ときにはソファで,ときにはベッドでゴロゴロしながら,そのときの気分に合った場所でゲームを楽しめる,というのはポータブルデバイスの大きな魅力だろう。
その利便性を考えれば画面の小ささは不思議と気にならないものだが,どことなく音に物足りなさを感じてしまう……なんというかこう,もうちょっと迫力がほしい。こんな経験はないだろうか?
そんな人にオススメしたいのが,2024年11月に発売された
Pioneer のポータブルゲーミングスピーカー
「TQ-PG300」 だ。
本製品はゲーム機本体にスピーカーを装着するだけでお手軽にサウンドをアップグレードできるガジェット。公式にアナウンスされている対応デバイスは,
Nintendo Switch,Pimax Portal のみと種類は限られるが,テーブル,携帯モードで感じやすい“サウンドの物足りなさ”を解消する一助となってくれる。加えて,セットアップや事前の充電の必要はなく,取り付け簡単で取り回しのよさも抜群と,なにかと見どころの多い製品だ。
テーブル,携帯モードで遊ぶ機会が多いなら,迷わずほしいものリストに入れてほしい製品だったりするのだが,推せるポイントはこれだけではない。本稿では,ポータブルゲーミングスピーカーの基本情報を交えつつ,本製品の魅力をさらに紹介してみたい。
歴史あるオーディオメーカーだからこその安心感
周辺機器を購入する際,製造元が聞き覚えのないメーカーだとつい身構えてしまうものだが,本製品は80年以上にもわたりスピーカー事業に携わってきた安心のPioneer製だ。
Pioneerといえば,カーナビやカーオーディオといった車載機器を手掛けるメーカーとしてのイメージが強いものの,もとは一台のダイナミックスピーカーの開発から始まった歴史あるオーディオメーカーである。
先進技術の開発に意欲的で,世界初となる製品を数多く世に送り出した
実績 も鑑みれば,不安よりも先に期待が高まるというものだ。
Pioneerが,スピーカー開発で培った技術を注ぎ込んだゲーミングスピーカーが「Sound Tector」シリーズであり,その第1弾としてポータブルゲーミングスピーカー「TQ-PG300」は発売された。同社初のゲーマー向けスピーカーの登場ということもあり,東京ゲームショウ2024での出展では大いに注目を集めていた。
関連記事
2024/09/27 00:44
簡単,手軽,すぐ使えるの3拍子が◎
日常使いに適したちょうどいいデザイン
「TQ-PG300」は,Nintendo Switch,Nintendo Switch Lite,Nintendo Switch OLED,Pimax Portal-Retro,Pimax Portal-QLEDに装着できるポータブルゲーミングスピーカーだ。
スピーカーの接続はUSB Type-Cで行う形で,ゲーム機本体を上下に挟み込むようにして装着する。接続先からの給電でスピーカーが駆動するため,充電タイムに出鼻をくじかれる心配はなく,装着後すぐに使えるのがうれしい。スピーカーを装着しての手持ちでのプレイはもちろん,背面にスタンドが付属しているためテーブルでの卓上プレイにももってこいだ。
ポータブルゲーミングスピーカー「TQ-PG300」 価格:8480円(税込)
手にして驚いたのは
そのコンパクトさ 。幅80mm,高さ130mm,奥行35mmと,手のひらに収まる絶妙なサイズ感で,重さも約130gと軽めだ。Nintendo Switchに装着するとそれなりの重量感にはなるが,プレイフィールを損なうような重さというわけでもない。普段から携帯モードに慣れ親しんでいる人ならば気にならない程度だろう。
ブラック,ホワイトのシックな2色展開のボディは,丸みを帯びたシンプルなデザインで部屋のインテリアに馴染みやすいのがポイント。ゲーミング感は薄いが,画面の視認性に影響が出ないちょうどいいデザインである。
上部には13mm×34mmの角型スピーカー,下部にはゲーム機接続用のUSB Type-C端子,側面にはHI VOLスイッチと,WIDEスイッチ,USB Type-Cの充電ポートを備えている。卓上プレイでは背部のスタンドが大活躍!
しばらく使って気づいたのは,日常使いに適したスマートさだ。本製品をあらためて見てみると,使用前の充電はおろか,手間になりがちなペアリングや初期設定の必要がなく,ゲーム機本体の充電時以外ではケーブルに悩まされる心配もない。パッと出してサッと使える,文字通りのスムーズな取り回しの良さが美点だ。
なお,スピーカー装着時のバッテリーの消耗は“通常時とそこまで変わらない”という印象を受けた。
使うまでの準備工程が増えるほどガジェットを使う心的ハードルは上がりやすいもので,気づけばお蔵入りなんてこともざらに起きる。そういった煩わしさが極力排除された設計だからこそ,「我こそはものぐさ日本代表」なんて人でも無理なく使い続けられるデザインかもしれない。
スピーカー部をグイッと引き上げ,Type-C端子をゲーム機のポートに差し込んだら,そのまま本体を挟み込むようにスピーカーを下ろして固定する。必要なのはこの3ステップだけ!
