レビュー
ダミーヘッドを用いた計測で明らかにする,ゲーマー向けヘッドセット46製品の音質(2)製品検証,ブランド名A〜E
テスト対象としたヘッドセット
- オーディオテクニカ ATH-PDG1
- オーディオテクニカ ATH-PG1
- SAVIOR(バッファロー) BSHSUH05BK
- バッファロー BSHSH11BK
- Corsair Gaming(Corsair) VOID RGB Wireless Dolby 7.1 Gaming Headset − Special Edition Yellowjacket
- Corsair Gaming(Corsair) VOID RGB USB Dolby 7.1 Gaming Headset
- Corsair Gaming(Corsair) VOID Surround Hybrid Stereo Gaming Headset with Dolby 7.1 USB Adapter
- CM Storm(Cooler Master Technology) Sirus-C
- COUGAR(HEC/COMPUCASE Enterprise) IMMERSA
- Creative Technology Sound BlasterX H7
- Creative Technology Sound BlasterX H5
- Creative Technology Sound BlasterX H3
- エレコム HS-DUX50BK
- EpicGear(GeIL) SONOROUZ X
- EpicGear(GeIL) THUNDEROUZ
本インプレッションをチェックするにあたって気を付けてほしいのは,「シリーズ初回となる解説記事の内容が大前提」ということである。初回の解説記事を読んでいないと,そもそもグラフの見方からして分からないと思われるので,くれぐれもご注意を。リファレンスとなるピンクノイズの波形も先の記事にあるので,Webブラウザの別タブで開いておくことをお勧めする。
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製品評価(ブランド名A〜E)
■ATH-PDG1
- メーカー:オーディオテクニカ
- 問い合わせ先:お客様相談窓口 0120-773-417 / 03-6746-0211(平日9:00〜17:30)
- 実勢価格:1万7800〜1万9600円程度(※2016年10月7日現在)
出力周りの主なスペック
- 基本仕様:アナログ接続型ワイヤードタイプ
- エンクロージャ:オープンエア型
- スピーカードライバー径:40mm
- 公称周波数特性:20Hz〜20kHz
- インピーダンス:39Ω
- 出力音圧レベル:92dB/mW
- 接続インタフェース:4極3.5mmミニピン
× 1(3極 × 2への変換ケーブル付属)
波形評価と試聴印象
布製イヤーパッドを装着したオープンエア型なので,低域が抜けるかと思いきや,全然そんなことがない。ドンシャリのまま,低域と高域のバランスを突き詰めたような音だ。波形を見ると分かるように,350Hz〜1.5kHzくらいの周波数帯域に凹凸がないため,出音はとにかくスムーズ。超高域も20kHz以上がしっかりしており,お見事と言うほかない。なお,装着感も非常に良好だった。
■ATH-PG1
- メーカー:オーディオテクニカ
- 問い合わせ先:お客様相談窓口 0120-773-417 / 03-6746-0211(平日9:00〜17:30)
- 実勢価格:1万7800〜1万9600円程度(※2016年10月7日現在)
出力周りの主なスペック
- 基本仕様:アナログ接続型ワイヤードタイプ
- エンクロージャ:密閉型
- スピーカードライバー径:44mm
- 公称周波数特性:20〜20kHz
- インピーダンス:38Ω
- 出力音圧レベル:96dB/mW
- 接続インタフェース:4極3.5mmミニピン
× 1(3極 × 2への変換ケーブル付属)
波形評価と試聴印象
60Hz付近を頂点とした高い山と,3〜5kHz付近に小高い山がある,ドンシャリ型。400Hz〜2kHzがフラットなため変調感はなく,低域が高域に被る感じもない。10kHz以上で高域は落ちていくものの,18kHzくらいまでは急激な落ち込みもなく,聴感上の超高域成分も十分に感じられる。低音がしっかり存在し,やり過ぎない程度にはプレゼンスも適度にあって明るい音が得られているという,ドンシャリ型のお手本のような製品だ。
■SAVIOR BSHSUH05BK
- メーカー:バッファロー
- 問い合わせ先:0570-086-086(平日および祝日9:30〜19:00)
- 実勢価格:3300〜3900円程度(※2016年10月7日現在)
出力周りの主なスペック
- 基本仕様:USB接続型ワイヤードタイプ
- エンクロージャ:密閉型
