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「Nintendo 2DS」分解レポート。立体視非対応の“廉価版3DS”,その中身は?
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印刷2013/10/26 00:00

テストレポート

「Nintendo 2DS」分解レポート。立体視非対応の“廉価版3DS”,その中身は?

Nintendo 2DS
画像集#002のサムネイル/「Nintendo 2DS」分解レポート。立体視非対応の“廉価版3DS”,その中身は?
 北米時間2013年10月12日,任天堂の米国子会社であるNintendo of Americaが,現地で新しいポータブルゲーム機「Nintendo 2DS」を発売した。8月29日の記事でお伝えしているとおり,「ニンテンドー3DS」の廉価版として,3D立体視機能と折りたたみ機構を省き,メーカー想定売価を北米版「Nintendo 3DS」の169.99ドル(約1万6560円)から129.99ドル(約1万2600円)へと下げてきた製品だ。
 現在のところ,Nintendo 2DSが国内で発売になる予定はないが,どんなハードウェアなのか,興味を持っている読者も少なくないだろう。

 本体色で黒+青と黒+赤の2モデルが用意されているNintend 2DSのうち,4Gamerでは黒+青モデルの実機を独自に入手できたので,その外観や内部構造をお伝えしたい。

※注意
 ゲーム機の分解はメーカー保証外の行為です。分解した時点でメーカー保証は受けられなくなりますので,本稿の記載内容を試してみる場合には,あくまで読者自身の責任で行ってください。分解によって何か問題が発生したとしても,メーカーはもちろんのこと,筆者,4Gamer編集部も一切の責任を負いません。また,今回の分解結果は筆者が入手した個体についてのものであり,「すべての個体で共通であり,今後も変更はない」と保証するものではありません。


ある意味でとっても任天堂らしい

ポータブルゲーム機


画像集#003のサムネイル/「Nintendo 2DS」分解レポート。立体視非対応の“廉価版3DS”,その中身は?
 国内で販売されていない電子機器を扱うときに最も注意を要するのは,「内蔵されている無線機能が日本の技術基準適合証明を受けているか否か」である。技術基準適合証明(以降,技適)を受けていない製品の場合,電源を入れた途端に違法状態となってしまうからだ。

 では,Nintendo 2DSはどうなのかだが,詳細は後段で述べると断りつつ続けると,日本の技適を受けた無線LANモジュールが内蔵されていた。そしてその場合,下記の2点がクリアされていれば,機器として個別の認証を受けていなくても,国内で利用できるとされている。

  1. モジュールのファームウェアやハードウェアに改変が加えられていないこと
  2. 技適の審査に使用されたアンテナが使われていること

 以上の要件をクリアしているのかどうかを確認できていないので,今回は電源を入れていないが,Nintendo 2DSを国内で使用しても「大丈夫そう」な予感はあると述べていいのではなかろうか。もっとも,一度分解してしまうと技適を通し直さねばならなくなるので,この個体はもう電源を入れられないのだが。

 ……といったところを踏まえ,まずは実機を眺めてみよう。
 かなり小振りなNintendo 2DSの製品ボックスを開けると,本体と分厚いマニュアルに,ARカード,クラブニンテンドーのPINコードが記されたガイドが出てくる。

小振りな製品ボックス(左)と内容物一覧(右)。写真には写っていないが,Nintendo 2DSには標準で容量4GBのSDHCカードが差さっているので,それも内容物とはいえるかもしれない
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標準で容量4GBのSDHCカードが差さっている。カードスロットのフタも,もちろん樹脂製だ
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 肝心の本体は,一見するだけで「うん,これは廉価版だな」と納得できるものだった。樹脂むき出しの“プラスティッキー”な外見や手触は,まさに玩具という感じだ。
 本体の大きさは,机の上に置いた状態で実測約145(W)×128(D)×10〜20(H)mm。横から見るとくさび形になっており,かなり持ちやすい形状だと述べていいだろう。手を中央より少し下のあたりに添えるとアナログスライドパッドと[A/B/X/Y]ボタンの位置に指が来るので,そういうポジションでプレイすることが想定されているのだと思われる。

