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マーダーミステリー花盛りだった「ゲームマーケット2022秋」。関連ブースの新作をまとめて紹介
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印刷2022/11/17 13:00

イベント

マーダーミステリー花盛りだった「ゲームマーケット2022秋」。関連ブースの新作をまとめて紹介

 2022年10月29日と30日に開催された「ゲームマーケット2022秋」の会場から,マーダミステリー関連のブースをピックアップして紹介しよう。
 オフラインからオンラインまで多様な遊び方が広まったことで,近年ますます存在感を増しつつあるマーダーミステリージャンルだが,今回も50点ほどの新作が発表され,会場を賑わせていた。前回,前々回はコロナ禍の影響もあってか,2人用などの小規模なものが多かったが,今回の新作は多人数向けのものが増え,とくにプレイヤーを確保しやすい4〜5人用が人気を集めていた印象だ。

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「ゲームマーケット」公式サイト



講談社「金田一少年の事件簿 宝石盗難殺人事件」


 ゲームマーケット直前の2022年10月半ばに発表され,界隈の注目を浴びたのが講談社の新作「金田一少年の事件簿 宝石盗難殺人事件」(以下,宝石盗難殺人事件)だ。
 既存IPとのコラボレーションによるマーダーミステリーは,これまでにも漫画の「アイとアイザワ」や,アニメ「オッドタクシー」「てっぺん!!!!!!!!!!!!!!!」,また「ひぐらしのなく頃に」シリーズなどがあったが,「金田一少年の事件簿」はそのものズバリのミステリー作品なだけに,マーダーミステリーとの相性の良さを予感させる。


 マダミスHOUSE代表のクマ氏によると,本作はいつか実現したいと考えていたコラボとのことで,講談社に提案したところスムーズに話が進み,実現に至ったとのこと。なお今回のゲームマーケットで先行販売が行われた「宝石盗難殺人事件」は2人用のパッケージ製品(税込2750円)だが,4人用のパッケージ製品「金田一少年の事件簿 夢見島殺人事件」(税込3300円),「マーダーミステリーアプリ ウズ」でプレイできる4人用のオンライン専用タイトル「金田一少年の事件簿 つらら姫殺人事件」(税込1100円/1人),そして8人用の店舗公演型タイトル「金田一少年の事件簿 天狼伝説殺人事件」(税込4500円/1人)もリリース予定とのことである。

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 制作にあたってのエピソードをクマ氏に聞いたところ,やはり原作との相性の良さは感じたそうで,例えば一般的なコラボ作品では,原作キャラクターを登場させるのがNGであったり,あるいは反対に,オリジナルキャラクターを登場させるのに制約がかかることが多いという。その点本作では,プレイヤーは原作の主人公とヒロインである金田一一と七瀬美雪に扮することでき,また事件でNPCが殺されても,世界観的に何ら不思議はない。
 本作をプレイするときは,ぜひ主人公とヒロインになり切って「謎はすべて解けた!」の決めゼリフを叫んでほしいとのことだった。

本作の制作を担当したマダミスHOUSE代表のクマ氏(右)と,ゲームデザイン/シナリオを担当した木皿儀隼一氏(左)。4作共に一般販売/公演開始は2022年12月中が予定されている
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「マーダーミステリー 金田一少年の事件簿 」公式サイト



KADOKAWAの新レーベル「MYSTERY&ADVENTURE BOX」


 KADOKAWAブースでは,同社がグループSNEとタッグを組んで立ち上げた新レーベル「MYSTERY&ADVENTURE BOX」の展示が行われていた。第1弾の「焚家(ふんけ)」は12月28日に税別3500円(税別)で,第2弾の「八月のタイムマシン」は2023年1月に発売予定(価格未定)とのことである。

 KADOKAWAの担当者によれば,「MYSTERY&ADVENTURE BOX」はキャッチーなビジュアルと硬派なゲーム性を融合させたシリーズとして設立されたもので,業界を牽引していくレーベルに育てたいとのことだった。どのタイトルも特徴的なギミックを搭載しているそうなので,気になる人はぜひプレイして確かめてみてほしい。

「クトゥルフ神話TRPG」と共に,「MYSTERY&ADVENTURE BOX」が展示されていたKADOKAWAブース。なお,本レーベルは書店流通で販売されるため,書店で購入できるのも強みとなっている
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Studio OZONの新たな挑戦


