紹介記事
Nintendo Switch(有機ELモデル)を先行体験。画面が大きく,綺麗になっただけではない。テーブルモードが遊びやすくなり,より“Switchならでは”のゲーム体験が可能に
画面が大きく,綺麗になっただけではない。そのほかの部分の仕様変更によってテーブルモードが遊びやすくなり,さまざまなスタイルでゲームが遊べる“Switchならではの魅力”がより強まった新モデルだ。
任天堂公式サイトのNintendo Switch(有機ELモデル)紹介ページ
Nintendo Switch(有機ELモデル)の予約受付は9月24日にスタート
任天堂は本日,新型Nintendo Switchとなる「Nintendo Switch(有機ELモデル)」の予約受付を,全国のゲーム取扱店やオンラインショップ,マイニンテンドーストアにて2021年9月24日に開始すると発表した。有機ELディスプレイにより,色鮮やかな画面でゲームを楽しめるという新型だ。
画面サイズと画質だけではない。さまざまなスタイルでゲームが楽しめる“Switchらしさ”も向上
Nintendo Switchドック(以下,ドック)でテレビやモニターにつなぎ,大画面でゲームが遊べる「TVモード」。背面のスタンドを立て,外部ディスプレイなしで対戦や協力プレイが楽しめる「テーブルモード」。気軽に持ち歩き,好きなときに好きな場所でゲームができる「携帯モード」。Nintendo Switchといえば,プレイヤーの気分やそのときのシチュエーションに合わせて,文字どおり遊び方を“スイッチ”できるのが特徴のゲーム機である。
その新機種となるSwitch有機ELモデルは従来モデルと何が違い,プレイ感覚はどう変わるのだろうか。まず外見とサイズだが,見た目は変わらず,本体サイズ(Joy-Con装着時)は242(W)×102(D)×13.9(H)mmで,横幅が3mm増えたのみで従来モデルとほぼ同じ。重さ(こちらもJoy-Con装着時)は398gから420gと22g増加と,これもだいたい1円玉なら22枚,500円玉なら3枚くらい増えた程度である。バッテリー持続時間は従来モデルと同じ4.5〜9時間だ。
もちろん対応ソフトも変わらずで,本体や画面のサイズが変わったことで一部タイトル(Nintendo Laboで工作したものや,タッチスクリーンを使った作品など)はそのゲーム体験に違いが発生することもあるかもしれないが,基本的に従来モデルと同じ感覚でゲームが遊べる。Joy-Con周りの仕様に変更はないため,加速度センサーやジャイロセンサー,HD振動などを使ったゲームも同様で,付属品となるJoy-Conグリップやドックの使い方も従来モデルと変わらない。
では,有機ELモデルを選ぶ意味はどこにあるのだろうか? 最も大きなメリットが,当たり前ではあるかもしれないが,画面が大きく,そして色鮮やかになった点だろう。
従来モデルと本体のサイズはそのままながら,画面の縁がスリムになったことで画面サイズは6.2インチから7インチに。さらに,商品名にあるとおり有機ELディスプレイが使用されているため,これまでより美麗な映像でゲームが楽しめる。
実機を体験したところ,電源を入れてメニュー画面が表示された瞬間,その違いにすぐ気がついた。黒は深みのあるものとなり,そのほかの色はくっきりと鮮やかに発色し,全体的にキリっとしたコントラストの効いた映像になっており,単純に画面が大きくなっただけではない,画面の見やすさが感じられたのだ。比較用に従来モデルを持ってきていたのだが,この辺りはそれを出して見比べるまでもなく,ハッキリとその違いが分かる部分だった。
続いて,Switch有機ELモデルと従来モデルでゲーム自体の印象はどう変わるのかを,用意されていた「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」「マリオカート8 デラックス」「あつまれ どうぶつの森」の3タイトルで比べてみた。