Nintendo 2DSと,開いた状態のニンテンドー3DSを並べたところ。ニンテンドー3DSのサイズはこの状態で横が実測約135mm,縦が同137mm(D)なので,横幅はNintendo 2DSの方が10mmも広いことになる
画像集#007のサムネイル/「Nintendo 2DS」分解レポート。立体視非対応の“廉価版3DS”,その中身は?
Nintendo 2DSを側面から見ると,手前側が薄いくさび形になっている。意外に持ちやすい形状だ
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閉じた状態のニンテンドー3DSと比較したところ。ニンテンドー3DSの厚みは実測約22mmなので,Nintendo 2DSのほうが気持ち薄い。並びはやや異なるものの,ゲームカードスロットやACアダプター接続端子,赤外線を備えるのは両製品で共通だ。ただし,Nintendo 2DSのスタイラスは,この側面には収納されていない
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Nintendo 2DSではスタイラスが本体右側面中央に収容されている。スタイラスへのアクセスしやすさは,ニンテンドー3DSより上かもしれない
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スタイラスは,本体色に合った色をした,無垢の樹脂製。ロッドアンテナ風デザインのニンテンドー3DS付属スタイラスに比べるといかにも安そうだ

 気になる重量は,標準で差さっているSDHCカードを外した状態で実測約256gだ(※差した状態では同258g)。Nintendo 3DSの同230gと比べると,30g弱重くなった計算になる。折りたたみ機構などもなく,外観をぱっと見た印象は軽そうなのだが,おそらくはコストとの兼ね合いで,無理に軽量化を狙ったりしなかったのではなかろうか。

 D-Pad(十字キー)やボタンの押下感は,Nintendo 2DSのほうがニンテンドー3DSよりもやや深めな印象を受けた。いわゆる電卓キーそのものといった押し心地で,可もなく不可もなしといったところだが,ニンテンドー3DSのかっちりした押し心地とはやや異なる操作感なのも確かである。

ボタンや十字キーはニンテンドー3DSに比べて少しストロークが深く,ややフニャッとした,柔らかい押し心地。決して悪い感触ではないものの,ニンテンドー3DSのそれとは異質な印象だ
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 そのほか,装備されているボタンやスイッチ類は当然のことながらNintendo 3DSに準じているが,本体向かって右下に用意されている,「SLEEP」と書かれたスライドスイッチだけは,ニンテンドー3DSにない,Nintendo 2DS独自のものとなる。クラムシェル(clamshell,二枚貝)型のニンテンドー3DSは液晶を閉じるとスリープに入るが,スレート(slate,石板)型のNintendo 2DSにはそれができないので,スライドスイッチによってスリープに対応したというわけだ。

開いた状態で手前側から。Nintendo 2DSだと厚みは実測約10mm,ニンテンドー3DSは同12mmと,Nintendo 2DSのほうがやや薄い。Nintendo 2DSでは本体左端にヘッドフォン出力端子が用意されるのと,ニンテンドー3DSではLEDインジケータがあるところにスリープ用のスライドスイッチがあるのも違いだ
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 以上,全体としては無難にまとめられている印象だ。デザインはまったく異なるうえに世代も異なるが,なんとなくかつての「ゲームボーイ」を思い出させる質感で,これはこれでとっても任天堂らしいゲーム機じゃなかろうかと思う。ゲーム機というのは皆が手軽に遊べる玩具なのだから,これでいいのではないかなどととすら思わされたほどである。


広い基板に余裕を持った実装

丈夫な作りはさすが任天堂か


 では分解に移ろう。Nintendo 2DSの背面を見ると裏蓋が上下2つに分かれているかのような作りになっており,実際,上半分の黒い蓋はバッテリーパック用の蓋で,2本のビスを緩めると上半分だけ取り外せるようになっていた。

