは,マーダーミステリーに特化したメモ書き用のノート「マダミスノート」が頒布されていた。
キャラクターや現場の様子,タイムラインといった項目があらかじめ用意されていて,ゲーム中の情報整理に役立つほか,感想戦でほかのプレイヤーから聞いた気になるシナリオをメモする欄まで用意されているなど,なかなかに実戦的(?)なつくりとなっている。
とはいえ,このノートの一番の意義は,「このときの推理は冴えてたな」「この時の嘘はバレバレだったな」というように,あとから見返して楽しめることかもしれない。プレイログをとる意味でも,手元に置いておきたい1冊だ。
THE NAZO STORE「猟奇はカクテルに滲む」
「たばこ謎」シリーズなど,優れたパッケージデザインの謎解きゲームを販売しているTHE NAZO STOREからは,初のマーダーミステリー作品「猟奇はカクテルに滲む」が先行販売されていた。
ゲームマスター不要の4人用シナリオで,制作はアナログゲームコミュニティ「Anaguma」から生まれたマーダーミステリー「ANONYMOUS」の制作者が担当。コンセプトとしては,プレイヤー集めの煩わしさや冗長すぎるストーリー,プレイ経験の差からくるプレイフィールの違いなど,これまでのマーダーミステリーに感じていた問題点の解消を目指したという。
謎解きファンにも遊びやすいタイトルになっているそうなので,マーダーミステリー未経験の人も,ぜひ挑戦してみてはいかがだろうか。
NAZO STORE
「ゲームマーケット2022春」の新作マーダーミステリーをざっと紹介してみたが,いかがだっただろうか。
前回から引き続き,全体の傾向としてはゲームマスター不要の少人数向けパッケージ作品が求められている印象で,この点は恐らく,すごもり需要を反映しているのだろう。ブームの初期は7〜10人向けの店舗公演タイトルが中心だったことを考えると,トレンドは確かに移りつつあるようだ。
ただ“目玉”と呼べるようなタイトルが今回は見当たらなかったのは少し残念なところ。「最果亭の災禍」も大阪の専門店・フーダニットでは公演型タイトルとして以前より稼動していたものだし,前回の「マダミス666」のような大型の企画も,今回はなりを潜めていた。
一方で,有名IPとのタイアップ企画や関連するアイテムやサービスはより一層充実してきているので,裾野は広がっていると言えるが……まだ見ぬ大型タイトルの登場に,期待したいところだ。
Studio OZON 公式サイト
- 関連タイトル:
最果亭の災禍
- 関連タイトル:
ウズ - マーダーミステリーアプリ
- 関連タイトル:
マーダーミステリーアプリ「ウズ」
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(C)2021 Sally inc.
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