とくに美しく感じられたのは,ゲーム内における光の表現。分かりやすくその恩恵を感じられるタイトルが,トップ画面から鮮やかな虹色や花火,夜景といった背景が使用されている「マリオカート8 デラックス」だ。
路面が虹色の光で煌めくレインボーロードは,背景に見える天体の青白い輝き,七色の照明が付いた星形のゲートの光,宇宙空間の深みのある黒といった表現がより美しくなっていた。レインボーロード以外にも,3DS ネオクッパシティやエレクトロドリームといった,夜に光り輝くネオンライト……みたいなコースがいくつかあるので,この辺りも確かめてみたくなる。そういった街や人工物以外の,クッパキャッスル,Wii グラグラかざんなどの炎や溶岩といった自然の表現もだいぶ異なる印象だ。
ゼルダの伝説BotWは,ゲームを始めてすぐの祠で目覚めるシーンでチェックしたところ,もやがかった祠の中や,そのもやの中で光る装飾物やシーカーストーンをかざす台座などで,はっきりとその発色や発光の違いが分かる。祠を出て広がる風景は,画面が大きくなったこと,映像がくっきりとしたことでより広く,空の青さや太陽の輝きも美しく感じられるものとなっていた。
あつまれ どうぶつの森はセーブデータの仕組みと体験時間の関係上,同じシーンでの比較はできなかったが,手元でもくっきりはっきり見えるようになることで,従来モデル以上に家具のディテールが楽しめそうだ。
有機ELディスプレイに負けない,大きなプラスとなっていると感じたのが,自由に角度を変えられるようになった背面スタンド「フリーストップ式ワイドスタンド」だ。
従来モデルは角度が固定かつ幅も狭いため,テーブルモードを使用して自身の楽な姿勢でゲームを楽しもうとすると,それなりに工夫が必要となる。画面を見やすい角度に調節するため,置き場所とスタンドの間に本やクッション性のあるものをかませるも,片面のみを支えるスタンドでは不安定で,すぐにズレたり倒れたりして再調整しなければならない……なんて経験がある人も少なくないだろう。
上の見本画像のとおり,背面のほぼ全幅を使ったスタンドとなり,さらにかなりの深さまで調整が可能となっているので,そんな苦労も概ね解消されそうだ。実際にいろいろな角度で置いてみたところ,垂直に近い角度でもなかなかの安定感があった(これについては置く場所にもよるが)。
その不安定さがネックとなることもあったテーブルモードだが,Switch有機ELモデルの仕様変更により,(ACアダプターの接続問題はあるものの)あらためてフィーチャーされるのではないかと期待が高まる。いままではどちらかというと,テレビのない場所での対戦や協力プレイをするときに使用するイメージだったが,一人気ままに,好きな姿勢でゲームを遊びたいときにも活かせるようになるのは大きい。
筆者はテーブルモードで「リングフィット アドベンチャー」をプレイすることが多いのだが,運動の種類によっては画面が見にくくなることがあり,その際は位置や角度を調整する必要があった。それが画面が大きく鮮明になり,さらに角度も好みに固定できることで,テレビにつないだときと同じ感覚で運動できるようになると思うと,個人的にもかなり嬉しいものとなりそうだ。
携帯モードで遊んだ感覚だが,3mm大きくなったくらいではさすがにプレイしている感覚は変わらない。重さについてはいちおう両方をもって比べてみたが,違いはあまり感じなかった。長時間,携帯モードで遊んでみたわけではないが,22g重たくなったくらいではさすがに疲れやすくなるということはないだろう。
広大な風景が広がるオープンワールドゲーム,ディテールの細かいメカ,ピクセルアート系のインディーズゲーム……いろいろ試したくなるテーブルモードと携帯モードだが,全体的に感じたのが,シンプルに画面が大きく,そしてくっきり映し出されることでテキストが見やすくなったこと。情報量の多いシミュレーションゲームやRPGなどをプレイするとき,悩まされるのが文字の小ささ。同じく海外ゲームの日本語版,インディーズゲームなどもこれはよくあることだが,携帯モードやテーブルモードを用いた楽な姿勢でそれらのゲームが遊びやすくなるのはかなり嬉しい。
