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[GDC 2018]SteamSpyが2017年のSteamデータを総括。史上最高の売り上げを記録するも,その内情は少しいびつに?
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印刷2018/03/24 00:00

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[GDC 2018]SteamSpyが2017年のSteamデータを総括。史上最高の売り上げを記録するも,その内情は少しいびつに?

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 独自の手法でSteamのユーザーデータを収集し,公開しているSteamSpyのSergey Galyonkin(セルゲイ・ガルヨンキン)氏がGDC 2018に登場し,2017年におけるSteamの動向を報告した。

 ガルヨンキン氏はSteamを運営するValveに所属しておらず,SteamSpyは同社から公認されているわけでもないので,データは非公式ということになる。
 しかし,そもそもガルヨンキン氏は2015年にマーケット動向調査の名目でValveの許可を得て作業を開始している。その後Valveとは2016年に連絡が途絶えたが,訴訟を起こされることも,アカウントをバンされることもないという,微妙な関係が続いているらしい。

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セルゲイ・ガルヨンキン氏
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 さらに,2017年にガルヨンキン氏は,Steamでゲームを販売していないEpic Gamesに就職し,同社の東欧地域における販売部のリーダーとなっているのが何とも興味深い。

 さて,「SteamSpy」は,1日あたりランダムに80万アカウントをスキャニングして,そのライブラリやプレイデータを自動収集しているという。この際,DLCやマイクロトランザクションタイプのFree-to-Playゲームは,Steamのサーバーを必要以上に圧迫したくないという理由で省かれている。

 また,データ分析には,フリーランスライターのKyle Orland(カイル・オーランド)氏が,統計学に基いて開発したアルゴリズムが利用されている。詳細はGDC 2015でのレポートに詳しいので,こちらを確認してほしい。

 ガルヨンキン氏のセッションではかなりの数のスライドが紹介されたので,重要なものにコメントを付けていく形で,2017年におけるSteamの動向を紹介していこう。

2017年のSteamの売り上げは,なんと約43億ドル(約4500億円)。300人ほどしかいないとされる非上場企業にしては驚くべき数字だ。ちなみに2016年は約36億ドル(約3770億円)だった
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アカウント総数は2億9100万。「PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS」の中国での大成功や,新興国でのインフラ整備によって,1年で6300万も増えたという
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ただし,2012年以来の急激な伸びは,ひと段落している様子だ
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Steamのプラットフォームとしての驚きの1つが,そのユーザー保持率の高さ。5700万人が2週間に1度アクセスしている
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こうして1年ごとのユーザー保持率を並べてみると,徐々に下がってきているようにも見えるが,15年目のサービスであること,そして3億近くのアカウントがあるというパイの大きさを忘れてはならない
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メジャータイトルを中心としたトップセールス


2017年12月31日時点で,Steamにあるゲームコンテンツの総数は2万1406本。2017年だけで全体の39%にあたる,7696本の新作がリリースされた
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上位100タイトル(全体の0.5%)がSteamの売り上げの50%を占め,2万以上のタイトルが残りのパイを争っているという構造だ
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2017年の上位20タイトル。「PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS」の一人勝ちにも見えるが,「Grand Theft Auto V」や「The Witcher 3: Wild Hunt」など,2016年以前にリリースされた作品,「Divinity: Original Sin 2」のようなインディーズゲーム,そして日本メーカーのタイトルもランクインするなど,バラエティ豊かだ。パッケージ版やほかのプラットフォームが含まれていないデータ(しかもあくまで推測)であることは注意してほしい
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Steamの上位20タイトルに入るためには,2200万ドルを売り上げる必要がある。この数値は2016年度と同じ
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インディーズタイトルの動向


独立系デベロッパのタイトルになると話は変わってくる。Steamにおけるゲームソフトの平均販売数は9500本だが,インディーズタイトルだけに絞ると5000本。さらに,2017年にリリースされたインディーズタイトルで見ると,1500本となってしまう。これで採算を取るのは難しそうだ
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ただし,2017年にインディーズタイトル上位2000へ食い込むために必要な売り上げは15万ドルで,2016年の16万ドルよりも下がった
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2015年,Steamにおけるインディーズタイトルは2149本しかなかったが,たった2年後の2017年は1万3624本と6倍以上に。プレイヤーのエンゲージメント(プレイ時間)は,タイトルの急増ぶりに追いつけていないようだ
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Steamの2億9100万ユーザーのうち,少なくとも1本以上の有料インディーズタイトルを所有している人は6500万人であり,さらにそのうちの2400万人が5本以上購入している。インディーズタイトルを販売するためのプラットフォームとしては悪くはないようだ
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価格に関するデータ


セールス等で値引きされていない価格では,9.99ドルが最も多い。59.99ドルというフルプライスでも100本近い作品がリリースされている
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Steamにおける2017年のビッグニュースの1つは,ユーザー投票でパブリッシングタイトルを決定する「Steam Greenlight」が9月に廃止され,独立系企業がコントロールしやすい「Steam Direct」が代わりにスタートしたこと。Steam Direct開始以降はリリース数が急速に増加している
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インディーズタイトルに付けられたタグのトレンド。「恐竜」や「ロボット」といったものが人気なのは,ユーザーの低年齢層化が進んでいるからだろうか。逆に,「Team-based」や「PvE」などは,上位タイトルのほとんどがフィーチャーしていそうだが,ちょっと小難しいからか,敬遠されているようだ
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ゲーム市場としての中国の台頭


Steamの2億9100万アカウントのうち,3分の2に近い64%が中国のものだという。ガルヨンキン氏によると厳密には「簡体字を選択しているユーザー」だが,中国本土からの利用者と見ていいだろう。アメリカやイギリスを含む,英語圏のユーザーの総数は18%なので,中国からのアクセス数の多さに驚かされる
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公式には,中国でSteamのサービスは行われていないことになっている。ガルヨンキン氏の解説によると,Steamコミュニティへのアクセスは禁止されているものの,「Dota 2」や「PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS」などへのアクセスにはSteamアカウントを取得し,Steamのバックエンドを利用する必要があり,インターネットカフェで次々とアカウントが作成されているということのようだ
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2017年春に「PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS」のアーリーアクセス版がリリースされて以降,中国のアカウントが急増したのが分かる
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アカウント総数の64%を占める中国からのユーザーだが,アクティブユーザー数と,有料ソフトの所持者率は非常に低い
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アメリカの平均的ユーザーが所有している有料ゲームの数は中国ユーザーの6倍にもなるが,「PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS」に関して言えば,中国ユーザーのほうが1週間あたりのプレイ時間は多い。ガルヨンキン氏はこのデータから,PUBGのチーターの9割を占めるという中国からのアクセス者は,インターネットカフェで定期的に捨てアカを作り続けているのではないかと推測した。もしそうであれば,2017年に新規作成された6400万アカウントの多くは,もはや使われていない可能性がある
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最後に示されたのが,インディーズタイトル市場のグローバルTOP10。中国はプレイヤー数こそアメリカに次ぐ2位であるものの,購入額は低くなっている。ただし,ロシアやブラジル同様,現地でのインディーズタイトルの販売価格は不当なほどに引き下げられている傾向があるとのこと。ガルヨンキン氏は,中国のプレイヤーはまだ嗜好が未成熟で,さまざまなゲームをプレイしていくうちに,自分の好みにあったインディーズタイトルに行き着く可能性は十分にあると分析。その市場の潜在性の高さを過小評価してはいけないと述べた
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