連載
【ヒャダイン】NHKの「全ファイナルファンタジー大投票」で心が満たされた件
ヒャダイン / 音楽クリエイター
ヒャダインの「あの時俺は若かった」 |
第74回「NHKの『全ファイナルファンタジー大投票』で心が満たされた件」
ども。先日オンエアされましたNHK BSプレミアム「全ファイナルファンタジー大投票」に,「ファイナルファンタジー」(以下,FF)シリーズのファンとして出演してきました。前山田健一として。さすがにFFの番組でヒャダインってわけにはいかないでしょ!
オンエアでも言ったのですが,僕的にはブリザラでも良かったんですけどね。もしくは不遇仲間としてケアルダ。長時間の生放送だったのですが,一瞬で過ぎ去った記憶しかないです。
この番組,世界中のFFファンから好きな「作品」「キャラクター」「ボス&召喚獣」「音楽」に投票していただき,ランキングをつける,というワクワクが止まらない内容でした。
しかしここで一つ大問題が。わし,FFは「II」から「VI」までしかやってへん……。受験勉強の忙しさを理由にPlayStationを買わなかった結果,スーパーファミコンの「IV」「V」「VI」ばっかりリピートしていたのです。「VII」が名作なことも知ってる。「X」が泣けることだって知ってる。だけどテレビジョンに出てしゃべるのはリスキーすぎる。だってプレイしていないんですもの。
なので,いかに“ギャラ泥棒”と言われようが知ったことか。VII以降の話になったら私は貝になる。そう。何もしゃべらない。そして自分のターンになったら「ためる」で充填したエネルギーをどかーんと放出させよう。ゲージをためて繰り出したカイエンの必殺剣のようにね!
ここで前提のお話として,僕がどれほどIV,V,VIを好きかを説明したほうがいいかもしれませんね。好きさ加減としては,ぜひYouTubeにもある僕のFFリミックス動画を見てみてほしいです。10年前,FFの楽曲に勝手に歌詞をつけたりアレンジしたりしてアップロードしていたんですよ。若い人はポケモンのお兄さんだと思っているかもだけど。
植松伸夫さんの国境を超えた生命力あふれる音楽に,多大なる影響を受けていたんです。Vのバッツの故郷のようなケルト音楽もあれば,ゴルベーザ四天王のようなヒロイックなバトルソングまで。ノビヨ先生がいなかったら,今,音楽を仕事にしてはいないと断言できます。
やはりスーパーファミコン以降の音楽の進化に感動した現役勢なので,IVでセシルとカインが理不尽な王の命を受けて「さあ行くか」とお城を出た瞬間に流れるグラフィックスとメインテーマ。ねえ。思い出しただけで鳥肌立ってきたよ。いや,チョコボ肌!
チョコボで思い出したけどIVから出た黒チョコボの音楽も好きだったなあ。これぞリミックスの考え方で,チョコボのテーマをサンバアレンジにしてるんですよね。黒チョコボがIVで活躍するシーンって,セシル,ヤン,テラ,シドというおっさんずLOVEなパーティなんですが,黒チョコボの陽気な音楽には励まされました。その後のダークエルフの洞窟で詰んだけど。
Vもやりこんだなあ。番組でも言及されていたんですが,FFシリーズのナンバリングタイトルって,偶数がストーリー重視,奇数回がシステム重視,なんて噂もあるくらい,Vはシステムが斬新でした。IIIのジョブシステムの進化系なんですが,各ジョブを極めると永続スキルがすっぴんに身につくっていうのが楽しくて,とにかく全員ジョブを極めまくったのです。ABPためまくり。でも神竜は初見で全員やられたなあ。サンゴの指輪必須だよね。
VIはもうね。やばい。群像劇として完璧な作品だよ。無駄なキャラクターなんていない。誰もが違って誰もがいい。そう言わんばかりに全員が活躍します。ていうか,全員を育てないとラストダンジョンがきついよね。
三つのチームに分けられて,それぞれが違うルートで攻略するから,お留守番メンバーなんかいない。「あーあ,俺って世界に必要とされているのかなあ」なんて実生活で自分の存在価値を疑いそうになるときに,そっと背中を押してくれるような設定です。
そしてケフカよ!! 大好きなボスキャラ。スーパーファミコン音源で鳴る「ひっひっひっひ」という笑い声のSEも素敵だったし,何より善と悪が分からなくなった結果,自分が信じる善を貫くべく全部を壊そうとするスタンスは,先日アカデミー賞をとったホアキン・フェニックス演じる「JOKER」そのもの。FFはアカデミー賞を20年以上前から予見していたんですよ!