 ここ数年のゲームマーケットで大きな存在感を放っているStudio OZONのマーダーミステリーブースは,今回も開場直後から長蛇の列が形成される盛況ぶりを見せていた。
 出展されていた各社のタイトルは全体的に単価が上がっている傾向で,中には9000円弱のタイトルなどもあったが,いずれも飛ぶように売れていた印象だ。

今回も盛況だったマーダーミステリーブース。会計のレジは3つ用意されていたにも関わらず,最長で50分待ちだったそうだ。中には持ちきれないほどのパッケージを抱えて列に並んでいる人も
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 そうした背景や企業参加の増加もあってか,代表の久保よしや氏によれば2日間での同ブースの売り上げは1300万円超にも及んだという。
 氏は,価格よりパッケージのビジュアルや事前のクチコミを重視するコアなファンが増えたこと,またコロナ禍の落ち着きをうけ,オフラインでマーダーミステリーを遊ぶ機会が増えたことで,多人数向けのタイトルが遊びやすくなったことが,今回の盛況につながったのではと語っていた。

 なお,OZONによるマーダーミステリーブースは,次回ゲームマーケット2023年春へは出展を控える予定で,代わりに2023年7月に「マダミスフェスティバル」なるオフラインイベントの開催を予定しているという。今後は夏のマダミスフェスティバルと,秋のゲームマーケットとの年2回出展を考えているそうなので,続報に期待しておこう。

立川と吉祥寺に店舗を構えるJOLDEENOからは,オリジナルレーベル「ミステリージャム」の第2弾「デッドローズ/聖者は騙る」のパッケージ(税込3000円)が登場。前作とはまた違った挑戦的なギミックが用意されているという
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関西を中心に店舗を広げる専門店 NAGAKUTSUからは,新作「シロナガス島への帰還 異聞 〜豪華列車シロナガスエクスプレス」(通常版:税込4500円 / 豪華版:税込9000円)が登場。Switch版も発売されたADV「シロナガス島への帰還」を原作としたタイトルで,マーダーミステリーブースでも1,2を争う販売数だったそうだ
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Studio OZON マーダーミステリーブース特設サイト



マダミス制作を助ける萬印堂「マダミス専用プラン」


 マーダーミステリーのパッケージにはキャラクターの設定書や追加資料,各種カード,トークンなどが同梱されるものだが,制作にあたっていざこれらを用意しようとすると,あちこちに発注をかける必要があって,なかなかにハードルが高かった。

 そこに目を付けたのが,ボードゲームやカードゲームの印刷を手がける萬印堂だ。同社が新たに提供する「マダミス専用プラン」では,設定書やカードの印刷,これらを収納する化粧箱の制作はもちろんのこと,オプションとしてトークンなどの各種グッズ類や箱詰め,シュリンク包装まで追加して一括で依頼できてしまう。
 受注は100セット限定で,スタンダードプランだと18万7000円(税込)。さらにページ数などを軽減したライトプランならば14万8500円だ(それぞれオプションは別料金)。つまりライトプランであれば,1500円で売り切ることができれば原価が回収できるわけだ。

 筆者によるあくまでざっくりした試算だが,マーダーミステリーのコンポーネント一式を同規模で用意するとなると,従来は27〜28万円ほどかかるのが通常だった。なので,萬印堂のこのプランを使用すると,10万円ほど安くつく計算になる。
 また,プランごとに冊子の総ページ数やカード総数は決まっているが,その内訳は自由なので,制作者のアイデア次第でさまざまな使い方ができそう。

ゲームマーケットの同社ブースでは,このプランを使用して制作された3作品「セレブリティ学園殺人事件」(税込3800円)「忌み名は鬼録に二度登る」(税込3000円)「ハムレット殺人事件」(税込3500円)が発売され,いずれも完売していた
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萬印堂「マダミス専用プラン」紹介ページ



グループSNE初のオンライン対応タイトル「京都異世界ツアー」


 フルスペックのマーダーミステリーをGMレスで手軽に楽しめる「MYSTERY PARTY IN THE BOX」シリーズと,少人数/短時間に特化した「Murder Mystery Mini」シリーズを展開しているグループSNEのブースでは,前者の新作「罪と罰の図書館」(税込3520円)と,後者の新作「京都異世界ツアー」(税込2200円)が,それぞれ販売されていた。

