プレイレポート
[プレイレポ]「なつもん! 20世紀の夏休み」を北陸で体験。サーカス一座の息子となって,オープンワールドの「よもぎ町」で夏の思い出を作ろう!
本作は,ミレニアムキッチンの綾部 和氏が得意とする,子供時代の夏休みをテーマにしたアドベンチャーゲームだが,氏の作品としては初めてオープンワールドを採用している。
今回,ハンズオンイベントの会場となったのは新潟市。北陸はゲームの舞台をイメージした地方の一つであり,現地には開発を手がけた綾部氏(ディレクター),トイボックスの和田康宏氏(プロデューサー),スパイク・チュンソフトの榊原昌平氏(プロデューサー)も訪れ,取材陣に新作をアピールしていた。
本稿では,現地で行われたハンズオンのレポートをお届けしたい。
関連記事
関連記事
「なつもん! 20世紀の夏休み」公式サイト
今回のハンズオンは2時間程度で,本編のオープニングから1時間,そして夏休みが中盤まで進んだセーブデータによる1時間のゲームプレイを体験できた。
プレイヤーが操作する主人公のサトルは,「まぼろしサーカス団」団長の1人息子。8月の巡業で「よもぎ町」を訪れたサトル達は,真夏の1か月をこの町で過ごすことになる。
イラストレーターのヒョーゴノスケ氏によるキャラクターはとても可愛く,かつ個性的だ。特徴的なイラストがそのまま3Dキャラとして,ノスタルジー感にあふれるよもぎ町の風景に溶け込んでいる。
そんなよもぎ町の情景は,登場人物に合わせたアニメ調のデザインでありながら,細部が妙にリアルで,そこが綾部氏の作風らしい。店舗の看板,エアコンの室外機,板壁に貼られて傷んだポスター,軒先に置かれたビールケース……など。昭和を感じさせる雰囲気作りはさすがだ。
冒頭で述べた通り,本作のフィールドは箱庭型のオープンワールドで構築されている。オープニングのカットシーンに映っている場所は,基本的にすべて行けるというから実にワクワクする。
開発陣によると,オープンワールドは4キロメートル四方程度のサイズとのこと。近年の広大すぎるほどのマップを有するタイトルと比べると小さく感じるかもしれないが,子供の足で冒険すること,そして30日間という時間制限を考えると,ちょうどいい広さだろう。
家族と一緒によもぎ町にやってきたサトルは,先に到着していたサーカス団のメンバーや宿泊するシェアハウスの主人らとの挨拶もそこそこに,待望の夏休み生活に突入する。基本的にプレイヤーは何をするのも自由で,マップに表示された主要人物と会話をするとストーリーやイベントが展開する「冒険」の存在がメインクエストの位置づけとなる。もちろん虫取りや,魚釣り,マップの開拓など,やれることはたくさんある。
そんな自由度の高い夏休み生活において,重要となるのが「ステッカー」だ。これは画面下に表示されるサトルのスタミナのようなもので,ダッシュや木を登るといった特定のアクションを行うと消費するが,すぐに回復するという仕組みになっている。
また,近年のオープンワールドゲームによく見られる「壁登り」のシステムも導入している。屋外であれば,基本的にはどんな場所でも壁につかまって登っていけるというアレである。
壁登りの最中にステッカーが0になると,サトルは下に落ちてしまう。本作には体力や行動不能の概念がなく,高いところから落下してもミスになることはないが,よもぎ町のマップを開拓するうえで,ステッカーの上限をある程度まで増やしていないとたどり着けないところがあるそうだ。
ステッカーは「冒険」をクリアすると増えていく。ゲーム開始時は3で,最大50まで増えるとのことだ。
何でも自由に楽しめるよもぎ町での生活だが,夏休みの30日間という期限があることを忘れてはならない。
