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君は「東京バーチャルサーキット」を知っているか? ユークスが仕掛ける“サーキット”でフォーミュラカーとポルシェを駆ってきた
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印刷2014/07/12 00:00

テストレポート

君は「東京バーチャルサーキット」を知っているか? ユークスが仕掛ける“サーキット”でフォーミュラカーとポルシェを駆ってきた

赤坂の高級住宅地にあるTVC東京店
君は「東京バーチャルサーキット」を知っているか? ユークスが仕掛ける“サーキット”でフォーミュラカーとポルシェを駆ってきた
 ユークスといえば,プロレスや総合格闘技を題材にしたゲームのメーカーというイメージの読者が多いだろう。最近では「リアルスティール」(PS3 / Xbox 360 / iPhone)や「パシフィック・リム」(PS3 / Xbox 360)など,映画版権のロボットアクションを手がけていたりすることでも知られているが,実は,モータースポーツとの関わりも意外にあるメーカーなのだ。「チームユークス」としてドリフト競技イベント「D1グランプリ」に参戦したり,ユークス創業者の谷口行規氏に至ってはFIA世界ツーリングカー選手権(WTCC)に参戦してクラス優勝の経験があったりするのだ。

 そんなユークスが,2012年2月に新事業として,日本初の本格レーシングシミュレータ「東京バーチャルサーキット」の運営を開始した。今回4Gamerでは,東京・赤坂にある東京バーチャルサーキットで実際にシミュレータを体験できたので,そのレポートをお届けしてみたい。


東京バーチャルサーキットとは?


砂子智彦氏
 今回,東京バーチャルサーキット(以下,TVC)で話を聞かせてくれたのは,TVCでインストラクターを務める砂子智彦氏だ。TVCにおいて「砂子塾長」の愛称で親しまれている砂子氏は,自身も,全日本GT選手権(※SUPER GTの前身)やスーパー耐久などへの長年にわたって参戦してきた経験を持つレースドライバーである。塾長という愛称も,実はTVC事業開始から付けられたものではなく,90年代後期に氏が主催していたドライブテクニックスクール「砂子塾」のときに付いたものである。
 そんな砂子氏は,TVC設立の経緯を次のように語っている。

 「ユークスの創業者である谷口行規が欧州でのレース参戦中にシミュレータと出会ったのがきっかけです。『欧州のドライバーが,初見のコースでも最初から速い理由はこれか!』と衝撃を受け,実際に自身で体験してみたところ,確かに速く走れるようになったことを実感したそうです。
 そこで,日本で同じものが体験できないか調べたところ,日本にはないことが分かったので,自ら事業化することを決断したというわけです」

峰尾恭輔選手
 2012年2月に東京店がオープンしてからは,モータースポーツ関連媒体や自動車関連媒体に取り上げられるなどして認知度も上がり,固定客が増えたとのこと。プロのレーサーが来店するケースも増えるようになり,手応えを感じたユークスは,2号店として2013年10月に大阪店もオープンさせている。
 ちなみに,取材日にはSUPER GT・GT300クラスのプロレーシングドライバーの峰尾恭輔氏や,某チューニング&ドラテク雑誌の編集長がプライベートで来店していた。

 ……と聞くと,「プロや業界人専門なのでは?」と思うかもしれないが,来店者で圧倒的に多いのは,走行会や草レースに参加するようなサンデーレーサーの方々らしい。最近では,「自分でサーキットは走ったことはないものの,モータースポーツ観戦が好きな人」の来店も増加傾向にあるとか。
 初心者の数が相対的に少なく,その筋の“通”や熟練者だけが集まるような場所は,短期で衰退してしまう傾向があるものだが,TVCの場合,その点ではよい傾向にあるようだ。
 砂子氏は,女性のお客さんがもう少し増えてくれるといいという話をしつつ,次のようにも述べている。

「最近,月に1回はあるケースとしては,彼氏への誕生日プレゼントとして彼女が予約するパターンです。車好きの彼へのサプライズプレゼントなんでしょう。そんな感じで,今後は,TVCの利用のされ方が工夫されたり,あるいは客層が広がっていくことを期待しています」

