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[CES 2016]これが究極のVRゲームだ!? Oculus Riftを使った全方位回転型の大型筐体「Moveo」をCES会場で体験してきた
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印刷2016/01/09 19:26

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[CES 2016]これが究極のVRゲームだ!? Oculus Riftを使った全方位回転型の大型筐体「Moveo」をCES会場で体験してきた

 CES 2016のサブ会場「Tech West」のSands Expoにあって,やたらと広いスペースを使ってブース展開していたのが,米国オハイオ州を拠点とするKrush Technologies(以下,Krush)というメーカーだ。
 その目玉は,おそらくCES 2016で最も大きな展示物と思われる「Moveo」。大型ロボットアームに卵型のコクピットを取り付けた,全方位回転型のゲーム用筐体である。プレイヤーは,仮想現実(以下,VR)対応ヘッドマウントディスプレイを装着のうえ,卵型コクピットに乗り込むのだが,100人規模の観衆が見つめる中,筆者も体験してきたので,その内容をレポートしてみたい。


安全のため,ゲームの体験よりも長い時間をかけて,注意事項の説明が行われた。ちなみに写真に写っている男性は,後ほど本文で登場するChris Wire氏
画像集 No.002のサムネイル画像 / [CES 2016]これが究極のVRゲームだ!? Oculus Riftを使った全方位回転型の大型筐体「Moveo」をCES会場で体験してきた
 Moveoのプレイヤーは,Oculus VR製ヘッドマウントディスプレイ「Rift」を装着のうえ,Thrustmaster製のジョイスティック「HOTAS Warthog」がセットされてている卵型筐体に乗り込むことになる。
 雰囲気は,1990年にセガがアーケード用にリリースした体感筐体「R-360」の現代版といったところ。スティック操作に応じて筐体は360度すべての方向を向き,それに応じて目の前の視界も動くという仕組みである。

 Krushによると,Moveoは開発を始めてからまだ半年ほどしか経っていないとのことだが,すぐにでもテーマパークなどで商用できるのではないかと思えるほど,デモ機の外観は完成度が高く見えた。ただ,先ほど紹介したヘッドマウントディスプレイやジョイスティックのほかにも,シートやウインドウネットはNASCAR用に開発されたSimpson Performance Products製のものだったりして,中身は既製品の寄せ集め感がある。それがダメだというより,いかにも「こういうのが好きなエンジニアが気合を入れました」的な,ある意味でとてもいい感じの完成度だ。

Moveoが採用していたのはRiftの「Development Kit 2」(DK2)。ただし,頭部を固定するベルトは直接ヘルメットと連結する仕様になっていた。それもあり,スピンし続けていると少しずつズレていくのか,体験者のなかには,片手でジョイスティックを握りながら,片手でRiftを押さえている人も多かった
画像集 No.003のサムネイル画像 / [CES 2016]これが究極のVRゲームだ!? Oculus Riftを使った全方位回転型の大型筐体「Moveo」をCES会場で体験してきた 画像集 No.004のサムネイル画像 / [CES 2016]これが究極のVRゲームだ!? Oculus Riftを使った全方位回転型の大型筐体「Moveo」をCES会場で体験してきた

 体験できたデモは「宇宙ステーションの爆発を受けて,脱出ポッドに乗り込んだまま逃げ出したプレイヤーが,基地の残骸物や小惑星などを避けつつ,ときには加速装置をオンにしたり,ときにはクルマのドリフト操作のようにポッドを動かしたりしながら進んでいく」というミニゲームだった。
 宇宙空間上には酸素ボンベが点在しており,それらを効率的に回収していかないと酸欠でゲームオーバーになってしまう。ただ,体験デモというその性質上,最長でも5分程度で必ずゲームが終わるようになっていると最初に説明があるため,筆者も含め,体験者はむしろ,ゲームを進めるというより,わざとコクピットを展示逆にしたり,スピンさせたりして,VR世界を楽しむことに集中していたように思う。

画像集 No.006のサムネイル画像 / [CES 2016]これが究極のVRゲームだ!? Oculus Riftを使った全方位回転型の大型筐体「Moveo」をCES会場で体験してきた
 これまでも,「ゲーム用チェアがOculus Riftに合わせて揺れる」程度の体感型デモはあったが,Moveoで得られる感覚は,使い古された言い回しをあえてさせてもらうと,新感覚そのものである。
 上手く言葉で言い表せないのだが,「宇宙空間を漂っている」という設定のためか,自分がどの方向を向いているのか,体験中,とっさに判断できなくなる。「地に足がついていない」と錯覚しているのだろう。頭が下を向いた状態でしばらく経つと(現実世界の重力によって)頭に血が上ってきて,ようやく頭が下を向いていると分かる,といった具合だった。

 冒頭で示したムービーを見て,いわゆる3D酔いが心配になった人も多いと思う。全方位にあれだけ回転し,上下も反転するのだから,さぞかし酔いやすいのではないか。3D酔いしづらい筆者も正直不安だったのだが,結論から言うとまったくの杞憂だった。試遊のために順番を待っていたとき,筆者の前で体験した3人の参加者も一様に,まったく3D酔いしないと感想を話していたので,酔いにくいゲームデザインになっているのかもしれない。
 むしろ個人的には,5分弱のデモを終えたあと,緊張からか興奮からか,額が汗ばむほど顔が紅潮し,また,足が揺れるような感覚があったことのほうをよく憶えているが,いま思うと,3D酔いではなく乗り物酔いだったかもしれない。

「デモの速度はポテンシャルの30%に落としてある。なぜか。フル稼働させるとコクピットが飛んでいってしまうからだ」なんて,本当か冗談か分からない説明も,Wire氏はしていた
画像集 No.005のサムネイル画像 / [CES 2016]これが究極のVRゲームだ!? Oculus Riftを使った全方位回転型の大型筐体「Moveo」をCES会場で体験してきた
 面白いことにKrushは,メッセージングアプリ「ooVoo」(Android / iOS)で名の知れた,モバイル向けのソフトウェアメーカーである。そんな彼らがなぜ体感型のVRゲーム筐体を作り出すことになったのかが不思議だが,聞いてみると,社内にいるハードウェアとソフトウェアエンジニア9名で,サイドプロジェクトとして手がけたものだそうだ。
 「我々のモットーは人々をつなげていくこと。ソフトウェアだけでなく,VR機器を使って仮想と現実の境界線をなくし,遠く離れた人々を近付けていくことも任務であると考えている」と,開発を主導したChris Wire(クリス・ワイヤー)氏は話していたが,氏によると,現在のところ,量産の計画みたいなものはまったくないとのことだった。

 ただ,Riftにバンドルされる「EVE: Valkyrie」のようなゲームとの親和性が恐ろしく高そうだったのは確かで,いつの日かMoveoを多くの人が楽しめるようになるのを期待したい。
 VRゲームではよく言われることではあるが,Moveoは文字どおり,5分も試す機会があれば,その面白さは十分に理解できるはずだからだ。

Krush公式Webサイト

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