プレイレポート
[プレイレポ]「ドンキーコング リターンズHD」の魅力は,高難度コースをワイルドなアクションで乗り越える達成感。数々のおたすけ要素で,間口も広がった
「ドンキーコング リターンズHD」公式サイト
物語はドンキーコング達の島に,仮面と楽器の中間のような姿をした種族「ティキ族」が現れたところから始まる。ティキ族は音楽の力で島の動物達を操り,ドンキーコングの好物であるバナナを根こそぎ奪っていくのだった。
そしてティキ族はドンキーコングも音楽で操ろうとするが……ドンキーコングは不思議そうな顔をして見返すのみ。どうやらドンキーコング,不思議そうな顔をして見返すのみ。まったく効かないのだった。
もちろんドンキーコングは,バナナを取られてそのまま黙っているほどお人好しじゃない。目の前のティキ族を豪快にブッ飛ばし,相棒ディディーコングと一緒にバナナ奪還の旅に出るのだ!
そんなこんなで始まる本作は,ダッシュやジャンプを駆使して多彩なコースを駆け抜けていく横スクロールタイプのアクションゲーム。
近年発売されたゲームであれば「スーパーマリオブラザーズ ワンダー」「星のカービィ Wii デラックス」などに近い形式だ。
しかし,それらとの大きな違いは,待ち受けるコースの難度の高さ。アクションゲーム上級者が苦戦しながら楽しめるような,かなり歯ごたえのあるゲームなのだ。
難度はコースごとにメリハリがつけられており,スイスイとクリアできるコースも少なくない。しかしとくに難しいコースでは10回以上ミスするのも当たり前で,それだけに突破できたときの達成感はかなりのもの。
ロケットバレルの噴射で進むコースや,シリーズファンにはおなじみのトロッコ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパンのアトラクション「ドンキーコングのクレイジー・トロッコ」の元ネタ)など,ちょっと変わり種のコースもある。まあ本作はこういった変わり種のコースこそが,とくに難しかったりするのだが……。
ゲームの舞台となるドンキーコングアイランドには,ビーチ,遺跡,洞窟,火山といったバラエティ豊かなエリアがあり,ルートに沿ってコースを選びつつ先に進んでいくことになる。さらに各エリアの最後には手強いボスも登場。アクションゲームが得意だと自認している人であっても,心してチャレンジしたいところ。
デカモグリャーとその軍団とは列車上でバトル! |
バトルのあとは,ボスを操っていたティキ族をボタン連打でこらしめろ! |
と,ここまでは本作のコースの手ごわさを強調してきたが,それらに挑んでいくドンキーコングのアクションはなんともパワフルだ。地面をバンバン叩いて敵を引っくり返したり,仕掛けを叩きまくって扉を開いたり,ローリングアタックで敵を蹴散らしたりと,ドンキーコングらしくワイルドに暴れまわれる。
上記のアクションはオリジナルであるWii版と同じように,Joy-Con(R)を振る動きで発動することも可能。普通のボタン操作とはまた違った身体感覚を伴った操作感になるので,試してみると新鮮なはず。オリジナルを「振る操作」で遊んだ人も,当時の気分を思い出せることだろう。
そのほかにも,敵を踏み台にしてより高く飛ぶ,タルをつかんで敵に投げる,壁やツタに捕まって移動するといったドンキーコングらしい力強いアクションがいろいろ。
これらを駆使して数々のコースを駆け抜け,ときには高難度のコースにくじけず何度もチャレンジし続けるという,生命感あふれる(?)プレイを楽しめるわけだ。
各コースをクリアするだけでは物足りなくなったら,ステージ中に配置された「KONG」の4文字を集めたり,隠されたパズルピースを探したり,タイムアタックに挑戦したりと,よりハイレベルなプレイに挑むこともできる。
本作はまさにアクションゲーム好きが,テクニックを磨きつつ楽しめるゲームでもあるのだ。
そんな手ごわい「ドンキーコング リターンズHD」だが,アクションゲーム初心者のための「おたすけ要素」もいろいろと追加されている。
まずは冒頭でも触れた「モダンモード」だ。ゲーム開始時にこれを選ぶと,ライフの基本値が1つ増え,さらにコースに持ち込めるアイテムの数も9個になるため,コースの難度を大幅に下げられる。
とはいえ,ワンミスでやり直しになりがちなトロッコやロケットバレルのコースはアイテムの恩恵がそれほど大きくないので,おたすけ要素があるからといってヌルすぎるということもない。基本的に,これらのコースは練習あるのみというわけだ。
そうは言っても……コースをまったくクリアできず,先に進めなくなってしまうのは少し悲しいものがある。そんなときに助けてくれるのが,Wii版から搭載され続けている,「おてほんプレイ」。同じコースで何度もやられていると,スタート地点やチェックポイントから選べるようになるので,ゲームがつらく感じる前に頼ってしまってもいいだろう。
「おてほんプレイ」はいつでも中断でき,途中からプレイを引き継ぐこともできるので,どうしても無理な場所だけおまかせして,続きは自分でチャレンジするという使い方もできる。
というわけで,マリオなどより1ランク高い難しさがあり,しかしそれこそが最大の魅力でもある「ドンキーコング リターンズHD」。食べ物で言えば激辛グルメのようなもので,ある程度難しいことを理解したうえで,そこに挑む楽しさに満ちあふれている。
余談だが,筆者はマリオシリーズなどであれば基本的にゲームオーバーになる心配を感じずにクリアできる。だが,このシリーズに関しては慎重に残機を稼ぎ,ヒヤヒヤしつつ先に進む……という遊び方になりがち。こういうゲームを最初から自在に遊びこなせる人こそが,本当にアクションゲームが上手い人ではないかと思っている。
高難度コースを乗り越えたときの大きな爽快感。プレイヤーを飽きさせない数々の演出。かつての魅力はそのままに,オリジナルにはなかったおたすけ機能を備えた「ドンキーコング リターンズHD」。オリジナルを途中で諦めてしまった人も,シリーズに初めて挑戦するという人も,ぜひ奮ってチャレンジしてみてほしい。きっと大きな達成感を味わえるはずだ。
「ドンキーコング リターンズHD」公式サイト
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