 TVCには現在2台のシミュレータがある。1台はF1のようなフォーミュラマシンのフォルムを採用した筐体によるもので,もう1台はポルシェ,正確にはPorsche 996 GT3の実車ボディを筐体に仕立てたものとなっている。

フォーミュラマシンとポルシェ,2台のシミュレータが用意されている
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フォーミュラマシンのデモ走行は砂子氏にしてもらえた
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 フォーミュラマシンはTVCが日本正規販売代理店を務めている英Base Performanceの製品で,ポルシェのほうは車両シミュレータ部分をTVCで自社制作しているとのことだ。どちらもシミュレーションエンジンは米Image Space(以下,ISI)製の「rFactor」(Version 1。車両データはTVCオリジナル)となっている。
 ちなみにISIは,Electronic ArtsからリリースされていたF1シリーズやNASCARシリーズを手がけたレースゲーム専門開発スタジオで,日本でいうポリフォニー・デジタルのようなデベロッパだ。
 余談気味に続けると,こうした業務用レーシングシミュレータ向けのエンジンには,もう1つ米iRacing.com Motorsport Simulationsの「iRacing」があり,rFactorと人気を二分している状況にあったりする。

 話を戻すと,ポルシェ側の車両シミュレーション部分はTVCがrFactor向けに開発したものとのこと。「SUPER GT GT300クラスのドライバーである峰尾恭輔選手に監修していただいています。単純に車両の基本データを入力して作り上げただけではなく,実際に峰尾選手が参戦していたENDLESS Porsche 997をほぼそのままを再現する方向性で作り込みました」(砂子氏)。
 ちょうどTVCで練習中だった峰尾選手いわく「サスペンションなど,足回り関連の仕様値は,自分が乗っていたENDLESS Porsche 997とまったく同じです。各コースで実際に走った経験を基に,シミュレーター内のコースを走ったときも実車と同じ感覚になるように調整しました」とのことだ。

rFactor公式サイトより,車両データの開発画面
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 ポルシェシミュレータのボディは996 GT3で,ステアリングやシフトレバーは997 GT3のものが採用されている。ポルシェ実車のステアリングメカニズムをシミュレータ向けの電気信号に変換する部分は谷口行規氏自らが自作・改造したという。並々ならぬこだわりが感じられよう。

なんと,ポルシェのほうは峰尾選手にデモ走行してもらえた
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 2台のシミュレータで特徴的なのは,いずれも,ドライバーの着座位置から約2m離れたところに,弓なりに立てられた大型の湾曲型スクリーンを置き,それに対して映像の投射を行っているところだ。
 数十インチクラスの液晶ディスプレイを数十cmの視距離で直視するタイプでもシステムを構築することは可能だが,没入感を得にくい。そこで,TVCでは視界の大部分を覆うことにした。結果として,被験者の視界を覆うように,ほぼ均等に2m離してスクリーンを置くことになったという。

 2mという視距離は,ドライバーが相応に遠くを見る必要が出てくる距離として設定されたという。映像までの視距離は,長いほうが,それを見る人に「広大な世界に囲まれている」感を強く訴えられるためだ。また,大きいスクリーンは,首や身体を少し動かした程度では,表示される映像全体が動いて見えてしまうことがなく,没入感をスポイルしにくい。

 なお,TVCで用いているプロジェクタは,フォーミュラマシンのほうがパナソニックの「PT-AE4000」(3LCD方式,解像度1920×1080ドット,1600ルーメン)×3,ポルシェのほうがエプソンのEH-TW6000(3LCD方式,解像度1920×1080ドット,2200ルーメン)×3だった。