本体背面は,中央の帯によって2つに分かれており,上側がバッテリーパック用の上蓋になっていた。2本のビスを緩めると取り外せる
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バッテリーパックが見える状態で,ニンテンドー3DS(右)と並べたところ。搭載されていたリチウムイオンバッテリは3.6V,1300mhAという容量で,「CTR-003」という型番らしく刻印も含め,両者でまったく同じだった
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上蓋を外した状態で,バッテリーパックの右に書かれた文言に寄ってみると,「技適マークの付いたワイヤレスモジュールが入ってます。」という文言があった。ニンテンドー3DSだと最後が「入っています。」なので,Nintendo 2DSでは「い」が抜けているという違いはあるものの,基本的には同じ表記といえる
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 バッテリーパックの下にあるものも含め,合計10本のビスを抜くと裏蓋全体が外れてくる。
 裏蓋にはニンテンドー3DSから引き続いてステレオカメラが装備されているのだが,そのフレキシブル基板がコネクタ経由でメイン基板から取り外すと,完全に“2枚に下ろす”ことができた。

裏蓋を取り外したところ。裏蓋部に用意されたステレオカメラのフレキシブル基板をピンセットで外すと,2つに分離できる。Nintendo 2DSの基板は1枚で,それにカードスロットやスイッチ,ボタン類を含めてほぼ大半の構成要素を実装する設計になっているようだ
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 ここでさらに10本のビスを取り外し,計3か所にあるディスプレイ用とタッチパネル用のフレキシブル基板も外すと,基板が取れてくる。10本のビスが前面パネルにがっちりと食い込んでいて,抜くのはけっこう大変だったが,それはともかく,ビスの配置はよく考えられているようだ。
 D-Padやボタンの裏側,ヘッドフォン出力端子の両サイドといった,外部からの力が加わりやすい部分ががっちり固定される配置になっており,多少手荒に扱っても壊れなさそうな安心感がある。このあたりはポータブルゲーム機を作り慣れた任天堂らしい設計と言えそうである。

やや苦労しつつ,メイン基板を取り外した。上辺,ゲームカード部のパネルは2本のビスで留められていたが,それ以外のトリガーやパネルはビスを使わず組み付けられているだけだった。なお,写真中央下部分にはスライドスイッチと半透明の部品が見えるが,この半透明部品はLEDインジケータの光を透過させるためのものだ
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拡張スライドパッドの軸受け台座。2次元のボリュームといった感じのパーツである
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 基板を外し,2か所のビスで固定されたスライドパッドの軸受け台座を取り外すと,Nintendo 2DSにおける最大の特徴とも言える液晶パネルモジュールにアクセスできるので,そちらを先に見ておこう。
 ニンテンドー3DSでは,2基の液晶モジュールが採用されているのに対し,Nintendo 2DSでは,2枚の液晶パネルを収めたと思しきモジュールが,両面テープで前面パネルに固定されていた。スレート型のデバイスらしい実装といえそうだ。

画像集#022のサムネイル/「Nintendo 2DS」分解レポート。立体視非対応の“廉価版3DS”,その中身は?
液晶パネルモジュール取り外した様子。前面パネルに両面テープで固定されていた
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液晶パネルモジュールに寄ったところ。1つのモジュールに上下2枚のパネルを収めた,Nintendo 2DS専用設計になっているようである


主要LSIはNintendo 3DSからさほど変化なし

立体視以外の基本性能は同じと見ていい


 続いて,苦労して取り外したメイン基板を細かく見ていくことにしたい。見てのとおり,かなり大きな基板で,最近流行の小型高密度実装の基板に比べると,実装にゆとりがある。4層基板が使われているようだが,最近の製品にしては珍しく,部品面とパターン面がはっきりと区別できるような実装になっているのも特徴だ。

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メイン基板の部品面側。主要なLSIはすべてこちら側に実装されている。左側の金属カバー部はSDHCカードスロット,上側の金属カバー部はゲームカードスロットだ。写真中央寄り右下にはシールドで覆われた部分があるので,ここに主要なLSIが入っていそうである
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メイン基板のパターン面側。写真左下ヘッドフォン出力端子と,右下のスリープスイッチ以外,これといった部品は実装されていないようだ。D-Padとボタンの接点がこちらの面に作られているのが目を引く程度である。ちなみにスピーカーはモノラル

