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【PR】“eスポーツ選手”の実態に迫る。実業団スタイルで働く世界大会で優勝したゲーマーは普段,どんな仕事を?
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印刷2018/11/10 12:00

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【PR】“eスポーツ選手”の実態に迫る。実業団スタイルで働く世界大会で優勝したゲーマーは普段,どんな仕事を?

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 東京・新宿に本社を構えるデジタルハーツは,ゲームやWebサイトなどのデバッグサービス提供を主幹事業とする企業だ。同社の事業はデバッグだけに留まらず,ゲームのローカライズやカスタマーサポート,マーケティング調査など,ゲームに関連したさまざまなサービスを展開している。

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 デジタルハーツの創業は2001年。その後,2008年にマザーズ上場,2011年には東証一部上場を果たしている(※現在は持株会社であるデジタルハーツホールディングスの子会社)。
 そんな同社が2018年7月,eスポーツチーム「DIGITAL HEARTS Gaming」を発足した。デジタルハーツに勤めるスタッフが所属し,会社の業務をこなすかたわら,競技者として活動を行っているという。果たして,所属選手は普段どのように働いているのか? また,競技生活との両立はどうなっているのか?
 こうした疑問に対し,DIGITAL HEARTS Gamingに所属する小川選手みぃみ選手,そしてデジタルハーツのeスポーツ事業を担当する山科真二氏に話を聞いてみた。

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DIGITAL HEARTS Gaming 小川選手
主なゲームタイトル:「GUILTY GEAR」シリーズ,「ドラゴンボールファイターズ」
Twitter:@ogawazato
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DIGITAL HEARTS Gaming みぃみ選手
主なゲームタイトル:「鉄拳」シリーズ
Twitter:@mimi00618


デジタルハーツ 公式サイト



デバッガーから“プロゲーマー”へ


4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。さっそくですが,小川選手とみぃみ選手はデジタルハーツの社員でもあるんですよね。

小川選手:
 はい,そうです。

みぃみ選手:
 「メディア事業部 e-Sportsグループ」に所属する社員という立場ですね。

4Gamer:
 お二人ともDIGITAL HEARTS Gamingの発足以前から,デジタルハーツのスタッフだったと聞いています。

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小川選手:
 以前は飲食業に就いていたのですが,あるとき友人に勧められたんです。「デバッグの仕事が向いているのではないか」と。それで,2016年4月からデジタルハーツで働き始めました。

4Gamer:
 最初はデバッグ業務のテスターとして入社したということですね。

小川選手:
 ええ。DIGITAL HEARTS Gamingが立ち上がる2018年7月までデバッグ業務部に所属し,浅草Lab.(ラボ)で働いていました。

4Gamer:
 ちなみに,ご友人がデバッグの仕事を勧めた理由は?

小川選手:
 自分の性格が「検証作業に向いていそうだから」ということ,そして「飲食業よりデバッグのほうがゲームに近いから」という話でした。実際に2年以上,デバッグ業務に就いていましたが,自分でも正解だったと思います。

4Gamer:
 デジタルハーツのデバッグ業務について,具体的に教えていただけますか。

小川選手:
 基本的には「世の中に出る前のゲームにバグがないか」を検証する仕事です。その日に検証すべき範囲のリストを確認して,それに沿って作業を進めていきますが,ときにはイレギュラーなプレイを試したりすることもあります。

4Gamer:
 バグが見つかったときは?

小川選手:
 検証中にバグを発見したり,疑問が沸いたりしたときには,その案件のリーダーに報告します。そこでバグだと判断されたら,「こういうバグがありました」というレポートを発生の手順を示す動画や画像と共にクライアントに提出するという流れですね。
 守秘義務があるので詳しくは言えませんが,デジタルハーツのデバッグ案件は多岐にわたります。自分は主にアーケードゲームとモバイルゲームを担当していました。