PT-AE4000×3(左)とEH-TW6000×3(右)
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 いずれのシステムにおいても,3台のプロジェクタはそれぞれ左と中央,右の映像を投射するのに使われている。各視界の映像では互いに若干のオーバーラップをさせつつ,湾曲型スクリーンへの投射に必要な映像変形も行っているため,最終的にスクリーンへ投射される3つの映像間に継ぎ目のようなものは(シミュレータで運転操作している限り)ほとんど感じられない。液晶ディスプレイを複数枚組み合わせたシステムだと,額縁の仕切りが気になってしまうが,プロジェクタで構築したTVCのシステムなら,そういった問題が生じにくいのだ。

左右へ弓なりに広がる湾曲画面。3機あるプロジェクタからの映像は継ぎ目をうまく吸収して投射されているため,画角180度に近い視界が得られる
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ポルシェ側のPC。普通の(と言っては語弊があるかもしれないが)自作PCである
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 rFactorを動かしているPCの簡単なスペックは下のにまとめたとおりだが,「出たばかりの最新鋭パーツがどっさり」というわけではないものの,今日(こんにち)にあっても十分にハイスペックと呼べるものにはなっていると思う。
 というか,最新世代ではないにせよ,デュアルGPUカードを搭載するのだから,3D性能的には文句なくハイエンド仕様だ。

表 TVCで用いているシミュレータの主なスペック
フォーミュラマシン ポルシェ
CPU Core i7-2600 Core i7-3930K
メインメモリ容量 4GB 32GB
グラフィックスカード Radeon HD 6900 GeForce GTX 690
OS 32bit版Windows 7 Professional 64bit版Windows 7 Professional

 これらのシミュレータで実車を再現できていない部分というのはあるのか。意地悪な質問をしてみたが,砂子氏からは,G(重力加速度)を実感できないこと,という答えが返ってきた。

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 「シミュレーションエンジン上での荷重移動は再現されていますが,乗っているクルマ自体は動かないため,Gを実感することは出来ません。逆にいえば,それ以外の要素は再現できていると自負しています。一部のシミュレータで筐体が移動するものはありますけれども,あれは雰囲気だけで,実際のドライビングで感じられる横Gや縦Gとは異なるものです。なので,TVCではあえて筐体移動の仕組みを採用していません。
 シミュレータをうまく乗りこなすには,シミュレータでまだ正確に再現されない横Gや縦Gを頭の中でイメージしながら運転することが重要になってくるかもしれません。レース“ゲーム”と一番違う部分もここかもしれませんね」

 なお,東京・秋葉原には,TVCと同じくrFactorを採用したレーシングシミュレータの体験が可能な施設「D.D.R.」があるのだが,あちらは可動筐体の採用をウリにしている。あえて両者をカテゴリー分けするなら,トレーニングのための没入感に拘ったを重視したTVCと,エンターテインメント性に振ったD.D.R.といったところだろうか。こうしたレーシングシミュレータに興味がある人は,両方で乗り比べてみるのも面白いかもしれない。

こちらは筆者がプライベートで訪れたD.D.R.のシミュレータ。D.D.R.では可動筐体の採用がウリとなっている
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 TVCのシミュレータでは,操作するステアリングやペダルからのレスポンス,つまりドライバーへのフォースフィードバック部分にもこだわりが見られる。実車運転感覚の再現にあたって特別なメカニズムを採用しているのだ。
 ドライバーからのステアリング操作入力と路面からの入力によるステアリングへのフィードバックは,高品位な工業用サーボモーターによって再現されるという。ダウンフォースの強さによってステアリングの重さが変わる感じも再現されているそうだ。
 さらにブレーキ操作関連では,ペダルを踏んだときの踏力がマスターシリンダーを介して液圧に変換され,キャリパーを稼動させるシステムが実装されている。要するに,実際のクルマと同じブレーキペダル動作メカニズムを採用しているのである。

フォーミュラマシンのノーズ部には大型のサーボモーターが取り付けられていた
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ポルシェのボンネットを開けたところ。4基並んだブレーキキャリパーは伊Brembo製。中央に見えるマスターシリンダーを介して踏力は液圧に変換され,キャリパーを駆動する
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実際に乗ってみた!


