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アナログレコードのゲームサントラが流行中! その魅力や,最新の再生環境をソニーシティ大崎で聞いて&聴いてみた
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印刷2019/04/30 11:00

企画記事

アナログレコードのゲームサントラが流行中! その魅力や,最新の再生環境をソニーシティ大崎で聞いて&聴いてみた

 時代の流れに沿って音楽の楽しみ方が変わり,ハイレゾ音源データの販売やストリーミング配信が一般的になった一方,数年前からリバイバルブームを巻き起こしている媒体がある。それが「アナログレコード」だ。日本レコード協会の調査によれば,アナログレコードの売上は5年連続で成長,市場規模は30億円にも達している。アナログレコードのブームが先んじたアメリカでは,すでに市場規模は300億円以上になったそうだ。

 ゲーム音楽の分野でもアナログレコード製品が増えており,2019年に入ってからだけでも,「MOTHER2 ギーグの逆襲」「グラディウスIII -伝説から神話へ-」といった往年の名作から,「Last Of Us」PS4 / PS3)のような近年の作品まで,さまざまなサウンドトラック盤が発売されている。主に盛んなのは海外レーベルだが,国内でもムービックが「東方Project」関連の「幻想Remix集 画集セット」を受注生産するといった動きなどがある。(関連記事

 これらの製品は,ゲームミュージックのマニアが購入するだけでなく,生産数の少なさや特有の大判カバーアートから「価値の高いファングッズ」として収集するゲームファンもいて,“ゲームからアナログレコードの世界に入った”という人も少なくはないようだ。

2018年にBrave Wave Productionsからリリースされた「Resurrection: Panzer Dragoon Saga 20th Anniversary Arrangement」
画像集 No.016のサムネイル画像 / アナログレコードのゲームサントラが流行中! その魅力や,最新の再生環境をソニーシティ大崎で聞いて&聴いてみた

 ただ,アナログレコードは“何から始めたら良いか”がよく分からない。筆者はギリギリ平成生まれで,業務の一環としてアナログレコード製作に技術的な部分で関わったこともある例外だが,そうしたきっかけを得るまでは「親の世代が聴いていたもの」と捉えていたし,私より若い世代にとっては物理メディア自体が珍しいものだろう。

 そんなわけで,最新のアナログレコード再生機材や,アナログレコードならではの楽しみ方を教えてもらうべく,ソニーシティ大崎でソニーホームエンタテインメント&サウンドプロダクツの灘 和夫氏と尾木加奈子氏に話を聞いた。ソニーグループは,2018年にソニー・ミュージックエンタテインメントがアナログレコード用のスタンパー製造設備を導入して,約29年ぶりにアナログレコードの全生産工程をグループ内で行えるようになったり,つい先日(4月20日)ソニーが「PS-LX310BT」というエントリークラス(希望小売価格2万7700円+税)のレコードプレイヤーを発売したりと,全体的にアナログレコードの盛り上がりを一過性のものでないと捉えていることがうかがえる。


ソニーシティ大崎 試聴室にて


 まず,エントリークラスのアナログレコード再生環境として,「PS-LX310BT」と低価格帯のBluetoothスピーカーを試させてもらった。
 アナログレコードを聴くため絶対に必要なのが,当然ながらプレイヤー。PS-LX310BTは,ロングランヒットした「PS-LX300USB」の設計思想を受け継ぎ,ビルドクオリティの向上と新機能の追加を行ったモデルだ。トーンアームが高剛性アルミ製へ変更された他,ヘッドシェルとトーンアームの接合部分は安価なモデルにありがちな接着剤ではなくビス止めという仕様になった。基板はガラスエポキシ製で,全体的に剛性が上がっている印象を受ける。使い方は簡単で,筐体右側のスイッチで盤のサイズ(12 or 7インチ)と回転速度(45 or 33 1/3回転)を選択し(※),[START]ボタンを押すだけで,自動的に盤面へ針を落として再生を開始してくれる。

※アナログレコードは,Columbia Recordsが最初に商品化した33 1/3回転盤と,RCAビクターが最初に商品化した45回転盤の2種類がデファクトスタンダードとなっており,音質や記録時間に関する特性の差により共存している。また,用途や販売形態などの違いから,盤のサイズは7インチ(約17cm)と12インチ(約30cm)の2種類が主流だ(10インチや変形盤もある)。総合的な規格としては,LP盤(12インチ・33 1/3回転),EP盤(7インチ・45回転),コンパクト盤(7インチ・33 1/3回転)が主なところ。