- スピーカードライバー径:30mm(フロント),30mm(センター),30mm(リア),40mm(サブウーファ)
- 公称周波数特性:20Hz〜20kHz(フロント,センター,リア),20Hz〜1kHz(サブウーファ)
- インピーダンス:32Ω(フロント,リア,サブウーファ),64Ω(センター)
- 出力音圧レベル:118±3dB(フロント,リア),117±3dB(センター,サブウーファ)
- 接続インタフェース:USB Type-A
× 1
波形評価と試聴印象
いわゆるリアル5.1chヘッドセットだが,試聴するとびっくりするほど「悪い音」に聞こえる。実際,グラフの形状を見ると,重低域と低域,そして6kHz以上の高域が「ない」と言えるレベルで弱く,また,1.3kHzあたりの山と5kHz付近のプレゼンスより少し高い帯域に不自然に強いため,耳障りで妙な変調感のある音質傾向に感じられるのだろう。中域にピークがある「かまぼこ型」の形状と言ってよく,リファレンス波形と比較すると,重低域から低域は相対的に大きく低い。また,6kHz以上から急峻に落ち込んでいるのも確認できる。
■BSHSH11BK
- メーカー:バッファロー
- 問い合わせ先:0570-086-086(平日および祝日9:30〜19:00)
- 実勢価格:1720〜2500円程度(※2016年10月7日現在)
出力周りの主なスペック
- 基本仕様:アナログ接続型ワイヤードタイプ
- エンクロージャ:密閉型
- スピーカードライバー径:未公開
- 公称周波数特性:20Hz〜20kHz
- インピーダンス:32Ω
- 出力音圧レベル:110±4dB
- 接続インタフェース:3極3.5mmミニピン
× 2
波形評価と試聴印象
今回,各メーカーには「ゲーマー向けヘッドセットを」ということで依頼をかけたが,バッファローからはこちらも届いたので,ゲーマー向けモデルとして評価する。さて,本製品のグラフだが,正直,読み方が非常に難しい。評価にあたっては一番最後まで悩んだのだが,最終的には,「右肩下がりの音質傾向ながら,いくつか大きな凹みが存在して,この凹みで音質傾向が決まる」タイプだという結論に達した。150〜600Hzくらいにある,400Hzを下限とした凹みと,1.8〜8kHzくらいで4kHzを下限とした凹みが存在し,さらに8kHzより上の帯域では大きく落ち込んでいく(※8kHzの山が1.8kHz以下と比べて小さすぎる)。
結果として,一番「低音感」につながる100〜500Hzが落ちているため低音は弱く,高域も大きく落ち込む――8kHzにある山のおかげで,かろうじて「籠もる」状態は回避できているが――ため,非常に弱い。VoIP的な用途ならこれでいいのかもしれないが,「ゲームを楽しむためのヘッドセット」とは,とても言えない。
■VOID RGB Wireless Dolby 7.1 Gaming Headset − Special Edition Yellowjacket
出力周りの主なスペック
- 基本仕様:USB接続ワイヤレスタイプ
- エンクロージャ:密閉型
- スピーカードライバー径:50mm
- 公称周波数特性:20Hz〜20kHz
- インピーダンス:32000Ω(@1kHz)
- 出力音圧レベル:未公開
- 接続インタフェース:USB Type-A
× 1(無線周波数2.4GHz)
波形評価と試聴印象
Dolby Laboratoriesの技術を用いてバーチャル7.1chサラウンドサウンド出力に対応する製品(※計測・試聴時には無効にしてある)。グラフの形状は,60Hzを頂点にして,高周波に向けて下がっていく「右肩下がり」の変形で,125Hz〜1kHzの範囲で500Hzを下限とした凹みと,1.8〜4kHzの範囲で2〜4kHzあたりを下限とした凹みが存在する。8kHz以上は急峻ではないものの,どんどん落ち込み,20kHz付近で完全に信号が再生されなくなっているのも分かるだろう。
音質傾向は,USBを用いたデジタル伝送式のワイヤレスヘッドセットに多い,高域が非常に強く感じられるものだ。削ることでクリアな音質傾向にしやすい500Hz付近が底の1つになっていることもあって,低域が相対的に弱くなり,一方で1〜2kHzや4〜8kHzという,分かりやすい中高域から高域が比較的ちゃんと残っているため,高域が随分と強く聞こえるのだと思われる。
■VOID RGB USB Dolby 7.1 Gaming Headset
出力周りの主なスペック
- 基本仕様:USB接続型ワイヤードタイプ
- エンクロージャ:密閉型
- スピーカードライバー径:50mm
- 公称周波数特性:20Hz〜20kHz
- インピーダンス:32000Ω(@1kHz)
- 出力音圧レベル:未公開
- 接続インタフェース:USB Type-A
× 1
波形評価と試聴印象