 基板には無線LANモジュールが取り付けられているので,これを外しておこう。無線LANモジュールはミツミ電機製の「WDM-W082」で,確かに技適マーク付きだ。
 ちなみに,無線LANモジュールとケーブル1本でつながっている基板はアンテナとなる。

ミツミ電機製の無線LANモジュールとアンテナ。総務省のWebサイトでも,この型番のモジュールが技適を受けていることが確認できる(関連リンク)。アンテナとモジュールに改変がなければ日本での利用に問題ないはずだ
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 さて,基板である。
 LSIをチェックしていくうえで最も大きなハードルとなるのがシールド部分であることは間違いない。Nintendo 3DSでは,ゲームカードスロットの下に主要なLSIを実装し,カードスロットがEMI対策用シールドを兼ねる設計になっていたのだが,Nintendo 2DSではそういった高密度の設計が必要ないため,金属シールドで覆ってきたのだろう。

 このシールドは基板のGNDパターンに,6か所のはんだ付けによってしっかり固定されている。はんだを取り除いてシールドを外すこともできないことはないだろうが,その作業で基板やLSIにダメージが及ぶ可能性がありそうだ。
 いろいろと考えた末,今回は,「無理にはんだを外すより,シールド上面を適当な工具でカットしてしまったほうが,基板に対するダメージは小さい」と判断することにした。その結果が下の写真である。

カッターナイフでごりごりとシールド上面を切り取った。乱暴に見えるかもしれないが,はんだを外すよりは基板や部品へのダメージが小さいだろうという判断による
画像集#027のサムネイル/「Nintendo 2DS」分解レポート。立体視非対応の“廉価版3DS”,その中身は?

Nintendoロゴ入りのLSI。チップ上にある「CTR」は,ニンテンドー3DSシリーズの製品型番プリフィックスだ。たとえば日本版ニンテンドー3DSの型番は「CTR-001(JPN)」という具合なので,おそらく「CTR」というのは,任天堂内部でニンテンドー3DSシリーズを指すコード名として使われているのだろう
画像集#028のサムネイル/「Nintendo 2DS」分解レポート。立体視非対応の“廉価版3DS”,その中身は?
 すべてのLSIが見えるようになったところで,主なLSIを見ていきたい。
 シールドの下には2個のチップが見えるが,片方には「Nintendo」ロゴと「CPU」「ARM」といった文字が印刷されているので,これがARMベースのCPUコアや,ディジタルメディアプロフェッショナル製のGPUコア「PICA200」を統合したSoC(System-on-a-Chip)なのはまず間違いない。
 型番は「1323LC044」で,ニンテンドー3DSに搭載されていたものとは異なっているようだが,何が違うのかはまったくもって不明だ。

 その隣にある,「MB82DB BGL」と刻まれたLSIは,富士通製のFCRAM(Fast Cycle RAM)である。FCRAMはニンテンドー3DSにも採用されているので,廉価版たるNintendo 2DSでもそのまま採用された,という理解でいいだろう。容量は2Mワード(1ワード=16bit)なので,4MBのはずだ。
 シールドの下にあった2基のLSI以外では,「TOSHIBA」ロゴ入りのチップが目立つが,「THGBM4G3P1HBA1R」とシルク印刷されているので,容量4GBのeMMCということになる。ここにファームウェアが格納されているのだろう。

画像集#029のサムネイル/「Nintendo 2DS」分解レポート。立体視非対応の“廉価版3DS”,その中身は?
ニンテンドー3DSと同じく,富士通製の低消費電力メモリチップであるFCRAMを採用する
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THGBM4G3P1HBA1Rと記された東芝製のチップは容量4GBのeMMCだ。ファームウェア用だろう