「PS-LX310BT」はスピーカー非内蔵型であり,アナログレコードに刻まれた凹凸を振動として拾って電気信号へ変換するところまでの機械であるため,有線でオーディオ機器に接続するか,Bluetoothオーディオ機器とペアリングさせる必要がある。別途「SRS-XB31」のようなワイヤレススピーカーか,「STR-DH190」のようなアンプと「SS-CS3」のようなスピーカーシステムが必要だ
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 新機能として面白いのがBluetooth接続(SBC,aptX形式)が可能な点だ。現場では,ワイヤレスポータブルスピーカー「SRS-XB31」,ワイヤレスポータブルスピーカー「SRS-XB10」のステレオモード(2台によるステレオ再生),グラスサウンドスピーカー「LSPX-S2」,ワイヤレスノイズキャンセリングステレオヘッドセット「WH-1000XM3」による再生例を見せてもらった。「せっかくアナログレコードを聴くのに,伝送がBluetoothで良いのだろうか?」と思う人もいるかと思うが,これにはレコードに触れてこなかった若年層でも扱いやすいようにする目的があるという。

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Bluetooth対応スピーカーのSRS-XB31(中央)およびSRS-XB10(左右)と,ヘッドフォンのWH-1000XM3(右奥)
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グラスサウンドスピーカーのLSPX-S2。雰囲気的な意味ではアナログレコードとよくマッチする

 「グッズやインテリアとして購入したレコードをビギナーが最初に聴く時,そこに必ずしもトラディショナルなスピーカーリスニング環境があるとは限りません。Bluetooth機能搭載のスピーカーやヘッドフォンの人気が高まっている昨今、レコードを気軽かつ手軽に聴くことができるように,Bluetooth機能を盛り込みました」(尾木氏)とのことで,とくに接続の安定性を意識した設計が行われており,試用している間もブツブツ途切れたりなどのトラブルは皆無だった。XB-31やXB-10などの小型スピーカーでは,アナログレコードの良さを100%体感できるとは言い難いが,気軽な再生環境という意味では上出来だろう。「もっと上のリスニング環境が欲しい!」という人は,トータル4万円前後で導入できる「STR-DH190」「SS-CS3」×2などにステップアップしてみよう。

STR-DH190(ラックの上にある黒い筐体のアンプ)と,SS-CS3(左右のスピーカー)
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レコードとCDの違い


 ここで簡単に,「そもそもアナログレコードとCDは何が違うのか」を解説しよう。

 音は振動であり,空気や水といった媒質を介して人間の耳に届く。その振動をデジタルデータに変換し,プラスチックの板に記録したものが,一般的な音楽CDだ。音楽CDの規格(CD-DA)は4万4100Hz/16bitで,これは1秒間に4万4100回/6万5536段階で音をサンプリングしているということを意味している(※)。

※より正確には,まず時間軸で標本化(サンプリング=4万4100Hzなら4万4100回/秒で,小さくなればなるほど密度が下がっていく)して,次に標本化したデータの信号レベルを近似の整数値で置き換える量子化を行い,最後に符号化して2進数で表している。噛み砕いて言えば,音の波を細かく砕いて(離散させて)数値化するということだ。

 一方,アナログレコードでは振動をそのまま盤面に記録している。CD音源などでは人間の可聴帯域を超える音域を削除するなどしてデータ量を削減しているが,アナログは原理的に何かを“間引く”ことがないため,良くも悪くも音のすべてを記録していることになる。根本的には約140年前に作られたエジソンの蓄音機と同じだ。かつては製造時のエラーや再生を重ねることによる盤面の劣化などが課題だったが,現在は溝の構造やコンポーネントなどに関する技術の進歩で,改良されている。


比較試聴実験その1「アナログレコード vs.CD」


 せっかくなので,アナログレコードとCD音源の比較もさせてもらった。ここでは,より繊細な音で試聴するため,CD音源の再生には「HAP-Z1ES」,アンプには「TA-A1ES」,スピーカーには「SS-AR2」×2を使用させてもらい,PS-LX310BTはTA-A1ESへ有線で接続した。

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ちなみに希望小売価格としては,HAP-Z1ESは21万円,TA-A1ESも21万円,SS-AR2は1台につき60万円だ(いずれも税抜)
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 まずは現在流通している物理メディア同士の比較として,HAP-Z1ESでCDをリッピングした素材Aと,ミドルクラスのプレイヤーである「PS-HX500」と専用アプリ「Hi-Res Audio Recorder」でアナログレコードをリッピングした素材B(形式はDSF)を交互に再生し,その印象を確認した。