Dolby Laboratoriesの技術を用いてバーチャル7.1chサラウンドサウンド出力に対応する製品だ(※計測・試聴時には無効にしてある)。グラフは,60〜80Hzの範囲を頂点にして,高周波に向けて右肩下がりになりつつ,4〜8kHz付近がやや持ち上がった,ドンシャリっぽい波形になっている。250Hz〜1kHzの範囲で550Hz付近を下限とした凹みと,1.8〜4kHzの範囲で3.2kHz付近を下限した凹みが存在している。8kHz以上は急激でこそないもののどんどん落ち込み,20kHz付近で信号は確認できなくなった。
試聴印象は割とバランスのよいドンシャリといったところで,おそらくこれは,低域と高域のバランスで高域がやや勝ったからではなかろうか。
■VOID Surround Hybrid Stereo Gaming Headset with Dolby 7.1 USB Adapter
出力周りの主なスペック
- 基本仕様:アナログ接続型ワイヤードタイプ,USBサウンドデバイス付属
- エンクロージャ:密閉型
- スピーカードライバー径:50mm
- 公称周波数特性:20Hz〜20kHz
- インピーダンス:32000Ω(@1kHz)
- 出力音圧レベル:未公開
- 接続インタフェース:4極3.5mmミニピン
× 1(※USBサウンドデバイスによりUSB Type-A接続に対応)
波形評価と試聴印象
ヘッドセット自体はアナログ接続対応だが,「イヤーパッド内に格納してある」という斬新な付属の仕方になっていたUSBサウンドデバイス「Genuine Dolby Headphone USB Adapter」を用いることで,Dolby Laboratoriesの技術を用いたバーチャル7.1chサラウンドサウンドを利用可能だ(※計測・試聴時には無効にしてある)。アナログ接続時の波形は,60〜80Hz付近を頂点に,高周波に向けて下がっていく右肩下がりの変形で,125Hz〜1kHzの範囲で500Hzを下限とした凹みと,1.8〜5kHzの範囲で3.2kHzを下限とした凹みが存在する。8kHz以上は急峻ではないものの,どんどん落ち込んでいく。
2〜4kHz付近の凹みと8kHz以上の落ち込みのせいか,試聴してみると籠もる一歩手前,ギリギリの音になっている。しかしながら,このプレゼンスのなさを「落ち着いた音」と感じる人も多いはずで,低強高弱好きにはいい感じの音質傾向だと言えそうである。
ただ,「落ち着いた音」ということは,「プレゼンスが弱い」わけだから,ゲームにおける音の移動感はやや分かりづらい部類に入るだろう。
USB接続時のテスト結果は,アナログ時とほぼ同じ。60〜80Hz付近を頂点とする低域の山はアナログ接続時よりほんの少し高く,その分だけ,試聴印象も低域がわずかに強くなっている。
■Sirus-C
- メーカー:Cooler Master Technology
- 問い合わせ先:アスク(販売代理店) info@ask-corp.co.jp
- 実勢価格:3000〜1万1500円程度(※2016年10月7日現在。一部ショップで特価販売中)
出力周りの主なスペック
- 基本仕様:USB・アナログ接続型ワイヤードタイプ(※USB給電必須)
- エンクロージャ:密閉型
- スピーカードライバー径:44mm(メインスピーカー),40mm(サブウーファ)
- 公称周波数特性:20Hz〜20kHz
- インピーダンス:50Ω(メインスピーカー),32Ω(サブウーファ)
- 出力音圧レベル:118±3dB(メインスピーカー),116±3dB(サブウーファ)
- 接続インタフェース:3極3.5mmミニピン
× 2(※付属のRCAケーブルとも接続可能),USB Type-A × 1
波形評価と試聴印象
2.2chというユニークなヘッドフォン部を持つヘッドセット。合計4基のスピーカードライバーを駆動するため,USBによる給電は必須となる。動作モードは「CONSOLE」「PC」の2つ。アナログ接続はCONSOLEモードでのみ,USB接続はPCモードでのみ利用できる。PlayStation 4やXbox OneはCONSOLEモードでアナログ接続しなければならない。
というわけでアナログ接続時からだが,波形は,200Hz付近と3kHz付近が落ち込んだ,やや低弱高強の周波数特性を示している。かまぼこ型に近く,中域が強く感じられ,高域も割としっかり存在する。一方気になるのは3kHz付近が落ち込む一方で4kHz付近が強いというちぐはぐさで,このちぐはぐさは試聴時にも感じられた。なお,60〜100Hz付近の低域はグラフ上でこそ確認できるものの,強い中域に“持って行かれ”てしまい,低音感はあまりない。
一方,PCモードに切り替えて,USB接続したときの波形も,アナログ接続時とほとんど同じだが,試聴してみると,アナログ接続の傾向と同じながら,高域が抑えられた,落ち着いた音なのを確認できた。グラフの形状はほぼ同一なので,周波数特性以外の理由,それこそ歪みなどが,こういう違いを生んでいるのかもしれない。