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ニンテンドー3DSシリーズ用と思われる小さなチップが,シールド部の近くに置かれている
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MITSUMIロゴ入りのチップ。ほぼ確実に電源管理用LSIだ
 そのほかは小さなチップばかりだが,なかでも興味深いのは,シールドの側にある,「UC CTR 324KM14」と書かれたチップである。先に述べたとおり,CTRはニンテンドー3DSシリーズ用であることを示しているので,これも任天堂のオリジナルのカスタムLSIとみて間違いない。
 機能は不明ながら,位置からすると,SoCのコンパニオンとして,クロック制御などを担当している可能性がある。

 そのLSIとeMMCの間には,「3471A」と書かれているミツミ電機製のLSIがあるが,これはリチウムイオンバッテリー対応の電源管理ICだろう。そのものズバリの型番だとデータシートは見あたらないが,ミツミ電機は34XX型番のリチウムイオンバッテリー充放電管理LSIを手がけていること,そしてLSIの周囲にインダクタが複数見えるので,こちらはほぼ疑いなく電源用のLSIである。

画像集#033のサムネイル/「Nintendo 2DS」分解レポート。立体視非対応の“廉価版3DS”,その中身は?
InvenSense製の3軸加速度センサーと思われるチップ,ITG-3280
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Texas Instruments製チップ。位置的に見てもまず間違いなくサウンドCODECだ
 金属シールドの近くには,米InvenSense製のチップがある。型番は「ITG-3280」のようなので,3軸加速度センサー「ITG-3200」シリーズの製品と思われる。
 ちなみに,ニンテンドー3DSではSTMicroelectronics製のセンサーが使われているという情報があるので,だとすると,Nintendo 2DSではセンサーが変わっている可能性もありそうだ。

 もう1つ,ヘッドフォン出力端子の近傍に米Texas Instruments製チップがある。見る限り型番は「AIC3010D」のようだ。これまた該当するデータシートは公開されていないが,AIC3xxx型番のCODECチップが存在していることからして,サウンド用のCODECと見て間違いない。

 主要なLSI類は以上だが,メインのチップやFCRAM,型番不明のCTRロゴ入りチップなど,マイナーチェンジは入っているかもしれないが,構成されているLSIの数や種類はほぼ同じと見てよさそうだ。立体視に関わるハード的な違いは,メインのSoCが吸収しているのではなかろうか。


ポータブルゲーム機復権の起爆剤になるか?


画像集#035のサムネイル/「Nintendo 2DS」分解レポート。立体視非対応の“廉価版3DS”,その中身は?
 Nintendo 2DSは北米と欧州,豪州,ニュージーランド市場でのみ展開される予定になっているが,その背景にはこれらの地域におけるモバイルゲーム事情があるのだと思う。
 とくに欧米ではモバイルゲームの主役が急速にスマートフォンやタブレットに移っていて,Nintendo 3DSを始めとするポータブルゲーム機が苦戦し始めている。筆者の体験から話をすると,3年ほど前のGame Developers Conference(以下,GDC)では,ニンテンドーDSを持って歩くゲーム開発者をそこかしこで見かけたのだが,GDC 2013ではほとんど見なかった。ゲーム開発者の間でさえ,ポータブルゲーム機離れが進んでいるのである。

 その流れに対抗するには,魅力的なゲームを提供するだけではなく,普及のハードルとなっているハードウェアの価格を下げるしかない。だからこそ(実際に活用されているかどうかはともかく)大きなウリであったはずの立体視機能を削ってまで,Nintendo of Americaは低価格版であるNintendo 2DSを投入したきたのではなかろうか。

 幸い――かどうかは分からないが――日本において,ポータブルゲーム機の市場はまだまだ健在。なので,Nintendo 2DSの投入対象地域にならなかったのだと思われるが,技適マークに関する言及などを見るにつけても,今後,日本でスマートフォンやタブレットへの移行が進むようであれば,任天堂が方針を変えてくる可能性はあるように思われる。
 いずれにしても,Nintendo 2DSが「スマートフォン&タブレットへとゲーマーが移行する」という欧米市場の潮流を食い止められるかどうかが,今後の見どころということになりそうだ。

Nintendo 2DS製品情報ページ(英語)

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