KONAMIから2019年6月12日に電撃的に発表された
「PCエンジン mini」の実物を,特別に見て触ることができたので写真をお届けしよう。
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PCエンジン miniの大きさは実機の85%程度
最初にお断りしておくと,今回見せてもらったのは“ほぼ実機”ではあるのだが実動機ではなく,展示用のモックアップである。といっても3Dプリンタで作られた試作機ではなく,実機生産用の金型で作られたものなので,かなり最終製品に近い外観をしている。
筐体は,日本のユーザーにお馴染みの「PCエンジン」,欧州向けに発売された「PC Engine Core Grafx」,そして北米市場向けに発売された「TurboGrafx-16」の3タイプを,それぞれ約85%の体積に縮小したデザインとなっている。なお,ゲームコントローラについては,当時と同等サイズのものを実現するとのことである。
現在の技術をもってすればオリジナルの50%くらいのものも作れたとは思うが,PCエンジンはもともとコンパクトで,あまり小さくしすぎても取り扱いにくくなるので,この大きさに留めたのだろう。
このモックアップをその場で見た,筆者を含む「昔少年だった人々」は,「これって,もともとこのくらいの大きさだったよね」「あーでも,当時も小さいと言われていたんだっけ」と話が盛り上がるのが面白かった。
インタフェース群はすべて現代風に置き換えられ,コントローラはUSB接続となり,映像出力もHDMI端子となる。電源スイッチはオリジナルと同じく横スライド式だが,本体に挿入したHuカード(ゲームソフト)を固定するギミックはない。
本体後部の拡張端子を覆うカバー部分はちゃんと別パーツで再現されているが,さすがに拡張端子が再現されることはないだろう。なので,AVブースターとの合体は再現されず,このカバーの奥にはHDMI端子が配置されるのだと思われる。
収録タイトルの要望,国外モデルの購入希望などの意見を募集中
「PC Engine Core Grafx」は日本ではPCエンジンのマイナーチェンジ機として発売されたモデルだが,欧州ではこのモデルから発売されたため,事実上,欧州では「PC Engine Core Grafx=PCエンジン」として認知されている。
北米市場向けに発売された「TurboGrafx-16」は,外観こそ大きく異なるが,中身はPCエンジンそのものである。マーケティングの都合で,あえて専用の大型筐体を設計し,名前にも無理矢理「16」という数字を添えて発売された。実は,当時の競合ゲーム機がこぞって「16bitプロセッサ搭載」をアピールしていたため,PCエンジンとしても,「16」という数字を付けたネーミングを迫られたというわけだ。
実際PCエンジンは,グラフィックス性能こそ当時の16bitゲーム機と同等以上のポテンシャルを有していたが,CPUは8bitプロセッサのMOS 6502互換だった。いちおう「TurboGrafx-16」の「16」は,16bitビデオプロセッサ(現在で言うところのGPU)から採ったものとされている。
今回発表された「PCエンジン mini」は,日本以外の国,具体的には欧州と北米ではそれぞれ「PC Engine Core Grafx mini」と「TurboGrafx-16 mini」として発売される。中身の基板自体は3モデルすべて,完全に同一のものである。現時点では,発売日および価格は未定だ。
現在,本プロジェクトの関係者は,ファンからのフィードバックに注目しているそうで,収録タイトルをはじめとしたさまざまな要望を,TwitterなどのSNSを通じて寄せてほしいとのこと。とくに収録タイトルについては,ファンからの意見を積極的に取り入れたいと話していた。
ところで,今回発売される3モデルの筐体デザインは,Huカードを使ってゲームをプレイする,オリジナルの“本体”にあたる部分が採用されているが,性能自体は当時PCエンジン向けの周辺機器として登場した「CD-ROM²」および「SUPER CD-ROM²」向けのゲームを動かせるポテンシャルを備えており,CD-ROMタイトルの収録の要望も広く受け付けているとのことだ。筆者的には,CD-ROMタイトルの
「ワンダーボーイIII モンスター・レアー」は外せないと思っている(笑)。
現状では,日本,欧州,北米でそれぞれのモデルを発売し,異なる地域のモデルは発売しない予定でいるそうだが,「他地域版も購入したい」といった要望が強ければ,限定版のような形で提供することも前向きに検討したいとのこと。本体発売に関する意見も含めて,ぜひ思い思いの要望をTwitterなどで発信していただきたい。