4Gamer:
 あくまでもバグの検証だけなのでしょうか。例えば,UIやカメラワークに対して,気になることがあったときは指摘するのでしょうか。

小川選手:
 案件によりけりです。「このカメラワークはちょっと遊びにくい」といった指摘をすることもありますが,まずは自分に与えられた範囲の検証が最優先ですね。

4Gamer:
 なるほど。とくに大変だったことは何でしょう。

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小川選手:
 入社直後は右も左も分からず,「ちゃんとバグを見つけられるだろうか」と不安に駆られました。デバッグの目的は可能な限り,バグを潰してゲームの商品価値を上げることですが,限られた時間の中で視点を変えながら検証するのはなかなか難しいんです。作業時間内にバグを見つけられなかったときは,あとで反省していました。

4Gamer:
 反対に楽しかったことはありますか。

小川選手:
 入社から半年くらい経つと,自分なりのやり方が分かってきて,デバッグ作業自体が楽しくなりましたね。デジタルハーツは気軽にリーダーや先輩,同僚に質問できる体制なので,もともと疑問があったらすぐに人に尋ねてしまう性格の自分に合っていたと思います。
 一つの案件に対して,たくさんのスタッフがそれぞれの視点で取り組みますから,自分が見つけられなかったバグを誰かが見つけたときは「そういう視点もあるのか」と勉強になりました。

4Gamer:
 小川選手のような優れたゲーマーは,目的意識を持って長時間ゲームをプレイし続けられるという資質がありますから,デバッグとの相性が良かったんでしょうね。

小川選手:
 ゲームが好きじゃないと,キツい部分があるでしょう。ただ,ゲームプレイと同じく,デバッグ作業にもルーチン化できる部分がありますから,与えられた仕事をしっかりやれる人なら長く続けられると思います。


現在はチームの体制作りが中心


4Gamer:
 みぃみ選手はどのような経緯でデジタルハーツに入社したのでしょうか。

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みぃみ選手:
 私の場合は2013年,バックオフィス部門のスタッフとしてデジタルハーツに入社しました。その後,eスポーツに特化した部署を立ち上げる話が社内で持ち上がり,私にも声がかかったんですが,その後はプロジェクトがなかなか進まなくて……。
 そこから笹塚Lab.に異動となり,モバイルゲームのレビュー業務に携わりましたが,2016年にデジタルハーツを辞めているんです。

4Gamer:
 モバイルゲームのレビューとは,デバッグとは異なる仕事ですよね。

みぃみ選手:
 全然違いますね。α版やβ版といったクライアントが指定するフェーズごとにゲームをプレイして,UIや遊びやすさ,マネタイズといった項目を評価したり,意見をレポートにまとめたりする仕事です。

4Gamer:
 差し支えなければ,デジタルハーツを一度辞めた理由を教えてください。

みぃみ選手:
 先ほどのeスポーツ部署の話が進まなかったことで,私のやりたいことがデジタルハーツで実現できるのかどうか,疑問を抱いたからです。あとは単純にもっとお金が欲しかったし(笑)。

4Gamer:
 デジタルハーツ在籍当時,みぃみ選手は「鉄拳」シリーズの大会に出場していましたよね。つまり,そういった競技者として,もっと活動したかったということですか。

みぃみ選手:
 そうですね。2017年に初めて海外遠征(タイ)が実現しましたが,どうしてもお金がかかるので,招待制でないとなかなか難しかったんです。
 その後,DIGITAL HEARTS Gamingを立ち上げるということであらためて声をかけてもらい,「だったら,ぜひお願いします」と。

4Gamer:
 デジタルハーツがeスポーツチームを発足すると聞いて,率直にどのような感想を持ちましたか。

みぃみ選手:
 「ようやくこの日が来たか」と思いました(笑)。
 実業団のようなスタイルでデジタルハーツの業務をこなしつつ,会社の名前を背負ってゲーム大会やイベントに出場できる。もちろん海外遠征もオーケーということだったので,とても魅力的だと思いました。
 プロゲーマーと言えば,スポンサーと契約して出資してもらうスタイルが一般的ですが,当然ながら契約期間があり,結果を残せなければ契約を切られるということが普通で,不安定な部分もありますから。