■COUGAR IMMERSA
- メーカー:HEC/COMPUCASE Enterprise
- 問い合わせ先:マイルストーンサポートセンター 03-3864-3763(平日9:00〜17:00)
- 実勢価格:8200〜9000円程度(※2016年10月7日現在)
出力周りの主なスペック
- 基本仕様:アナログ接続型ワイヤードタイプ
- エンクロージャ:密閉型
- スピーカードライバー径:40mm
- 公称周波数特性:20Hz〜20kHz
- インピーダンス:32Ω±15%(@1kHz)
- 出力音圧レベル:95±1dB(@1kHz)
- 接続インタフェース:4極3.5mmミニピン
× 1(3極 × 2への変換ケーブル付属)
波形評価と試聴印象
4〜8kHzが下がらず山になっている,いわゆるドンシャリ型。100Hz付近が低域の山で,やや重心が軽い(=低域のピークが高い)。聴感上も低域が軽い印象で,更に中低域の500Hz付近が不自然に盛り上がっていたりはしないため,すっきりした感がある。一方,ドンシャリの「シャリ」はプレゼンス帯域より上の4〜8kHzにあり,3.2kHz付近を中心に2〜4kHzは12kHz以上の落ち込みに次いで落ち込みが激しいので,耳にきつい感じはしない。
8kHz以上は落ち込んでいるが,割と残っているため,高域は試聴上でもけっこうきちんと確認できる。
■Sound BlasterX H7
- メーカー:Creative Technology
- 問い合わせ先:クリエイティブメディア 03-3256-5577
- 実勢価格:1万8200円前後(※2016年10月7日現在)
出力周りの主なスペック
- 基本仕様:USBおよびアナログ接続型ワイヤードタイプ
- エンクロージャ:密閉型
- スピーカードライバー径:50mm
- 公称周波数特性:20Hz〜20kHz
- インピーダンス:32Ω
- 出力音圧レベル:118dB/mW(@1kHz)
- 接続インタフェース:USB Type-A
× 1, 4極3.5mmミニピン × 1
波形評価と試聴印象
Sound BlasterX H7では,USB接続時に限り「BlasterX Acoustic Engine Pro」ソフトウェアを利用することで本ソフトウェアによるイコライザ処理を経てサウンドを出力できる。そのためテストは,USB接続して本ソフトウェアを導入した状態と,アナログ接続時の両方で行うこととした。今回は説明の都合上,アナログ接続時からテスト結果を見ていくが,全体としては,1.5kHz付近を中心に比較的大きな谷があり,プレゼンスにピークを感じるドンシャリ系の波形だ。高域は超高域の20kHzまで急峻に落ち込まず十分な量がある一方,低域は“いる”ものの,ピークが100Hz付近と高めのせいか,中高域と比べると試聴時の印象はやや控えめである。
対するUSB接続は,基本的にはグラフの形状もアナログ接続とほぼ同じながら,よく見ると100Hz以下の低域がやや強くなっている。試聴上の印象も「少し低域が強くなって,高域もわずかにきれいというか強くなったな」といった感じ。BlasterX Acoustic Engine ProはH7に対してイコライザ処理を劇的には適用していないというか,イコライザ処理は行っておらず,純粋にUSB接続によってS/N比が改善しただけのようにも感じられる。
■Sound BlasterX H5
- メーカー:Creative Technology
- 問い合わせ先:クリエイティブメディア 03-3256-5577
- 実勢価格:1万3500〜1万5000円程度(※2016年10月7日現在)
出力周りの主なスペック
- 基本仕様:アナログ接続型ワイヤードタイプ
- エンクロージャ:密閉型
- スピーカードライバー径:50mm
- 公称周波数特性:20Hz〜20kHz
- インピーダンス:32Ω
- 出力音圧レベル:118dB/mW(@1kHz)
- 接続インタフェース:4極3.5mmミニピン
× 1(3極 × 2への変換ケーブル付属)
波形評価と試聴印象
Sound BlasterX H5は,アナログ接続型ヘッドセットながら,「BlasterX Acoustic Engine Lite」ソフトウェアを利用することで,本ソフトウェアによるイコライザ処理を経てサウンドを出力可能だ。また,Creative Technologyの独自技術によるバーチャルサラウンドサウンド出力機能も利用できる。そのためテストはソフトウェアを経由しない通常のアナログ接続と,ソフトウェアを有効化しつつ,ユーザー側で設定できる内容は無効化した状態の2種類でテストすることになる。まずBlasterX Acoustic Engine Lite未使用時だが,1.5kHzを中心とした大きめの谷があり,右肩下がり気味のドンシャリと言っていい。試聴すると,低域のバランスはいいものの重低音はあまりいないように感じられるが,低域のピークが100Hz付近と高めのバランスだからだろう。
