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仮想生物を作って育てる進化実験シム「ANLIFE: Motion-Learning Life Evolution」のゲームとしての楽しみかた[TGS2024]
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印刷2024/09/30 13:09

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仮想生物を作って育てる進化実験シム「ANLIFE: Motion-Learning Life Evolution」のゲームとしての楽しみかた[TGS2024]

画像集 No.004のサムネイル画像 / 仮想生物を作って育てる進化実験シム「ANLIFE: Motion-Learning Life Evolution」のゲームとしての楽しみかた[TGS2024]
 東京ゲームショウ2024のSelected Indie 80コーナーの入口で異彩を放っていたのが,アトラクチャーのANLIFE: Motion-Learning Life Evolution。同社の代表で,仮想生物世界の研究/開発を行う中村政義氏が手掛ける進化実験シミュレータだ。

 遺伝や自然選択といった進化のメカニズムが組み込まれたゲームの世界は物理エンジンベースでできており,箱庭のような惑星内で生きる仮想生物は,モーションを自己学習することによって多様な動きを見せ,そして進化していく。プレイヤーは創造主として自分だけの世界で独自の生物進化を楽しめる。


 ……という説明のあとに動画を見せられても「どういうゲーム?」となるかもしれない。かくいう筆者もそうで,以前から本作を知っていたものの「そもそもゲームなの?」といったところも気になっていたのだ。
 といったわけでTGS 2024のブースで中村氏にそんな質問をしたところ,実際にプレイしながらとても丁寧にゲームの仕組みや特徴を教えてくれた。

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 ANLIFEでできるのは,惑星環境の整理や調整を行い,そこで生きる仮想生物の繁栄や進化を見ることだ。生物メニューを選択し,始祖となる生物を世に産み落とす。陸上生物は最初○,□そしてバネのような姿の3種類いて,みなランダムなパーツの組み合わせで生成されている。

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 たとえば□の生物なら,大きな□の身体の下に小さな□が2つあるとそれを足のように使ってサクサクッと歩くし,角のようものだけが1つ生えている生物なら,角を揺らすことで何とか身体全体を動かして少しずつ前進するといったように,同じ種族でもその姿や“生きかた”は異なる。

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 続いてエサを与えるのだが,命をつなぐためのエサと繁殖のためのエサがあり,これをバランスよく配置することで生物が独自の進化を遂げる。だが,ここで先ほどの例で挙げた□の生物の話のように,歩くのが苦手でエサをうまく食べられず死んでしまったり,エサの奪い合いで弱い方が滅びたりといった自然選択が発生する。

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 またプレイヤーは地形も変えられ,それによってたとえば複数の島を作って別々の生態系を構築するとか,それぞれの一部を橋のようにつないで新たな生命の誕生をうながすといった,プレイヤーそれぞれの環境づくりや実験も可能だ。さらに気温や重力などの設定もあり,それらも生物の進化に影響を与える。

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 このような感じでプレイヤーは創造主として,ときに自然を操り,ときになにかしらの刺激を与えて生物の学習や進化を進めていく。一般的なゲームとは異なり,何かの達成条件やゴールのようなものは設定されていない。
 といってもゲームではないわけではなく,ゲーム的な要素はある。それが中村氏が「善の道」と「悪の道」と呼ぶスキルツリー(のようなもの)だ。

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 善の道は,エサの供給の自動化や惑星規模のアップといった,いわゆるこういったシミュレータやサンドボックス型のゲームによくある感じのもの。生物が増えると手動のエサやりでは追い付かず,進化以前に絶滅してしまうかもしれないので,惑星を大きくしたときには欠かせないものとなりそうだ。
 悪の道は隕石を落とす,炎で焼き尽くす,外来種を呼ぶといった生物と自然環境に影響する要素で,これもまた生物の進化になにがどのように影響するかを見たり,変化を与えたりといったことができるものとなる。

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 「もしかしてあの……?」とピンと来る人もいるかもしれないが,ANLIFEのおおもとには,15年ほど前に中村氏が制作した人工生命シミュレータがある。学生だった当時から人工生命の研究をしており,2019年にそれらの実験コンテンツやツールなどを展開するアトラクチャーを設立。仮想生物進化シムとしてANLIFEを本格的に制作し始めたのは4年ほど前とのことだった。

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 Steamにページを公開し,東京ゲームショウ2024に出展をした理由は,ゲームとしてのANLIFEに興味や関心を持ってほしいというのが大きな理由としてあるという。
 作品のテーマ的にあまりゲーム的な要素は入れていないが,プレイヤーがなにかを整理したり用意したりしてその結果を眺めるというゲームという見方をすれば,それはシミュレーションであることはもちろん,近年流行のデッキ構築型のローグライクのようなものにも近い。

 作品のテーマとして実験と観察,アクアリウム的な部分も重要なため,たとえば生物やえさの配置にコストを設定する,なんらかの達成条件を設定するといったものは置けない。しかし,ゲームとしての遊びや楽しみ方は考え方次第でいろいろあることを知ってほしいというのが,TGS 2024のリアル出展で伝えたかったことの一つだったそうだ。

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 筆者も実際に触れてみて,「ちょこまか動く変な生きものが生まれてかわいいなあ」とシンプルに眺めて愛でるのもぜんぜんありで,たとえばこの春リリースされ好評となった「Rusty's Retirement」のように,デスクトップ上の放置ゲーム的な楽しみ方もできるだろうと思った。

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 現在はSteamでのデモ版配信を目指して開発を進めているそうで,10月のSteam NEXTフェスでの配信を目標としているものの「今回(TGS 2024)の皆さんからのフィードバックを反映させるとなると,間に合わせるのは大変かもしれないです(笑)」と話していた。

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 ちなみに現地でほかの人のプレイをしているところを見ていたところ,中村氏は試遊を説明しながらちょくちょく自身のPCで何やら入力していた。気になって聞いてみると,試遊の説明をしながら,同時にそのとき気がついた改善点などを現地で改良を加えていたそうだ。
 その改良点はこちらの中村氏(@nakamuu_m)のポストのとおり。“口頭でのチュートリアル”の話の運び方もチューニングしていたそうだ。あ,あの状況で……ゲームを知ってもらうための研究もまた凄みを感じる。

 実験して眺める。アクアリウム的に生物のかわいい動きを愛でる。ゴッドゲームのようにプレイする。「ANLIFE: Motion-Learning Life Evolution」は,プレイヤー次第でいろいろな楽しみ方ができる進化実験シミュレーターだ。本作の販売で得た利益はさらなる研究のための費用にしたいということで,ゲームとして楽しみたい人はもちろん,仮想生物の研究に興味を持った人もそれをサポートする意味でウィッシュリストにANLIFEを入れておくといいだろう。

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