ふう……。どれだけ僕がFF好きか,分かってもらえたでしょ?
で,生放送が始まり,西川貴教さんの名采配でガンガン番組は進んでいきます。前述のとおり自分が分からない分野ではセルフにサイレス。もしくはミュートです。時空魔法ですよね。でも自分のターンになると自分でもどうかしちゃったのかな,ていうくらい口が回る回る。脳のスピードと口のスピードが一致し合体して暴走しちゃった感じ。魔列車のように止まらないよ! もしくはクイックをかけたかのよう。やっぱり時空魔法だね。
自分でも「あー,オタク特有の早口になってるな」と思いつつも,止まらないものってあるんです。全国の視聴者の皆さん,失礼しました。
でね。後半戦になったら神様が降臨するわけですよ。あらかじめ聞かされていたから心の準備はできていたんですけど,ね。やっぱり嬉しいよね。そう。植松伸夫さん!!!! FFシリーズの音楽をほとんど担当されている生き神様じゃ。
植松さんが見守る中,伊賀拓郎さんが大投票で一位を獲得した「ザナルカンドにて」をピアノで演奏してくれました。Xはプレイしていないけど,「ザナルカンドにて」は何千回と聴いているし,植松さんのメロディの特徴の,故郷や父母,幼い頃の思い出などをフラッシュバックさせてくれる郷愁感にやられてしまい,ボロ泣きですよ。
正直テレビで泣くのってあざとくてイヤじゃないですか。グラビアアイドルの最後の一手みたいな感じ。グラドルほどのきれいな泣き顔も見せられない僕が泣き顔を見せたって,視聴者さんは不愉快になるだけだ! と,なるべく涙は拭いて目立たないようにしようとしていたのですが,目から滝なわけですよ。滝は止まらんよ。リヴァイアサンでもない限り水は止められんよ。結果泣いたんですが,植松さんが隣の席まで来てくれたんでメソメソ泣いている場合じゃない!
質問コーナーになったので「どこの国の音楽が一番好きか」とか「数多あるバトル曲を新しく作るときは差別化のためにどうやっているか」的なやつを聞きました。正直興奮していて正確に覚えていないんですが。
そして植松さんが近年プロデュースされたという,「メインテーマ」のコーラスバージョンの収録風景の映像が流れたら,また目からタイダルウェイブですよ。もうやだよ。メインテーマはずるいって。思い出しただけで泣けるんだもん。もはや僕,名子役だよ。いつだって泣けます。
植松さんが退席されてからも涙涙は続いて,エンディングではXでティーダを演じた森田成一さんが,ユウナ役の青木まゆこさんからの手紙を涙声でお読みになられたとき,目からリヴァイアサン。声優活動を休止されている青木さんが,森田さんと二人,互いに自身のキャリアの序盤で任された大役へのプレッシャーと戦いながらやり抜いた当時のお話を手紙にしたためられていて,胸がいっぱいになりました。
ていうのもね,誰しも“新人時代”はあると思うんです。目の前のでっかい仕事に逃げ出したくなりながらも必死に胸を張って立ち向かったあの日々。できないことだらけだったくせに何でもできるような気がしていたあの日々。それらのトライ&エラーを繰り返して行き着いたのが,“今”。
そしてその“今”が一人で作られたものじゃないこと。仲間がたくさん助けてくれたんだ。そう,FFのようにたくさんの仲間が助けてくれた。青木さんのお手紙はそんなシンプルなことを思い出させてくれるようで,もう泣くしかないわけですよ。
その場にいた西川さんや鈴木達央くんら含め,皆が号泣。生放送が終わったあとも「なんなのこれー」と皆で笑いながら泣くというおかしな現場でした。あー。幸せな時間だった。
■■ヒャダイン(音楽クリエイター)■■ ヒャダイン氏は,本日(3月31日)22:00〜22:54にBS朝日で放送される「サウナを愛でたい」(新番組)にレギュラー出演します。さまざまなサウナ施設を紹介していくそうです。 |
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