 というわけで,筆者も2つあるシミュレータに挑戦した。まずはフォーミュラマシンのほうからである。

フォーミュラマシンに乗り込む筆者
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 搭乗にあたってはレーシンググローブ(手袋)とレーシングシューズ(靴)の着用を求められる。これはポルシェでも同じだ。
 ただ,同等品であればOKとのことで,たとえばレーシンググローブはゴムイボ付き軍手でも構わない。また,レーシングシューズは靴底の滑り止めさえしっかりしていればスニーカーなどでもいいそうだ。筆者は走行会で使っている自前のグローブがあるので,それを着用したが,靴は履いてきたスニーカーそのままで大丈夫だった。
 ちなみに,通常のサーキット走行会などではヘルメットの着用が義務づけられているが,TVCはシミュレータゆえ事故に遭う危険がないため,ヘルメットは不要だ。

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 さて,いざ乗り込んでみると,フォーミュラマシンはとても狭く,かつ,着座位置がとても低いことに気づかされる。ステアリングはとても小さく,それこそゲームコントローラのよう。
 トランスミッションは2ペダルマニュアル仕様で,パドルシフトでシフトしていくタイプ。「フォーミュラマシンはとんでもなく速い」という,漠然とした知識だけはあったので,最初はオートマモードで走ってみようかなと思って聞いたところ,rFactorの設定としてオートマモードはあるものの,TVCとしてオートマモードの設定は提供していないとのことで,いきなりマニュアルモードで走ることと相成った。

Forza Motorsport 3を3画面でプレイしている様子。2009年の当時は感動したものだが……
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 実際にコースインし,最初に筆者を驚かせてくれたのは,スピード感よりも,視界のほぼ全域を覆う映像のパノラマ感,サラウンド感のほうだった。確かに,テレビ画面を覗き込んでいるのとは違い,視界の左右端にまで景色が見えているので,没入感がすごい。以前,筆者はXbox 360用の「Forza Motorsport 3」を24インチ程度の液晶ディスプレイ3台で3画面サラウンド表示させて楽しんだことがあるのだが(関連記事),あのときとは違い,TVCのシミュレータでは,実寸スケールに近い映像で視界のほぼすべてが覆われるため,とにかく没入感が圧倒的なのだ。


 コースのグラフィックス自体は,最新世代のレースゲームと同程度といった印象。ただ,シミュレータという位置づけゆえに,手の込んだ陰影処理やポストエフェクトは少なめなので,見方次第では数世代前のグラフィックスに見えてしまうかもしれない。方向性としては,各オブジェクトをしっかり見せるような,クリアでクリスピーなテイストのグラフィックスといえ,「静止画としての美しさ」よりは「動いた映像としてのリアルさ」を重視した画作りになっていると筆者は感じた。

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 前述のとおり,TVCのシミュレータに,座面が動いたり振動したりするギミックはない。しかし,ステアリングからのフォースフィードバックがあるため,路面の凹凸感はちゃんと感じられる。また,ダウンフォースの影響なのか,タイヤグリップが異常なほどいいためか,ステアリングがかなり重く感じられた点も付記しておきたい。普段乗っている車に感じているステアリング操作の軽さや楽さと比べ,「フォーミュラマシンの硬派さ」を実感した瞬間でもある。
 フォーミュラマシンは加速度の出方が普通の車とは違って急激なので,ギアチェンジのシフトアップ操作とシフトダウン操作の忙しさが尋常ではない。加速時のシフトアップは比較的すぐ慣れるのだが,コーナー侵入前のブレーキングとシフトダウン操作は本当に忙しくて,十数分の体験時間の中では最後まで綺麗な操作ができずじまいであった。

 走行後は,砂子塾長が,筆者と塾長の走りを比較して,どこに問題点があるかを指摘してくれた。砂子塾長がまず指摘していたのは,ブレーキングの不安定さ。筆者の走りは,最初のブレーキングで速度を一気に落とせないため,その後で踏み増したりするような,探るようなブレーキングが多いとのことで,これは筆者も自覚ありの指摘であった。