2〜4kHzが大きいため,高域は強め。超高域は急峻に落ち込むことなく,20kHzでも存在。その結果,ややドンシャリ気味ながら高域再生を重視したように感じられる,低弱高強の音質傾向になっている。
BlasterX Acoustic Engine Lite使用時は,波形上の凹凸が多少改善し,全体のバランスがよくなる。全体としては,中高域のピークを整え,100Hz以下のより低い低域をしっかり出し,かつ200〜500Hzくらいの中低域も減らすなど,音量を少し落とす方向で歪み感を減らし,音質をすっきりさせてきたといったところか。
BlasterX Acoustic Engine Liteは,ユーザー側で設定を行わなくても,バックグラウンドでイコライザが有効になり,適切な音量調整を行っているものと推測される。
音質とは関係ないが,側圧が強く,締め付けがややキツめなのは少し気になった。
■Sound BlasterX H3
- メーカー:Creative Technology
- 問い合わせ先:クリエイティブメディア 03-3256-5577
- 実勢価格:4900〜6000円程度(※2016年10月7日現在)
出力周りの主なスペック
- 基本仕様:アナログ接続型ワイヤードタイプ
- エンクロージャ:密閉型
- スピーカードライバー径:40mm
- 公称周波数特性:20Hz〜20kHz
- インピーダンス:32Ω
- 出力音圧レベル:118dB/mW(@1kHz)
- 接続インタフェース:4極3.5mmミニピン
× 1(3極 × 2への変換ケーブル付属)
波形評価と試聴印象
Sound BlasterX H3はアナログ接続型ヘッドセットなのだが,「BlasterX Acoustic Engine Lite」ソフトウェアを利用することで,本ソフトウェアによるイコライザ処理を経てサウンドを出力可能だ。また,Creative Technologyの独自技術によるバーチャルサラウンドサウンド出力機能も利用できる。ソフトウェアを有効化しつつ,ユーザー側で設定できる内容は無効化した状態の2種類でテストすることになる。まずはBlasterX Acoustic Engine Liteを経由しないアナログ接続からだが,全体としては,500〜1kHzをピークとした中域にピークがあり,低域や高域になると弱くなっていく「かまぼこ型」。試聴して一番気になるのは「高域がいない」ことで,おそらくは,9〜12kHz付近にある大きな谷が影響しているのだろう。
一応,6kHz付近には急峻な山もあるのだが,よりマクロに見ると,この6kHzを除き2〜4kHzと9〜12kHzにわたって広範囲に中高域から高域が削られているため,全体的は籠もった音に聞こえてしまう。
対してBlasterX Acoustic Engine Lite有効時だが,本ソフトウェアは,設定の「エフェクトオフ」を選択してもバックグラウンドでイコライザ処理を行っているようで,“単なる”アナログ接続時と比べると高域特性がかなり改善する。
500Hz弱から100Hz付近の山が低くなり,一方で高域は9〜12kHz付近の谷も込みで持ち上がるのが影響しているのだろう。200Hz以下の低域もかなり改善され,グラフ上で明確に音響調整されているのが確認できる。
音質とは別のところでは,側圧が強く,締め付けがキツいのが少し気になった。
■HS-DUX50BK
- メーカー:エレコム
- 問い合わせ先:エレコムAVDサポート 0570-022-022
- 実勢価格:4200〜5000円程度(※2016年10月7日現在)
出力周りの主なスペック
- 基本仕様:アナログ接続型ワイヤードタイプ
- エンクロージャ:密閉型
- スピーカードライバー径:40mm
- 公称周波数特性:20Hz〜20kHz
- インピーダンス:32Ω
- 出力音圧レベル:未公開
- 接続インタフェース:3極3.5mmミニピン
× 2
波形評価と試聴印象
一言でまとめると「ひどい音」だ。「低音は割とちゃんといるが,プレゼンスの音が強すぎて不愉快」である。低域の山は100Hzあたりがピーク。500Hz強を谷として,4kHzくらいまで強くなるドンシャリだが,100Hz以下が弱いのに500Hzから上が右肩上がりで,本来のリファレンスグラフだと高域が下がるべきところを上がっていく「低弱高強」になっているため,相対的に低域と高域のバランスが悪く感じられ,高域が勝ちすぎている印象がある。
「勝ち過ぎている」と感じるのは,試聴時にプレゼンス帯域が強すぎて,歪んで聞こえるためだ。「なぜこういう音にしたか」という設計意図が読めない印象で,もっと言えば,「いい音にしたい」という配慮が感じられない。
■EpicGear SONOROUZ X
- メーカー:GeIL(Golden Emperor Int’l Ltd.)