側面のポート経由での充電にも対応。手持ちでプレイしながら充電する場合は,付属のL字アダプタをかませると邪魔になりにくい
クリアで,豊かで,聞き取りやすい
満足感を高めてくれる“いい音”
音の感想は見出しに書いてあることがすべてだったりするのだが,さすが老舗のPioneerというだけあってサウンドはとてもよかった。“いい音”の定義は人それぞれあるかと思うが,本製品の音は重低音を効かせて深みを出すタイプではなく,ゲーム本来のサウンドをよりクリアに響かせてくれるイメージだ。
Nintendo Switchに限らず,ゲーム機の内蔵スピーカーは指向性が高い反面,細かな音が埋もれやすく,キャラクターの声が聞き取りにくかったり,どの方角で音が鳴っているかを掴みにくかったりといった傾向がある。
だが,本製品を装着すれば,BGM,キャラクターボイス,環境音のそれぞれがクリアに聞こえ,それによって
ゲームの臨場感が格段に増した ように感じた。
忘れてはならないのが,スピーカー側面で切り替えられる2つの音声モード。WIDEモードは音声にさらなる広がりを与えるもので,ゲーム音に包まれるような心地よい感覚を味わわせてくれる。
もう一方のHI VOLモードは音量を倍の大きさにするものなのだが,スピーカーの最大音量がそもそも大きいので,日常生活では使いどころはなさそう。どちらかというと,イベント会場のような周囲の音が騒がしい状況でこそ光る機能だろう。
クロストークキャンセリング機能を備えた音響信号処理技術を使用し,左右の音を明確に分離。ステレオ効果を最大化することで広がりのあるクリアなサウンドを実現している
せっかくの機会なので,スピーカーを装着した状態でいくつかのタイトルを試してみた。スピーカー有りでプレイしたいゲームといえば,やはり音ゲー。ということで
「Muse Dash」 をプレイしたところ,曲のビートと打音のシンクロが気持ちよく爽快感はバッチリ。自分の手で曲を奏でる感覚が強まり,一曲遊ぶだけでもかなりの満足感を得られた。
「フォートナイト」 では足音や銃声の空間的な定位を感じられ,内蔵スピーカーでは判断しにくかったほかプレイヤーの位置把握がしやすくなったように感じた。こうしたプレイングを向上させる効果はもちろんのこと,草木の擦れる音や土を踏みしめる環境音が聞き取れるようになったことで,バトルロイヤルの臨場感もグッと増したように思う。
意外にも好相性だったのが,
「Fit Boxing 3 -Your パーソナルトレーナー-」 とテーブルモードの組み合わせだ。はじめる前は,画面が小さくなるぶん爽快感が損なわれるのではと思っていたのだが,トレーニングで重要なのは視覚情報ではなく音であることに気づかされた。
音と動作の一体感はトレーニングをしているという実感を強め,トレーナーの激励は傍で指導してくれている“実在感”を高める。気分はさながらパーソナルジムのようで,トレーナーとの二人三脚によって熱気さえも感じさせてくれるようだった。ほんと,トレーニングの臨場感がすごい!
テレビモードに負けず劣らず満足度の高いトレーニングを味わえるうえ,スペース確保のためにテレビ前の障害物を移動させる手間も省けるので,あえてテーブルモードでトレーニングするのもアリかも?
また,スピーカーにスタンドが付属しているからこそ,キッチンで料理しながらNintendo SwitchでYouTubeをながら聴きする,なんて使い方とも相性がよかった。周囲の音を聞きつつ,動画の音もシッカリと聴きたい人にはピッタリだ。
音をクリアに描写するポータブルゲーミングスピーカー「TQ-PG300」は,ただサウンドがいいだけのスピーカーにあらず,いつものゲーム体験をより没入感の高いものへとアップグレードしてくれるガジェットと言えるだろう。
耳を塞がずともいい音でゲームを楽しむ感覚は,イヤフォンやヘッドフォンでは味わえない唯一無二のものだ。Nintendo Switchをテレビなしでプレイする機会が多いならば,本製品だからこそ味わえる“いい音”を体感してみてほしい。
新作続々「Sound Tector」シリーズの今後にも注目!
「Sound Tector」シリーズからは,デスクトップゲーミングスピーカーとしてコンパクトフロントスピーカー「TQ-FG3000」,スリムパワードサブウーファー「TQ-WG3000」,リアサウンドエンハンサー「TQ-RG3000」の3製品がリリース予定だ。
限られたスペースでも設置しやすいスマートなデザインで,かつ臨場感のあるサウンドをウリにしており,組み合わせて使用することで5.1ch/7.1chに対応したサウンド環境を構築できる。
詳しい仕様はこちらの記事 にまとめられているので,同シリーズの新作も合わせてチェックしておこう。