これが走行ログ。砂子塾長と筆者を比較したものだ。ここから読み取れる情報は多いのだが,分かりやすい例を挙げると,一番上の折れ線は速度を示しており,2つめの谷(=第2コーナー)で筆者が無駄にブレーキを踏んでしまっているのが分かる。ちなみにこれは上で示したフォーミュラマシンのムービーと連動しているデータなのだが,終盤でスピンしたところも当然ながらデータに入っている
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 原因の1つは,フォーミュラマシンにおけるブレーキペダルの操作感に最後まで慣れなかったこと。アクセルペダルはそうでもなかったが,ブレーキペダルは重めで,相当強く踏まないと踏力100%のブレーキングを発動できないのだ。市販車に乗り慣れた人間ほど,このペダルの操作感には最初戸惑うかもしれない。「自分は市販車ではなくフォーミュラマシンに乗っているのだ」といった意識の切り換えが必要だろう。

 原因のもう1つは,市販車との間にあるアイポイントの違いに最後まで戸惑ったことだ。フォーミュラマシンは,普通の市販車と違って運転席着座時の視点が異様に低く,それゆえに,コーナーとの距離感がよく分からなくなってしまうのである。付け加えると,あっという間に300km/h近いスピードを出す強烈なパワー感に不慣れなあまり,ブレーキングのタイミングが毎回変わってしまうというのもある。

 それにしても,こんなに運転が難しいフォーミュラマシンを上手に乗りこなしてしまうプロドライバーは本当にすごい。それを実感するためだけでも,このフォーミュラマシンのシミュレータには乗る価値があると思う。

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 というわけで続いてはポルシェのほうだ。
 こちらも競技車両だが,元が市販車ベースなので,市販車に乗り慣れた筆者のような人間にも乗りやすかった。
 内装が取り外され,レーシングカー然とした姿にはなってこそいるものの,フロントガラスやダッシュボードがあって車内はそれなりに広いため,着座したときの感覚は市販車にとても近く,違和感がない。
 ステアリングはフォーミュラマシンと比べれば大きく,アイポイントの高さも市販車と同程度ゆえにコーナーとの距離感を掴みやすい。パワーの出方もフォーミュラマシンほど過激ではないため,ブレーキとシフトダウンの同時操作もなんとかこなせる。ペダル類のタッチ感も市販車に近いので,「とてつもなく速い市販車に乗っている」という感覚でドライブできるのだ。


 砂子塾長からも,「細かい点でいろいろ言いたいことはあるけど(笑),フォーミュラマシンよりは上手に乗れてたね」という言葉をもらえた。
 普段から市販車に乗っている人はポルシェを先に体験して「シミュレータ慣れ」してから,より過激なフォーミュラマシンに挑戦するほうがいいかもしれない。


東京バーチャルサーキットを楽しむには?


 ここまで読んで,自分も試してみたいと思った人もいると思う。本稿の序盤でも簡単に述べたとおり,TVCは現在,東京都港区赤坂の東京店と,兵庫県西宮市の大阪店の二店舗体勢だ。シミュレータの台数がそれほど多くはないため,来店の前には空き情報を確認したうえで予約をしたほうがいい。予約なしでも,空いていれば体験できるとのことだが,平日は平日でプロやセミプロ,あるいは常連の来店が多いため,基本的には予約を勧める。

TVC公式Webサイトに掲載されている料金一覧
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 利用料金はTVCの公式Webサイトにある料金表をチェックしてもらえればと思うが,通常のトレーニングは30分1万円(税込)。体験トレーニングは1人5000円(税込)で,最も安価な「TVCチャレンジ」は1人2000円(税込)となっている。

 30分1万円の通常トレーニングは高価なように思えるが,体験人数の制限はないため,複数人で利用することも可能。たとえば1時間2万円にして,3人で20分ずつ交代に走る,といった割り勘的な楽しみ方も可能だ。
 コースは,鈴鹿サーキットや富士スピードウェイといった日本国内の著名サーキットはもちろん,モナコやニュルブルクリンクなどなど,世界の主要サーキット約100か所から自由に選べるとのこと。走行中にインストラクターからのアドバイスをもらえたり,走行後は,データロガーによって記録された自分の走行データとプロのレーサーの走行データとを比較したうえでのアドバイスをしてもらえたり,データを持ち帰れたりと,TVCのフルコースのサービスが受けられる。

