インタビュー
[インタビュー]「RKGK」に見る日本文化の影響。ラクガキという言葉に込められた意味とは
今回はWabisabi Gameの共同創設者兼CEOであるAnwar Noriega氏にメールインタビューする機会を得たので,日本文化との関わりや,RKGKというタイトルに込められた意味などを聞いた。ラテンアメリカから見た日本の文化と,それが彼らに与えた影響がよく分かる回答を得られたので紹介しよう。
4Gamer:
RKGK(Rakugaki)というタイトルをつけた理由を教えてください。
Anwar Noriega氏:(以下,Noriega氏)
RKGK(Rakugakiの略)は,私たちが子供の頃に大好きだったいくつかのものを組み合わせて作りました。その中には,アニメや マンガといった日本のポップカルチャーも含まれるし,グラフィティも含まれています。私たちはこの2つの世界への愛を伝える名前を選びたかったのですが,すぐにラクガキというコンセプトを知りました。
ラクガキにはいくつかの意味合いがあります。「グラフィティはアートじゃない,ただのラクガキだ」というような言い方をすれば,絵の未熟さや違法性が強調されます。しかしラクガキは,ある種の自由奔放さ,ほとんど子供じみた,時には反抗的な性質も含意することができます。この言葉は,私たちのゲームで呼び起こそうとする芸術的なムードや反骨精神にぴったりでした。
4Gamer:
ノスタルジックなアニメアートですが,インスパイアされたものはありますか。
Noriega氏:
80年代と90年代のアニメは,私たちのアートディレクションに最も影響を与えたものです。このアートメディアとこの時代には,私たちが単純に愛してやまない何かがあります。日本のアーティストがすべて手作業でアニメを制作していた時代ですが,デジタル技術の実験も始めていました。その結果は美しく,芸術的で,子供だった私たちを魅了しました。
「攻殻機動隊」「AKIRA」「Ergo Proxy」「新世紀エヴァンゲリオン」などは,私たちが愛するアニメのアートディレクションの一例です。「ドラゴンボール」「キャプテン翼」「美少女戦士セーラームーン」「らんま1/2」などのような,大作でありながら面白い物語と組み合わされています。
4Gamer:
本作で見られるネオ・ブルータリズムの建築スタイルとはどういったものなのでしょうか。また,そのスタイルにした理由も教えてください。
Noriega氏:
環境をデザインする際,グラフィティを描くのに最適なキャンバスのような街を作りたかったのと同時に,私たちの文化を代表するような街も作りたかったのです。
私たちはすぐに,ブルータリズム建築が私たちの目的を達成するための完璧な媒体であることに気づきました。その巨大な構造物,未加工の素材,無色のコンクリートは,抑圧的な世界を表現するのに完璧な舞台であり,私たちのグラフィティ・デザインで汚すキャンバスでもありました。
そのうえ,ブルータリズム建築は,私たちが育ち,現在住んでいるラテンアメリカではかなり人気があります。20世紀後半,最も重要なブルータリズム建築の多くは,メキシコ・シティやブラジリアのような都市に建てられました。
この都市が私たちの主なインスピレーションになると分かってから,この都市を私たち独自の解釈で,ディストピア的な未来とゲーム内のファンタジーにぴったりの,実物よりも大きな建造物を持つ「ネオ・ブルータリズム」スタイルにすることに決めました。
4Gamer:
Wabisabi Gamesという社名やRKGKというタイトル名から日本文化の影響を受けていると思われますが,その理由はなんでしょうか。
Noriega氏:
私たちは日本のポップカルチャーを愛して育ちました。テレビで観たアニメや学校の休み時間に読んだマンガ,家に帰って遊んだビデオゲームなど,日本のポップカルチャーは私たちのアーティストとしての基礎に大きな役割を果たしてきました。
同時に,私たちは日本の「わびさび」という概念の哲学を学び,それに惚れ込んでいました。わびさびの哲学では,何事も長続きせず,何事も完成せず,何事も完璧ではありません。私たちは,ゲーム作りはわびさびのようなものだと信じています。そのプロセスは完璧には程遠く,制作過程では多くの失敗がありますが,時にはその失敗が美しい結果をもたらし,私たちはクリエイティブな旅に謙虚な気持ちになります。
4Gamer:
ゲームのどういった部分に注目してほしいですか。
Noriega氏:
私たちは,プレイヤーに90年代のお気に入りのプラットフォーマーゲームをプレイしていた頃のような感覚を味わってもらいたいと考えています。私たちは,そのようなゲームの「黄金時代」と強いつながりがあり,同じような体験を描きたいと考えています。
ゲームには大きな創造的自由があり,深い感覚的な体験を提供することに集中し,ビジュアル,オーディオ,緊密なゲームプレイを通じてプレイヤー同士のつながりを生み出し,同時に,深刻に考えすぎないゲームを作りたいと考えています。
4Gamer:
日本のゲーマーにメッセージをお願いします。
Noriega氏:
日本のポップカルチャーは,ラテンアメリカの多くの人々の生活にポジティブな影響を与えてきました。
私たちは常に,日本と日本の人々に強いつながりを感じてきました。RKGKは,ラテンアメリカで育った私たちが,輸出された日本のメディアを楽しんでいた子供時代へのラブレターであり,トリビュートです。
私たちが大好きな日本のゲームやアニメ,マンガの物語を,クールで楽しいゲームにすることで,日本が私たちの生活にどのような影響を与えてきたかを,ユニークで新鮮な視点で伝えたいと思っています。
ぜひゲームを楽しんでください!
「RKGK」公式サイト
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