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“あのへん”にある特産品を取りに行こう。アバウトな地図を元に交易路を作りあげるパズル風ボードゲーム「シルクロードアドベンチャー」を紹介
中でもスタジオムンディは,一際目を引くブースを出展していたメーカーの一つだ。絨毯を模したシートや,豪華な装飾がほどこされた調度品の数々がブースを飾り,異国情緒たっぷりの出展で来場者の注目を集めていた。こうした展示は,同社の新作「シルクロードアドベンチャー」の世界観を再現したものであるという。
会場に掲げられた同作のウリ文句は,曰く「1ラウンド2分,わずか4ラウンドで濃厚な体験を」。その煽りに惹かれて体験卓についてみたところ,「そう来たか!」と思わされる予想外のシステムだったので,本稿ではそのプレイレポートをお届けしてみたい。
「シルクロードアドベンチャー」製品ページ
フィーリングで交易路を作り上げろ! 独特な思考が求められるリアルタイムパズル
「シルクロードアドベンチャー」は,中世のシルクロードにおける交易をテーマにしたボードゲームだ。プレイヤーはラクダ商人の1人となり,交易路の各地に点在する特産品を収集して利益をあげることを目指す。
交易をテーマにしたゲームは多々あるが,それらは“競り”や“交渉”といったメカニクスを主軸にしたものがほとんどだ。一方,本作のコアメカニクスはリアルタイムパズルであり,その時点でかなりレアなタイトルといえる。
ゲームの基本は,ゲーム開始時に配布されたニ層構造の個人ボードに,「ルートタイル」を配置して交易路を作り上げていくこと。ラウンド開始時に“始点”と“終点”が指定されるので,それらをつなぐ形でタイルを配置していく。
もちろん,単に接続しただけでは点数にならない。マップの各所に「特産品」が配置されているので,ルートタイルの“道”が特産品の場所を通るよう,配置していこう。各特産品の価値はランダムに決定されるので,可能な限り高い特産品を拾い集めていきたい。
特産品の位置は「特産品マップ」で示されているが,そのアバウトさが本作最大の特徴だ。件のマップにはおおまかな位置がアイコンで示されるのみで,六角形のグリッドが引かれていないのだ。
当然ながら,特産品を取得するにはルートを正しく引く必要があるわけで,つまりプレイヤーはざっくりとした地図から特産品の位置を推測し,ルートを確定させていく必要がある。
そして,本作が“リアルタイム”パズルたる所以は,「タイルを配置できるのは特産品マップを開いた瞬間から2分間」という制限時間にある。じっくりと特産品マップを眺めている時間はなく,とにかく急いでタイルを置かなければならない。
答え合わせは,特産品マップごとに用意された透明シートを,個人ボードに重ね合わせて行われる。シートに描かれた特産品アイコンの上を,ルートタイルの道が通っていれば,めでたく特産品を獲得できるというわけだ。
一見すると簡単そうに感じるかもしれないが,やってみるとこれがなかなか難しい。すべての特産品は六角形タイルの“辺上”に配置されるため,位置を正しく読み取るのは容易ではない。
この悩ましさに拍車をかけるのが,特産品ごとに価値が異なる点だ。とにかく特産品を拾いまくればいいなら,盤面を埋め尽くすようにタイルを置く「数撃ちゃ当たる戦法」でいいが,特産品の中には“マイナス価値”のものも存在する。つまりヘタに多くのルートを築くと,得点どころか失点だけでラウンドを終える可能性すらある。
効率よく点を稼ぐには,マイナスの特産品を避け,プラスの特産品のみを獲得できるルートを狙わなくてはならない。
透明シートを使ったギミックといえば,透明シート上にペンで経路を記入する「ルーニークエスト」が真っ先に思い浮かぶが,同作との最大の違いは,本作があくまでパズルゲームであることだろう。
前者が「確定している正解ルートの再現」を楽しむものであったのに対し,本作は「そもそも正解のルートの形状はなんなのか」を探し出す部分に,ゲームの面白さが詰まっている。
また時間制限によってゲームが単調になることを防ぎつつ,スリリングな体験を作り出しているのも非常に巧いところだ。長大な“正解ルート”を発見したとしても,「果たして最後まで繋げられるのか?」「ここは安定を取ってルートを短縮した方が良いかも?」といった思考が頭をよぎり,手を鈍らせる。
そうして考え抜いた結果,答え合わせで狙いどおりの結果が得られたときの楽しさは,ほかでは味わえないものだ。スピーディなゲーム展開もあいまって,パズルゲームとして唯一無二の作品に仕上がっている。
「シルクロードアドベンチャー」の価格は4950円(税込)で,一般販売もすでにスタートしている。本稿で興味を持った人は,お近くのボードゲームショップをチェックしてみよう。
「シルクロードアドベンチャー」製品ページ
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