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 「罪と罰の図書館」は,協力型ミステリーゲーム「真紅のアンティーク」なども手がけたグループSNEの河端ジュン一氏がゲームデザインを担当したタイトルだ。
 一方,「京都異世界ツアー」は雑誌「GMウォーロックVol.1」に掲載されたタイトルのリメイクにあたり,こちらは「魔女の晩餐式」「丸と線」などで知られる中村 誠氏がゲームデザインを担当している。また,同作はグループSNEとしては初のオンライン対応作品とのことで,購入者はグループSNEの製品ページから各種アセットがダウンロード可能となっている。

 グループSNE代表の安田 均氏に話を聞いてみたところ,「MYSTERY PARTY IN THE BOX」シリーズでは,テーブルトークRPG好きでも知られる落語家の三遊亭楽天氏の監修のもと,新鋭・鯖井 凌氏の「落語」をテーマにした新作が準備中だとか。まだ詳細は言えないそうだが,KADOKAWAの「MYSTERY&ADVENTURE BOX」シリーズ第3弾として,ファンタジーもののマーダーミステリーも控えているという。今後もミステリーものとしてのベースはしっかり押さえつつ,各シリーズを展開していきたいとのことだったので,ファンはお楽しみに。
 また,安田氏としては,マーダーミステリーはまだまだ進化の途上であり,世界に広がる余地があると考えているという。ディナーパーティーの余興から始まり,中国で進化,日本で改良されたマーダーミステリーが,世界でより多くのファンを獲得する日も近いかもしれない。

グループSNE代表の安田氏。今回のゲームマーケットの感想を聞いてみたところ,コロナ禍前にはまだ及ばないとはいえ,来場者数が以前の規模に戻りつつあることを喜んでいるようだった。またそんな中でも,マーダーミステリージャンルの熱量は一段抜けているとのこと
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「MYSTERY PARTY IN THE BOX」シリーズ公式サイト

「Murder Mystery Mini」シリーズ製品ページ




 今回のゲームマーケットを含む,近年のマーダーミステリージャンルのトレンドを語るとすれば,冒頭でも紹介したように,少人数向けから多人数向けへと全体的に規模の大きいタイトルが増えたことがまず一つ。
 さらにStudio OZONが提唱する「ストーリープレイング」や,専門店・Rabbitholeの謳う「トークアトラクション」のように,狭義の“マーダーミステリー”に止まらない――つまり作中で殺人事件が起こったりしない,ミステリー的な要素を含まない作品が増えてきたことが挙げられる。ちなみにこうした流れはマーダーミステリーの本場である中国も同じだそうで,必ずしもガラパゴスな進化でもないようだ。
 グループSNEの安田氏が言うように,マーダーミステリーにはまだまだ多くの可能性が潜んでいそうである。

さまざまな謎解きゲームを発表している「THE NAZO STORE」ブースでは,マーダーミステリーの新作「軌跡はバイオレットに染まる」(税込8800円)が販売されていた。2本の2人用シナリオを並行してプレイした後,集合して4人用シナリオを遊ぶという変則的な構成となっている
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新宿や代々木,大阪の西中島などに店舗を構えるシンジュクジンチは,看板デザイナーのぺよん潤氏が手がける3本の新作「Cheers Too Long」(税込2000円)「NpaNpa」「依頼人は嗤う」(共に税込5000円)リリース。それぞれ初級,中級,上級者向けとのこと
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「シド・アップダイク」シリーズで知られるRAMCLEARは,芥川賞作家の高山羽根子氏の原案による新作「スペースポンポン号の殺人」(税込3500円)を販売していた
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「鬼哭館の殺人事件」の小田ヨシキ氏は,自身がメインライターを務めたマーダーミステリー制作者のためのノウハウ本「君がマダミス作家になるために」(税込1650円)を発表。「自分がマダミスを作ったときに困ったことをすべて書いた」とのことだ
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「ダモクレスの旗印」で知られるnewmerousの新作は,8人用の「テセウスの手引き」(税込6000円)。二人一役の「二重人格システム」を採用した本格派
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新興レーベルの「双子のライオン堂書店&Mystery Knives」からは,メタフィクションマーダーミステリー「MOTEL NOBODY」(税込3500円)が登場。持ち込んだ100部は完売とのこと
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「ゲームマーケット」公式サイト

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