テストレポート
PS Vitaに[L2/R2]ボタンを追加するカバー,待望のPCH-1000対応版を試す。リモートプレイ派は今回もマストバイだ
PCH-2000用グリップは,PlayStation Vita(以下,PS Vita)に装着すると,PS Vitaには標準で用意されていない[L2/R2]トリガーボタンを物理的に追加できるという製品で,開発者である上越電子工業の藤川英希氏がコアなゲーマー目線で自分が納得がいくものを一から作り上げたといういきさつに大変なインパクトがあったことも記憶に新しい。
「PS Vitaに[L2/R2]トリガーを追加するグリップ」はいかにして誕生したのか。上越電子工業の“コアゲーマー開発者”に聞く
そんなPCH-2000用グリップが抱える最大の問題(?)は,本稿で示した略称のとおり,本製品が液晶パネルを搭載するPCH-2000シリーズ専用だったことだが,ついに12月26日,俗に初期型とも呼ばれる,有機ELパネル搭載のPCH-1000(およびその3G通信対応モデルとなるPCH-1100)対応版「PCH-1000型専用 L2/R2ボタン搭載グリップカバー」(以下,PCH-1000用グリップ)が発売されることになった。PCH-1000でPlayStation 4(以下,PS4)のリモートプレイをしたい人や,ゲームアーカイブスで旧作をプレイしたい人にとって,待望の製品が登場するわけだ。
PCH-2000用グリップが発売になったのは2015年4月だったが,6月にはもうPCH-1000用グリップの開発に着手していたというのだから,どれだけPCH-2000用グリップが好調だったのか分かろうというものだが,そんなこんなで,10月には試作品ができあがっていたそうである。
PCH-2000用グリップの開発には1年以上費やしていたのに対し,今回はかなりの短期間で発売までこぎ着けているわけだが,これは,PCH-2000用グリップをベースとしつつ,PCH-1000へ最適化するという手法を採れたことに起因すると藤川氏は述べている。
ちなみに,PCH-1000用グリップも,PCH-2000用グリップと同じく,藤川氏がほぼ一人で開発を行ったとのこと。開発体制自体はとくに変わっていないため,今回も大いに期待できそうだが,実際はどうだろうか。最終製品とは後述する一点のみが異なるという,最終製品版にかなり近い試作品を氏から入手できたので,発売直前となるこのタイミングで,使用感をお伝えしてみたい。
固定方法にカバーを採用することで,着脱が容易に
PCH-1000用グリップを開いたところ。カバー部を見ると,ツメが4つあるのが分かるだろう |
本体左側面のツメとツメ留めに寄ったところ。専用のツメ留めにより,ツメの耐久性は上がったはずだ |
PCH-2000用グリップの場合,グリップ側のツメでPCH-2000を直接する固定する仕様となっており,頻繁に着脱しようとすると,ツメが壊れてしまうおそれがあり,そこにユーザーの不満が集まっていたと記憶しているが,PCH-1000用グリップで,ツメを,グリップ側のツメ留めに填めることで固定する仕様に変わったことで,少なくとも従来よりはPS Vitaの着脱がしやすく,ツメが壊れる危険も減ったとはいえそうだ。
なお,4点留めはかなり強固で,カバーの下でPS Vitaがガタつくとか,ゲームプレイ中,カバーが不意に外れるとかいった心配はまず無用である。
この仕様がPCH-2000用グリップと比べて高コストだというのは誰の目にも明らかだと思うが,藤川氏は,「確かにコストは上がっていますが,PCH-1000とPCH-2000が,バージョンは異なるものの同じハードなので,グリップの価格が異なるのはどうかと思い,同価格にしました」と述べているので,今回の価格は企業努力の賜物ということになりそうだ。
藤川氏によれば,操作感を損なわないよう,カバーの厚みにはかなり苦心したとのこと。実際の使い勝手は後段で述べるが,最薄部では1mmと,確かに薄い。
なお,導電ゴムの素材自体はPCH-1000用グリップとPCH-2000用グリップで同じとのことだ。
肝心の[L2/R2]トリガーは,装着するとPS Vita側のバンパーボタン奥側(=机上に置いた状態では下側)にくる場所へ用意されるが,このデザインはPCH-2000用と同じ。左右に幅が広く,一方で厚みはないという,大きめの板のような形状も変わっていない。
FFXIVのリモートプレイでPCH-1000用グリップをテスト
これはDUALSHOCK 4とほぼ同じ操作感だ
持ったイメージ |
ボタンの“奥まり方”はどれも同じだが,[START/SELECT]ボタンは小さいため,ほかのボタンと比べてカバーの厚みの影響を受けやすい |
本体実測重量はPCH-2000用グリップが72gに対して今回のPCH-1000用グリップが84gと,若干重いのだが,グリップを両手の中指以降でしっかり握ることができるという,従来からの仕様のおかげで,しっかりと支えることができる。
カバーがPS Vita本体を覆うことの影響が気になる人もいるだろうが,結論からいうと,最薄部で1mmの効果か,カバーの厚みが操作性に影響を与えることはほとんどなかった。
FFXIVだと[START]ボタンでメインメニューを表示させるようになっており,その利用頻度が結構高いため,もともと小さな[START]ボタンはさすがに押しづらかったのだが,指の腹ではなく,爪で押すようにすれば解決した。
この問題は[SELECT]ボタンでも同じだが,大多数のゲームタイトルだとこれらのボタンを頻繁に使うことはないので,カバーの影響はまず感じないのではなかろうか。
なお,試作品においても,[L2/R2]トリガーの入力ムラはまったくなかったので,その点は述べておきたい。[L2/R2]トリガーは,引けば毎回,確実に入力が入り,その点で不安を感じることはなかった。
PCH-1000でリモートプレイをがっつり行うなら必須アイテム
とにもかくにも,PCH-2000用グリップが出た直後からPCH-1000ユーザーが待ち望んでいた製品の登場ということで,PS4リモートプレイを日常的に行っているPCH-1000ユーザーであれば,4300円前後という投資に間違いなく見合う製品だといえる。ちょっと高いと思うかもしれないが,それだけの価値はある。
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