 一方,体験トレーニングとTVCチャレンジは,富士スピードウェイを5周できるようになっており,前者はデータロガーによる分析を受けられる,といった具合だ。

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 せっかくTVCで“サーキットデビュー”するのであれば,事前にレースゲームなどで予習をしておいたほうがいいのか。その点について砂子氏は「コースを覚えるという意味では,やっておいて損はないと思います。ただ,ゲームは,ドライビングテクニックのスキルアップにはならないと思ってください。やはりゲームと実車は全然違うものですから」と,シビアに述べていた。
 レースゲームの上級者で,シミュレータも上手に運転できる人もいるらしいが,レースゲーマーは総じてシフトダウン主体の減速に頼ろうとする人が目立つとのこと。シミュレータでは,実車と同じく,ブレーキとシフトダウンを両方使うことになるので,ゲーム特有のクセが身についていると,苦労するかもしれないとのことだった。

 ところで,プロのドライバーはTVCをどの程度利用しているのだろうか。峰尾選手は,レース前に,勘を取り戻すためによく来ていると述べていた。
 「たとえば,自分が参戦しているSUPER GTだと,練習走行はありますけども,10周もしないうちに予選走行になってしまうんです。しかも,その予選も,タイヤのいい状態でタイムアタックできるのは5周前後程度です。なので,シミュレータで最低限の練習をしておくことは必須なんですよ」とのことだ。

 逆に,プロドライバーで,TVCにあるようなシミュレータを使わず,市販されているレースゲームだけでトレーニングを行う人はいないのだろうか。
 「ここまでシミュレータ技術が発展していなかった昔は,ゲームで練習していた選手もいましたが,現在はほとんどいないと思います。海外レースに参加するなら,そのコースをシミュレータで予習するのは,いまでは当たり前ですね。極論を言えば,ゲームをやるくらいならばYouTubeで速いラップの映像を見たほうがマシかもしれません(笑)」(砂子氏)。


レースゲームとは似て非なる経験ができるTVC

クルマ好きなら体験する価値がある


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 というわけで,レースゲームの体感筐体とは似て非なるシミュレータを紹介してきた。レースゲームに慣れ親しんでいるほど,そのギャップに面食らうかもしれないが,クルマ好きやレースゲーム好き,モータースポーツ好きなら,一度訪れてみてはどうだろうか。
 今回,砂子塾長の粋な計らいにより,TVC体験トレーニングのチケット3枚を,峰尾選手のサイン入りで読者プレゼントにしてもらうことができた。興味のある人はぜひ,Weekly 4Gamerのプレゼントコーナーから応募してもらえればと思う。Weekly 4Gamerは12日夕方の掲載予定だ。

 ちなみにTVCは,Base Performance製レーシングシミュレーターのアジア圏における唯一の販売代理店ということもあり,TVCで稼働しているシステムは販売も可能だとのことだ。TVC自らが開発したENDLESSポルシェのシミュレータも同じく販売できるそうである。価格はTVCに尋ねてほしいが,スクリーンと筐体,PCシステム,そのほかインストール(≒設置)費用込みで,「だいたいPorsche 911の上級モデルが買えるくらい」(砂子氏)とのことだった。
 ドライブテクニック向上心と予算があり余っている人はこちらもぜひ(笑)。

オープンして2年。一般の来場者で目に留まるドライバーはいたのかと聞いたところ,砂子塾長いわく「実車運転経験がない青森の15歳の少年が,フォーミュラーマシンで鈴鹿を30分走っただけで1分42秒を出していました。聞けばゲームもあまりやったことがないそうで,彼には才能を感じましたね」とのこと
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東京バーチャルサーキット公式Webサイト

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