プレイレポート
[TGS2022]「Pastry Panic (with cat)」プレイレポート。不思議な箱に謎のスイッチを抜き差して,猫のためにお菓子を作ろう
「Pastry Panic (with cat)」公式サイト
不思議な箱に謎のスイッチを抜き差しし,猫のためにお菓子を作る
本作は,画面中央に鎮座する猫のためにさまざまなお菓子を作っていくというゲームだ。作業をこなすと,リザルト画面に表示される猫の体重が増えていくので,たぶん作ったお菓子は猫が食べていると思われる。
本作の特徴は,PCに接続された「Pastry-o-Matic」という箱だ。この箱には「切る」「こねる」「まぶす」「詰める」「焼く」という5つのスイッチとその置き場である穴,そして「ベルト1」「ベルト2」と書かれた穴がある。
一方,ディスプレイ上には2つのベルトが表示されており,ここに小麦粉を始めとするさまざまな材料が流れてくるので,箱を操作して指示されたお菓子を作っていくのだ。
例えば,ベルト1に米が流れてきて,指示が「おもち」だったとしよう。おもちは3回こねたあと,切ると完成だ。
まずは,「こねる」のスイッチを置き場所から外してベルト1の穴に差し込み,3回押し込む。次にベルト1から「こねる」スイッチを外して元の置き場所に戻し,代わりに「切る」スイッチをベルト1に差し込んでグッと押し込む。
つまり,材料と指示に応じて,5つのスイッチを正しいベルトの穴に差し込んで操作するのだ。材料はこっちの事情などおかまいなしにどんどん流れてくるし,レシピはお菓子ごとに異なるので,だんだん頭がこんがらがってくる。
ココアパウダーなどを振りかける際に使う「まぶす」だと,調味料入りの小瓶を振ったときのような,小さなものがカリカリと動く感じが伝わってくるし,オーブンのツマミのような形をした「焼く」スイッチは,タイマーをセットするときのカチッという感触がする。
さらに,この触覚フィードバックを表現するうえで,電気が使われていないのがユニークなところ。本作の開発者であるYong Zhen Zhou氏は大学で工業デザインを学んでおり,在学中に教授と共に作った「Shape Haptics」という仕組みをゲームに応用しているのだ。
これは3Dプリンターで作られた,バネとクリップの仕掛けだ。差し込むスイッチの先端がそれぞれ異なる形をしており,この形を調整することでさまざまな触覚フィードバックを生み出せるという。文章にするとちょっと分かりにくいので,下に掲載した動画や写真を見てもらうほうがいいだろう。また,スイッチがどれだけ押し込まれたかは,箱の中にあるWebカメラで判定しているとのこと。
スイッチを小箱に付けたり外したりする,実物を使った手作業ならではの楽しさがビデオゲームと組み合わされており,そこに電気を使わない触覚フィードバックが用いられているのがとても面白い。
そんな「Pastry Panic (with cat)」は,1ホールのインディーゲームコーナー「A80」に展示されているので,興味のある人は試してみよう。
「Pastry Panic (with cat)」公式サイト
「Shape Haptics」公式サイト
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