そのほか本体の特徴だと,microSDカードスロットや明るさセンサー,本体の背面下部にあった吸気孔などの位置変更や,上辺部にある排気孔の形状が変わっていることが確認できた。バッテリーの持ちは変わらずということだが,電力消費や熱処理がどの程度異なるのかも気になるところだ。なお,スピーカーは新しくなっており,携帯モードやテーブルモードでよりクリアなサウンドでゲームが楽しめるとのことだが,今回はそれを測定できる時間や環境ではなかったので比較はできなかった。
新しいドックもチェックしてきた。有線LANポートが搭載されたという大きな特徴があるが,上部の角の丸みが増したことやTV出力ランプが小さくなったことで若干印象が異なるものの,サイズ感は変わらず。カバーの内部は,有線LAN端子が加わった分USB Type-A端子がなくなっていているが,本体正面向かって左側面にあるUSB Type-A端子は,従来モデルとかわらず2ポートある。
テレビ出力については変わらずだが,別売のUSB有線LANアダプタなどを用意しなくていいのは,ダウンロードでゲームを購入することが多い人やオンラインゲームのプレイヤーには大きい変更だろう。従来モデルでも新ドックが使えるのも,複数台所有する人には嬉しいポイントとなりそうだ。
本体保存メモリ容量が64GBとなり,microSDカードなしでも多くのゲームや大容量のタイトルを保管できるようになることでも,Switch有機ELモデルがより“Switchらしい”プレイスタイルを生む要素となりそうだ。
「スプラトゥーン2」に「大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL」,マリオカート8 デラックス,リングフィット アドベンチャー,あつまれ どうぶつの森……ほかにもいくつもあるが,Switchには長期間遊べるタイトルがたくさんあり,それらを継続してプレイするため,ダウンロード版で購入しているという人も少なくないだろう。
10GBから15GB,大きいものだと20GBを超えるものがある国内外の大作ゲームはもちろん,空いた時間に気軽に遊びたいというようなインディーズゲームでも,意外と3GB以上あるものも少なくない。一見些細な量に見える32GBだが,たくさんゲームを持ち歩きたい人,容量確保のためのデータ整理が億劫な人にとっては,地味に見えて大きなプラスになると思う。
希望小売価格は3万7980円と,従来モデルの3万2978円(どちらも税込)の約5000円プラスとなる。有機ELディスプレイになって本体のデータ容量が倍に,さらに有線LANが別売りのアダプタなどなしで使えると考えるとなかなかお得に見えるが,これを高いと感じるかどうかは,これから初めて買うのか,買い替えか,それとも2台目になるのか。そのSwitchをどのように使うか……など,人によって大きく変わるだろう。
基本的にTVモードで遊んでいるという人は無理に買い替える必要はないと思うが,携帯モードやテーブルモードで遊ぶことが多く,かつ新しく買い替えようとしていたり,ちょうど2台目を買おうとしていたタイミングだったりした人には,Switch有機ELモデルはオススメできる。これから初めてSwitchを買う人で,高画質でゲームを楽しみたい,テレビだけではなくテーブルモードも使って家族や知人とゲームをしたいというタイプなら,プラス5000円は決して高くはないだろう。
Switch有機ELモデルの発売予定日は2021年10月8日。文章だけでは伝えにくく,さらに個人の好みや“どこまでを望むか”というのもある部分ではあるが,ただ単純に「画面が大きくなって綺麗になっていた」というだけではない感動があることは伝えておきたい。購入するか迷っている人は,予約開始日まで本稿や公式サイトの情報を確認し検討してほしい。
任天堂公式サイトのNintendo Switch(有機ELモデル)紹介ページ
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