小川選手:
 自分の場合は,今後の進路に関する面談で「eスポーツ部署を立ち上げるから,異動しないか」と相談されました。自分には管理能力が足りないので,この先リーダーを務められるとは思っていませんでしたし,今後もさまざまな大会に出場するつもりでしたから,その話をありがたく受けました。

4Gamer:
 小川選手は面談の場で,初めてDIGITAL HEARTS Gamingの発足を聞かされたんですね。

小川選手:
 はい。デバッグ業務は自分に向いているので,そのときまでは今の形で仕事を続けながら,大会に出場しようと考えていました。
 ただ,「そろそろ何か変化があってもいいかな」とも感じていたので,ちょうどいいタイミングでした。

4Gamer:
 チームが発足した7月以降は,どのような業務に携わっているのでしょうか。

完成したばかりだというチームユニフォームを着用して,インタビューに臨んでもらった
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みぃみ選手:
 まったく何もない状態からのスタートだったので,最初の仕事はチームの活動方針を決めたり,ユニフォームを作ったりすることでした。Tシャツを一つ作ったり,機材を購入したりするにも会社の承認が必要なので,結構時間がかかるんです。今さっきも稟議書を作る,といった地味な仕事をしていました(笑)。

4Gamer:
 チームとしての体制を整えている段階であると。

みぃみ選手:
 全部が手探りです。例えば,Twitchチャンネルのデザインは社内で制作してもらったほうがいいのか,何か自分にできるところはないか,ということを一つ一つ考えながらやっています。

小川選手:
 あとは社内向けですが,自分達がどういう活動をしているのか,大会の結果がどうなったのかを,毎週メールマガジンとして伝えています。
 また,社外に向けては定期的なストリーミング配信を通じて,デジタルハーツやDIGITAL HEARTS Gamingを印象づける活動を行っているところです。

4Gamer:
 つまり,ほとんどの業務はチームの活動に関わるものということですね。お二人とも,こうした業務をこなしつつ,ゲームを練習したり,大会に出場したりしていると。

みぃみ選手:
 はい。DIGITAL HEARTS Gamingの活動方針は「参加できる大会には全部エントリーしよう」ですから。

4Gamer:
 競技生活が中心になっているようですが,以前のデジタルハーツ在籍時にはやはり難しかったことでしょうか。

みぃみ選手:
 当時は平日の帰宅時間が遅かったんですよ。疲れ果ててモチベーションが上がらなかったので,毎週のように大会に出場することはできませんでした。
 今は時間をもらっていますから,「きちんと結果を残そう。もっと頑張ろう」と思えますが,当時は「今週は疲れたからいいや」という感じでしたね。

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4Gamer:
 小川選手はいかがでしょう。

小川選手:
 デバッグ作業は脳や目をフルに使い,集中しなければならないので,疲れやすいんです。ただ,しっかりと練習しなければ大会では勝てません。どうやって仕事と練習の折り合いをつけるか,というのは常に大きな課題でした。

4Gamer:
 実際,どのように折り合いをつけていたのでしょうか。

小川選手:
 「2日に1回は必ず練習する」「体力を回復するために休む日を設ける」といった感じで,スケジュールを組み立てていました。
 DIGITAL HEARTS Gamingに異動してからは,必要な業務を終わらせれば勤務時間中にも練習ができます。練習に対する根本的なアプローチは変わりませんが,結果として全体の練習時間と自宅で休める時間が増えたので,バランスのいい生活になりました。

4Gamer:
 1日の練習時間はどのくらいですか。

小川選手:
 会社と自宅を合わせると10時間くらいになる日もありますが,そこまでやると翌日のコンディションに支障をきたします。基本的には,平日は自宅で練習をしないで,しっかりと睡眠を取るようにしています。

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みぃみ選手:
 会社では必要な業務をこなしても,4時間は練習できます。帰宅してからは対戦中心で,毎日2時間くらいでしょうか。

4Gamer:
 練習の質に変化はありましたか。

みぃみ選手:
 私は対戦ばかりやってきたので,対戦で培ったテクニックしか持っていなかったんです。今回,練習の時間をもらったことで,研究やコンボ練習の機会が増えましたね。コマンド入力の精度が上がって,今までできなかったようなコンボも使えるようになりました。