 リッピング元は,ソニー・ミュージックエンタテインメントに提供してもらった宇多田ヒカルさんのシングル「Face My Fears」関連記事)だ。宇多田ヒカルさんとSkrillexさんがコラボレーションしたうえ,「キングダム ハーツIII」の主題歌に採用されたことで表題曲が話題になったが,ここで聴くのはカップリング曲であり「キングダム ハーツIII」のエンディングテーマに採用された「誓い」。この楽曲は,ボーカルのハモりとディレイの切れ目が分かりやすい。

 断っておきたいのが,先述のようにCDとアナログレコードは音源の制作段階から違いがあるということ。マスタリングは別枠,音作りの方向性も異なるうえ,CDは規格上4万4100Hz/16bit固定であり,土台から違うのだという点は留意しておいてほしい。なので,スペック上の単純比較ではなく,試聴して感じたことをそのままお伝えしていく。

アナログレコード版の「Face My Fears」を直接再生しているところ
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 アナログレコードの特徴は,“各楽器がどの位置で演奏されているか”が分かるような音の明瞭さと,“最も小さい音と大きい音の比率”であるダイナミックレンジの広さだ。とくにSS-AR2クラスの繊細なスピーカーの場合,ダイナミクスと楽器の分離感を顕著に感じることができる。
 一方,CDはステレオ感が強く,左右への音の広がりがレコードと比較して2割ほど強く感じられる。左右の位相差という意味ではCDが優秀と言えるが,奥行き感と楽器としての表現力はアナログレコードの方が一枚上手なのだ。

 また,アナログレコードは音量に関する規格が曖昧であったため,0dBを越えないように“音を箱にきっちりと収めるイメージ”で制作されているCDと比較して,良い意味で伸びやかな出音である場合が多い。0dBを越えた部分が音割れになってしまうデジタルレコーディングに対して,そういった“天井”の高さが定まっていないことがアナログレコード特有の広いダイナミックレンジにつながっており,さらにコンプレッサーなどのエフェクト処理が少ないぶん,生々しさが残るものと予想される(※)。

※ダイナミクスに関するエフェクト処理の補足:レコーディング時に掛け録りを行うケースは,高解像度で音源を扱える32bit-floatの登場以降少なくなりつつあるが,CD音源を制作する際はトラックごと,バスごとにコンプレッサーを掛けることが一般的であり,多重にダイナミクスの処理が行われている(True Peakを越えないために用いられていることもあれば,Solid State Logic「Bus Compressor」のように音質面を評価され用いられる場合もある)。また,ここではRMS値が-10dBを大きく越える音圧には触れないこととする……あれはもともとオーディオの世界とは相容れない制作スタイルだからだ。

 もうひとつ重要なのは,針自体のノイズが混入することだ。味があるという人もいるが,アナログレコードを初めて聞く場合は違和感を覚えたりもするだろう。これは明確な違いとして現れる。


比較試聴実験その2「アナログレコードのリッピング比較」


 今更だが,本稿では「アナログレコードのほうが音が良い!」などと結論付けたいわけではない。そもそもアナログレコードはその製造方法から必ず個体差が発生するし,再生を重ねると物理的な劣化が発生する。また,トラッキングエラーやトレーシングエラーなどの歪みも避けがたいものだ。にも関わらず,アナログレコードがこうしてリバイバルブームを呼び,「音が良い」と人気を博す理由はどこにあるのか? 諸説ある中で,ソニーホームエンタテインメント&サウンドプロダクツではレコードプレーヤー特有の“音の干渉”に注目しているという。

 そのサンプルとして聴かせてもらったのが,スピーカーから音を出さずにリッピングした素材Cと,スピーカーから音を出しながらリッピングした素材D(研究用の音源なので曲名は伏せる)。どちらも同じレコードを同じ機材でリッピングしたためデータ的にはほぼ同一になると思われたが,実際にはスピーカーからの再生音がレコードの針に干渉し,その微細な振動が音の違いを生んでいた。

 聴いてみると,素材Cはスタジオ録音そのもののような音質に感じられたが,素材Dはライブ的な残響が感じられた。こうした物理的な挙動が音に与える影響が,アナログレコードの体験を後押ししている可能性は大いに有り得る。ソニーでは,このことから着想を得た音声信号処理機能「バイナルプロセッサー」を,Walkmanシリーズの「NW-A50」シリーズや「NW-ZX300」シリーズなどに搭載している。