- 問い合わせ先:マイルストーンサポートセンター 03-3864-3763(平日9:00〜17:00)
- 実勢価格:1万2500〜1万4000円程度(※2016年10月7日現在)
出力周りの主なスペック
- 基本仕様:USB接続型ワイヤードタイプ
- エンクロージャ:密閉型
- スピーカードライバー径:50mm
- 公称周波数特性:20Hz〜20kHz
- インピーダンス:未公開
- 出力音圧レベル:未公開
- 接続インタフェース:USB Type-A
× 1
波形評価と試聴印象
プリセットは「M」(Music)と「G」(Game)の2つ。プリセットMはかなり強いドンシャリ型で,低域の山は60Hz付近を山に,700Hzくらいまで広がっている。一方,その低域の山に負けない,強い高域として4〜9kHzの大きな山も存在する。全体としては中域というよりほぼ2〜4kHzのプレゼンス帯域が凹んでその上の高域がかなり強いドンシャリ型で,あまり「いい音」だとは感じられない。
プリセットGも基本的な音質傾向はプリセットMと同じだが,しかし低域の山が相対的に大きくなっている。具体的には100〜700Hzくらいが明らかに高くなった。その分低域の音がしっかり出て,高域に対してやや被り気味となっている。
もちろん,通常ならこの被りは籠もりの原因になるのだが,本機に限ってはそもそも耳に痛いくらい高域が強いので,被ることで高域が相殺され,全体としてはバランスがよくなり,聞きやすくなる。ゲーム以外に使うときもプリセットGのほうがいいのではないだろうか。
■EpicGear THUNDEROUZ
- メーカー:GeIL(Golden Emperor Int’l Ltd.)
- 問い合わせ先:マイルストーンサポートセンター 03-3864-3763(平日9:00〜17:00)
- 実勢価格:1万2500〜1万4000円程度(※2016年10月7日現在)
出力周りの主なスペック
- 基本仕様:アナログ接続型ワイヤードタイプ(※USB給電必須)
- エンクロージャ:密閉型
- スピーカードライバー径:50mm
- 公称周波数特性:20Hz〜20kHz
- インピーダンス:未公開
- 出力音圧レベル:未公開 接続インタフェース:3極3.5mmミニピン
波形評価と試聴印象
プリセットは「M」(Music)と「G」(Game)の2つだが,後者を完全に見落としており,Mプリセットでしか波形測定を行えなかった。なので,試聴ともどもMプリセットでのみ行うが,その周波数特性は右肩下がりっぽい印象だ。100Hz付近を頂点にした低域の山から600Hzくらいまで緩やかに下がり,600Hz〜1.7kHzくらいはほぼ凹凸のないフラット。1.7kHzから3.5kHzにかけて比較的急な勾配で15dBくらい落ち込み,4〜7kHzくらいで少し戻している。7kHz以上では割と急峻気味に落ち込んでいき,17kHzくらいでほぼ信号はいなくなるイメージだ。
低域と高域の差分が小さいので低弱高強気味ながら,低域はしっかり存在しており,試聴印象は割といい。ただ,本来あるべきバランスと異なっていて,相対的に高域が大きいきらいもある。
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