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「8K」の普及促進や規格化を担う団体「8K Association」が発足。8K推しへ舵を切ったSamsungやパナソニックが名を連ねる
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印刷2019/01/30 17:38

業界動向

「8K」の普及促進や規格化を担う団体「8K Association」が発足。8K推しへ舵を切ったSamsungやパナソニックが名を連ねる

8K Associationのロゴマーク
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 CES 2019の会期2日めとなった1月9日,「8K Association」(エイトケイ アソシエイション)という業界団体の発足を発表する記者会見が行われた。4Gamer読者ならご存じのとおり,ここで言う「8K」とは,7680×4320ピクセル解像度の映像フォーマットを指す言葉だ。
 発足時点における8K Associationには,テレビメーカー大手のSamsung Electronicsや,日本のテレビメーカーであるパナソニックをはじめとして,中国の家電メーカーHisenseとTCL,BenQ傘下のディスプレイパネルメーカーAU Optronics(以下,AUO)の5社が名を連ねている。パネルメーカーのAUOが,創立メンバーに入っているのは興味深い。

8K Association発足時の会員企業
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 先に言ってしまうと,1月9日の記者会見は,8K Associationを構成する企業の紹介と所信表明,つまり「まずはこのメンバーで8Kの業界団体を作りましたよ」という発表を行うもので,8Kに関する何らかの規格が発表されたというわけではない。しかし,大手家電メーカーが絡んだ8Kに関する業界団体の発足記者会見という節目となる出来事でもあるので,簡単にレポートしたい。


8K Association発足の背景にあるもの


Chris Chinnock氏(Insight Media)
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 会見に登壇したのは,ディスプレイ業界の市場調査やコンサルティングを手がける米国企業Insight Mediaの社長であるChris Chinnock氏だ。家電メーカーやディスプレイパネルメーカーからの登壇者はなく,8K Associationがまだ発足したばかりということがうかがえる。

 Chinnock氏が最初に説明したのは,なぜ8K Associationを設立したのかという話題だ。
 氏によれば,現在,世界のディスプレイパネルメーカーがテレビ用に供給しているディスプレイパネルは大型化が顕著に進んでおり,パネルの精細度も向上の一途を辿っていることから,60インチ以上のテレビでは近い将来に8K化が進むと予測されているそうだ。

2つの異なる市場調査会社による「60インチサイズ以上のテレビにおける市場シェアの予測」スライド。消費者は60インチ以上の大きい画面を購入する傾向が強まると予測しており,大画面化が8K化を後押しするという
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8Kエコシステムは日本が突出して進んでいるものの,それ以外の地域はまだ未発達。日本にしても8Kコンテンツは少ないと指摘
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 一方,8Kのエコシステムとはいうと発展途上にあり「最も進んでいるのは日本である」とChinnock氏は述べる。氏は,日本の公共放送であるNHKが,2018年12月から8Kの衛星放送を開始したことに触れたうえで,それ以外の国では8Kに対するエコシステムの構築が遅れていると述べた。
 そこで,8Kというフォーマット自体を世界の消費者に周知することや,広い意味での映像関連業界に対する技術方針の取りまとめを目的として発足したのが8K Associationというわけである。

8K Associationの目標。一般消費者に対する8Kのプロモーション,コンテンツ制作側への支援,映像配信事業者に対する8Kコンテンツ配信の促進,そして8K映像規格の策定などが挙げられている
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 Chinock氏は,ディスプレイパネルが8K化に向けて動いているだけでなく,映像関連技術も8K対応が完了していたり,あるいは準備が順調に進んでいるため,短期間で8Kのエコシステムが回り出すだろうと予測しているという。そして「その後押しに8K Associationが一役買いたい」と述べていた。

8Kエコシステムには解決すべきテーマは少なくないが,すでに準備ができている要素も多い。ハイエンド製品から徐々に周知と普及が進むはずとChinock氏は見ている
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 Chinock氏は,8Kエコシステムを回す追い風として,「HDMIやDisplayPortなどの映像インタフェースは,8Kへの対応が完了していること」と,「同品質の映像を,H.265の半分のビットレートで圧縮可能な次世代コーデック『H.266』の開発が進行中であること」などを挙げていた。
 コンテンツについては,フル8Kのパイプラインで制作している映像制作スタジオはまだ少ないが,すでに8K映像編集を想定したGPUやグラフィックスワークステーションが登場し始めていることをポジティブな要因に挙げる。加えて,8Kエコシステムの初期においては,進歩したAI技術を活用する超解像技術を用いることで,「既存の映像コンテンツを8K化して楽しむスタイルが主流になるだろう」とも述べていた。
 たしかに,既存コンテンツを超解像化して楽しむというスタイルは,4K黎明期にも見られたものであるので,8K時代においても歴史は繰り返すとChinock氏は見ているようだ。


8K Associationの活動はこれから


 8K Associationの会員企業は冒頭で示した5社にすぎないが,Chinock氏によれば,現在,加盟を希望している国際的な企業は多数あるそうで,「次回の記者会見では,見慣れた企業名がスライドを飾るだろう」と述べていた。
 ただ,質疑応答は長時間に及んだものの,まだ発足したばかりということもあって「決まり次第報告したい」という返答ばかりで,具体的な回答はあまり得られなかった。重要そうな質問として,

  • 米国における8K放送規格化について「ATSC」(Advanced Television Systems Committee,先進テレビジョンシステム委員会)への提言は行っているか
  • Netflixをはじめとする映像配信系企業の反応はどうか
  • 既存の「Ultra HD Blu-ray」(4K Blu-ray)のように,「8K Blu-ray」の規格を策定する予定はあるか

 といったものもあったのだが,Chinock氏の回答は「具体的な活動はこれから」というだけ。本当にまだ準備を始めたばかりなんだなと思わされた。

 2018年のCES 2018では,会場で8Kというキーワードを目にすることは少なかったのだが,2019年になると手の平を返したかのように,8Kの文字が,とくにテレビメーカーのブースで躍っていた。北米の消費者に対しては,4Kの周知がやっと完了したというところで,8Kというキーワードは,今回のCES 2019から広がり始めたという印象だ。
 実際,2018年までの北米映像業界は,8Kに対して冷ややかで,「民生は4Kで十分」論が支配的だった。今回の記者会見におけるChinock氏による会見も,テレビ業界が突然8K推しに方向転換したことを受けて,普及促進を担う団体を急いで設立したという事情があるのだろうと感じさせるものだ。

 正直,今回の会見では,8K Associationが発足したという事実以上の情報は得られなかった。しかし,2019年は日本のテレビメーカー以外の企業からも,8Kテレビがリリースされる見込みだ。そして,1年後のCES 2020では,8K Associationの活動報告も具体性を伴っているだろう。
 そんなわけで,今後も定期的に8K Associationの公式サイトをチェックしつつ,新たな情報があれば機会を見てレポートしたいと思う。

8K Association 公式Webサイト


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