目標は大会で成績を残して,デジタルハーツをアピールすること


4Gamer:
 小川選手は「GUILTY GEAR」シリーズの強豪プレイヤーとして知られています。初めて大会に出場したのはいつ頃でしたか。

小川選手:
 結果を残すことを意識したのは,2003年の「GUILTY GEAR XX #RELOAD」からですね。前作にあたる「GUILTY GEAR XX」もちょこちょこ遊んでいましたが,その当時はほかの格闘ゲームも手広くプレイしていて,やり込みという意味では浅かったです。

4Gamer:
 それ以降,EVO 2015の優勝をはじめ,数々の大会で輝かしい結果を残していますが,「ゲームで収入を得る」ということを考えていたのでしょうか。

小川選手:
 いや,まったくないです。今も昔も強さを追求することだけを考えていますし,それは今後も変わらないと思います。「誰よりも強くなりたい」という一心で,ゲームを続けています。

小川選手はEVO 2015の「GUILTY GEAR Xrd -SIGN-」部門の優勝をはじめ,「GUILTY GEAR」シリーズの大会で数々の栄冠に輝いている(写真はEVO 2015
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4Gamer:
 現在のメインタイトルは「ドラゴンボール ファイターズ」とのことですが,活動予定を教えてください。

小川選手:
 直近では「力の日本大会 3on3チーム戦」に出場します。チームメンバーと共に練習に励んでいるところです
 11月24日,25日には世界大会「ドラゴンボール ファイターズ ワールドツアー」のJapan Roundが開催されるので,可能であればそちらにも参加します。

※今回の取材は「力の日本大会」開催前に実施している。小川選手のチームは関東ラウンド 準優勝という結果に。

4Gamer:
 一方,みぃみ選手は「鉄拳」シリーズの強豪プレイヤーですが,最初に触れたシリーズ作品は何でしょうか。

みぃみ選手:
 初めて「鉄拳」に触れたのは,「鉄拳5 DARK RESURRECTION」でした。そのときは自分ではやらずに,ゲームセンターで友達がプレイしているのを見ていました。プレイし始めたのは「鉄拳6」からですね。面白かったので,毎日のようにゲームセンターに通っていました。

4Gamer:
 その後,大会に出場するようになったんですね。

みぃみ選手:
 周囲の強いプレイヤーが「闘劇」に出場していたので,「私も出たい!」と思ったんです。結局,予選を通過できたのは1回だけ,しかも初戦敗退でしたが,夢が叶って嬉しかったことを覚えています。

※エンターブレイン主催による格闘ゲームの全国大会。2003年から2012年まで10回開催された。

小川選手:
 闘劇の決勝大会に出場することは,大きなステータスでしたから。あまり知られてはいませんが,自分はすべての闘劇の決勝大会に出場しているんですよ(笑)。

みぃみ選手:
 私は関東予選で敗退したら,ほかの地域の予選にも参加していました。それくらい決勝大会に出たかったんです。

4Gamer:
 みぃみ選手にもお聞きしますが,そうした「鉄拳」シリーズの競技生活の中で「ゲームで収入を得る」ことは意識しましたか。

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みぃみ選手:
 全然,意識しませんでした。当時は“プロゲーマー”なんてほとんど話題にならなかったので,あくまでも「鉄拳」は趣味の一環でしたね。本当に「闘劇に出たい!」という思いだけでやっていたので,闘劇が閉幕したときは「目標がなくなってどうしよう……」と思っていました。

小川選手:
 自分は闘劇の閉幕と同時に「GUILTY GEAR」シリーズから少し距離を置いて,ほかの格闘ゲームや対戦ゲームをプレイしていましたが,「『GUILTY GEAR』以外でも十分に戦える」という自信が深まりましたね。自分に合ったキャラクターなら,たいていのタイトルで戦えると。

4Gamer:
 その後,小川選手は「GUILTY GEAR」シリーズに復帰して,華々しい結果を残しています。その中には海外の大会も含まれますが,金銭面はどうしていたのでしょうか。