ゲーム内の時間は実際の時間経過とともに進んでいき,22時過ぎまで起きていると寝不足となり,翌日の起床時間に影響が出る。さらに夜更かしをすれば,強制的に眠くなってしまい,翌日になってしまう。規則正しい生活のほうが,より効果的に時間を使えそうだが,夜のイベントにどう影響するのかも気になるところ。ちなみにゲーム内時間の経過速度は3段階から設定可能で,変更によるデメリットなどはない。
今回は初プレイだったため,どうしてもよもぎ町のフィールドを探索するのが楽しく,あまり後先を考えずに走り回ることに終始してしまった。町中を駆け抜け,木や壁を登り,川や海に飛び込む。翌朝に神社でラジオ体操をして,虫を捕り,魚を釣る。
電車が走る線路や遊泳禁止の海辺,有刺鉄線が張られた工場なども見つけたが,体力の概念がないゲームなので危険はない。とにかくいろんなことをやってみたい! という衝動に駆られる。
サウンドはノイジークロークが手がけていて,綾部氏が以前の作品で同社の技術に感銘を受けたという環境音が,本作でも効果的に使われていることが確認できた。セミの声,川のせせらぎ,鳥の声,風で草がなびく音,どこかの家から聞こえてくるピアノの旋律,自動販売機の稼働音など,音の演出がよもぎ町の空気感を表現し,そこにいる気持ちになれるのだ。
BGMは冒険のイベントなどで効果的に使われていて,特別なことが起きたり,特別な場所にやってきたりしたことをプレイヤーに認識させてくれる。
なお,会話のほとんどはフルボイスになっている。さらに,大きなストーリーの進行時は俳優 藤木直人さんのナレーションが入るなど,音声も凝った作りだ。
夏休みの中盤まで進んだセーブデータでは,サトルのステッカー数が増え,さらに行けるエリアが広がっていた。また,ストーリーも進んでいて,冒頭では準備中だったサーカスが開催されることになった。
まぼろしサーカス団の公演は,なんとサトルがディレクションを担当することになる。規定の演目でプログラムを組み立て,その内容がサーカスの評価につながるという仕組みだ。サーカス団のランクが上がれば,演目は増えていくそうだが,衣装や音楽などの高評価につながる追加要素はサトルのお小遣いからの持ち出しになる。公演の結果に応じてお小遣いがもらえるので,それを資金にしてサーカスをどう盛り上げるかも,プレイヤーの目標なのだ。
筆者が演目を選択してディレクションを担当した公演は,その半分以上がミス(団員が演技を失敗する)になってしまい,客の評価は「不満」となってしまった。当然,成功させるコツもあるようなので,このあたりは製品版でじっくり挑んでみたいところだ。
今回のハンズオン終了後,実際のサーカス公演を観覧する機会が設けられた。そこではサーカスの凄さ,公演の大変さをあらためて理解できたので,ぜひこちらのレポートも目を通してほしい(※リンク)。
今回のハンズオンでは,綾部氏が手がける夏休みの冒険と,オープンワールドの親和性の高さを確信することができた。2時間程度のゲームプレイでは,そのごく一部しか体験できなかったわけだが,それでもよもぎ町の雰囲気,ステッカーを絡めたサトルのアクション,虫取りや釣りなどのコレクション要素は楽しすぎて,製品版への期待は高まる一方だ。もっと体験したかったのに,時間が足りなくてできなかったことが山のようにある。
30日間という期限があることから,冒険やコレクションをコンプリートするためには周回プレイも必要になるようだ。これも製品版が発売されたら,じっくりと楽しみたい。
「なつもん! 20世紀の夏休み」はちょうど子供達が夏休みに突入するタイミングでの発売が予定されている。暑い夏こそ,よもぎ町へと出かけて,自分だけの思い出を作ってみてほしい。
「なつもん! 20世紀の夏休み」公式サイト
- 関連タイトル:
なつもん! 20世紀の夏休み
- この記事のURL:
キーワード
(C)2023 TOYBOX Inc./Millennium Kitchen Co., Ltd.