 その後はせっかくの機会だからと,編集部の早苗月 ハンバーグ食べ男が持参したアナログレコードとCDを聴き比べてみた。結果としては,ソフトウェアシンセサイザーを用いた打ち込みの楽曲よりも,抑揚の大きな生楽器やハードウェアシンセサイザーを用いた楽曲にアナログレコードへの適性を強く感じるが,総じて「ミックス・マスタリング段階であれこれ手を加えない音」だと試聴体験が良かったように思う。

サンプルとして持ち込んだアナログレコードの数々。市販品やゲームの限定版特典,キャンペーン景品など流通形態はさまざまだが,いずれもここ数年でリリースされたもの
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ちなみに,1990年代にもディスコの影響による,ちょっとしたアナログレコードのブームがあった。写真はそのあたりの製品だ
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Data Discsによるセガ・インタラクティブ「アフターバーナーII」のサウンドトラック。比較用のCDはG.M.O.レコードによる「アフターバーナー -セガ・ゲーム・ミュージックVOL.3」ということで,“最新のアナログレコードと古いCD”の組み合わせに
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1990年前後のゲームをテーマにしたアニメ「ハイスコアガール」の主題歌,やくしまるえつこさんの「放課後デストラクション」は,アナログレコードとCDの2形態でリリースされた。シングルなので前者は7インチ盤だ
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「サイヴァリア デルタ」(PS4/Nintendo Switch)Premium Sound Boxには,サウンドトラックCDとスペシャル音源収録のEP盤が同梱されている。なお,同商品にはEP盤のハイレゾ音源をダウンロードできるコードも入っているのだが,最近はこういった「アナログレコード+ダウンロードコード」という製品形態が多くなっている
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もはや比較でも何でもないが,ノリでかけられたBeep(日本ソフトバンクが刊行していたゲーム雑誌)付録のソノシート。PS-LX310BTはソノシートをサポートしていないが,再生自体は可能だった。持ち主は「約150万円の環境で聴くソノシートだよ!」と変なテンションになっていたが,盤面が傷つく可能性は否めないので,真似する場合は自己責任で行ってほしい
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 余談だが,面白かったのが「アフターバーナーII」のサウンドトラックを試聴したとき,2018年にプレスされたレコードより1987年にプレスされたCDの方が“筐体の音に近い”と,灘氏が言っていたことだ。筐体のスピーカーにダイナミックレンジが小さいものを使わざるを得なかったという背景はあるだろうが,ゲームサウンドトラックの「良い音」とは何なのかを考えさせられるサンプルだった。

 このように,いろいろなアナログレコードを聴いてみたわけだが,腰を据えてゲーム音楽を聴き,それについて語り合うことは思いのほか楽しい体験となった。筆者はCD世代ではあるが,ピカピカに輝く円盤を購入して自宅に持って帰り,満を持して再生ボタンを押すという儀式的な楽しみは,今や遠い過去のものになっている。思い返せば,いつからか音楽の消費スタイルは通勤時間やスキマ時間の「ながら聴き」となってしまっていた。それが,アナログレコードは「良い盤を探し,セットし,回転数を確認して針を落とす」と手間がかかるメディアであるがゆえに,かつての音楽に対するワクワク感を思い出せるように感じられた。

 量産品ながら完全なコピーが出来ない一点物であり,物理的にプレイヤーと接するため,聴けば聴くほど音が変わる。キレイに保管すればいつまでも音はクリアなままだし,溝に埃が溜まればすぐにノイズが乗ってしまう。さらにプレス用のマスターも使用回数が決まっているため,CDに比べて発売数が少なくなりやすく,結果としてレア盤に出会う喜びもある――こうした一期一会の感覚が,複製可能なデジタルメディアが主流な昨今において,逆に新しい体験になっているということだろうか。

 再生可能な周波数帯域などのスペック的な数字や,利便性とか可搬性とかの表層的な違いだけではなく,アナログレコードにはアナログレコードだからこその楽しさが確実にある。近年のブームでリリースされたアナログレコードを購入したが,同梱コードから入手したデジタル音源でしか聴いてなかったり,棚の飾りにしたりしているという人は,便利な最新の再生環境を導入して,ゆっくりとアナログレコードの独特な音色に耳を傾けてはいかがだろうか。


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ソニー公式サイト

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