小川選手:
 実は,賞金を獲得したら還元するという約束で,友人や知り合いから出資してもらっていました。ある意味,あれが自分のプロゲーマーとしての第一歩だったのかなと。

4Gamer:
 やはり海外遠征となると,容易ではないですよね。

みぃみ選手:
 私は「積極的に行きたい」とは考えていませんでしたが,海外の盛り上がっている格闘ゲームシーンには興味がありました。とくに,EVOには強い憧れがあります。

4Gamer:
 今後はDIGITAL HEARTS Gamingの所属選手として,デジタルハーツのサポートを受けるわけですが,当然,来年開催のEVOも視野に入っていますよね。

みぃみ選手:
 出たいです! 少なくとも国内で開催されるEVO Japan 2019にはエントリーします。

小川選手:
 EVO Japan 2019が開催される2019年2月は,DIGITAL HEARTS Gamingの実力や成果を測るのにちょうどいいタイミングだと思っています。ぜひ結果を残したいですね。

4Gamer:
 お二人の活躍を期待しています。
 最後に今後の目標を教えてください。

みぃみ選手:
 個人としては,会社から多くの練習時間をもらっているので,デジタルハーツの存在を世間にアピールする活動をしたいですね。とくに海外の試合で勝つと,観客の皆さんが本当に喜んでくれて,声をかけてもらえるんです。2019年は「鉄拳ワールドツアー」にもできるだけエントリーして,国内外でデジタルハーツの名を広めつつ,ファイナルへの出場を目指します。
 こうした活動を通じて,DIGITAL HEARTS Gamingとデジタルハーツの認知度を高めていきたいと思います。

小川選手:
 自分の目標は「ドラゴンボール ファイターズ」の大会の予選を突破することです。もちろん,最終的には優勝が目標になりますが,まずは決勝大会の壇上に上がって,どんな景色が見えるのかを確認したいですね。
 また,「GUILTY GEAR Xrd REV 2」の大会にもエントリーします。大事な場面できちんと勝てるように,練習に励んでいます。
 チームとしても,自分のキャラクターを活かして会社や選手の認知度アップを図ります。具体的にどうすればいいのか,まだ分かっていないのですが,とにかく行動するほかないと考えています。

4Gamer:
 本日はありがとうございました。

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社外はもちろん,社内にもアピールできる存在へ


4Gamer:
 DIGITAL HEARTS Gamingを運営する立場から,お話をうかがいたいと思います。まずは,2018年7月にチームを発足した経緯を教えてください。

株式会社デジタルハーツ エンターテイメント事業本部 メディア事業部 部長 山科真二氏
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山科真二氏(以下,山科氏):  
 弊社は4月に「4th PARTY PROJECT」を立ち上げました。これは,ゲーム業界における1st PARTY,2nd PARTY,3rd PARTYに次ぐ,4つ目のPARTYとして,トータルサポーターを目指すという取り組みです。デジタルハーツの主幹事業であるデバッグ業務はもちろん,カスタマーサポートやローカライズも4th PARTYに含まれますが,その一環として新たにメディア事業部を立ち上げ,eスポーツチームを作ることにしたんです。
 eスポーツへの取り組みとしては,2017年にEVO Japan 2018の運営に参画していますが,そうしたイベントホルダーとして関わると同時に,「eスポーツシーンで活躍する選手を育てたい。支援したい」という思いもあり,DIGITAL HEARTS Gamingの発足につながりました。

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4Gamer:
 チーム発足時,小川選手はデジタルハーツに在籍するデバッガーだったそうですね。

山科氏:
 ええ。DIGITAL HEARTS Gamingが発足する以前から,社内では「小川が今度の大会に出るぞ!」「だったら応援に行くか!」といった流れがありました。そういうことであれば,「きちんと会社公認の選手として応援しようじゃないか」という話になったんです。

