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“あのへん”にある特産品を取りに行こう。アバウトな地図を元に交易路を作りあげるパズル風ボードゲーム「シルクロードアドベンチャー」を紹介
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印刷2024/05/27 10:58

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“あのへん”にある特産品を取りに行こう。アバウトな地図を元に交易路を作りあげるパズル風ボードゲーム「シルクロードアドベンチャー」を紹介

 日本最大級のアナログゲームイベントである「ゲームマーケット」には,趣向を凝らしたさまざまなブースの出展が行われる。とくに床面積を拡大し見晴らしが良くなった,今回の「ゲームマーケット2024春」では,そうしたブースがより目立つようになり,注目を集めやすくなったように感じられた。

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 中でもスタジオムンディは,一際目を引くブースを出展していたメーカーの一つだ。絨毯を模したシートや,豪華な装飾がほどこされた調度品の数々がブースを飾り,異国情緒たっぷりの出展で来場者の注目を集めていた。こうした展示は,同社の新作「シルクロードアドベンチャー」の世界観を再現したものであるという。

 会場に掲げられた同作のウリ文句は,曰く「1ラウンド2分,わずか4ラウンドで濃厚な体験を」。その煽りに惹かれて体験卓についてみたところ,「そう来たか!」と思わされる予想外のシステムだったので,本稿ではそのプレイレポートをお届けしてみたい。

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「シルクロードアドベンチャー」製品ページ



フィーリングで交易路を作り上げろ! 独特な思考が求められるリアルタイムパズル


 「シルクロードアドベンチャー」は,中世のシルクロードにおける交易をテーマにしたボードゲームだ。プレイヤーはラクダ商人の1人となり,交易路の各地に点在する特産品を収集して利益をあげることを目指す。

シルクロードはヨーロッパ諸国と中国をつなぐ交易路だが,マップに記載された都市は中東寄りのものが多い。砂漠地帯の交易にフォーカスしているようだ
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 交易をテーマにしたゲームは多々あるが,それらは“競り”や“交渉”といったメカニクスを主軸にしたものがほとんどだ。一方,本作のコアメカニクスはリアルタイムパズルであり,その時点でかなりレアなタイトルといえる。

 ゲームの基本は,ゲーム開始時に配布されたニ層構造の個人ボードに,「ルートタイル」を配置して交易路を作り上げていくこと。ラウンド開始時に“始点”と“終点”が指定されるので,それらをつなぐ形でタイルを配置していく。
 もちろん,単に接続しただけでは点数にならない。マップの各所に「特産品」が配置されているので,ルートタイルの“道”が特産品の場所を通るよう,配置していこう。各特産品の価値はランダムに決定されるので,可能な限り高い特産品を拾い集めていきたい。

出現する特産品は,ラウンドが進行するごとに増えていく。第1ラウンドでは3種類のみだが,第4ラウンドでは6種類に
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 特産品の位置は「特産品マップ」で示されているが,そのアバウトさが本作最大の特徴だ。件のマップにはおおまかな位置がアイコンで示されるのみで,六角形のグリッドが引かれていないのだ。
 当然ながら,特産品を取得するにはルートを正しく引く必要があるわけで,つまりプレイヤーはざっくりとした地図から特産品の位置を推測し,ルートを確定させていく必要がある。

左下が特産品マップ。特産品の位置は大まかにしか分からない
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 そして,本作が“リアルタイム”パズルたる所以は,「タイルを配置できるのは特産品マップを開いた瞬間から2分間」という制限時間にある。じっくりと特産品マップを眺めている時間はなく,とにかく急いでタイルを置かなければならない。

 答え合わせは,特産品マップごとに用意された透明シートを,個人ボードに重ね合わせて行われる。シートに描かれた特産品アイコンの上を,ルートタイルの道が通っていれば,めでたく特産品を獲得できるというわけだ。

 一見すると簡単そうに感じるかもしれないが,やってみるとこれがなかなか難しい。すべての特産品は六角形タイルの“辺上”に配置されるため,位置を正しく読み取るのは容易ではない。

時間内に指定されたルートを完成させなければ得点にならない。道中どれだけ特産品を拾ったとしても,目的地に到達できなければ意味がないのだ
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 この悩ましさに拍車をかけるのが,特産品ごとに価値が異なる点だ。とにかく特産品を拾いまくればいいなら,盤面を埋め尽くすようにタイルを置く「数撃ちゃ当たる戦法」でいいが,特産品の中には“マイナス価値”のものも存在する。つまりヘタに多くのルートを築くと,得点どころか失点だけでラウンドを終える可能性すらある。
 効率よく点を稼ぐには,マイナスの特産品を避け,プラスの特産品のみを獲得できるルートを狙わなくてはならない。

タイルには「直進」「急カーブ」「緩いカーブ」の3種類があり,各プレイヤーは7枚を持ってスタートする。種類は少ないものの,狙った位置に道を敷くこと自体は難しくない
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 透明シートを使ったギミックといえば,透明シート上にペンで経路を記入する「ルーニークエスト」が真っ先に思い浮かぶが,同作との最大の違いは,本作があくまでパズルゲームであることだろう。
 前者が「確定している正解ルートの再現」を楽しむものであったのに対し,本作は「そもそも正解のルートの形状はなんなのか」を探し出す部分に,ゲームの面白さが詰まっている。

 また時間制限によってゲームが単調になることを防ぎつつ,スリリングな体験を作り出しているのも非常に巧いところだ。長大な“正解ルート”を発見したとしても,「果たして最後まで繋げられるのか?」「ここは安定を取ってルートを短縮した方が良いかも?」といった思考が頭をよぎり,手を鈍らせる。
 そうして考え抜いた結果,答え合わせで狙いどおりの結果が得られたときの楽しさは,ほかでは味わえないものだ。スピーディなゲーム展開もあいまって,パズルゲームとして唯一無二の作品に仕上がっている。

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 「シルクロードアドベンチャー」の価格は4950円(税込)で,一般販売もすでにスタートしている。本稿で興味を持った人は,お近くのボードゲームショップをチェックしてみよう。

会場で呼び込みを担当していたマスコットキャラクター(?)の「シルクロードおじさん」。彼の勇姿はスタジオムンディの公式X(旧Twitter)で確認できる
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