4Gamer:
 DIGITAL HEARTS Gamingはデジタルハーツで働く,ゲームが得意なスタッフをバックアップする取り組みという解釈で合っていますか。

山科氏:
 そうですね。プロゲーマーのスポンサーという立場ではなく,あくまでも実業団の運営に近いイメージです。選手の業務は事務的なものばかりでなく,実際に営業に同行してもらうこともあります。
 また,DIGITAL HEARTS Gamingの発足以降,eスポーツに関する問い合わせが増えており,いわば広告塔としての効果も表れていると言えます。

4Gamer:
 なるほど。あらためてチームの活動内容を教えていただけますか。

山科氏:
 メインの活動はゲーム大会への出場,そしてストリーミング配信ですね。これは今後も変わらない予定です。

4Gamer:
 ストリーミング配信の目的はデジタルハーツのPRでしょうか。

山科氏:
 一番の目的は,選手達自身がプレイヤーとして有名になることです。例えば,大会に出場すると言っても,どうしても関東が中心になりますから,ほかの地域ではあまり知られていないという状態になりかねない。そこでストリーミング配信を介して,選手の存在や活躍を広くアピールしたいと考えています。
 PRという話であれば,Twitter(@DHGaming_JP)をはじめとするSNSを活用して,常にメッセージを発信していますから,それらがひいてはデジタルハーツのPRにつながっていきます。

4Gamer:
 現在,1人の選手につき週1回のペースで配信を行っていますが,今後も同様の形式が続くのでしょうか。

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山科氏:
 今は選手個人による配信を行っていますが,チームとしてのチャンネルを準備しているところです。こちらはストリーミング配信以外のコンテンツを予定しており,連続ものの企画やゲームとは関係ないバラエティ番組をやっていきたいと考えています。
 選手達はeスポーツ自体をもっと広めたいと考えていますし,そうした活動がデジタルハーツの宣伝になりますから,我々としても力を入れていきます。

4Gamer:
 今後,チームを拡充する考えはありますか。

山科氏:
 現在は小川とみぃみに加え,FPS/TPS担当のYUKI(Twitter:@DHG_YUKIch),マネージャー兼任のFIGHTER(Twitter:@fighter0214)という4名が所属しています。それを「今期中に○名にする」といったような数値目標は掲げていませんが,プレイヤーとしてのスキルやキャラクター,あるいはゲーム以外の業務に関するスキルなどを踏まえて,徐々に増やしたいと思っています。

4Gamer:
 基本的にはデジタルハーツのスタッフが対象ですね。

山科氏:
 はい。eスポーツに興味があり,実際にスキルを備えているスタッフも多いですから,彼らにどんなキャリアプランやライフプランを提示できるかが,我々の課題です。ただ,「社外の方は一切お断り」ということではなく,そこはフレキシブルに対応します。
 例えば,YUKIは外部からの紹介で加入してもらったメンバーです。また,FIGHTERも同様に,前職でeスポーツチームの運営に関わっていたという経歴から,マネジメントができる人材として招いています。

4Gamer:
 仮に「DIGITAL HEARTS Gamingの選手として活動したいから,デジタルハーツに入社したい」という問い合わせがあった場合,どのように対応されますか。

山科氏:
 すでにそういった問い合わせはあります。まずはゲーマーとしての腕を確認したうえで,「普段はデバッグ業務に従事しつつ,大会には選手として参加してもらう形でいかがでしょうか」と回答しています。兼業とはいえ,ゲームに近い業務をこなしつつ,選手として活躍できる場が増えていく形がいいのではないかと。
 現在,ゲームにおけるプロの定義がフワフワしていますが,我々なりの「ゲームで収入を得るということ」を提示したいと考えています。

4Gamer:
 なるほど。
 それでは,チームとしての今後の目標を教えてください。

山科氏:
 社外はもちろん,社内にもアピールできる存在にしたいですね。DIGITAL HEARTS Gamingの所属選手が大会で活躍したら,社内のスタッフも一緒に喜べるような雰囲気が生まれてほしい。国内の大会には皆で応援に行く,海外だったら配信を見ながら応援するような存在になってほしいです。

4Gamer:
 DIGITAL HEARTS Gamingの活躍に期待しています。どうもありがとうございました。

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